挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
転生したらスライムだった件 作者:伏瀬

地位向上編

20/303

幕間 -蓑虫ゴブタ-

 どうも、ゴブタっす!
 自分は今、リムル様にお仕置きされている最中っす。"蓑虫地獄"と称して、糸でグルグル巻きにされて、天井から吊るされているっす。
 でも、痛みや苦痛はないんすよね。力を抜いてダラーンとしてるんすけど、結構快適だったりするんす。
 糸は伸縮するので、身体も動かせるんすよ。
 だけど、暴れても糸が切れる事はないみたいっすし、反動で目が回るので、大人しくしている方が賢いとさっき気付いた所っす。
 そんなわけで、置いてけぼりにされた事の方が辛いんすよ。
 リムル様達だけで夜のお店に行くなんて、酷いと思うっす。自分も連れて行って欲しかったっすよ……。

 しかし、暇っすね。
 自力で脱出は出来そうもないので、抜け出すには相棒である嵐牙狼を召喚して助けて貰うしかないんすよ。
 でもね、そんな事を自分が出来る訳がないっす!
 リグル隊長でさえ出来ないのに、そんなに簡単に出来たら苦労しないって話っすよ。
 これは、リムル様の巧妙な嫌がらせなんでしょうね。
 ちょっと寝てただけなのに、リムル様はケチだと思うっす。これを言ったらリグル隊長やリグルド村長に激怒されそうなので、ここだけの話なんですけどね。
 とはいえ、別段苦痛や不快感はないし、暇な事を除いては問題はないんすよ。
 なんのかんの言って、リムル様は優しいんすよね。そういう所が、皆が心酔する理由だと思うっす。
 まあ、明日になれば帰って来て降ろしてくれるだろうし、今日一晩の我慢っすね。

 おかしいっす。
 一晩経って昼になったっすけど、リムル様達が帰って来ないっす。
 何かあったっすかね? 遊び歩いて、どこかで泊まってるだけかも知れないっすけどね。
 正直、お腹がすいてきたし、早く帰って来て欲しいっすね……。

 やばいっす……。
 三日経ったけど、リムル様達が帰って来ないっす。
 心配っすよ。でも、他人の心配をしている場合じゃないんす。
 今、まさに。自分自身がピンチに直面しているんす!
 空腹も大変っすけど、そんな事よりももっと重要で重大な問題が発生したっすよ。
 ピーーーゴロゴロゴロ……。
 お腹痛い……。
 オシッコがしたくなったけど我慢を続けていたら、大きい方までやって来たっす。
 大と小の多重攻撃に、自分の精神力は極限まで鍛えられそうっすよ。
 しかも、っす!
 自分が吊られた部屋は、足元に絨毯が敷かれた応接間なんすよ。
 石床の部屋ならまだしも、こんな高そうな絨毯を汚したら、ドワーフのカイジンさんにまで怒られてしまいそうっす……。
 リムル様も、トイレや風呂といった今まで気にしていなかったような事を煩く言うお人ですし、部屋を汚したら怒りそうなんすよね……。
 ひょっとすると、今、かなり危険な状態にいるのかも知れないっす。
 さて、どうしたものっすか……。

 ちょ、ちょっとどころじゃなく……ヤバイっすね……。
 我慢しようと身をよじったら、その振動が糸に伝わり、絶妙に揺れるっす。
 このままでは、大惨事が起きるのも時間の問題っすよ。
 糸を切るのは無理だし、リムル様達が帰って来る事にも期待出来そうもない。
 打つ手なしっす。こりゃあ、詰んだっすね。
 さっきから脂汗が止まる事なく流れていて、目が霞んできたっす。
 ここから脱出する手段がない以上、もう諦めて全てを解き放つべき――
 いや、待つっすよ? そういえば……。
 諦めかけていた自分に、天の声が聞こえた気がしたっす。

『悔しかったら、相棒でも召喚して助けてもらいやがれ!!』

 確か、リムル様はそう言っていたっす。
 自分は試されていたんすね! そうと判れば、早速召喚するっすよ!
(相棒、来てくれっす! 早く来ないと、大変な事になるっすよ!!)
 心で念じると、今まで何も反応を感じられなかった嵐牙狼が首をかしげたのが伝わって来たっす。
 これはいけそうっすね。
 それから必死に呼びかけると、三度目でようやく意識が繋がる感覚が掴めたっす。
 こうなると早いっすよ。何しろ今の自分は、極限まで精神力を研ぎ澄まされた状態なんすから!

 結局、ギリギリで召喚を成功させ、相棒にトイレまで運んで貰えたっすよ。
 しかしそこで力尽き、全てを解放してしまったのは秘密っす。
 幸いにも、リムル様達が戻ったのはそれから数日後だったので、洗濯を終わらせて痕跡も隠蔽終了出来たんすけどね。
 自分が相棒の召喚に成功した事を、非常に驚いてくれたので、少しは気が晴れるというものっすけどね。
 言うまでもない事っすが、自分が失敗したのは誰にも言うつもりなんてないっすよ。
 それこそ、墓場まで持っていくつもりっす。

 成功の裏には努力があった、というお話でした!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ