FILE:15 近いけれど遠い君、近いけれど遠い貴方
「なぁ蘭」
新一は静かにブランコをこぎ始めた。
「なあに?」
「俺が質問していいか? 蘭の好きな奴はどういう奴だ?」
蘭は静かに口を開いた。
「…サッカーが上手くて、意地っ張りでやきもち焼きで…私と近いけれど遠くにいる人……かな」
「近いけど遠くにいるぅ? 何だそれ」
「存在自体はすっごく近いよ。誰よりも近いよ。だけどその人は他に好きな人が居て、ラブレターとかいっぱい貰ってて…何より心が遠いから…」
それは貴方。
新一だよ。
私は今でも貴方の事が大好き。
だけど決して交わっちゃいけないんだよ。
蘭の目からは涙が零れ落ちた。
拭っても拭ってもいくどとなく流れ落ちる。
新一はそんな蘭の涙を手でそっと拭った。
新一の優しさが好きなんだよ。
だから私は貴方を好きになったのかもしれないね。
蘭は静かに心の中で思った。
「そっか…俺の好きな奴はな、腕っ節が良くて、泣き虫で、寂しがりやで料理が上手くて主婦とか出来そうな奴。だけど俺の好きな奴も蘭と同じ、すごく近いけど遠くにいる人だな」
それは蘭、蘭、蘭。
お前なのに。
どうしても言ってやる事が出来ない。
そんな自分が情けなくて。
新一はきゅっと唇を噛み締めた。
「ほら、家帰るぞ」
「何で? 学校行かないと怒られちゃうよ? 転校早々何してんだー! って」
新一は笑いながら蘭の頭を撫でた。
「こーんな泣いちゃった顔、見せられるか? いーんだよ。挨拶はしたし、いざとなったら父さんがついてるって!」
ありがとう。
やっぱり私は貴方に迷惑をかけてばっかです。
ごめんなさい。
だけど、兄妹を思いやるのは当然だよね。
蘭は少し寂しい気持ちを抑え、新一と共に帰路についた。
途中で流れる音楽に耳を疑った。
♪〜
ねぇ? 結ばれちゃいけない男女なんていないんだよ
実の兄妹だとしても―――
形だけの兄妹だとしても―――
幼馴染だとしても―――
全く知らない人だとしても―――
憎まれ口ばっか叩き合っても―――
心ではちゃんと愛し合ってる
結婚は出来なくても
愛し合うことは必ず出来る
そうひたすら信じて
信じて
その唄を聴いた瞬間、新一と蘭の脳裏に一つの想いが込み上げた。
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