雲無の探偵事務所。(1/4)縦書き表示RDF


雲無の探偵事務所。
作:貂寡



File:0 雲無との出会い


君は、今どこを旅しているのだろう。
小さなナイフを手に少し外を歩いてみる。
俺は、小さい頃から刃物が好きだった。
人を殺そうと思いだしたのは、中学3年の頃だったと思う。
理科の実験で蛙の解剖をし、人の解剖もしたくなったただそれだけのことだった。
だけど、それは失敗に終わった。
あのころを思いだす。ああ、あの少女が俺に言った全てのことが思いだされる。


夕日に染まる公園で少女は一人で遊んでいた。
まだ小学生だと思う。とっても可愛い少女だった。
少し話してみよう。
「お嬢ちゃん一人かい?」少女は振り向くとにっこり笑っていった。
「うん!!お兄ちゃんなんのよう?」
お兄ちゃんと呼ばれたことのない俺は少し戸惑った。
「ちょっとお話ししよう。」
「うん、別にいいよ。」
そして、俺は少女と話をした。
少し話をした後、何かと理由を付けて俺の家に招き入れる。
「お兄ちゃん、なんで家に連れてきてくれたの?」
「うん?ちょっとお話がしたいんだ。」
「お兄ちゃん、私を殺す気でしょ?」
俺は、ドキッとした。なんで俺の考えていたことがわかったのだろう。
「なんでそう思うんだい?」
「だってそうじゃない、今右手にナイフを握って私を殺す機会をうかがっているでしょ?」
「そうかい?」俺は握っていたナイフを少し手先でいじる。
血が少しにじみ出る。
「やっぱりお兄さんは私を殺そうとしてるのね。」
「なんでわかった?」
俺はあっさりと認めて隠し持っていた小さなナイフを前に出す。
「う〜ん、やっぱりお兄ちゃんは私が誰だか知らないんだね。」
「じゃあ、聞くが誰と言うんだい?」
「私はうんむ、雲が無いと書いて雲無。聞いた事無いかな?
 探偵その名は雲無うんむ。」
俺は、その名に聞き覚えがあった。
ここ最近ニュースでその名が騒がれていた。
探偵雲無は実際の顔や声を隠し、事件を解いていくという。
最近解いた謎は、密室殺人だとか怪盗の正体を暴いただとか色々な噂で持ちきりになっていた。
「君があの探偵雲無だと言う証拠は有るのかい?」
俺は、思い切って聞く。
「う〜んそれは私を監禁してみればわかるさ。さあ、やってみて。」
俺は、そう言われて彼女の手足を縛った。
そして外側しか掛けられない鍵を掛ける。
この部屋には窓はない。この鍵を閉めたことで密室になったということさ。
さあ、出てきてみな探偵雲無。おまえが本物ならば。


私は、小さい頃から笑うことが苦手だった。
笑おうとしたら顔が引きつった。
だけど、小学校の高学年の時あの人にあって変わった。
笑うことが楽しくなった。
探偵としてはまだまだ有名になっていない頃だった。
公園で少し悩んでいると彼が来た。
お兄さんは中学生くらいに見えた。
少し悩んでいるようだった。
私は、身の危険を察したけど逃げようとは思わなかった。
お兄さんはまだ誰も殺してはなかったけど、殺そうという気持ちで詰まっていた。
お兄さんの気持ちが私に伝わってきた。
今、私はアメリカにいる。
お兄ちゃんはまだ日本のどこかで繰り返し刺しているのだろうか。
そんなことがないようにといつか行ってみようと思う。


彼女を監禁してもう3分ぐらいたっていると思う。
辺りは薄暗くなり始めた。
「お兄ちゃん!!出てきたよ。」
そう言って彼女は笑った。
「どうやって出たんだい?」
「う〜ん、ちょっと手足が縛られたのは予想してなかったけど後は簡単。」
彼女は笑顔で言う。
しかし、彼女の口元は少し腫れている。
手足を結んだロープを歯で緩めたのだろうか。
「鍵は、どうしたんだい?」
「ん?知らなかった?鍵穴をのぞいたらわかるよ。」
俺は、言われたとおり鍵穴をのぞく。白い物が奥の方に見えた。
「ガムか・・・」
「そう、ガム。私ここに来るまでガムをかんでいたのそれを鍵穴に詰め込んだだけ。
 簡単でしょ?ガムでも甘いだけじゃないんだよ。」
「そうか。俺の負けだな、おまえは本物の探偵雲無だ。」
「認めてくれて嬉しい!!」
彼女はしっかりと笑っていた。
「そうかそうか。じゃあ、ここから逃げな。
 後は好きにして良いからな。警察に通報するも良し、逆に俺を殺すも良し・・・」
俺は、もう彼女を殺そうとはしなかった。
「うん。じゃあここから逃げるけど・・・お兄ちゃんに質問が一つあるんだ。」
「なんだい?」
「私ね、最近辺りの人の心が読めるんだけど。お兄ちゃん何に悩みを持ってるの?」
俺は、少し戸惑った。
俺が人を殺そうと思った理由は解剖したいという気持ちだけではなかったからだった。
「どうしてそんなことを言うんだい?」
「ただ、お兄ちゃんの気持ちが私に伝わってきただけ。」
「そうだな、俺中学に入って後悔したんだ。小学の時はとっても楽しかったんだ。
 だけどな。俺は虐められ出したんだ。イジメってわかるかい?人生の歯車を狂わす物なんだ。
 そして俺はそいつらを殺したい、にくいと思いだした。
 だけど、そいつらには手足も出ないんだ。だから、俺より小さな小学生をねらおうとした・・・」
そこまで言って俺は口をつぐむ。
「けど、私以外の人は狙っていない。それはどういう事?」
「うん。それは、楽しく遊んでいる小さい子達を見るとその気がすぐ失せたんだ。
 何でなんだろうな。憎んでいるはずなのに、殺したいと思っているはずなのに。
 何もできない俺は、なんなんだろうな。」
「お兄ちゃんは、優しい人だよ。小さい子が大好きなんだよ。だから、私みたいな子を狙ったんだよ。
 私は、公園で悩んでたんだ。どうしてみんなと私は違うんだろうって。
 たぶん、お兄ちゃんが私を連れて行ったのは変な事じゃなかったんじゃないかな?」
俺は、彼女に会えて嬉しかった。
「またここに来てくれるかい?」
俺は、そう言う。
「うん、良いよ。暇なときにね。
 だけど、これだけは守ってお兄ちゃんはもう人を殺すことはないだろうけど・・・
 困っている人を助けてあげて。いつか私が訪ねてくるまでは・・・。」
彼女はそう言い残して俺の家を後にした。
俺は、この家に一人取り越されたのだ。だけど、ありがとうよ雲無。
俺はこれから人生の歯車を元に戻す。


あれから、もう3年はたっているだろう。
俺はもうすぐ高校を卒業する。
彼女と会って以来勉学に励み彼女のあの頭に追いつこうとしていた。
本当は無理なことだとわかっていても。
そして俺が取り残された家は、今探偵事務所として活躍しいる。
俺は、探偵優夢たんていゆうむとして過ごすこの人生を楽しんでいる。
そして彼女がいつか訪ねてくることを待って・・・。


あれからもう何年たったことだろう。私は今日本に向かう飛行機の中で座っている。
まだ、辺りの人から見れば私は中学2年といった年齢だが、飛び級に飛び級をし・・・
今は、高校3年生といったところだ。
頭が良いんだか悪いんだか。
探偵としてはだいぶ有名になってきたと思う。
世界中を回ることができだしたのだから有名なのだろう。
けれど、私の関心を満たす事件はまだ生まれてはいなかった。
依頼が来ることは、嬉しかったがその大半は、三流探偵が解けそうな以来ばかりだった。
今回日本に来たのは、そう。久しぶりに彼に会おうかと思ったからだ。
彼は、まだあの家に住んでいるようだった。
犯罪は、犯していないと言うことだ。
悩みは晴れたのだろうか。



彼女は、今どこを旅しているのだろうか・・・
俺は、彼女を待ち続ける。そしていつの日か彼女の助手として活躍する日を夢見て。


こんな、小説を書いてみたかったので書きました。
まだまだ、不思議な事件が生まれていく予定です。
ぜひぜひ雲無の探偵事務所を再び訪れてください。
きっと楽しい不思議が待っていることでしょう。











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




TOP | NEXT


小説家になろう