挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
転生したらスライムだった件 作者:伏瀬

王都生活編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

50/303

47話 町の特産品

 魔人グル−シスは狼の獣人であった。
 その高い隠密能力を買われ、魔王カリオンに今回の密命を授けられたのだ。
 その時の事を思い出す。
 曰く、

「絶対に相手に気取られぬよう監視を行い、貴様以外の魔人の目を盗み、鬼人を我等の陣営に勧誘せよ!」

 と。
 自分以外の魔人とは? その問いに、カリオンは苦々しい表情を浮かべ、

「クレイマンとミリムが一人ずつ、配下を出してくるはずだ。
 アイツ等と共同作戦になると、嫌な予感しかしないが、頼んだぞ!」

 目を逸らしながらそう言った。

「ちょ! カリオン様! 何故、目を逸らすのですか?
 まさか、そんなにヤバイ相手なのですか?」

 その質問に一瞬戸惑いの表情を浮かべ、戸惑いからニヤリとした笑みへと表情を変化させ、

「そうか! 貴様はミリムの事を知らないのだな! いやー、そうかそうか!
 良し! ならば大丈夫だ。ミリムの配下、若しくは配下と名乗る者には絶対に逆らうなよ!
 機嫌を損ねなければ、大丈夫だ! なあに、君なら出来るさ!」

 そんな事を言っていた。
 その時の事を思い出し、心に押し殺した疑問について考える。
 ミリムと言えば、魔王ミリム・ナーヴァの事だろう。自分でも知っている有名な魔王だ。
 確かに強い。強さだけならば、カリオン様と互角か下手すれば上回っているという。
 その性格は、短気、傲慢、残忍、我侭。いい噂を聞かない魔王である。
 しかし、その配下に何を恐れる事があるのか?
 グルーシスは、まだ魔人となって100年程しか生きていない。故に知らなかった。
 ミリムという魔王について、その噂しか。
 やがて、集合場所にたどり着き、その事を直ぐに後悔する事となる。



 魔人ミュウランは、最悪だと嘆きたい気持ちになる。
 他の魔王の配下との共同作戦。それだけでもいい気はしないのに、よりにもよってその中の一人は魔王ミリムだと言う。

「その役目、私では荷が重いと思われますが…」

 そう問うと、魔王クレイマンは、

「今、使い捨てに出来る駒は、貴方しかいません。
 ゲルミュッドを失っていなければ、彼に任せましたがね…
 仕方ないでしょう? 彼は死んでしまったのですから!」

 それ以上の議論は無駄だと悟る。
 魔王クレイマン。
 二つ名は、人形傀儡師マリオネットマスター。配下や仲間を人形の様に操る傀儡術の使い手。
 今回の件も、既に魔王クレイマンの中では決定事項なのだから。
 というか、使い捨てと言い切られると、言い返す気力も無くなるというもの。
 仕方無い。諦めの気持ちで了承した。
 彼女は知っていたのだ。ミリムという魔王について。
 今回、魔王クレイマンに命じられたのは、1点。

 他の魔王を出し抜き、情報収集を行え。弱みを握るネタを仕入れて来い!

 それだけである。
 今回は、魔王ミリムが噛んでいるので、それ以上は無理だろうと言われた。
 彼女も同意見である。
 ミリムという魔王は、知能は決して低くないのだ。その短気さで、浅慮と思われているが、実はそうではない。
 更に、異常なまでに勘が良く、騙す事は難しい。
 故に、彼女相手に隠し事は出来ないと思った方が良い。
 ミュウランが警戒している相手、それは魔王ミリムの配下に対してでは無い。
 魔王ミリム本人に対して、である。
 何故なら、彼女は知っていたし、魔王クレイマンもそうなると判っていたから彼女を派遣したのだ。
 恐らく、魔王カリオンも知っているだろう。
 その理由。それは、

「おお、あんたがお仲間かな? 俺は魔王カリオン配下のグルーシスだ!」
「初めまして、魔王クレイマン配下のミュウランよ!」
「ミリムである!」

 魔王ミリムに配下は居ない。
 つまりは、そういう事である。
 こうして、集合場所に集った3人は出会った。





 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





 今回、ドワーフ王国と魔物の国における条約は、二国間協定に該当する。
 国の代表同士の調印、この場合はお互いのサインだけで効力を発揮した事になるわけだ。
 そんな簡単な事で国家間の条約調停が成立するのか? 前世の知識で考えればアバウト過ぎると思い聞いてみると、

「ん? 問題ないぞ。神と精霊と先祖の英霊に誓うから、俺のサインに嘘偽りはつけない。
 お前はそもそも、人では無いだろ?
 強制力を持つ契約関係において、嘘をついたら、その存在は消滅するぞ?」

 言われた意味が判らなかったが、『大賢者』の捕捉説明により理解した。
 魔物は嘘をつけない。これが大前提で俺の知識に無かったのだ。
 嘘を嘘と認識しながら相手に伝える事が出来ないのだ。だがこれは、相手を騙せないという訳では無い。
 本当の事を言わないという方法もあるし、事実だけを伝えて相手に誤認させる方法もある。
 しかし、契約として書面上などで堂々と嘘をつく事は不可能なのだ。
 言い逃れ可能なレベルなら問題ないようだが、公に嘘をつくと、その存在は消滅する。
 自然発生型の魔物に共通する法則なのだそうだ。
 生殖により生まれた魔物はそのあたりはルーズになってきて、嘘をついても大丈夫な者もいる。
 ゴブリンなども、平気で嘘をつけるようだ。逆に上位の魔物、悪魔等がその代表だが、召喚されると契約に縛られてしまうのは有名であるそうだ。
 悪魔は嘘をつけない。その狡猾なイメージとは裏腹に、純粋な種族なのだという。
 最も、だからこそ安心し油断しきって、魂を奪われてしまうそうだけれども・・・。

「魔物の癖に、そんな基本も知らんのか? リムルよ、お前は変わっているな…」
「まだ生まれたてなものでね。勉強中なんですよ!」
「そうか…。まあ良い。お前達の事を国と認めるのだ、簡単に消えてしまわんでくれよ!
 お前達が統治するならば、この森の安定に繋がるのだ。頼むぞ!」
「こちらもせっかく作った町を手放したくは無いので、精一杯頑張りますよ!」

 こうしてお互いのサインは書き込まれ、協定は正式に効力を発揮する。
 未だ全ての文字を書ける訳では無いが、名前ぐらいは何とか書ける。暇を見て手の空いていて字を書ける者に習っていたのだ。
 名前を書き込んだ途端、契約用紙が発光し、二枚に分離した。
 精霊工学により加工された契約用紙。それは、お互いに持つ紙を同時に焼くと無効にする事が出来る。
 だが、片方が健在ならば、焼こうと捨てようとその効力が失われる事はない。再生されて元通りになるのである。
 一度、目の前で片方を焼き、それが本物である事を確認した。
 契約は成立した。この条約は、お互いの国家だけが知ればいい。片方は表に出ても問題無いが、もう一方は秘密である。
 世に公言する必要は無いのだ。
 ドワーフ王は片方を満足そうに受け取ると、

「これを渡しておこう!」

 そう言って、拳大の水晶を一つ取り出した。
 俺がそれを受け取ると、

「それは連絡用の通信水晶である。設置は、ベスターでも出来るだろう。
 緊急時の連絡はそれで行えばいい。それでは、達者でな!」

 そう言い残し、飛翔馬ペガサスに跨る。
 チラリと、ベスターを一瞥し、

「ベスター、ここで思う存分、研究に励むが良い!」
「お、王よ! 今度こそ、ご期待に応えてご覧に入れます!!!」

 その答えに頷き、

「では、サラバだ!」

 そう言い残して飛び立って行った。
 突然やって来て、慌ただしく去っていく。
 嵐のような男だった。

「なあ、カイジン、お前の所の国の王様って、あんなに自由人で大丈夫なのか?」
「さあ…、でも、今まで何百年も統治してきた実績があるし、大丈夫なんだろ!
 でも、俺が宮仕えの時に、あんなに勝手に動き回ってる事は無かったけどな……」
「まあいいか! 俺も人の事言え無いしな!」

 そう、俺ももうすぐ人間の町に行く予定なのだ。
 いらん事を言って、自分の身動きを取れなくする必要も無い。
 話を有耶無耶に終わらせると、俺たちは広場を後にした。
 この国家条約を結んだ証明である調停書類は、俺が胃袋に保管する事にした。
 まだ防備も完全では無い町に置いておいて、盗まれでもしたら洒落にならないのだ。
 紛失してどういう状態になったら再生されるのか、流石にそういう実験は行えない。大切に保管する事にした。
 こうして、ドワーフ王国との条約を結ぶ事が出来たのだ。


 さて、ドワーフ王も去った事だし、昨日止まっていた問題を考えるか! そう思った時、

「リムル殿、カイジン殿、申し訳無かった! ここで、働かせて貰えないだろうか?」

 ベスターが俺達に頭を下げて来た。
 言われてみれば、この男に罠に嵌められそうになったんだったな。忘れる所だった。

「はっきりさせておくと、ここでは俺の命令には従ってもらうぞ?
 魔物だからと、相手を見下したり、そういうの禁止だぞ! 大丈夫か?」
「勿論です。ワタシも反省しましたよ。そもそも、カイジン殿への嫉妬が始まりでしたしね…。
 もう二度と、間違わないつもりですとも!
 好きな研究に全力で打ち込みたい、その気持ちに偽りはございませんよ!」
「俺としては、優秀な研究者が増えて助かるぜ? 
 何かあったら、俺が責任をと取ります。
 リムルの旦那、ここは俺を信じて、コイツを許してやって下さい!」

 カイジンが俺にそう言ってきた。
 むしろ、迷惑を受けたのは俺じゃなくて、お前なんだが……

「いや、カイジンがそれでいいなら、俺に文句はないよ。
 ベスター、宜しくな!」

 こうして、ベスターが仲間に加わったのだ。
 そして、ベスターが仲間に加わった事により、町の特産品を産み出すという計画が大きな発展を見せる事になる。





 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





 最悪だ。
 魔人グル−シスは、何度目かになる溜息を心の中で押し殺す。
 魔王カリオンのニヤリとした笑みが思い出され、軽い怒りが込み上げる。
 知っていたな、あの人。いや、この場合、知らなかった自分が悪い。
 最悪だ。
 今も、自分の背中に乗ってはしゃいでいるのが魔王だなんて信じられない。
 最悪だ。
 出会った瞬間に、

「何だチビ。いくら何でも魔王の名を騙るのは不敬だぞ? 
 魔王ミリムには黙っててやるから、本当の名を言えよ!」

 なんて、言うんじゃなかった。
 言った瞬間に殴られて、意識が吹き飛んだ。
 グル−シスは嘆く。
 そもそも、彼にはミリムを見て魔王であるなどと思えなかった。
 美しく艶のある銀髪をツインテールに結び、背も低くまだ子供としか思えない。
 とても最強の一角であるとは、信じられない外見だったのだ。
 可愛らしい顔立ちだったのだが、チビと言った瞬間に表情が激変した。
 ぱっちりとしていた目が細く鋭く釣り上がり、ぷっくらとしていた唇が酷薄な笑みに象られる。
 そこで一度意識が途切れた。
 そこから2度程殴られ、気絶を繰り返し、現在に到る。
 もう一人の魔人ミュウランは、我関せずを貫いている。
 最悪だ。
 グル−シスは反省する。魔人を見た目で判断してはいけないというのは常識なのに、何故こんな初歩的な失敗を……
 ミュウランは知っていたのだろう。
 グル−シスが殴られる前にチラッと見えたその表情。何この馬鹿!? と言いたげな、驚愕の表情。
 自分だってそう思うだろう。知っていたならば…。
 最悪だ。
 せめて、せめて一言、教えておいてくれれば…
 だが、「配下と名乗る者には絶対に逆らうなよ!」などと言っていた。
 配下と名乗らず、本名を名乗るとは思いもしなかったという事か…。
 ミリムが正直なのが悪いのか? いや、そんな事を言い出しても後の祭りである。
 彼は思い知った。魔人ヒトは見かけで判断してはならない! と。

 そして現在。
 狼の形態に変身させられて、森を疾走させられているのだ。
 回復力に特化した彼だからこそ、何とか耐える事が出来ている。
 ボコボコに殴られた後で、命令されたのである。当然、逆らうなど思いもつかない。
 グル−シスの隣をミュウランが追随して走っていた。
 彼等魔人には、この程度で疲労は無い。
 やがて3人は、一つの町に辿り着く。





 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





 回復薬の開発は順調に進んでいる。
 性能を落とし量を増やす事を、開発と呼ぶかどうかは疑わしいけれども。
 一つの回復薬から10個程に薄めて、98%の抽出率の性能である上位回復薬(60%)を作れないか?
 そうした実験なのだが、水で薄めた場合は無理であった。下位回復薬(20%)になるのだ。
 上品質だと、回復率が"+10%"されるようだ。
 だが、ベスターが思わぬ発見をした。
 ヒポクテ草の育成場所を見学したいと言い出したので、封印の洞窟に案内したのだ。
 初めて乗る星狼に恐る恐る跨っていたが、案外すぐに慣れた様子。
 こうして、ベスターを案内し、洞窟に入る。入り口にはガビルが出迎えに来ており、皆を案内してくれた。
 そして、育成状況を確認した後、地底湖を見ていたのだが…

「リムル殿、この湖の魔素濃度が濃いから、ヒポクテ草の育成が可能なのですよね。
 では、回復薬を普通の水ではなく、この湖の水で薄めてみてはどうでしょう?」

 なるほど、試してみる価値はある!
 という事で、早速作成してみた。中位回復薬(40%)が完成した。
 勿論、上品質。実質、50%の回復薬である。
 素晴らしい。大成功だった。
 薄める溶液の限界なども実験し、一つの回復薬から20個の中位回復薬を作成出来るようになった。
 カイジンと頷きあい、ハイタッチする。
 完成だ。
 魔物の国"テンペスト"特産品、第一号。
 それはこうして作られた。

 ベスターは、ガビルと仲良く草を弄ったりと楽しげにしている。
 案外、気が合うようであった。

「なんだ、仲いいな。ベスター、何ならここに部屋作るか?」

 冗談で言ったつもりだったのだが、

「宜しいのですか!? ワタシも、こういう洞窟内部は落ち着きます。
 秘密の研究施設のような雰囲気が!」

 などと、目をキラキラさせていた。

「いいのか? ここ、B+くらいのムカデの魔物も出るぞ?」
「ふむ。問題ありませんな。
 実は私、魔道を嗜んでおりまして、そこそこの使い手なのですよ!」

 カイジンを見ると首を振っている。嘘か。

「後悔しないなら、部屋用意するけど?」
「問題ないですとも! ガビル殿もおりますし!」

 そうか、ガビルがいたら襲われる事も無いか。
 納得し、

「ガビル、ベスターの事、任せても大丈夫か?」
「お任せくだされ! 我輩も居りますし、部下を2名つけますゆえ!」

 頼もしくなったな、ガビル。
 心配なのは調子乗りというだけで、最初から能力は高かったけどな。
 最近落ち着きを見せてきたし、ベスターと馬も合うようだし、任せてみよう。
 そんな訳で、ベスターの研究部屋は洞窟内部に作られる事になった。
 ガビル配下の龍人族ドラゴニュートが穴を掘って、案外快適そうな部屋が出来た。
 ここは研究室になるのだ、生活に必要な設備は無いけれども問題ないだろう。
 それよりも、ベスターがここと町を往復する手段を考えないといけない。
 そんな事を考えていると、

「リムル殿、ここに魔方陣を設置しても宜しいか?
 この扉の内側の空間では、魔法の発動が難しいようですが、扉の外側では可能です。
 この広間に魔方陣を設置したいのですが?」

 かつて、俺が黒蛇を倒した場所に魔方陣を設置したいと言い出した。
 何でも、〈転移魔法系〉の魔方陣らしい。出入口に同様の紋様を描き移動を可能とするのだそうだ。
 魔道を嗜んでいるというのも、あながち嘘ではないようだった。これにはカイジンも驚いていた。知らなかったようだ。
 くれぐれも、魔物が町に出現する事が起きないよう釘を刺し、俺は許可を出した。
 ベスターは町の自宅と洞窟内部を魔方陣で結ぶ事になった。これで、職場への移動問題は片付いた。
 しかし、転移の魔方陣。便利なものである。
 早速教えてもらったのは言うまでもない。
 ガビル達も同様に習ったおかげで、町と洞窟の移動はスムーズになった。
 ベスター、予想以上に使える男である。
 本人も、好きな研究に思う存分打ち込めるとあって、生き生きしていた。
 いくつか回復薬と"魔鋼"を渡したので、自分なりに研究を行うようだ。
 クロベエやシュナにも紹介したら、色々と話し込んでいた。
 コイツは、権力より研究のほうが向いているわ。
 権力に取り付かれていた頃の顔を思い出すと、面白くなさそうな表情をしていた。
 そりゃ歪む。
 やはり人間、好きな事をしているのが一番いい。それが他人に迷惑な行為で無ければ! だがね。


 こうして、ベスターも時間をかけて、自然と仲間入りを果たしていったのである。





 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





 瞑想を止め、目を開く。
 そこは薄暗い部屋の中。ドワーフ王国の中にある、上級宿屋の一室である。
 暗部のリーダーが偽名で利用する宿であった。
 彼は笑う。久しぶりに面白い体験が出来た。

「王よ、お加減は如何ですか?」

 傍にいつの間にか影が控えていた。
 見ずとも判る。暗部だ。
 彼が王宮を抜け出しここに入った事で王宮は大騒ぎしている事だろう。
 最も、100人も護衛に付きながら、護衛対象を見失うなど言語道断である。
 鍛えなおす必要がある、そう思う。

「問題ない!」

 簡潔にそう答えた。
 問題がある筈も無い。『魂魄憑依』を行ったのが久しぶりであるとはいえ、彼にとっては使い慣れた技である。
 暗部のリーダーに思念を送る。

(貴様はそのまま王都に戻り、飛翔馬ペガサスを戻せ! そしていつものように闇に紛れよ!)
(は! 了承しました!)

 いつもの遣り取り。
 彼の腹心である、暗部。そのリーダー。
 彼と同じ顔、同じ肉体。精霊工学の粋を集めて作られた、合成人間クローン
 それは、王のみが知る秘密。
 他人に対し行う『魂魄憑依』よりも完全に近い精度での同調率が可能となる。
 王に万一があってはならない、その為の切り札の一つであった。
 ドワーフ王ガゼル・ドワルゴは、昨日の模擬戦を思い出し、笑みを浮かべる。

 強くなるな、あの魔物リムル……

 反応速度だけで、自らの木刀を受けて見せた。
 ガゼルは、木刀を弾くつもりで打ち込んだのでない。頭に一撃入れるつもりだったのだ。
 それを、遅れたとは言え反応して見せた。
 面白い。心から思う。
 この条約を結んだ結果、どうなるのかは判らない。
 しかし……

 俺を失望させるなよ、スライムリムル

 ガゼルは、平和な時代の終わりが来る、そんな予感を感じるのだった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ