「ちょっとのど渇いたな。ジュース買うか」
健一は、自販機へ向かった。
そして、
「何にしようかな……よし! オレンジジュースだ!」
と飲みたい物を決めるとお金を入れた。
すると、自販機は、
「いらっしゃいませ」
と軽くあいさつした。
健一は、ボタンを押した。
しかし、ジュースが出てこない。
「どうしたのかな? 故障かな?」
健一は、自販機を軽く叩いた。
すると自販機は、
「いらっしゃいませ」
と言った。
健一は、
「壊れてるな…」
と思った。
そして、もう一度ボタンを押した。
しかし、何も出てこない。
「いらっしゃいませ」
自販機は、また冷静に言った。
完全に故障だ。
健一は、
「あいさつは、もういいからお金返せ」
と言って、お釣りの返却レバーを動かした。
しかし、お金は出てこない。
「いらっしゃいませ」
自販機は冷静だ。
健一は、どんどん腹が立ってきた。
「いらっしゃいませ」
「お前うざいぞ」
「いらっしゃいませ」
「それしか言えないのか?」
「いらっしゃいませ」
「しつこいな」
「いらっしゃいませ」
「単純な野郎だ」
「いらっしゃいませ」
「それより金返せ!」
「それはやだ」
「えっ!」
健一は、一瞬止まった。
「…お前…今、『それはやだ』って言ったよな?」
すると自販機は、少し間をおいて、
「いらっしゃいませ」
と言った。
健一は、
「今言ったよな?」
と自販機にきいた。
「いらっしゃいませ」
「今言ったよな?」
「いらっしゃいませ」
「今言ったよな?」
「いらっしゃいませ」
「今言ったよな?」
「いらっしゃいませ」
「今言ったよな?」
「いらっしゃいませ」
「だから金返せ」
「それはやだ」
「!」
健一は、思わず止まった。
この自販機やっぱり変だ。
「今言ったよな? 確かにはっきり『それはやだ』って言ったよな?」
健一は、自販機にきいた。
すると自販機は、少し間をおいて、
「いらっしゃいませ」
と言った。
健一は、
「よーし、お前の考えはよくわかった」
と言って近くにあった棒を拾った。
そして軽く、
「ガン!!」
と自販機を叩いて、
「おい! 次は本気でいくからな!」
と言った。
すると自販機は、すぐに、
「ガタン! ゴト!」
と商品を出してきた。そして、
「ありがとうございました」
と愛想よく言った。
健一は、
「やっとわかったようだな。最初から素直になりゃいいんだよ」
と言って缶を取り出した。
すると缶には、
「おしるこ」
と書いてあった。
健一は、一瞬で切れた!!
「てめー! ぶっ壊すぞ!! なんで、おしるこなんだ! 俺はジュースが飲みたいんだよ!!」
自販機は、
「ありがとうございました」
と冷静に言った。
健一は、
「うるせー!!」
と大声を出した。
そして、おしるこの缶を見つめた…
健一は、ため息をつくと、
「不味そうだな…これ…」
と思った。
そして、仕方なくおしるこを一口だけ飲んでみた。
すると、
「……あれっ?…………意外とおいしい…………」
と言って目を丸くした。
思ったより、おいしかったようである。
健一は、いつのまにか、おしるこを全部飲んでしまった。
すると自販機は、
「おすすめです」
と言った。
健一は、
「お前、なかなかセンスあるな。いいな、おしるこ」
と言って自販機を見直した。
自販機は、
「ありがとうございます」
と言った。
健一は、
「もう1つ欲しいな」
と言ってお金を入れた。
そして、おしるこのボタンを押した。
「………………出てこない……」
健一は、
「自販機さん。おしるこが欲しい」
と言ってボタンを押した。
「………………出てこない……」
健一は、またまたブチッと切れた!!
「この野郎!! 下手に出ればいい気になりやがって!! 壊してやる!!」
すると、自販機は、
「ガタン! ゴト!」
と素直に商品を出して、
「ありがとうございました」
と言った。
この自販機、完全になめてる。
健一は、
「まあいいか…わかりゃいいんだよ、わかりゃ…」
と言って、缶を取り出した。
すると缶には、
「桃の缶詰」
と書いてあった。
健一は一瞬で切れた!!
「この野郎!! やっぱりなめてるな!! なんで自販機で桃の缶詰なんだ!!
しかも缶切り必要なやつだし!!」
すると自販機は、
「カチャン!!」
と何かを出した。
健一は、
「何だろう?」
と思って取り出し口を調べた。
缶切りと、フォークだ。
健一は、桃の缶詰を見ると、
「……ちょっと食べてみるか……」
と言って缶を開けて食べてみた。
「……………おいしい……」
健一は複雑な気分になった。
すると自販機は、
「毒入りです」
と言った。
健一は、その瞬間、
「ブー!!」
と吐いた。
自販機は、
「完全に毒入りです」
と言った。
健一は、
「なっ何だって! 毒入り!! お前ふざけてんのか!!」
と激怒した。そして、今食べた桃を必死に吐こうとした。
すると、自販機は、
「うそです」
と言った。健一は、
「ハア! ハア! ハア! 驚かせやがって!! 完全に頭にきた!! 貴様ぶっ壊す!!」
と言った。
すると自販機は素早く、
「私を壊すと解毒剤を飲むことができなくなりますよ」
と言った。健一は、
「えっ! 解毒剤……?」
と一瞬動きが止まった。そして、
「解毒剤ということは……」
と訊くと自販機は、
「そうです。毒入りです」
と言った。
健一は、
「オエー!! この野郎なめてんのか! 早く解毒剤を出せ!!」
と激怒した。
すると自販機は、
「それでは、私の出題するクイズに答えられたら解毒剤を差し上げます」
と言った。
健一は、
「ほっ! 本当だな!」
と自販機をにらんだ。
自販機は、
「では問題です。今ここに普通の桃なのに毒入りの桃を食べたと思い込んでいる人がいます。それは誰でしょう?」
と言った。
健一は、
「………………もしかして俺?」
と、ゆっくり言った。
すると自販機は、
「そうです!! 正解ーーーー!! あなたでーーーーす!!」
と叫んだ。
健一は、
「わーい! やったーーー!! バンザーイ!!………って喜ぶわけないだろ!! 完全に切れた! ぶっ壊す!!」
と言って棒をつかんだ!
すると自販機は、
「怒らないで、怒らないで! 上に書いてある字を読んで下さい」
と言って、健一を落ち着かせた。
健一は、自販機の上に目をやった…
すると、こう書いてあった。
「自動おちょくり機」
(おしまい)
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