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転生したらスライムだった件 作者:伏瀬

地位向上編

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13話 ドワーフ王国へ

少しづつ読んで下さる方が増えている様子。
ありがとうございます!
 リグルドの奴は宣言通り、昼までに準備を整えた。
 ドワーフの王国に向かう者の選抜も、抜かりなく行っている。
 自分の息子であるリグル筆頭に、計5組。あとは、俺とランガである。
 ところで、リグルには隊長としての仕事を任せなくてもいいのだろうか?
 少し心配になったが、本人達は納得している様子。
 リグルドの奴も、若返った感じでやる気に満ちているし、俺が心配しすぎなのかもしれん。

 さて、荷物を受け取ると、ランガが俺を背中に載せた。
 ボヨヨ〜〜〜ン! っと、毛皮の中に埋まる。
 周りの毛で自分の身体を固定した。『粘糸』の出番である。
 こういう場面で手足が無いのは本当に不便だが、そこは能力でなんとかするしかない。
 俺は、密かに糸を操る練習をしているのだ。
 糸で敵を斬る! これは、一つのロマンなのではないだろうか?
 習得出来るかどうかは判らないが、先は長い。地道に練習を重ねていこうと思う。
 荷物の中身は、お金と食物だ。
 食べものは三日分。
 それ以上日数がかかるなら、自給自足する予定。
 日持ちするのを持って行ってもいいが、かさ張るのを避けたい気持ちがあった。
 俺が飲み込むと、いくらでも持てるのだけど・・・。
 甘やかすのは良くないだろう。
 自分に食事の必要が無いからこそ、冷静に判断したのだけどね。
 お金は、銀貨が7枚に銅貨が24枚。
 まず間違いなく、大した額ではない。
 期待するのは辞めた。
 後は、着いてからどうするか考えようと思う。
 それでは、出発である!



 ドワーフの王国は、ゴブリンの足で歩いて二ヶ月の距離にあるそうだ。
 森の中を流れるアメルド大河。
 これを辿っていくと、山脈にでるのだとか。
 その山脈に、目指すべきドワーフの王国がある。

 東の方にあるという帝国と、ジュラの森周辺にあるらしい複数の国家。
 この間を隔てるのが、カナート大山脈である。
 故に、貿易するルートは三つに別けられる。
 一つはジュラの大森林の中を通り抜けるルート。
 そしてもう一つが、大山脈を越えていく険しい登山道。
 最後に海路。
 本来、ジュラの大森林の中を通り抜けるルートが最も最短で安全なのだが、何故か余り利用されていない。
 主に、大山脈を越えていく険しい登山道が主流となっている。
 海路については、コストがかかる上に、海の魔物の脅威もあるらしい。故に、最も利用の少ないルートだそうだ。
 今回は、帝国に用事があるわけではない。
 東に森を抜ければ帝国だが、北上し、カナート大山脈を目指すのだ。
 山頂まで登る必要はない。
 ドワーフの王国は、アメルド大河の上流部であるカナート大山脈の麓に、その領土を構えている。
 山脈の、自然の大洞窟を改造した、美しい都。
 それが、ドワーフの王国なのだ。

 俺達は予定通り、アメルド大河に沿って北上していた。
 川に沿っての移動なので、迷う事もない。念のため、脳内に地図も表示しているけどね。
 案内は、一度ドワーフ王国に伝令に行った事のある者がいたので、そいつに頼んだ。
 俺の前を、先導して走っている。
 しかし、黒狼(=嵐牙狼族)に進化した牙狼達だが、早い! しかも疲れを見せない。
 移動開始して3時間程になるが、一度も休憩を入れていない。にも関わらず、時速80km近い速度で走り続けている。
 でこぼこした岩場とかもあったのだが、お構いなし。乗っている者を振動で疲れさせない走り方をした上で! である。
 何というか、非常に楽だ。
 このペースだと、一週間も必要ないかもしれない。
 まあ、無理せず行けばいい。衣服や住処は早く用意しておきたいところだが、慌てても仕方ない。

「おーい! あんまり無理はしなくていいぞ!」

 と、声をかけておいた。
 何故か、若干速度が上がった。
 この3時間、バイクよりも早いスピード感や、流れゆく風景を楽しんでいた訳だが、そろそろ暇になってきた。
 この速度で、会話するのは至難なのだが、俺には『思念伝達』がある!
 皆で仲良くお喋りしながら、この旅行を楽しむのもいいかもしれない。
 そう思い、皆と思念のネットワークを組む。
 さて、何から聞くかな・・・。

「リグル君。そういえば、君のお兄さんは、誰に名前付けてもらったの?」
「は! 私など、呼び捨てで構いません! で、兄の名前ですが、通りすがりの魔族の男に付けて貰ったそうです。」
「ほう。魔族がゴブリンの村に来たのか?」
「はい、十年前程になります。私がまだ子供の頃に・・・村に数日滞在し、兄に見所があるから、と。」
「へえ。いい兄貴だったんだろうな。」
「はい! 自慢の兄でした。その魔族ゲルミュッド様も、いずれは自分の部下に欲しい! と、仰って下さっていたほどです。」
「その時、連れて行かれたりしなかったんだな?」
「はい。兄もまだ若かったですし、何年かしてより強くなった頃にもう一度来ると仰って、旅立たれました。」
「そうかそうか。今度来たら、様子が変わりまくっててビックリするだろうな!」
「そうですね! しかし、今はリムル様に仕える身。栄えある魔王軍とはいえ、ゲルミュッド様について行く事は出来ませんが!」
「魔王軍・・・。あったんだな、そんなの。てか、誘ってくれるか判らんのに、自信ありげだな???」
「ええ、自信というか、確信です。兄もネームドとして進化しておりましたが、ここまでは変化しておりませんでした。
 明らかに、進化の格が違います。"世界の言葉"など、一生聞く事は無いと思っておりました!」

 周りで話を聞いていたホブゴブ達も、そうだそうだ! とばかりに頷いていた。
 そんなモノなのか?
 名前を付けたら進化する。ただし、名付け親によって進化の程度も変化するのか・・・。
 今度、比べる機会があったなら、実験してみるか。
 しかし、魔王軍。
 やはりあるのか、この世界には!
 魔王が攻めてきたりするのだろうか? というか、その時どっちの味方をすれば???
 まあ、攻めて来た時に考えよう。
 幸いにも、"勇者"という存在もいるらしいし、魔王の相手は勇者がするというのは常識だ。
 300年経って、勇者が生きているかは疑問だが・・・きっと転生なりなんなりして、元気に修行でもしてるだろう。
 一応、記憶の片隅にメモっておく。

 さて次の話題は・・・、

「ランガよ、俺ってお前の親父さんの仇って事になるよね? その辺気にしなくていいの?」

 と、えらく懐いてくれている黒狼に問いかけた。

「正直、思うところはあります。
 しかし、戦いにおいての勝敗は、魔物にとっての必定。
 例え、どのような戦いであれ、勝てば正義と心得ております。
 負ければ、何も残らない…。
 されど…、我が主は、我々を許したのみならず、真名まで授けて下されました!
 感謝こそすれども、恨むような事はありません!」
「ふむ…。もし、リベンジをしたいのなら、何時でも受け付けてやるよ。」
「フフフ。進化して、よりハッキリと認識出来ております。
 前の戦いの時、もし本気を出しておられたならば、我々は皆殺しとなっておりました!
 そうなっていれば、種族の悲願であった進化を行う事もなく散っていたのです。
 我らの忠義は、我が主、唯お一人のものでございます!!!」

 何を言ってるのやら…。
 確かに、黒蛇に擬態したならば、全滅させる事も出来たかもしれないが、そんな危険な賭けする気にならない。
 こいつは、過大評価しすぎだな。
 まあ、勘違いしてくれる分にはまったく困らないか…。

「わかるか…。お前も成長したようだな!」
「はは! 有難き幸せ!」

 適当に話を合わせて、頷いておいた。
 まあ、親を殺されている訳だ。恨みが無いと言えば、嘘になるだろう。
 ランガの奴が、いつか俺にリベンジに来たとしても、快く受けてたってやろうじゃないか。
 それまでに、確実に強くなっておく必要がありそうだ。
 何しろ、どう見ても、今では黒蛇並に強くなっていそうな感じなのだから…。




 そんな感じで、話をしながら旅をする。
 途中、魔物に襲われたりといったイベントは発生せず、順調に行程を進んでいた。
 三時間毎に30分休憩を挟み、14時間経過したら7時間の睡眠時間を含めた休憩を取った。
 ちょっと急ぎすぎではないのか? と言ったのだが、

「大丈夫です! 我々、進化のお陰か、それ程疲れなくなっております!」

 と、リグルが答え、

「我等の事は心配なさらないで下さい! 我が主のように、睡眠が不要な訳ではありませぬが、長時間は必要ありませぬ!
 食事も、頻繁に必要という訳ではなく、無くても支障はありませぬゆえ!」

 などと、ランガも追随して答えた。
 他の奴らの様子を見ても、皆やる気に満ち溢れている。
 これでは、一番何もしていない俺が、一番やる気がないみたいに見えてしまう。
 まあ、皆のやる気があるのなら、とそのペースで進む事にした。
 一日に12時間は走り続けている事になるのだが…、こいつら本当にタフになったものだ。

 二日目の終わり、就寝前の食事を摂っている時に、

「ところで、ゴブタよ。あと、どのくらいか判るか?」

 案内のゴブリン=ゴブタに聞いてみた。

「は、はいぃぃ!!! 恐らくですが、明日には到着出来るかと思います! 大分山が大きく見えておりますので!」

 俺に声をかけられ、緊張半分喜び半分で焦ったのだろう。 
 舌を噛んだのではないか? という程、慌てて返事してきた。
 なるほど、言われて見れば、山が大きく見えている。
 昨日までは、その姿も見えていなかったのだが、とんでもない移動速度だ。
 そういえば…、

「ところで、ふと気になったのだが、何しにドワーフの王国まで行ったのだ? たまに行商に来るのだろ?」

 と質問してみた。
 ゴブリンの王国についてリグルドに聞いた際、行商のコボルト族がいるという話を聞いていた。
 わざわざ、2ヶ月もかけてドワーフ王国まで出向くのも変な話である。

「はい! 魔法の武器や防具はですね、ドワーフ族が高値で引き取ってくれるのです!
 とはいっても、道具類で支払ってくれるのですが…、行商の者に持たせて運んでくれるので、助かっていたのです!
 それに、村周辺の魔物には武具を使える者は居りませんし…」

 なるほど。
 たまに、冒険者が持っている武具を売りに行っていたという事か。
 どおりで、碌な装備が残っていないと思った。
 コボルト族には物の良し悪しが判らないので、わざわざ出向いたのか。
 もっとも、ゴブリンに倒されるような者は、初心者が森で迷ったようなヒヨっ子だろう。
 大した物を持っていたとは思えなかったが…
 それなのに、道具を融通してくれるとは…、ドワーフとは案外、親切な種族なのかもしれない。
 上手くいけば、友好的な関係を築けるだろう。
 というか、ぜひ上手くいって、良好な関係になりたいものだ!



 そして。
 旅に出てから、丸三日経過した。
 カナート山脈の麓に広がる、牧草地。
 山脈の、自然の大洞窟を改造した、美しい都。
 大自然が創造した、天然の要塞。
 武装国家ドワルゴン。

 ドワーフの王国に到着したのだ!





ステータス
 名前:リムル=テンペスト
 種族:スライム
 加護:暴風の紋章
 称号:"魔物を統べる者"
 魔法:なし
 技能:ユニークスキル『大賢者』
    ユニークスキル『捕食者』
    スライム固有スキル『溶解,吸収,自己再生』
    エクストラスキル『水操作』
    エクストラスキル『魔力感知』
    獲得スキル…黒蛇『熱源感知,毒霧吐息』,ムカデ『麻痺吐息』,
          蜘蛛『粘糸,鋼糸』,蝙蝠『超音波』,トカゲ『身体装甲』
          牙狼『超嗅覚,思念伝達,威圧』
 耐性:熱変動耐性ex
    物理攻撃耐性
    痛覚無効
    電流耐性
    麻痺耐性
ランガの懐く理由、若干弱いかな…。
+注意+
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