月と太陽、決して交わることのない二人(16/30)縦書き表示RDF


月と太陽、決して交わることのない二人
作:沙和子



FILE:15 近いけれど遠い君、近いけれど遠い貴方


「なぁ蘭」

新一は静かにブランコをこぎ始めた。

「なあに?」

「俺が質問していいか? 蘭の好きな奴はどういう奴だ?」

蘭は静かに口を開いた。

「…サッカーが上手くて、意地っ張りでやきもち焼きで…私と近いけれど遠くにいる人……かな」

「近いけど遠くにいるぅ? 何だそれ」

「存在自体はすっごく近いよ。誰よりも近いよ。だけどその人は他に好きな人が居て、ラブレターとかいっぱい貰ってて…何より心が遠いから…」

それは貴方。
新一だよ。
私は今でも貴方の事が大好き。
だけど決して交わっちゃいけないんだよ。

蘭の目からは涙が零れ落ちた。
拭っても拭ってもいくどとなく流れ落ちる。


新一はそんな蘭の涙を手でそっと拭った。
新一の優しさが好きなんだよ。
だから私は貴方を好きになったのかもしれないね。
蘭は静かに心の中で思った。


「そっか…俺の好きな奴はな、腕っ節が良くて、泣き虫で、寂しがりやで料理が上手くて主婦とか出来そうな奴。だけど俺の好きな奴も蘭と同じ、すごく近いけど遠くにいる人だな」

それは蘭、蘭、蘭。
お前なのに。
どうしても言ってやる事が出来ない。
そんな自分が情けなくて。

新一はきゅっと唇を噛み締めた。




「ほら、家帰るぞ」

「何で? 学校行かないと怒られちゃうよ? 転校早々何してんだー! って」

新一は笑いながら蘭の頭を撫でた。

「こーんな泣いちゃった顔、見せられるか? いーんだよ。挨拶はしたし、いざとなったら父さんがついてるって!」

ありがとう。
やっぱり私は貴方に迷惑をかけてばっかです。
ごめんなさい。
だけど、兄妹を思いやるのは当然だよね。

蘭は少し寂しい気持ちを抑え、新一と共に帰路についた。


途中で流れる音楽に耳を疑った。








♪〜

ねぇ? 結ばれちゃいけない男女なんていないんだよ

実の兄妹だとしても―――
形だけの兄妹だとしても―――
幼馴染だとしても―――
全く知らない人だとしても―――
憎まれ口ばっか叩き合っても―――

心ではちゃんと愛し合ってる
結婚は出来なくても
愛し合うことは必ず出来る
そうひたすら信じて
信じて





その唄を聴いた瞬間、新一と蘭の脳裏に一つの想いが込み上げた。











白石です。「黒の組織との〜」「月と太陽〜」その2作、評価くれる方が多いんですが、注意書きをよく読んでらっしゃらない方が目立ちます。
一回評価した作品は、以後は感想なんですよ。二重評価禁止です。
詳しくは評価される際、注意書きにてお読み下さい。











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