挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
転生したらスライムだった件 作者:伏瀬

魔都開国編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

110/303

106話 武闘会-本選 その1

 昨夜も飲みすぎた。
 勿論、俺がじゃない。
 俺はどれだけ飲んでも酔わないのだ。その一点だけは、毒無効は無い方が良いかも知れない。
 所詮、食べる事は毒を取り入れる事。なので、多少の毒は誰しも抵抗があるのが現状なのだけど。
 まあ、酔った気分は味わえるので、飲む行為そのものは好きである。
 飲みすぎなのは、招待客の皆さんである。
 昼間に見た戦いの興奮が忘れられないのか、夜遅くまで飲んで語っていたようだ。
 そんな訳で、皆ちょっと疲れた顔で、闘技場まで移動している所だった。


 闘技場にて、選手が一同に会し、中央にて整列している。
 整列というか、円陣を組み、客席側へ向いて立つ。
 大モニターが画面ごとに、選手の様子を映しているので、その表情も良く見てとれた。
 その選手を前に、俺が拡声器マイクにて挨拶を行う事になっていた。
 ちなみに、ヴェルドラは昨日に続いて呼んではいない。
 地下迷宮ダンジョン作成に夢中になっているので、敢えて呼ばなかった。
 また暴れられても面倒だし、一緒にいるヤツが来る恐れがあるのだ。
 ミリムが来たら、間違いなく参戦したがるだろう。代理を送り込んで来ただけで満足出来るとは思えないのだ。
 そんな訳で、今日の解説も俺が行う事になった。



 先ずは選手紹介である。
 俺は合図を送り、一人づつ選手の紹介を開始させた。
 大画面が切り替わり、一人づつ紹介に合わせて選手を映し出すよう指示してあった。
 最初に、昨日のバトルロイヤルを勝ち抜いた者、3名の紹介である。
 ソウエイの配下代表として、龍人族ドラゴニュートのソーカがアナウンスを行っている。
 選手の一言を貰う手筈になっていた。
 さて、始めるか。
 まずは、牛頭ゴズ
 コイツは、昨日の勝利を褒めると同時に、"ゴズール"という"名"を与えていた。
 名付けも手馴れたもので、そこまで魔素を奪われる事なく、少し成長を促す程度で留めている。
 だが、元Aランクの上位者。
 種族も牛鬼族ギュウキに進化し、昨日迄とは別人の如く、迸るパワーを感じ取れた。
 攻撃特化か。
 ユニークスキル『限定者サダメルモノ』とエクストラスキル『自己再生ex』を獲得している。
 他には特殊能力やスキルを獲得せず、その身体能力を大幅に伸ばしたようだ。
 ユニークスキル『限定者サダメルモノ』とは、限定能力しか使用出来ない空間を創りだす能力。
 しかし、これは相手が同意しなければ抵抗され、限定空間を拒否キャンセルされる事になる。
 使い勝手の悪い能力だった。
 強制で引きずり込む事も出来るかもしれないが、相手次第だろう。
 同格では、まず成功しない。
 おそらく、聖結界と同様に、スキル使用禁止などのルールのある空間に設定しておけば、身体能力特化が生きるという思惑なのだろう。
 面白い発想である。
 使い方を考えれば有用かも知れないので、『誓約之王ウリエル』に取り込む事は忘れない。
 空間系なので、簡単に追加可能だったのだ。

「まず、昨日の第一試合の覇者、ゴズール!
 100年の争いに終止符をうち、本戦出場権利を獲得!
 その力は、魔物の国テンペストに吹き荒れる新たな風を巻き起こす!」

 ソーカはノリノリで言葉を紡ぐ。
 向いてるな。
 見た目も可愛い感じで、観客受けも良いようだ。
 尻尾と羽と角があるけど、そんな事は"可愛い"の前には何の問題にもならないのである。

「そして、このゴズールこそ、魔物の国テンペストの誇る地下迷宮ダンジョンの覇者なのだ〜!
 その強さ、刮目して見よ! そして、倒す自信のある者は迷宮へと向かうが良い!!」

 ノリノリだ。
 きっちり迷宮の宣伝まで。
 まだ解放してないから、今迷宮がどうのと言われてもピンと来ないだろうけどな。
 まあ、この強さを見てから、迷宮に挑む者が出るかどうか。
 一回戦目でどれだけ活躍するかにもよるな。これだけ宣伝したのに、アッサリ負けたら舐められるかも。
 だが、そこは考えようだ。
 舐めてくれる方が賞金目当ての挑戦者が増えるのだ。
 まあ、相手次第。クジで全てが決まるだろう。



 続いて、ダグラ。
 ダグリュール三兄弟の長兄。
 ダグラ、リューラ、デブラの挨拶は、昨日の勝利の報告と同時に受けている。
 何でも、父であるダグリュールに、この国で色々学んで来いと送り出されたそうだ。

『雑用でも何でも致しますので、この国への滞在をお許し下さい、魔王リムル様!』

 と、三人揃って頭を下げられたのだ。
 面倒なので、シオンに付ける事にした。本人達の暗黙の希望にそったのだ。
 "シオン命"と書かれた服を着ていたし……。
 現実を知り、幻想が砕けるのは時間の問題だが、それもまた彼等の生き方である。
 パワーだけは凄まじい。
 だが、この長男が最もバランスが取れていて、強いのだそうだ。

「続いて、第二試合制覇のダグラ!!
 その圧倒的なまでの覇気オーラを放つだけで、ジュラの大森林の魑魅魍魎を吹き飛ばした!
 その姿は正に圧巻。まだ見せぬ本気は、果たしてどこまでのものなのか!?
 その力は、魔物の国テンペストの幹部達に通用するのか?
 期待が高まります!」

 その紹介に合わせて手を振るダグラ。
 ゴズールの静かな闘志に比べると、余裕が感じ取れる。
 果たして、どこまでその余裕が持つだろうか。以前のままなら、幹部には通じないだろうけど。



 さて、次は勇者マサユキ、か。
 コイツの実力は本物か否か。今日の試合で判明するだろう。
 とはいえ、今日は4試合なので、クジ次第では明日だけどね。

「そして、昨日の第三試合の覇者、勇者マサユキ〜!!
 その華麗な剣技を見た者はいない! 何故なら、抜かれたその時は、既に死んでいるからだ!
 圧倒的強さで、名を馳せて、若くして勇者を名乗るその男。
 その甘いマスクに見惚れる者が後を断たず、その目で見つめられて落ない女は居ないと言う!
 マ〜サ〜ユ〜キ〜!! 本戦でその勇姿を見れる者は幸せ者だ〜!!」

 本当かよ?
 本当にそんなにモテるのか?
 というか、あの宣伝文、ソーカが考えてるのか?
 だとしたら、思わぬ才能だぞ。
 大半が嘘で褒め殺しの域じゃねーか。何が、マ〜サ〜ユ〜キ〜!! だ。
 真面目に聞いてると頭が可笑しいと思われそうだ。
 こんな宣伝されて、一回戦負けだと恥ずかしいってものじゃない。
 これはある意味、嫌がらせだな。
 ソーカなりの、高等な嫌がらせに間違いないと思う。



 残りは、特別枠と幹部達だ。
 まずアルノー。

「さ〜て、続いて、特別枠の選手紹介で〜す!
 最初に紹介するのは、聖騎士アルノー・バウマン!
 その名も名高き聖騎士最強の男!
 我等、魔物の国テンペストの幹部達と熱い戦いを繰り広げ、互角に戦い友情に芽生えた〜!
 狙うは完全勝利! 引き分けは男の誇りプライドが許さない。
 今回は、優勝を狙って、その実力を発揮する〜!」

 うん。
 本当に、凄い才能だ。
 アルノーは追い込まれた顔で、額に汗が浮かんでいる。
 何が引き分け、だ。
 引き分けてすらいなかったのに、引き分けすら許されない空気になっている。
 ソーカって、マジで悪魔の血でも引いているのか? 追い込みのかけ方が半端じゃないぞ。
 天然ガビルの妹とは思えない悪辣さである。

「次も特別枠の選手! その名は、ダムラダ!!
 謎の組織より派遣された、謎の男!
 今回参戦した目的は、武力の押し売りだ〜!
 傭兵として、その力を誇示出来るのか!?
 魔王リムル様も興味深々。注目が集まります!」

 いやいや。
 興味深々なのは当たってるけど、謎の組織って何だよ……。
 言われた方を見やれば、不敵な笑み。
 問題ないようだ。名前バレしても大丈夫なようで良かった。
 まあ、相談は受けていたのだろうし、問題あるなら止めるわな。

「続いて、特別枠より、謎の覆面男の乱入だ〜!
 正体不明の獅子覆面ライオンマスク、正義の味方か悪魔の使者か!?
 果たして、どのような戦いぶりを魅せてくれるのか!?
 あっと、ここでとある匿名の人物より伝言メッセージです。
『判っているだろうが、無様な戦いを見せたら、覚悟せよ』
 との事。
 どういう意味でしょうか? わからないけど、楽しそうだ〜!」

 いや、判かってる。
 ソーカのヤツは判ってて、楽しんで追い込んでいる。
 追い込まれた獅子覆面ライオンマスクの御武運を祈るしかないな。

「続いて、特別枠より最後の選手。
 究極の戦闘狂バトルマシーンであり、彼の前には聖も魔も意味が無い!
 匿名人物より受けた紹介文では、
『アタシのベレッタ、マジ最強!』
 となっております。
 しかし、まともな実戦は今回が初めてなのだとか?
 どうしてそれで最強なのか理解に苦しみますが、ともかく期待は高まります!」

 いーや。
 まったく期待してないよね?
 強引に繋げて紹介を終わらせやがった。
 確かに、ベレッタの存在を知る者は少ないし、その強さも未知数。
 言ってる事は間違ってはいないけどな。

「さて、ここからが真の強者の登場です!
 魔物の国テンペストの誇る幹部達。
 その実力は一騎当千。
 先ずは最初の一人、ゴ〜ブ〜タ〜!!
 そのニヒルなマスクに憧れる者も多い、エリート戦士!
 天才の名を欲しいままにする、若き戦士長。
 果たして、今回はどのような戦いを魅せてくれるのでしょう!」

 やめるっすよ〜!! というゴブタの心の声が聞こえてきそうだ。
 青褪めた顔になっているぞ。
 そりゃそうだ。どう見ても、獅子覆面ライオンマスクさんに当たったら半殺しでは済まないだろうし。
 まあいいか。
 ゴブタも必死になって、本気出すかもしれない。

「さて、次の選手はガビル!
 飛竜衆ヒリュウを率いる、大空の戦士。
 その身に宿す龍の血を滾らせて、無敵の戦士として覚醒出来るのか!?
 ちなみに、私の実の兄でもあります。
 父も見ているので、無様な戦いを見せる訳にはいかないでしょう!」

 おお……
 実の兄にも容赦無いな。
 いや、追い込まれてからが本番だ。
 誰に当たるか判らないけど、案外覚醒したガビルが見れるかも知れない。
 アビルも見ているのは本当だし、少しは期待してもいいだろう。

「前座は終わり、ここから紹介するのは真打です!
 次に紹介しますのは、猪人族ハイオークのゲルド!
 魔物の国テンペストの守護神。鉄壁の守りの要です!」

 おおっと、前座と言い切りやがった。
 確かに、この先は本当に強いけど。口調も変わり、真面目に紹介モードになってやがる。

「ハクロウ選手は、剣の達人。
 剣術指南を任命され、我等を鍛えてくれる師匠でもあります。

 シオン選手は、魔王リムルの第一秘書。
 その知的な風貌に相応しく、出来る女そのもの。
 リムル様を守り、また相談に乗る。女の憧れの地位を独占していると言えるでしょう」

 はあ?
 裏で手を回したのか?
 聞き捨てならんが、シオンは満足そうに頷いている。
 どうやら、何らかの取引を行なったのは間違いなさそうだ。

「ソウエイ様は、私の上司でもあり、憧れのヒトでもあります。
 何でも完璧にこなし、その実力を知る者はいないと言われています。
 今回も、きっと素晴らしい戦いを魅せてくれるでしょう!」

 ソウエイは"様"付けか。
 しかも、頬を染めつつ、本気で言っているね。
 まあいいけど。

「さーて、今大会唯一、人型では無い獣型の選手、ランガ!
 リムル様の護衛ペットとして君臨し、何者も寄せ付けぬ孤高の狼!

 続いて、本大会優勝候補の一角、ディアブロ選手!
 本来の実力は疎か、まともな戦闘を見た者も居ないと言います。
 今回、その秘密を暴く事の出来る選手が、果たして存在するのかどうか!?
 次元の異なる戦いが見られそうです!

 さーて、それでは最後の選手を紹介しましょう!
 魔物の国テンペストの総大将、ベニマル選手です!
 魔王リムル様の配下の中で、最強と言われるその力、一体どれほどのものなのでしょう。
 また、ソウエイ様と互角と言われておりますが、果たしてその噂は本当なのか!?
 今回、その真相が明らかになりそうです!」

 流石に、最後の紹介はまともだったな。
 だが、一体誰が強いのか、本当にわからん。
 ディアブロ、ランガ、ソウエイ、ベニマル。
 この4強に加えて、シオンにベレッタ。
 ハクロウの技術を学んでいるので、最近ではレベルも上がっているようだし……。
 あと、獅子覆面ライオンマスクって、元魔王のカリオンさんだろ?
 あの元魔王に対し、うちの幹部が何処まで戦えるのか。
 非常に楽しみであった。

 選手の紹介が終わり、クジを引いて対戦相手を決める。
 トーナメントになっているので、一日目と二日目で4試合づつに分けられる事になるのだ。
 早速クジを引いて貰い、トーナメント表に名前が記入されていく。
 結果。

 一日目
 第1試合…… ベニマル vs ゴズール 
 第2試合…… ソウエイ vs ダグラ 
 第3試合…… ゴブタ  vs 勇者マサユキ
 第4試合…… ガビル  vs ランガ

 二日目
 第5試合…… アルノー vs ベレッタ
 第6試合…… 獅子覆面ライオンマスク vs ディアブロ
 第7試合…… ハクロウ vs ダムラダ
 第8試合…… ゲルド  vs シオン

 挿絵(By みてみん)


 となった。
 公正なクジの結果なので、恨みっこ無しなのだが、ガビルは可哀想だな。
 調子者だから、調子良く勝てる相手なら良かったが、ランガ相手では無理そうだ。
 絶望的な表情だし、うん。精々頑張って欲しい。
 あとは、ゴブタ。
 もし、勇者が本当にヒナタと同格なら、ゴブタに勝目は無いだろう。
 勇者に対する試金石としては、ゴブタは適任かも知れない。
 精々此方も頑張って欲しい所だ。
 後は、俺の見立てでは結構良い勝負になりそうだ。
 ちなみに、智慧之王ラファエルによる完全予想も出てはいる。
 面白くなくなりそうなので言わないけどね。
 自由意思があれば、一万回の演算を覆す行動を取る場合もあるらしいので、確定は出来ないそうだ。
 逆に、相手が操られていたら、100%の行動予測が可能なのだとか。
 さてさて、予想はともかく、結果はどうなる事やら。
 さっそく最初の試合が開始されようとしていたのだった。





 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





 第1試合…… ベニマル vs ゴズール

 何やら中央で睨みあっている。
 ソーカの「始め!」という掛け声にも反応していない、

「ふっふふ、最初にアンタに当たってラッキーだぜ。
 ベニマルさんよ、アンタが総大将なんだってな。だが、それも今日までだ!
 今日からは、この俺、ゴズール様の時代よ!!」

 などと、いきなり噴出しそうになるセリフを述べるゴズール。
 やっべ、名前付けたせいで力を得て、増長しちゃったみたいだ。
 これは、俺への反逆も……そう思ったのだが、

「見ていて下さい、リムル様!
 この俺、ゴズールが、新たなる片腕となって御覧にいれます。
 その際は、シオン殿をこの俺の嫁に!!」

 俺に向けて恭しく礼をしつつ、そんな事をほざき出す。
 そのセリフに、

『シオン様はこの俺の、俺達の嫁よ!!』

 ブーイングが飛び交った。
 一部に熱狂的なファンを持つらしい。
 まあいいや。バカバカしい。
 というか、もう試合始まってるぞ……。

「判ったから、真面目に試合しろ。
 口だけの馬鹿は要らんぞ」

 拡声器マイクで言ったので、会場中に響き渡る。
 観客は爆笑であった。パフォーマンスの一環と受け取ったようだ。
 本気マジでやってるから、勘違いして貰って助かった。
 大恥じである。

「始め!」

 再びソーカが合図を出した。
 今度は真面目に戦いが始まる。
 ゴズール優勢。そして、地面に突如描かれる魔法陣。

「掛かったな、総大将の座は俺のものよ!
 ユニークスキル『限定者サダメルモノ』、発動!」

 ほう、早速使用したようだ。
 馬鹿には使いこなせない能力。地面に描いた魔法陣で、拒否キャンセルを防止したのか。
 なかなかやる。
 だけど、どう見てもベニマルはわざと受けてるようだ。
 あれだけ挑発されても、激昂する様子もない。以前なら間違いなく切れている。
 この国の総大将を任せてから、ベニマルの短気な部分が無くなった。
 そして、冷静なベニマルは恐ろしく強い。
 今ではハクロウと闘っても、何時までも剣戟が終わらぬ程なのだ。
 ハクロウ並みに身体能力を制御した上で、である。つまり、同レベルまで剣の腕が上達したという事。
 短気では無くなった事により、注意深く、相手の言葉を聞くようになった。
 それ故の成長。
 ゴズールの『限定者サダメルモノ』による能力制御は、スキルや妖術、魔法の禁止であった。

「わははははあ! アンタは炎熱攻撃を得意とするそうだな?
 どうだ、得意技を封じられた気分は!
 俺に総大将を譲るというなら、俺の片腕として副将にしてやってもいいぞ?」

 うーむ。
 ゴズール、調子乗り過ぎだ。
 やはり簡単に名前付けるのは駄目だな。こういう馬鹿を量産しそうだし。
 俺に忠誠があったとしても、実力を省みず先輩を敬えないようでは話にならん。
 先輩が間違ってるならともかく、だが。
 ディアブロなんて、どう見てもヤツより弱い相手にも丁寧に接してるのに。
 まあ、アイツは怒らせたら怖そうだから、誰も舐めた態度を取らないようだけど……。
 さて、ベニマルはどう出るか?
 以前なら、この段階で相手を殺してた。良くて半殺し。
 ゴズールは相手の能力を封じ、調子に乗って大斧でベニマルを攻め立てる。
 妖術等を封じている以上、自分の方が力も速さも上だと信じているのだろう。
 しかし……

「おい、お前の力はその程度か?
 もう他に遣り残した事はないのか?
 そろそろ30分経つ。それまでは好きに攻撃を許す。
 せいぜい後悔しないように、気合を入れるがいい」

 30分。
 それは、俺が事前に設定した試合時間。
 大体一試合30分程度だと、ベニマルと相談した事があったのだ。
 という事は、その時間を守る為に、敢えて相手に好き放題させているのか。
 ベニマルの成長ぶりに驚くしかない。

「はあ? 寝ぼけた事を言うんじゃねーぞ!
 俺様の攻撃に手も足も出ないで、受けるので精一杯じゃねーか。
 負け惜しみも大概にしやがれ!」

 ゴズールは実力差に気付かず、一方的にベニマルを攻めているつもりのようだ。
 力と速さがゴズールの方が上?
 いや、違う。
 ベニマルのヤツ、何時の間にか、大幅に能力を上昇させているようだ。
 もしかして、魔素量エネルギーの最大値も大幅に上がっているのかも知れない。
 妖気を抑えているから、上がっていても気付き難いのだ。
 智慧之王ラファエルはきっちり測定しているんだけど、聞かないと教えてくれないし。
 そして、30分経過した瞬間、

「時間だ」

 ボソっと、ベニマルが呟き、ゴズールがその場に膝をつく。
 左手に紅蓮丸と言う真紅の刀身の刀を持ち、大斧の攻撃を受け流すだけだったベニマルが、時間経過と同時に反撃したのだ。
 右拳がゴズールを捉え、練り込まれた浸透勁をゴズールの鳩尾に叩き込む。
 その一撃で、魔素の流れを乱され、立つ事も出来なくなるゴズール。
 結界を張っていたとしても、あの一瞬で全てぶち抜いたのだろう。
 圧倒的すぎるベニマルの、鮮やかな勝利であった。

「お前は性根から叩き直す必要があるな。精々、覚悟する事だ」

 その言葉を受けて、ゴズールが気絶した。
 第1試合、終了である。
 駄目だ、ダイジェストでササっと流そうとして失敗しました。
 ちょっと長引いてます。
 もう暫くお付き合い下さい。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ