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uso8,000,000:嘘八百万 (うそやおよろず)(←シュレディンガーのぬっこ続編) 作者:Pー龍

一章 冒険者への道

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第三十六話

「タッケルぅ、あっちに何か建物が見えてきたのじゃ。」

 頭上からちみっ子さんの声が聞こえてきます。頭の上で指さしてあっちとか言われてもこっちはその指先がどっちを指しているんだかわかりゃしませんが、あっちはたぶんアレです。

「たぶん、それケーブルカーの駅じゃないでしょうか。清滝駅って駅があるはずですよ。」
「ケーブルカーかや? 何やら聞いたことがあるのぅ。それに乗って山の頂上まで行けるということなのかや?」
「頂上までじゃないですけど、途中までは登れるようになってますね。」
「楽しみじゃのぅ。わらわ、ケーブルカーというのにはまだ乗ったことが無いでのぅ。ケーブルカーと言うのはさっきの電車とはまた違う乗り物なんじゃろう? うむうむ、これはわくわくじゃのぅ。お前さま、さぁ早くあの清滝駅とやらへ向かうのじゃ。」
「残念ですけど、今日はケーブルカーには乗りませんよ。」
「・・・(がーん)・・・なんじゃとぉ、せっかくここまで来て、すぐそこにあるというにおぬしはケーブルカーには乗らんというのか? 金か? 金ならわらわが出すぞ。」
「お金ケチってるわけじゃないです。そんなに乗りたいんですか? しょうがないですね。なら今度別の日に乗りに来ましょう。ともかく今日は乗りませんからね。もうすっかり忘れてるのかもしれませんけど、今日は歩いて天狗さんを捜索するのが本来の目的ですから。」
「――――ふむ~、そうじゃったかのぅ。・・・残念じゃのぅ。つまらんのぅ。しかしお前さまが後日そのケーブルカーとやらにわらわを乗せに来てくれるというのならばここはひとつ我慢せねばならんかのぅ。うむ、すぐ転移して来れるよう転移ポイントを作っておくのじゃ。そうじゃお前さまよ、明日はどうなのじゃ? 天狗を空から見下ろして探すことが出来るというのはこれはこれで利点じゃと思うぞ。そうじゃ、明日の予定はまだ決まっておらなんだよなぁ。明日の捜索は空からやってみてはどうかのぅ?」
「はいはい、検討しておきますよ。
 トイレに行きたい方はいませんか~? 頂上まで我慢したくなかったらケーブルカーの駅のところでトイレ借りちゃいましょう。みなさん大丈夫?」
「おぅ、大丈夫だぞ。オレさっきの駅でしてきた。」
『ao^agyおag;Ka;goawr』(スパモンさんも大丈夫なご様子。)
「姫奈ちゃんおトイレだって、どうする? 一緒に行かない?」
「そうね、タケルさん、私たち行ってきます。その間ここで待っててくださいね。」
「大丈夫ですよ。待ってます。他に行きたい人いない?」
「「「「『『『だいじょうぶ~』』』」」」」

 お2人がトイレに行って帰ってくるまでの間、しばし待機でございます。前方には新緑の木立が見え、どことなく黄泉瓜ランドの地下にあった森を思い起こす光景。どこかで小鳥がさえずっております。どこにいるんでしょう? あっ、飛んでっちゃった。すぐ近くに潜んでいたようです。駆け抜ける風に揺れる木の葉の音、遠く聞こえるせせらぎの音、もうすっかり春ですねぇ。スサオくんはビデオカメラ撮影中。 あれ? 前方から何か気配がしますよ。しっかりと撮影しておいてくださいね。

「おはようございます。」
「おはようございます。」
「おはようございます。」
 ・・・・・・
 前方から下山して来る登山客と挨拶を交わしますん。気配の主は登山客でした。こういうこともありますよね~。麓からいきなり天狗と遭遇するわけありませんでした。ここで見つけちゃったらつまり冒険終了です。ということはこの2週間、俺たち天狗を見つけちゃいけないということでしょうか? 

「ちみっ子さん」
「なんじゃ、タケル?」
「天狗ってこの辺りにいると思います?」
「うむ、さてどうじゃろうのぅ? 案外そこらに巣を作っておるやもしれんぞ。」
「実はさっき気付いたんですけどね、天狗さん見つけちゃったらそこで冒険終了なんですよねぇ。もし今日中にどこかで天狗さんを見つけちゃったら、明日ケーブルカー使って上空から探しに来る理由もなくなっちゃうわけなんですけど・・・」
「何? 何じゃと? それは非常にまずいのじゃ。ん~つまりこういうことかや? わらわたちが天狗を見つけちゃダメなのかや? 明日ケーブルカーに乗れんのかや?」
「そういうことになっちゃいますねぇ。でもね、もしまかり間違って天狗さんを見つけてしまった場合でも、あの2人にばれさえしなきゃOKなんじゃないですかね。言ってる意味がお解かりいただけますでしょうか?」
「ふふふふふっ、タケルよ、お主もワルよのぅ。」
「あははははっ、いえいえ、ちみっ子さんほどでは。」
「「うひゃひゃひゃひゃ・・・」」

「「お待たせしました。」」
「「「『『『お帰りなさ~い。』』』」」」
「うむ、おかえりなさいませ、お2人さんなのじゃ。」
「お、おぉぅ、お帰りなさい。じゃ、先へ進みましょうか。」

 一行が山を登り始めて少し経った頃、トイレからハンカチで手を拭きながら戻って来た乙城さん。

「あれ? みんな私のことおいて先行っちゃったのかな? 待っててくれるって言ってたのに。姫奈ちゃんまでいないよ。」

 1人だけ、何らかの手違いで一行とはぐれてしまったようでございます。

「とにかく追い付かなきゃ。」
 走る乙城さん、揺れる乙πさん。
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