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転生したらスライムだった件 作者:伏瀬

地位向上編

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08話 手に入れた能力

自分的には問題ないのですが、微グロな表現が含まれています。

10,000PV達成致しました! 皆様のおかげです。ありがとうございます!
 久しぶりに太陽の下に出た。
 吸血鬼のように太陽の光に溶けたり、火傷を負ったりはしないようだ。
 実際、そういう自分にとって危険な行動というのは、魔物の本能で理解出来るようになっているとのこと。
 判っていてもやってしまう、よくある事だ。
 笑えない。
 自覚あるだけに改善するようにしよう。

 洞窟は、森の中にあったようだ。
 小高い丘という程度の山の麓に、ぽっかりと口を開けていた。
 大木に囲まれた中、その丘は良く目立つ。
 なんと言えばいいのか、そこだけ太陽が見えている。一歩、森に侵入するとすぐにでも薄暗くなりそうだ。
 丘の頂上には、何やら怪しげな模様が刻まれていた。
 魔方陣? っぽい雰囲気。
 "君子危うきに近寄らず"
 俺はさっさと、その場を後にした。

 洞窟から出て暫く経つ。
 どうやら、日が傾いてきたようだ。
 丁度、真昼頃に洞窟を出た計算になる。
 びっくりするほど、正確に刻む体内時計を日付毎に判るよう調整したい。
 そう思っていると、自然に変化した。
 この程度は容易い事だったのか…。
 現在、夕方の4時過ぎ。
 夕飯の支度の時間だが、残念ながら俺に食事の必要はない。
 食べてもいいが、味が判らないから余計空しくなる。
 食事で思い出した。
 洞窟内で捕食した魔物たち。
 新しく手に入れた能力だが、解析を終わらせて放置していたのだった。

 黒蛇…『熱源感知,毒霧吐息』
 ムカデの化物…『麻痺吐息』
 大きな蜘蛛…『粘糸,鋼糸』
 吸血蝙蝠…『吸血,超音波』
 甲殻トカゲ…『身体装甲』

 黒蛇のスキル、『毒霧吐息』はぶっちゃけ使えなかった。
 実は、甲殻トカゲが現れた時に黒蛇に擬態して使用したのだ。
 そしたら…
 トカゲの装甲なんのその!
 見る見るドロドロにトカゲが溶け出したのだ。
 稀に見るグロい光景だった。思い出したくもない。
 俺は思った。
 もし、冒険者がこの黒蛇と遭遇していたら、魔法使う余裕もなく全滅していただろう…と。
 え? 俺に使われていたら?
 そんなの考えるまでもないし、考えたくもない。
 先制攻撃を仕掛けたのは正解だった! とだけ答えておく。
 こんな危険なブレス攻撃など、威力あり過ぎてヤバイ。
 てか、グロすぎて思い出したくもない。
 内臓をぶちまけたような、グロいトカゲの残骸は見るのも嫌だったので『毒霧吐息』で完全に消滅させた。
 では、スライムの状態で使用したらどうだったのか?
 射程が半分以下。
 大蛇の大きさで7〜10mだった範囲だが、擬態せずに使うと1m程度になる。
 君は、そんな近距離で相手が溶けるのを見たいかね?
 この技は封印だ。
 だが、『熱源感知』は素晴らしい。
 生物は大抵発熱している。
 このスキルに『魔力感知』を併せると、俺に対する不意打ちはほぼ防げるだろう。
 人間や、知恵ある上位魔物になるとどういう魔法や特殊スキルを使用出来るのか判らないので、油断は禁物だが。

 次にムカデ。
 擬態するのも嫌な、その外見。
 ブレスの射程は黒蛇と同程度。大きさも同程度だった。
 そこから予想した通り、スライム状態で使用すると1m程度の射程だ。
 だが、不意打ちで麻痺ブレスを使うのはありかも知れない。
 とはいえ、1mまで敵に接近された時点で、擬態するか逃げるなりしないと負け確定だがな。

 トカゲ。
 毒霧ブレスに、あっさり溶かされる程度の装甲。
 期待出来ない。
 ぶっちゃけ、俺には物理攻撃耐性もあるしあまり意味はなさそうだ。
 擬態せず、スライムの状態で使ってみた。
 表面が硬くなった。
 国民的RPGに出てくる、メタルなスライムみたいだ。
 薄蒼色のボディが、蒼銀色ブルーシルバーメタリックな色合いになった。
 ダメージを受ける実験などしたくないので、効果は知らない。
 しかし、色合いは綺麗になった。
 相手をビビらせるのには使えるかもしれない。

 この3体の能力はこんなところだ。
 問題は、残り2体。
 この二体の能力は興味深い。
 何が興味を引いたのかというと…

 まず、蜘蛛。
 そう、蜘蛛の能力を持つヒーローの存在を君達は知っているだろうか?
 ヒュイ! っと、手首から糸をだしその身を支え、高層ビルを跳躍して渡り歩く。
 あの、有名な男だ。
 『粘糸』というスキルは、本来獲物に纏わりつかせ、その動きを封じるもののようだ。
 だが、これを使えば、あの動きが再現出来るのでは?
 早速、実験である。
 では、大木の枝に向けて…

 ヒュイ! …ブラーーーン………。

 えっと、『鋼糸』の説明だったよね。
 『粘糸』? 何それ? ぶら下るだけのスキルなんて、俺は知らない。
 という訳で、『鋼糸』だが。
 これは、相手の攻撃を防ぐ目的で使うのか。
 巣を作る際に、自分の有利な状況(迷路)の作成にも用いるようだが…。
 一本だけ、細い糸をだし、鞭のように木に打付けてみた。

 ピュン! プチン

 と、あっさり弾かれた。
 しかし、だ。
 俺には『魔力感知』ではっきりと見えているが、この細い糸、普通の肉眼では捉えるのは難しい。
 練習次第で、武器となりそうだ。
 これは今後の課題として、練習を積む事にした。

 最後にコウモリ。
 俺は一番、この蝙蝠に期待していた。
 『吸血』スキル? 血を吸った対象の10%の能力を一時的に行使出来る。
 どうでもいいスキルだ。
 捕食の方が効果が高い。劣化スキルと呼ぶのもおこがましい。
 血なんて、別に吸いたくもない。
 データだけ採取して、『吸血』能力の事は放置する。
 俺の興味の対象、それは『超音波』。
 このスキルは、対象を惑わしたり失神させたりといった効果も及ぼすが、本来は位置特定スキルである。
 元の世界の蝙蝠もそうであったように、音で位置を特定しているのだろう。
 ここで重要なのは、発声器官である。
 スキルそのものは、どうでもいいのだ。
 この『超音波』を発する器官を、スライムボディに再現する事から始める。
 何も無いところから想像で身体を操作するのではなく、参考となる機能を持つ魔物を吸収出来た事はラッキーだった。
 これで、発声方法を入手出来るかもしれない。
 俺は、寝る間も惜しんで研究を続けた。
 まあ、寝る必要はないのだけれども…。

 三日三晩、不眠不休で歩きながら研究した結果!!!

「ワレワレハ、ウチュウジンデアル!」

 成功だ!
 扇風機の前で喉を叩きながら出すような歪な声だが、確かに発声に成功した!
 ここまでくれば、後は調整あるのみ!
 俺は慌てる心を宥めつつ、声帯の調整を開始するのだった。

 しかし、超音波は使えるな。
 音波砲のような兵器があった気がする。
 ソニックバスターもしくは、ソニックブラスターと呼ばれてたっけ?
 出来ないだろうか?

《解。スキル『超音波』から『超振動』へ派生する可能性が在ります。ただし、現在は取得出来ません 》

 派生、もしくは能力の変化が必要という事か。
 今は情報量が少なすぎて、無理だったようだ。
 "固有共鳴周波数と同調する振動波を発射し、対象を破壊"とか、どこぞの強殖生物のような事が出来たら良かったのだが… 
 ぶっちゃけ、自分でも意味が理解出来てないのに、使えるハズもないのだ。
 どうやら俺は欲張りすぎたみたいだ。
 手札は多いほうがいい。しかし、焦る必要はない。
 発声器官を手に入れただけでも、十分に満足すべき結果なのだから。



 そうして、色々と試しながら俺は道を進んでいた。
 あてがある訳ではない。
 目的だって、適当なのだし。
 どこか、村か町にでも出たら心優しそうな人間に声をかけてみようとは思っているのだが…。
 しかし、この数日、ものすごく平和だった。
 洞窟内ではあれほど頻繁に魔物に襲われたのだが、外に出てからはまったくと言っていいほど襲われていない。
 一度だけ、発声練習をしている最中に狼に襲われたのだが、

「あ”?」

 と、声を出して凄んだだけで、

「キャイーーーーン!!!」

 とか、情けない悲鳴を上げて逃げて行った。
 普通の大型犬よりも大きい、体長2m超えの大物が何匹かいたのだが…。
 何というか、スライムを見てビビる魔物とか、情けない限りである。
 俺としては、襲われないならそれに越した事はない。
 狼を喰ったら、嗅覚とかゲット出来そうではあるのだが。

 しかし、気になったので観察を続けてみると、どうやら狼だけではないらしい。
 俺の周囲100m以内に、魔物が入ってくる気配がないのだ。
 あれ? なんか、俺の事を恐れているような…。
 何でだろうか?
 間違いなく、この森の魔物は、俺の事を恐れているように感じる。
 そう確信した時、俺の『魔力感知』が魔物集団の接近を感知した。



 問題事は突然やってくる物だ。
 俺の目の前に、わらわらと、30体程の人型の魔物が現れた。
 小柄な体躯。
 粗末な装備。
 薄汚れて、知性に欠ける表情。
 それでも、知性が無い訳ではないのだろう。剣や盾、石斧や弓まで装備しているヤツもいる。
 俺の灰色の脳細胞は、瞬時にこいつらの正体を見破った。
 冒険者を襲う有名な魔物! そう、ゴブリンだ!!!
 まさにテンプレである。
 そして襲われるのはか弱い魔物、そう、俺か?
 てか、スライム相手に30体って、多すぎだろうよ。
 しかし、何故だか恐怖は沸いて来ない。
 本能が、こいつらを恐れていないのだ。
 剣は錆付いているし、防具も貧相。腐った布を纏っただけのヤツもいる。
 頑強な鱗に覆われたトカゲや、強靭な刃の付いた手足を持つ蜘蛛。
 そういった魔物達を倒して来た俺としては、こいつらの装備でダメージを受けるイメージを持てない。
 それに、最悪は黒蛇に擬態してブレスで一網打尽に出来そうだし…。

 そう思って眺めていると、群れのリーダーであろう一体が口を開いた。

「グガッ、強キ者ヨ…。コノ先ニ、何カ用事ガ、オアリデスヵ?」

 ゴブリンって、しゃべれたんだ。
 ある程度は、『魔力感知』の応用で理解出来るのかもしれないけど。
 ってか、強き者って俺に言ってるんだよな。
 武器を持って取り囲んで、丁寧に問いかけてくるなんて。
 こいつらは一体何を考えているのか?
 俺は興味を持った。
 どうやら、すぐにでも襲い掛かってくる訳ではなさそうだ。
 俺の言葉が通じるか、試してみるのもいいかもしれない。

 俺は、ゴブリンと会話してみる事にした。


 




ステータス
 名前:リムル=テンペスト
 種族:スライム
 加護:暴風の紋章
 称号:なし
 魔法:なし
 技能:ユニークスキル『大賢者』
    ユニークスキル『捕食者』
    スライム固有スキル『溶解,吸収,自己再生』
    エクストラスキル『水操作』
    エクストラスキル『魔力感知』
    獲得スキル…黒蛇『熱源感知,毒霧吐息』,ムカデ『麻痺吐息』,蜘蛛『粘糸,鋼糸』,蝙蝠『超音波』,トカゲ『身体装甲』

 耐性:熱変動耐性ex
    物理攻撃耐性
    痛覚無効
    電流耐性
    麻痺耐性
黒蛇は強いです。A-評価です。Bのカテゴリーでは最強。
洞窟から外に出ると、魔素濃度が一気に下がります。魔物の強さも一気に下がり、せいぜいC+の強さです。
機会があれば、作中で説明を入れたいと思います。
+注意+
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