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転生したらスライムだった件 作者:伏瀬

地位向上編

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03話 初めての会話

戦闘までいく予定でしたが、次回に持ち越しです。
 小さき者だと?
 どう考えても俺の事だと思うけど…
 声というより、心に意思が直接認識出来た感じか。何しろ耳が無いから音も聞こえないのだ。

(おい!聞こえているだろう?返事をするが良い!)

 聞こえてるよ!
 だがしかし! 喉が無いから返事のしようもないのだ。
 試しに、

(うっさい、ハゲ!)

 と、心で答えてみた。
 まあ、聞こえる訳ないだろうし大丈夫だろ。しかし、どうやって返事したものか…。

(・・・ほ、ほほぅ! 我の事をハゲ呼ばわりするか…いい度胸ではないか!!! 久方ぶりの客人だと思って下手に出てやったが、どうやら死にたいらしいな!)

 ヤバイ。聞こえてしまったみたい。
 というか、心で思ったら返事出来るのかよ! 先にそれを教えてくれれば、わざわざ相手を怒らせる事もなかったのに。
 しかも、相手がどういうヤツかもさっぱりわからないのだ。
 どうしようもない。お手上げ。
 ここは素直に謝る事にしよう。

(すんません! 返事の仕方も分からなかったもので、適当に思った事を試しに言ってみただけです。本当に申し訳ない!
 ちなみに自分、目も見えない状態でして、貴方の姿すら見えてないのですよ。)

 通じるか?
 まあ、相手の姿も見えないのにハゲはないわな。本当にハゲなら激怒しても当然だろう。
 考えなしの発言(?)も控えよう。

(ふふふ。ふはは。ふはははははっ!!!)

 突然の大爆笑。
 基本をおさえた、笑いの三段活用。見事である。
 怒りは解けたのか?

(面白い。実際、我の姿を見ての発言かと思ったが、目が見えないのか。スライム種は基本、思考もせず吸収・分裂・再生を繰り返すだけの低位モンスター。自らのテリトリーから外に出る事はめったにない。)

 なんか語りだしたぞ?
 怒りより興味が勝っている状態…か?
 なんにせよ、これがファーストコンタクト。俺の新しいスライム生の初会話。
 上手いこと友好的に進めたい。
 そして色々教えてもらおう。

(そのスライムが我に体当たりを仕掛けてくるから不思議に思っていたのだ。再生能力も異常な速度だし、ネームドモンスターかもしくは、ユニークモンスターか?)

 ネームド?ユニーク?意味がわからんな。

(すんません。ちょっと意味がわからないです。実は自分、こちらに生まれて90日目でして…)
(ふむ。自我がある時点で、普通のスライムには有り得ぬ事なのだ。"名"を付けられたモンスターはネームドと呼ばれるが、生まれてから90日なら有り得んな。では、ユニークか?)
(ユニークといいますと?)
(ユニークモンスターとは、突然変異したような異常な能力を持つ個体の事だ。稀に魔素濃度の高い場所で生まれる事がある…そうか、貴様は我から漏れ出た魔素の塊から生まれ出たのだな!)

 むむ?どういう事だってばよ?
 前世の知識を総動員して考えてみよう。
 つまり、このおっさん(仮定)から魔素が漏れ出ていて、この周辺は魔素濃度が濃いと。
 そして、その魔素が集まって生まれ出た魔物がスライム=俺、って事かな?

(ふむ。この300年、我に近づく事の出来る魔物すら居なかったのだ。我の魔力の元から生まれ出たなら、我に触れる事が出来るのもうなずける!)
(ほほぅ・・・て事は貴方が自分の親みたいなもの?)
(親ではないが・・・そもそも、我に生殖能力はない。魔物は、生殖能力を持つ者と持たぬ者、様々であるからな。)
(普通、生殖能力持ってるものなんじゃないの?ってか、魔素の塊から生まれる事もあるなら、生殖する必要がないのか?)
(・・・お前、えらく知性的だな。普通の魔物では、思考能力すら持つ者は少ないというのに。知性がある魔物は"魔人"しかいないのだが・・・
 まあいい、その質問に答えてやろう。
 下等ながら生殖能力を持つ種族もいる。ゴブリンやオーク、リザードマン等といった者達だ。この者達は、魔物の中でも特殊で亜人と呼ばれている。
 亜人には、"人間"に味方する者達もいる。エルフ、ホビット、ドワーフと言った妖精族だ。
 まあ解りやすく言うなら、"魔人"に味方する亜人は魔物と呼ばれ、"人間"に味方する亜人は人類の一種と認識されているようだ。
 生殖能力を持つ魔物の代表が、この亜人だな。我にとってはゴミにも等しい存在よ!

 次に、"魔人"だ。
 こいつらは、魔素から生まれた者や、魔物の突然変異種、動物や魔獣から進化した者共などの総称だ。
 知性を有し、生殖能力を有するのが特徴だ。もっとも、人のそれとは大きく異なる者もいるがな。
 中には上位魔人クラスの突然変異体もいる、最も乱雑で多種多様な者共だな。

 最後に、巨人族や、吸血鬼族、悪魔族と言った長命の上位魔人族だ。
 この者達は、生殖能力も有しているのだが、めったに行わない。圧倒的な魔力に、劣化する事のない肉体。
 子孫を残す必要がないのだよ。戦争等で、種族の数が減少した等、余程の理由があれば別だがな。
 こいつらは、流石に強い。我も幾度か戦った事があるが、数で来られると攻めきれなかったものだ。
 喧嘩相手には丁度良い!

 こいつらを総じて"魔族"と呼ぶのだ。
 知性があり、生殖能力を有して、人類に敵対する者=魔族と云う事だ。

 で、我に生殖能力が無いという理由だが・・・必要ないからだ。
 我は、"個にして完全なる者"であり、4体しか存在しない"竜種"が一体。
 "暴風竜ヴェルドラ"とは、我の事である!
 我には寿命も肉体も存在しない!魔素の塊であり、意思さえあれば我は不滅なのだ!!!

 フゥーーーハハハハハハハ!!!)

 と、高笑いされてもなー・・・。
 要は、寿命ないから子供作る必要ない! って事だろ?
 長々と説明乙って所だが、聞き捨てならん事を言っていたぞ。
 "暴風竜ヴェルドラ"って、ドラゴンか?
 上位魔人が喧嘩友達って感じだし、めちゃくちゃヤバイ奴なんじゃないのか?
 こう見えて、紳士の嗜みとして、大抵の漫画、アニメ、ラノベは制覇している。
 その俺の知識を総動員して考えてみると、目の前にいるのであろう"暴風竜ヴェルドラ"さんは、ヤバイ奴で間違いない。
 えらく丁寧に説明してくれるのも、なんだか不気味である。
 さて、どうしたものか・・・

(そ、そうなんすか!大変わかりやすい説明、ありがとうございました!では、自分はこれで!)

 そう言って、この場から離脱しようと試みる。

(まて。我の事を話してやったのだ。今度はお前の番ではないのか?ん?)

 当然、逃がしてくれる気はないようだった。
 うーむ。俺の事を話せ、ってか。異世界から転生して来ました! と言って、素直に信じてくれるかな?
 スライムにしては知性が高いのを疑っているようだし、適当に言って誤魔化せるとも思えない。
 何より、誤魔化そうとして失敗=死亡フラグという可能性もある。
 まあいいか。
 信じないなら、その時はその時だ。
 俺は心を決めると、これまでの出来事を話す事にした。

   ・
   ・
   ・
   ・
   ・

(とまあ、そういう訳なんすよ!超大変だったんすよ!)

 俺は、自分のスキルの事は秘密にして、刺されてからスライムとして目覚めて、そして現在に至るまでの体験を語って聞かせた。
 自分で話してて、何だか大変そうに聞こえなかったのが不思議だったが。
 大変だったのは事実だ。
 目が見えないというのが最大に辛い。
 この先、可愛い女の子や、綺麗なお姉さんとすれ違っても見る事は出来ないのだろうか?
 なんだか悲しくなってきた。

(ふむん。やはり、"転生者" だったか。お前、ものすごく稀な生まれ方をしたな。)
(え?稀な生まれ方?というか、"転生者"って、疑ったり驚いたりしないのですか?)

 なんだこの反応。"転生者"って、珍しくないのか?生まれ方の方が珍しいみたいな言い方だぞ?

(ふん。"転生者"はたまに生まれてくる事がある。意思が強いと魂に記憶が刻まれるのだろう。
 中には前世とやらを完全に覚えている者もいるようだが、珍しい存在ではない。
 ただし、異世界からの"転生者"は少々珍しいな。
 まして、普通は人に生まれるのだ。魔物ならまだしも、魔素から生まれて来るなど、我は聞いた覚えが無い。
 世界を超える事に耐えれる程、強い魂を持つ者はただでさえ少ない。まして、転生先が魔物では安定して定着せず、魂が消滅するのだ。
 お前は特殊だよ。)
(そうなんすか?自覚はないのですがね。で、異世界からの"転生者"って居る事は居るんですね。)
(うむ。異世界へ行く事は今だ成功事例がない。しかし、異世界からこちら側へ時たま落ちてくる者もいる。
 "異邦人"もしくは"異世界人"と呼ばれる者で、特殊な知識を持つ。また、世界を渡る際に、特殊な能力を獲得するようだな。
 そういう者と同等の知識を持つと確認された"転生者"の記録が残っている。確認されていない者もいただろうがな。)

 なるほどな。異世界ってのが、俺のいた地球かどうかは判らないけど、会ってみるのもいいかもしれない。
 もしかしたら、同郷の日本人もいるかもしれないし。
 何の目的も持たないのだから、一つくらい持つのもいいだろう。

(なるほど! では、異世界人とやらに会いに行ってみますよ。もしかしたら同郷かもしれないし!)
(まあ待て。お前、目が見えないのだろ。)
(あ、はい。)

 目が見えないから何なのか?
 不便だが、死なないようにコツコツいけば、いつかは会えるだろ。多分。

(見えるようにしてやろう。)

 は?なんて?
 オイオイ、このおっさん、いや、"暴風竜ヴェルドラ"さんはめっちゃいい人(竜)なのか?
 期待しちゃってもいいの?

(え?本当っすか?)
(うむ。ただし、条件があるがな。どうだ?)

 条件・・・か。怪しいが、

(どういう条件ですか?)

 俺は大抵の条件なら飲むよ。

(簡単だ。見える様になったからといって、我に怯えるな。そして、また話をしに来い。それだけだ。どうだ?)

 そんな事でいいのか?
 というか・・・この竜、寂しかったのかもしれんな。強者故の孤独って奴か?
 どうりで話が長いと思った。久々の話し相手だったのだろう。
 この竜はちょろいかもしれん。
 いや、竜ってのもガセかもしれんな。そもそも、この世界の竜は大した事ない可能性も…
 ふ。これは、いい取引かも(笑)

(それだけでいいんですか?)
(うむ。実はな、300年前にここに封印されてな。それから、暇で暇でどうしようもなく退屈しておったのだ。どうだ?)
(そのくらいでいいなら、喜んでお願いします!)
(うむ。約束だぞ、守れよ!)
(大丈夫ですよ!こう見えて、信頼に値する男! と前世では評判でした!)

 無論、自称だがな!

(良かろう。『魔力感知』というスキルがある。使えるか?)
(いや、使えないです。どういうスキルですか?)
(周囲の魔素を感知するスキルだ。大した事ないスキルで、周囲の魔素を認識するだけなので簡単に習得出来る。)
(ほほぅ。なんだか簡単そうですね!)


※決して簡単ではありません!


(うむ。我など、呼吸するように出来て当然故に、意識する事もないな。)
(なるほど!で、それを習得すると、目が見えるようになるのです?)
(その通りだ。この世界には魔素に覆われている。薄い濃いの違いは在るがな。で、光や音は波の性質を持つのだが、知っているか?)
(ええ、光波や音波っすね。)
(詳しいな。異世界の知識か? まあ、そうだ。
 で、その波が魔素を撹乱する様を観測し、その様子から周囲を予測演算するのだ。簡単だろ?)

 はあ?何言ってるの?
 コイツ…無茶いいやがって。簡単な訳ねーだろ!

(いや、ちょっと難しい気がするようなしないような…)
(何? これで、目や耳が潰されても戦闘継続可能なのだぞ? 不意打ちなど不可能になる。必須スキルだぞ?)
(いやいやいや!戦闘とかこの際おいて置いて、ともかく目が見えるようになりたいのですけど!)
(むぅ…しょうがないな。習得を手伝ってやる!ちなみに、他の方法は知らんし!)
(ちょ、本当に出来るのですか!? 自分、生まれたての初心者っすよ?)
(安心しろ。幸いにもお前、前世の記憶があるのだろ?その時、光や音を知識として知っているわけだ。
 その知識が無ければ、我にも不可能だったが、お前は幸運だぞ!)

 なるほど、目の見えない者に世の中の光景を説明するのは難しい。
 理解させるなど、俺には不可能だ。
 ヘレン・ケラーさんが言葉を話せるようになったのも、2歳までに覚えていた言葉がきっかけになったそうだし。
 つまり、前世の知識があるからこそ、『魔力感知』というスキルを代用して視覚や聴覚を擬似的に得る事が出来るという事か…。
 やるしかないな。
 目が見えないのは不便すぎる。
 それに、忘れていたが俺には『大賢者』がついている。
 きっとなんとかしてくれるだろう!

(ぜひ教えて下さい!)
(いや、そんなに勢い込まなくとも、簡単だぞ? まずは、体内の魔力で魔素を動かしてみろ。)

 これは何となく解る。水を噴出せたのも、これの応用だし。

(こうっすか?)

 体内を巡らすように、魔素を動かしながら確認する。

(ふむ。思ったより、流暢に出来るではないか。では、その動かしている魔素と体外の魔素、違いはわかるか?)

 これも簡単かも。
 魔素を吸収して生きていると言われてから、意識して感じるようにしていたのが良かったかな。

(そりゃ解りますよ!それ食べて生きてるみたいだし?)
(クククッ。そこまで解るなら後は簡単だ。体外の魔素の動きを感じるだけだ。)

 そこがわからんのだが。
 ともかく、言われたとおりに体外の魔素を感じる。
 魔素がたゆたっているのを感じる。流れたり動いたり…
 そうそう、『大賢者』起動っと!

《確認しました。エクストラスキル『魔力感知』を獲得…成功しました》
《エクストラスキル『魔力感知』を使用しますか?YES/NO 》

 え?
 そんな簡単に獲得しちゃったの?
 いや、そりゃあ勿論、YES だけど。
 流石は『大賢者』 頼もしすぎる!



 エクストラスキル『魔力感知』を使用した瞬間、俺の脳内を情報が埋め尽くす。
 人間であった頃には決して処理しきれなかったであろう、膨大な情報が。
 一つ一つの小さな魔素を押し動かす、光や音の波。
 その全てを把握し、認識出来る情報へと変換する。
 人間であった頃は、視界は前方180度も無かったのだ。
 それが今、全方位360度死角無しで"視える"のだ。
 岩の陰や100m先の光景さえ、それに意識を向ければ認識する事が出来る。
 人間なら、この情報量に耐えられず脳が焼ききれて発狂したかもしれない。
 しかし、俺はスライム。細胞の一つ一つが筋肉でもあり、脳細胞でもあるのだ!
 なんとか耐える事が出来た。
 そして、

《エクストラスキル『魔力感知』にユニークスキル『大賢者』をリンクさせます…成功しました 》

 視界がクリアになった。
 俺を襲った、脳を焼ききるような感覚が無くなる。
 そして、今まで出来なかったのが不思議なくらい、当たり前のように世界が"視えた"。
 『大賢者』はずるい能力かも知れない。
 チートと言っても過言ではないだろう。
 他人が持っていたら、反則だ! とクレームをつけるところだが、持っているのは俺だ。
 何も問題は無かった。

(あ、なんか出来たみたいです。ありがとうございました!)

 そう言って、感覚的に眼前の"ソレ"に目を向けた。
 マジもんの竜がいた。
 黒光りする鋼よりも硬そうで、柔軟性も兼ね備えているであろう鱗に覆われた…
 見るからに、邪龍という風格の…

(げええっ! ドラゴン!!!!!!)

 予想を上回る邪悪な姿。
 俺の心の叫びが、絶叫となって迸り出た。






ステータス
 名前:三上悟
 種族:スライム
 称号:なし
 魔法:なし
 技能:ユニークスキル『大賢者』
    ユニークスキル『捕食者』
    スライム固有スキル『溶解,吸収,自己再生』
スキル『水圧推進』
    エクストラスキル『魔力感知』
 耐性:熱変動耐性ex
    物理攻撃耐性
    痛覚無効
    電流耐性
    麻痺耐性
やっと目が見えるようになりました。
見えないと、話すすめるのも不便でした。
+注意+
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