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uso8,000,000:嘘八百万 (うそやおよろず)(←シュレディンガーのぬっこ続編) 作者:Pー龍

一章 冒険者への道

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第十八話

「婆ちゃん、この田山の爺さんの使用済み人形にスピーカー付けてしゃべらせて、それでいったいどうするつもりなの?」
「そりゃ、店番させるに決まってるだろう。言っとくけど股の間はちゃんときれいに消毒してあるんだからね。田山の爺のイヤラシイ汁なんざ一滴も残ってないよ。アタシが監視してる下でこの禿たちにしっかりと洗わせたんだから。この娘々(にゃんにゃん)さんに店番をやってもらってる間、あたしゃこのコントロール室でのんびりまったりと研究に打ち込めるってもんさね。」
「(金髪の青い目をした娘々(にゃんにゃん)さん・・・。)だから、何の研究だよ。この人形に店番させるのはさすがに世間的にいろいろまずいんじゃないのかな? この人形って動けるの? 接客大丈夫? てか、普通にバイト雇えばいいんじゃないのかな?」
「あたしが何の研究してるってかい? そうだねぇ新しいおもちゃの研究ってところかねぇ。この人形がアレだってことがばれなきゃいいんだよ。ばれてもネタとしてオモシロけりゃなんとかごまかせるんじゃないかねぇ。この人形の由来を知ってるのはそこの禿げたちとあんたたちくらいだし、服脱がしてパンツひん剝いて裸にでもしない限り確認できないんだから。この娘、椅子に座ってるだろ。この椅子のほうが自走式になってるのさ。客に話しかけられたら声のする方に自走するように作ってみたんだよ。障害物はセンサーで感知して避けられるようになってる。仮に何かにぶつかったとしても娘々(にゃんにゃん)さんはシリコンボディだからね、壊れることもそうそうないだろう。椅子は壊れたらガワだけ取り換えりゃいい。客との会話はAI搭載で、客のほうが気を使ってくれるから大丈夫さね。ロボットに気を使えないようなヤバい客が来た時はさすがにアタシが出るしかないだろうねぇ。あと万引き犯を見つけたらどこまでも追いかけていくように永久追尾システムをこれから載せる予定さね。自爆装置ってのも捨てがたいロマンだねぇ(遠い目)。――――バイト雇う金がもったいないだろ。タケルが出してくれるってのかい?」
「この人形見た鬼女からのクレームの嵐が来そうな気がそこはかとなくする。」
「田山みたいな(じじい)が経営してる店ならそれもあるだろうけどね、こんな年寄り婆さんが経営してるおもちゃ屋だもの、知らぬふりで押し通して見せるさ。いざとなりゃボケたふりでもしてみせりゃいい。」
「お前さまよ、そう心配せずともなるようになるものじゃ。笑ってみておれば良かろうぞ。それはそうと店主殿、新しい店舗の陳列棚をどう考えておるのじゃ?」
「そう、それなんだよ。こう錆びた感じにペイントした鉄管を二段平行に組んでそれが壁や天井から繋がってる感じでいきたいんだけどねぇ。時々、パイプのつなぎ目で中から白いガスが噴き出てくるのさ。その方がスチームパンクっぽいだろ? タケル、あんたこれからちょっとホームセンター行って、鉄パイプをたくさん買ってきてくれないかい? あんたの便利能力使えば運搬も簡単だろ。」 


 婆さんの頭の中のイメージはなんとなく理解した。ホームセンターではそれらしきパイプの入手が難しく、配管の専門店を紹介してもらったんだが、スサオ君が図面を用意して自分で工事をやりたがったのでパイプだけ購入し、施工はみんなですることとなりましたん。

 これより後、工事現場用ヘルメットを装着した俺たち(店がヒマになった3人の爺さん含む)は数日掛けて昼夜配管作業を繰り返し、【ヤマダトーイ】は新装開店することになるわけなのですが、作業途中何度か小規模な地震に見舞われ、組んだ鉄管が落下したり締めてあったボルトが緩んだりと散々な目にあったりで、週末までかかってようやく陳列棚は完成しましたん。
 婆ちゃんが発注していたガジェットも幾つか追加されて、パッと見だとかなりオシャレなバーにしか見えなくなってしまった店内に新しく仕入れたおもちゃが並べられていき、展示され、ショールームのようなのですが、婆ちゃんの店ってコンセプトは商店街の子ども向けおもちゃ屋さんで良かったんだっけ?

 明日は日曜日、ようやく新装開店です。

「うむ、これはなかなかの傾奇具合じゃな。」
「開店前から客層を見失ってる感がすごいんですが。」
「いよいよ時枝ちゃんの店、開店だねー。ついに愛娘の晴れ姿が見られるよ。」
「おい禿、何が愛娘だい。娘々(にゃんにゃん)さんはお前が不燃ごみに出したんだろうが。アタシが拾わなきゃ今ごろ道端で回収不能のシール貼られて晒し者だよ。」
「時枝ちゃん、店が廻らなくなって新しい人形が欲しくなったら、五十嵐んところにもこれと同じシリーズで姉妹の1体があるはずだから回収するといいよ。」
「そう言うお前も持ってるじゃねーか。」

 暴露大会の中、婆ちゃんが遠い目をしていますが、きっと2体目、3体目の娘々(にゃんにゃん)さんのことを考えていることでしょう。
 3体のチャイナドレス姿のシリコン人形が子ども相手に接客するスチームパンクテイストなおもちゃ屋さん・・・


 さぁ俺たちは帰りましょう。
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