FILE:10 呼び捨て
新一はどうやら蘭の言いたいことに気づいたようだ。
「「美味い!!! 絶品! そこらの店より食える(ぜ)!!!!」」
優作と新一の声が重なった。
「…良かった」
蘭は呟く。
二人は一気に食べ終わり、笑顔でカツ丼の丼を蘭に差し出した。
「はいはい」
ここまで喜ばれて嬉しくない人間などいないはず。
蘭は笑顔で受け取ると、ご飯を盛り、カツをどーんと入れた。
お世辞ではなく、蘭の料理はプロ並み。
それは誰もが認める腕だった。
約束どおり英理が洗物をし終わり、初日と言うことで蘭と新一、優作と英理で語り合うことになった。
「ら、ん…! か、母さんはやっぱり料理は駄目なんだろ?」
慣れない呼び方で新一は聞く。
「う、うん…! 超不味くて、17年間食べてきたけど無理! もう食べられないよ!!新い…ちは気づいてたんだ…」
蘭は苦笑いを浮かべる。
沈黙を破ったのは新一。
「まだ…呼び捨てにするのは抵抗あるな……父さん達の前だとしっかりしなきゃだけど……ら…蘭の前じゃ別いいよな?」
「うん。私もそうだし。し、新一…って中々…」
一気に二人の顔が真っ赤になった。
年頃の二人にとって実の兄妹ではない二人が一緒にいるということが、恥ずかしくて恥ずかしくて。
やはりまだ呼び捨てはキツイ。
どうにか敬語を卒業した二人だが、呼び捨ては流石に難しかった。
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