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転生したらスライムだった件 作者:伏瀬

帝国侵攻編

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141話 突然の来客

 俺は、一本の刀を眺めて、ウットリとしていた。
 変哲の無い太刀である。サイズも大き過ぎず小さ過ぎず。
 大太刀程大きくも無い、普通の太刀。
 打刀よりも反りがきつく、優雅な感じであった。
 クロベエが鍛えた最高傑作。
 神刀と呼んでも良い、神話級ゴッズに相当するのではと思える程の逸品であった。
 永久不変の神話級の素材を用いただけの事はある、最高の刀。産まれたて――出来立て――でありながら、この性能は素晴らしい。
 俺にも素晴らしく馴染みが良いので、直ぐにでも全力使用が可能になりそうだ。
 その永久不変という性質は、進化するのを妨げるという事では無い。劣化や破損しても修復されるという能力を指すのである。
 属性がない純粋な状態なので等級は伝説級レジェンドになるだろうが、属性自体は俺が付与可能なので何も問題ないのだ。実質、神話級ゴッズの武器を手に入れたといえた。

「ああ、やっぱ、刀って格好いいわ――」

 美しい刃紋を眺めつつ、呟く。
 何時までも眺めていたいほどの出来栄えに、ここ毎日ずっとこんな感じであった。


 その時、部屋をノックする音がした。
 執務室で寛いでゴロゴロしていたのだが、お客のようである。
 人型に戻り、

「どうぞ」

 と返事した。
 扉を開けて、シュナが入って来る。
 俺に向けて一礼し、

「リムル様にお客様です。ディーノと名乗っており、何でもリムル様の知り合いだとか?」
「ディーノ? ああ、それって魔王の一人じゃん。何しに来たんだろ?」
「魔王? 兄を呼び、兵で固めますか?」
「いや、いらんよ。万が一、戦闘になった場合、ベニマルとシオンだけ寄越してくれ。
 といっても、まあその心配は無いだろ。多分、遊びに来ただけだと思うから」

 俺はそう言って席を立つ。
 心配する事も無いだろう。以前、ディーノは遊びに行くとか何とか言っていたような気がするし。

「承知致しました。では、そのように」

 シュナは頷くと、俺を案内し客室へと向かう。
 部屋が多いのも考え物だ。相手によって使い分けているのである。
 商人や貴族相手には豪華な部屋を。
 有力な魔物や怪しい人物には、質実だが堅固な部屋を。
 豪華な部屋で暴れられたら損失が大きいという、その程度の理由からなのだけど。


 シュナに続き部屋へ入ると、そこではだらしない格好のディーノが居た。
 ソファーで寛いでいる。

「よう、久しぶり。元気だった?」

 俺に気付き、寝そべりながら挨拶してくる。
 シュナがその反応にムッとした視線を向けていたが、何も言わずに礼をして部屋から退出した。
 お茶の用意をしに行ってくれたのだろう。

「ああ、元気だったよ。ま、問題が無い訳でも無いから気楽ではないけどね」

 俺も答えつつ、向かい合う椅子に座った。
 ディーノの様子を観察する。以前会った時と変わらぬ、のんびりした雰囲気。
 ただし、油断出来ない気配を纏っていた。シュナに警戒される訳である。

「何だ、問題があるのか? 面倒そうだな」
「まあね。簡単にはいかないだろうな。で、お前さんは何しに来たの?」
「え? 前に言ってた通り、遊びに来ただけだけど?」

 シュナがお茶とケーキを用意し、部屋に入って来た。
 静寂に包まれた部屋の中で、何事も無いかのようにシュナが配膳し、一礼し退出する。
 彼女はプロだった。
 俺はお茶を一口啜り、ディーノに目を向ける。
 観念したのか、

「いや、実はさ、ダグリュールの所を追い出されてしまってね。
 で、どうしたものかと考えていた時、彼の息子達がお世話になっているという此処テンペストを思い出したのだよ。
 という訳だから、俺もここでお世話して欲しい!」
「いや、駄目だけど?」
「――えっ?」
「え?」

 再び部屋に静寂が訪れた。
 いくら知り合いだとは言え、こういう胡散臭いのを養うのはどうかと思う。
 コイツは絶対に、「働きたくないでござる!」とか言い出すタイプだ。

「ちょ、ちょっと待って欲しい。じゃあ何か? 俺に野たれ死ね、と?」
「いや、働けよ」
「無茶を言うな! 俺は働かない事に美学を持っている。
 ここ数百年、自分で金を稼いだ事は無いし、自分の金で飲み食いした事もない!」
「へえ、凄いね。それ食ったら帰れよ」

 ディーノの言葉を聞き流し、ケーキに手を出す俺。
 お茶請けのケーキは、シュークリームだった。
 美味い。これ、飽きる事は無いんじゃないだろうか?
 ディーノもシュークリームを手に取り、それを食べ、

「わかった。俺もこの国の住民にしてくれ。
 こんな美味いものを毎日食べられるなら、悔いはない。
 リムル、いやリムル様。何なりとご命令を!」

 とか、寝言を言い出した。
 雇うつもりなんかねーよ……。

「たく、知り合いって言っても、一回会っただけだろうが。
 本当の目的は何なんだ?」

 シュークリームを食べ終え、お茶を飲みつつ、真面目に質問した。
 ディーノも肩を竦め、ふざけた雰囲気を消して答える。

「実はな、ギィが言うには、俺はこの国にお世話になるのが良いそうなんだ。
 理由は教えてくれなかった。アイツは我侭だからな。
 逆らうと煩いし、ダグリュールの所を追い出されたのはマジだし。
 考えても面倒なだけだから、此処に来たって訳さ」
「ギィ、あの赤毛がそう言ったのか?」
「そうそう。あの赤毛が」

 うーむ。
 嘘を言っている雰囲気ではない。
 真面目にギィの言い出した事なのだろう。

「あ、そうだ。ギィから手紙を預かってたわ」

 そう言って、ディーノが手紙を取り出して俺に渡して来た。
 封印と、妖気。
 間違いなく、ギィ・クリムゾンの波動を感じる。
 内容は、『ディーノの面倒を見てやってくれ』の一言。

「な?」

 と、問うディーノに頷き、思案する。
 面倒だが、ギィを敵に回すのは考え物だ。
 少なくとも、帝国とユウキの問題を片付けてからでなければ、其方までは手が廻らない。
 ディーノ一人を面倒見るくらいなら大した事でもないし、受ける方が良さそうだ。
 だが、遊ばせるだけというのは、招いた訳でも無い相手だし宜しくないだろう。
 そこでふと思い出す。
 コイツはラミリスには頭が上がらないようだった。
 ラミリスは現在、迷宮内のラミリスの部屋に俺が用意した施設を用いて、何やら研究開発を行っている。
 時折、合同開発室にも顔を出し、色々と意見交換も行っているようだ。今では、開発室のアイドルとなっており、その人気は高い。
 そのラミリスが、助手を欲しがっていた。何でもベレッタには用事がある為に、手が足りないそうで……
 丁度良い。ディーノをラミリスの助手にしよう。

「よし、わかった。が、お前にも仕事して貰うぞ?」
「なんだと!?」
「まあ、仕事という言い方はアレだけどな。ラミリスの助手をお願いする。
 アイツは結構楽しそうにやってるし、出来るなら俺も加わりたい程だ。
 時間がある時は手伝っているんだけどね。ちょっと今は忙しいから……
 まあ、そんな難しく考えず、とにかく出来るだけでいいしさ」
「む、むぅ。わかった。内容は?」
「ん? ああ、結構簡単。ラミリスの指示に従うだけになると思うよ」

 まあ、研究開発の助手を素人が出来るとも思えない。
 物を運んだり、データの収集を手伝ったり。せいぜいその程度だろう。
 俺は立ち上がり、ディーノをラミリスの下へ案内する事にした。
 以前から考えていたベレッタの改造案は完成し、ラミリスと二人で改造を行っている。その後の施設運用についてラミリスの要望を受けて、培養カプセルを大量に作成し設置してあるのだ。
 培養カプセルとは、ベレッタ改造の際にも使用したのだが、中で魔物等を育成出来る高密度ガラスの容器の事である。
 魔素注入口が取り付けてあり、濃度調節した魔素を注ぎ込む事が可能なのだ。容器の中は魔水――俺の暴食の胃袋の中で魔素を大量に含んだ水が変化したもの――で満たしてあり、濃度が低くなると魔素を注ぎ一定の状態を保てる仕組みになっていた。
 この中で育成した魔物は、自然発生のものよりも数段強い事は確認している。魔素の供給はヴェルドラに頼んでいるようだ。
 相変わらず仲の良い事で、微笑ましい。
 ちなみに、前回頼まれて培養カプセルを1,000基用意し、設置してある。
 そんな大量に何に使うのか聞いても答えてはくれなかったが、

「アタシだって仕事したいんだよ! お願い、きっと役にたってみせるから!」

 と、目を潤ませて頼まれたら断れなかったのだ。
 何の感の言って、俺もラミリスにいいように使われている。
 それにまあ、ラミリスは馬鹿だが、頭は良い。精霊工学は完璧のようだし、魔導工学も勉強しに何度も足を運んでいたらしい。
 長く生きているだけあって、物理法則は習得済み。意外だが、研究者の資格は持っているのだ。
 そんなラミリスが役に立つと言うのだから、考え無しという事は無いだろう。
 他にも頼まれて色々作ってやっているが、それがどうなっているのか楽しみでもあった。
 ここ最近忙しくて見に行っていないし、丁度良い。
 ディーノを案内がてら、俺も様子を見る事にしよう。


 ヴェルドラの部屋にある扉から中に入ると、ラミリスの研究施設へ辿り着く。
 おや? ヴェルドラの姿が見えない。何処に行ったのやら。

「おいおい、何でここはこんなにも魔素が濃いんだ?」
「ああ、ヴェルドラさんの部屋だからな。
 この部屋の物を勝手に触ると激怒するから、許可無く触れるなよ」
「はあ? ヴェルドラって此処に住んでいたのかよ!?
 単なる知り合いでは無さそうだと思っていたが、こんな所に……
 どうりで、急に反応が消えた訳だ」
「ああ、反応が消えたのは、魔素のコントロールを覚えたからだと思うぞ?
 アイツ、以前は妖気が駄々漏れで、魔素も垂れ流しだったみたいだからな。
 人も住む予定の国でそれは不味いから、練習してコントロール出来るようになって貰ったし」
「はああ? 勝手気侭に放浪し、ジュラの大森林の王者になったヴェルドラが、か?
 というか、妖気を俺でも感知出来ない程に抑え込めるのかよ!?」
「え? ああ、結構何でも頼めばやってくれるし、そんなに我侭ではないぞ?
 妖気については、格好いいからと言いつつ、結構頑張って練習したみたいだぞ?
 それに……、我侭というなら、ミリムだよな」

 ミリムがここに居ないからこそ言える本音であろう。
 そのミリムもフレイには頭が上がらぬようだし、誰しも苦手な人物は存在するものなのだ。
 何やらショックを受けたようなディーノに、ここ最近受けたミリムからの迷惑話を披露しつつ、研究室へと入っていった。
 ディーノは話半分も聞いていないようだったが、単なる愚痴なので別に構わない。
 さて、中を見回すと、ヴェルドラがラミリスを手伝っていた。
 相変わらず、ラミリスに扱き使われているのか。マメな竜である。
 文句を言いつつも、結局は手伝ってやっているのだし。
 師匠と呼ばれて悪い気がしないのか、ヴェルドラは案外ラミリスに甘い。
 回復薬関係の仕事を弟子に任せ、合同研究に参加しているハズのベスターまでいる。
 ラミリスとヴェルドラは悪い笑顔で楽しそうだが、ベスターはグッタリとして元気が無いようだ。
 大丈夫だろうか? 少し心配である。

「ちぃーっす。元気だった? 研究は進んでる?」

 軽く挨拶しつつ、中を進む。
 ベスターは書類に書き込む手を止めて、此方を見て立ち上がる。

「これは、お久しぶりです、リムル様」
「ああ、そのまま。ところで、大丈夫か? 何かヤツレているように見えるけど?」
「大丈夫、と申したいのですが……ここは、心臓に悪い研究が行われており……」

 んん? 何か言いにくそうだな。
 ヴェルドラは俺には気付いていただろうし、驚きもせずやって来る。

「おう、久しぶりである。我もここで手伝ってやっているのだ。
 ラミリスがどうしてもと頼むので、仕方なく、だがな」
「助かる。手が足りないとか言っていたしな。
 今日は要望に応えて、助手を一人連れて来た。
 学問的な知識は無いだろうけど、力作業とかは大丈夫だと思う」
「やっほー! リムル、待ってたよ!
 師匠に手伝って貰って、色々大助かり。
 でね、かなり研究も進んだのさ!」
「ほう? それは楽しみ。
 ラミリス、お前も知ってるだろ?
 ディーノさんが、今日から君を手伝いたいそうだ。
 色々と彼を頼るといい」

 そして、ディーノをヴェルドラとベスターにも紹介する。
 ディーノは珍しそうに周囲を見回していたが、紹介されて挨拶をした。

「ディーノと言う。一応、魔王の一柱ひとりだ。
 働きたくはないが仕方なく手伝う事になった。ヨロシクな」

 何というか、やる気の感じられない挨拶である。
 だが問題ない。手伝いくらいならやってくれそうだ。


 一通りの挨拶を行い、ベスターがここに居る理由と、これまでの研究内容を聞いた。
 ベスターがここに居たのは、ラミリスに拉致されたからだった。
 合同研究部屋にいるベスターが俺の研究を行っていた事を突き止め、手が足りないからと頼み込んで連れて来たらしい。
 書類整理やデータ収集のような、細かい作業をする人間が欲しかったのだとか。ヴェルドラはそういう作業は一切手伝ってくれないらしく、そこで目を付けたのがベスターだったのだ。

「大変だったな、ベスター」

 そう声を掛けてやると、諦めたような笑みを浮かべ、

「いえいえ、これも仕事ですから」

 と答えてくれた。
 さっきも、ディーノが魔王と知り驚愕の表情を浮かべたが、一瞬で平静に戻っている。
 どうやら驚き過ぎて、動じぬ心を身に付けているのだろう。
 彼は有能なので、遊びの研究ではなく合同研究に混じりたいのではないかと思ったのだが……どうやら、それは違ったようだ。
 彼がヤツレテいたのは、ここでの研究内容が原因だった。
 そして彼曰く、

「ぜひ、このまま研究を続けさせて下さい! ラミリス様の発想は素晴らしく興味深い。
 毎日のようにデータも集まり、寝る間も惜しい程です!」

 興奮を隠せぬように、俺に訴えかけて来た。
 彼がヤツレテいた原因は、単なる寝不足だったようである。
 魔法による体調回復リフレッシュもあるのだが、寝ずに過ごせる訳では無い。
 強引にでも休息を取らせる必要がありそうである。
 丁度ディーノも来た事だし、ベスターが寝ている間の雑務はディーノに任せた方が良さそうだ。
 そういう事で、ディーノにベスターから仕事内容の説明をさせる。仲良くやってくれたらいいけどね。
 ベスターは相手が魔王でも物怖じせず、手際よく説明を行っている。
 少し様子を見ていたが、大丈夫そうだ。安心して任せる事にした。
 さて、気になる研究成果だが――。


 培養カプセルの設置してある広間に案内された。
 そして、中に漂うモノを見て噴出しそうになる。
 なんじゃこりゃあ!! とは、俺の心の叫びであった。
 前に、ここの警備をさせるとか何とか言われて、魔鋼でボーンゴーレムを作製した事があった。
 骨を魔鋼で作製し、組み上げたものなので、厳密には偽者なのだが……そのボーンゴーレムが、各培養カプセルの中に浮かんでいる。
 中心部には、心臓の代わりに"精霊魔導核"が脈動していた。拳大の、しかし質は上品質の核である。
 ラミリスの玩具にしかならぬと思われたゴーレムとは設計思想が異なる。
 金属骨には呪印も施され、魔素が骨を包み込むように具現化し始めていた。魔物が生じる過程を、人工的に再現したような……
 なるほど、ベスターが寝る間も惜しいと言うわけである。
 各関節部分に精霊球を埋め込んであるが、そこに宿る精霊はまだ居ないようだ。
 魔物と精霊の融合した新種の戦士を、人工的に作製しようというのか。面白い事を考えるものだ。

「これは面白いな。ラミリスのアイデアか?」
「勿論さ! どうよ!?」

 自慢し、胸を張るラミリス。
 うむ、自慢していいよ。これは凄い。

「凄いな。これ全部、か?」
「まあね。成功する自信はあるんだ。意思が宿るかどうか、が心配かな。
 でも、最悪意思がなくても、ベレッタにリンクさせて全部支配下に置けるけどね!」

 なんとまあ、そこまで考えていたとは。
 迂闊なラミリスらしからぬ、手際よさであった。
 培養カプセルの中のボーンゴーレムを眺めつつその能力を予想してみたが、恐らくは生まれながらにして、上位魔人の中でも上級に位置する魔物になりそうだ。
 それが1,000体。同時進行で作製されているのか。

「完璧じゃん。マジで役に立ちそうだな」
「でしょ、でしょ!
 アンタが前に造ってたベレッタの様子を見て、発想が生まれてたのさ!」

 俺の周囲を飛びまわりながら、嬉しそうにラミリスはそう言った。
 これは、期待以上に凄い戦力になりそうである。

「でもね、今行き詰っているんだよ。
 精霊を宿しても、属性が違うと反発したりしてね……
 上手く行かないんだよね。属性無しのエネルギーだと、魔法の発動が出来ないし。
 ベレッタは、聖でも魔でも、直接エネルギーに出来たけど属性は無いしねえ……」

 "精霊魔導核"には魔素が集約される事になる。
 魔素のエネルギーを精霊魔法の発動エネルギーに変換するのだ。
 だが、異なる属性の精霊を周囲の精霊球に宿らせた場合、属性効果が反発しあって無属性になり、魔法が発動しないらしい。

「それって、エネルギーとしては出せるのか?」
「うん。でも、空中に拡散するだけで、意味は無いんだよ……」

 残念そうなラミリス。
 魔力を有していても、魔法の発動が出来ないと意味が無いと言う事か。
 ん? 待てよ……

「なあ、これを嵌めて見たらどうだ?」

 取り出したのは、前にクロベエに渡された魔玉コアである。
 これは赤色なので、火魔玉レッドコアだな。
 実はこの魔玉コア、内部に込められたのは周囲の魔素を集め属性魔力に還元する為のエネルギーと仕組みなのだ。
 所有者の魔力を込めると威力が増大するのは、魔素量が多く集められるからという理由である。
 これを要所に嵌めておけば、各属性を問題なく使用出来るのではないかと思ったのだ。

「いけるかも!」

 俺の説明を受けて、ラミリスの顔が輝いた。
 嬉しそうに魔玉コアを受け取り、造り方はクロベエに聞くと言っていた。
 俺も造れるが、原理は説明出来ない。何しろ、コピー出来るというだけだし。
 クロベエに聞いて貰うのが間違いないのだ。


 ラミリスは嬉しそうに作業を再開した。
 ヴェルドラも嫌々そうな事を言いながらも、顔は楽しそうである。
 ベスターとディーノも打ち解けたようだし、後は任せる事にしよう。



 しかし、俺の知らない所で皆色々やっているようでちょっと怖い。
 旅に出たままのディアブロも気になるし、シオンが行っているという訓練も気になる。
 何やら、軍への志願者も多いようだし、一度正式に編成しておいた方が良さそうだ。
 評議会を脅して守備を一括で任される事になってから、冒険者や傭兵もどんどんと集まってきているのだ。
 彼等は迷宮都市の方に滞在し、居を構えているようなのだが、テンペスト軍に入りたがっている者も居るそうだ。
 それらも含めて、軍の再編を考えてみよう。

 そんな事を考えつつ、俺はその場を後にした。
 やるべき事はまだまだ多いのだった。
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