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パンデミック・マン 作者:ですの

エピデミック編

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第十五話 エピデミック・ドライブ2

廃墟同然の街の中を一台の車が走っていた。

食料を探していた三上達は、やがて放棄された食品工場を発見した。
入り口の鍵が壊されていた為、三上達は簡単に中へ入り込むことが出来た。

中には誰も居なかった。

工場内には積み上げられた缶詰の山がある。
恐らく鍵を壊して最初に侵入した者達によるものだろう、一部荒らされた形跡はあったものの、まだ十分な量の缶詰が残されていた。

大町は工場内に業務用の巨大な冷凍庫を発見し、缶詰を腕に抱え持ってその中に入っていった。
その中で昼食をとろうとしているようだ。

三上は彼女が昼食をとっている間に工場内を物色していた。

事務所に入ると、荒らされた室内に固定電話を発見した。

受話器を取り耳に当てる。
ノイズすら聞こえない。回線は死んでいた。

隣接されたテレビの電源を押すがテレビは点かない。

それを三上は不思議に思った。
昨日まで三上は室内でテレビを見ることが出来たし、ネットを利用する事も出来ていた。
ネット掲示板にも関東圏からと思われる書き込みを多く見かけていた。

「昨日の夜から今朝までの間に、何か起きたのか?」

後ろから足音が聞こえてきた。

三上は思わずライフルを構える。
しかし三上が目を凝らすと大町がこちらに小走りで近づいてくるのが見えた。

「三上さんここで何してるんですか? あと銃向けないで下さい」

「ごめん結花ちゃん、つい警戒心で……。ここ、電話もテレビも繋がらないのは変だと思って。施設では問題なく使えてたのに」

「そりゃそうですよ、あそこは独立したジェネレータがありますから。でも確かに変ですね。そう言えばさっき街を走っていた時も、日中だから気づき辛かったですけど、どの店も家も電気は点いてませんでしたね。みんなもう生きてないだけかもしれないですけど……」

「……スマホ持って来れば良かった。そんな準備する余裕なく逃げてきちまったから仕方ないけどさ。今何が起きてるのか知ることが出来ないってのは中々不安になるわ」

三上達は事務所を出ると、缶詰を車のトランクに入るだけ詰め込み、工場を去った。


夕日がフロントガラスから差し込んでくる。
暖かな風はやがて少し肌寒さを感じるものに変わり始めていた。

「缶詰たくさんあってよかったですね」

大町がマスク越しに三上に話しかける。

「そうだな、でも結花ちゃんホントに大丈夫か? 飯食ったならマスク外したわけじゃん。いくら離れてたとは言ってもマスク取っちゃうなんて……。俺から出てる殺人ウィルスを吸い込まないとしても、外は感染者の遺体から発生してるウィルスも飛んでるんだろ?」

「空腹には勝てないですもん。あの工場の冷凍庫の厚みを考えれば大丈夫ですって。それにしても、本当に誰も居ませんね」

三上はそれ以上は答えず、ハンドルを握りしめた。
大町は気づいていなかったが、三上は運転席から何度も路上に倒れた人の姿を見ていた。

道路標識を確認する。既に東京を離れ千葉へと入っていた。
千葉県は最も早い内に感染が拡大した地域だ。

(あれから数日とは言え、既にもう……。いや考えるな。俺のせいじゃない)

三上は空港に向かう事だけに集中し、運転を続けた。

「あー、三上さん。空港ってまさか成田ですか……?」

「そうだよ。成田に向かってる。SWARPAから出た時に、標識を見て一番近い空港に行こうと思ってた」

「なんでそんなに空港に拘るんですか?」

「そりゃあ……、自衛隊とか多国籍軍とか、居るかもしれないだろ? 保護してもらうんだよ。SWARPAの施設が機能しなくなった原因が、無実のはずの俺だって思われてる以上、合衆国の追手が来る前に保護してもらわなきゃ」

「まぁ厳密には混乱に一部加担してますけどね。それに普通に逮捕されることしてますけどね。あと多国籍軍には合衆国の兵士もいますけどね。おっと、危ないです……。施設での事思い出したら泣きそうになってきました」

「ご、ごめん結花ちゃん」

その後三上と大町は言葉を交わさなくなった。
夕日が沈みこみはじめ、辺りが暗さを増していく。

その中を三上達の車だけが進んでいた。
※2017/01/15
表現の一部と誤字脱字の修正をしました。
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