24年 3月 28日 AM:11:50
「お昼出来ましたよ」
頭を抱えて考えているとルカの声が耳に入ってきた。
「あれ?もう作れたの?」
下を向いていたが素早く台所を見る。丼を二つ持ってルカがこちらに歩いてきていた。
「卵どんぶりなら20分もあれば作れますよ」
ルカは笑いながら丼を机の上においた。卵どんぶり・・・あれ?なんで僕の好きな料理が?
「えーと父さんから好みの料理でも聞いてきたの?」
小走りでルカは割り箸を二つ持ってきた。どこに割り箸があるかよく分かったものだ。
「圭介さんの事はだいたい音羽さんからだいたい聞いています。少しぐらい理解しておかないと一緒に暮らす時不便ですからね」
「はい」とルカは片方の割り箸を僕に差し出した。
「ありがとう。それじゃあ君の事も教えてくれる?さっき言ってたけどその腕のやつとか」
パキッと割り箸は綺麗に割れた。逆にルカは少し変な風に割ってしまったらしい。「うう・・・」と言いながら箸を眺めていた。
「これは製造番号を隠している為に付けているんです」
ルカはそう言うとペリッと腕に付けている物を僕の前で外した。
腕には03と赤く書いていた。これを見ると本当に彼女がロボットと思える。
「なんで隠してるの?」
「街中で目立つということもありますし、この番号の部分の皮膚取れるんですよ」
まだ湯気が出ている卵どんぶりはいつも自分が作るものより美味しかった。この分だと何を作っても上手そうだ。
「取れる?取れば何かあるの?」
「ここからUSBに接続出来るんですよ」
「USBね・・・皮膚が取れるって考えるとかなり惨いことしか思い浮かばないね」
「外しましょうか?」
例え機械といえど今は昼飯を食べている。さすがに今見せられるのは気が引ける。
「今はいいよ。それより製造番号が03って事は後2人ルカみたいなのがいるんだよね?」
「いますけど、3人いますよ。製造番号02は二人いるんです」
「その人たちの名前は?」
友達に―――というか谷川はボーカロイドの事はよく話してくれる。あいつならルカのことや他3人も知っているかもしれない。
「製造番号01は初音ミク。製造番号02は鏡音リン・レンという名前です。開発された順番でいけば3人とも姉さん、兄さんです」
ズズズーと音をたてながらルカは卵どんぶり食べ終えた。あれ?少し食べるの早くないか。お腹空いていたのか?
「兄弟か・・・。にしてもルカ食べるの早くないか?お腹でも空いていた?」
「はい、少し・・・」
なぜかルカの頬が赤くなっているように見える。ロボットなのになぜ赤くなるんだ。
「ロボットが腹を空かせるか。本当に人間みたいだ」
「・・・?ロボット?」
丼を台所を持って行こうとしたルカだったがなぜか足を止めた。どうやらロボットという言葉に何か違和感を抱いたようだ。
「ロボットがなにかいけないのかな?」
「圭介さん、なんで私がロボットだと思うんです?」
「そりゃあ君がボーカロイドだし、父さんの手紙にもロボットと書いてあったからね」
「ッツ・・・」
ルカは何か言う前に言葉を詰まらした。なんで言葉を詰まらせるのか・・・僕には分からない。
そして1、2、3秒と少しの間沈黙が続きふとルカが声を漏らした。
「音羽さんは圭介さんに嘘をついています」
(嘘?)頭の中で一つの言葉が浮かんできた。
父さんが僕に嘘を?ルカがロボットじゃないっていうのか。じゃあ彼女は人間―――?
「それじゃあ君は人間だって言うのか?」
「人間、ですか―――。あながち間違ってはいません」
あながち?意味が分からない。
「君の言ってることが少し分からない。人間があながち間違ってないなら君は何なんだ?」
「私は・・・ロボットでもなければ人間でもないです。アンドロイドと言えば分ってくれます?」
アンドロイド?どこかで聞いたことがあるけど、それもロボットではないのか?
ルカは僕の顔を見て判断したのかさらに付け足した。
「人造人間と言えば分かりますよね」
「人造?」頭が追いつかなかった。なぜだろう、突拍子すぎて内容が理解できない自分がいる。
人が人を創ったなんて非現実すぎて・・・。
「人造人間もロボットも同じじゃないかと言われれば私は少し怒りますよ。鉄の塊と肉の塊は違いますから」
シャァーといつの間にかルカは台所で丼を洗っていた。
「私たちも刃物で皮膚を切れば血だって出ます。体を変に曲げると骨も折れます。少し人間と違うだけなんです」
ルカは何かを言っていた。聞いてないのは失礼かもしれない。
だけど、彼女の声は頭の中に入らず代わりにカンッと割り箸が手から離れ床に落ちたのは自分でも分かった。
ロボット:鉄で作られた機械
人造人間:人間のような肉や血で作られた機械
少しここら辺はややこしいかもしれません・・・。
実際、人造人間とはロボットの事を指しますがこの小説では↑のような違いがあると思っていてください。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。