第19話:「3人の記憶が途絶えて」
「こっくりさんだよ……ほら……」
俺が何度言っても明奈は分からない表情をしてみせる。
何で……。
何で忘れてしまったんだよ。
嘘だろ?
だってあんな
あんな事がおきてたのに。
もしかして
俺はふと不安感に襲われて真理と光を呼ぶように言った。
何十分か後
光と真理が本屋へやってきた。
「翔〜!久しぶり」
そう言って歌いながら言う真理……。
俺はすぐにこっくりさんの事を言ってみる。
「あのさ、ヨカッタよな!戻って」
皆は不思議そうな表情をしてみせる。
何だよその表情
頷けよ……。
何で困ったような表情してんだよ。
「忘れたとか言わないよな、こっくりさんの事」
俺は3人を睨みつける。
あんな事があって
それでもって忘れたとか……。
そんなのって……。
「何言ってんの?翔どうしたの?こっくりさんが何?」
明奈が馬鹿にするように言う。
「訳わかんねーよ、お前」
光も
真理も
皆忘れている。
何で俺だけ記憶を残した?
何で
<<プルルルルル……>>
俺の携帯電話に電話がかかってきた。
”非通知設定”
誰だろう?
こっくりさんじゃないよな?
だって明奈達に電話は掛かってきてないし
俺は不安をかかえながら電話をとった。
「もしもし」
「翔君ですか?今あなたの学校に居るので来てくれませんか?」
高い女の人の声だった。
俺は明奈達に事情を説明してから学校に向かった
そこに居たのは……。
長い黒い髪がとても眩しく
目が大きく背はそんなに高くない。
150センチくらいだろうか。
年齢は分からないが俺たちと一緒くらいだろうか。
「こんにちは」
女の子は高い声で挨拶をし礼をする。
この高い声何処かで聞いた事がある。
それにこの顏どこかで……
どこかで見たんだ。
「こんにちは」
俺も一応挨拶を返した。
頭の中が真っ白で誰だか分からない。
「私の事覚えてますか?」
女の子は寂しそうな顏で俺の表情を伺う。
俺はもしかしてと思って
「こっくりさん?……な訳ないよな!」
言いかけたが誤魔化してしまった。
だってそんなハズないし
「私は、季黎と言います」
ご丁寧に自分の名前を紹介してきた。
季黎?見覚えがない。
誰なんだ
一瞬こっくりさんかと思ったが違ったようだ。
「えっと俺、あなたのこと知らないんですが……」
そういうと季黎さんは悲しい表情をして見せた。
え?
俺なんか言ったか?
でも、どうしても分からないんだ
「私はこっくりさんです……私の本名が季黎です」
え……。
こっくりさんにも名前があったのか?
あまりに突然の告白で俺は驚きを隠せなかった。
だって、あの……
っていうか何でここに居るんだ?
でも俺はズット疑問に思っていた事があったんだ。
「何で俺だけに……こっく……季黎さんの記憶を残したんですか?」
俺はつい”こっくりさん”と言いそうになったが慌てて言い直した。
もう”こっくりさん”なんて呼べない。
本名をしってしまったから。
「あなたがこっくりさんを始め、終わらせてくれたから……
あなただけには私の事を覚えててほしかったんです」
季黎さんは苦笑いをした。
でも
終わらせたのは俺一人じゃないのに。
「終わらせたのは俺一人じゃ」
俺がそう言うと季黎さんは俺の言葉をふさぐようにして
「あなたがあの時燃やしてくれなかったらゲームは終わっていませんでした」
でも”終わらせよう”って言ったのは俺じゃないのに……。
俺は季黎さんの顏を見たら目をそむけて考えた。
そうだよな。
皆あの最悪な事件の事を覚えてたら今後普通に生活していけないもんな。
俺だけ季黎さんの事を覚えている。
だからあの時の事は一生忘れないで生活していく。
「記憶消しましょうか?あなたが心残りなのであれば……
私はあなたから今まで起こった記憶を消します」
え?
何だって?
でも、そんな……。
季黎さんの思わぬ発言に俺はとまどいを隠しきれなかった
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