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この物語りに出てくる科学技術及び単語は全て作者の創ったフィクションであり妄想です。訳わかんない人はすみません。
《4》『地獄』『天国』
 
 それは、唐突に起きた。
 絶望の鐘が鳴る。
 耳障りな、紅い月の産声。
 もうすぐに始まるであろう戦争。
 昨夜の宴会気分をにわかに残す魔王城で。
 それは、唐突な地震と共に起きた。


 
 ◇◆◇



「………………………………………………………………………………。」

 ……………………………………。
 えっと、えーっと、えぇぇぇぇぇぇっと。
 魔王城、謁見の間、玉座。
 その場所に座っていた魔王、黒宮秀兎は呆然としていた。
 昨夜の宴会気分も程ほどに、これからどうやって神のいる世界に赴こうか、という事を考えていたのだが、突然の地震が起き何事かと思ったら、それは起きた。
 魔王はその光景を見て、何もいえない。

「うん、上出来!」

 ……いや上出来と言われましても。わけわかんね。
 魔王の目の前には、馬鹿みたいにどデカイ映像が虚空に映し出されており、その映像は魔王城を写していた。
 いや、もう城じゃない。
 
「えっと、待って待って。何これ、どゆこと?」
「えー?わかんないのー?見ての通り、魔王城を改造したんだよ?」
「確かに俺は、《神殿》には普通に次元を裂いただけではいけないてのは言ったけどさぁ?何もここまでしなくたって……」
「いやいや秀兎、天使たちもこれくらいの一つや二つは出してくるぞ?」
「…………マジすか……」

 ……………………まぁ、とりあえず、状況だけでも、説明しておこう。
 黒宮秀兎は神を倒したい。
 そうしなければ世界が終わってしまうからだ。
 悪魔がヒメと出会い、闇の魔女と出会い、神を討てる段階までに覚醒したこの世界が、千載一遇のチャンスが、終わってしまう。
 だから秀兎は神をぶっ殺したい。

 その為には、神がいると言う異空間に行かなければならない。

 だが困った事に、その空間はちょっとやそっとの力では破れないほどの防壁結界が施されていた。
 対神戦までに無駄な力、体力を消費している暇の無い秀兎は、どうにかしなければと困り果て、最終的に魔王城四側近に相談。

 ――そして数時間後。
 簡潔に、無駄を省いて、現在の状況を説明しよう。
 この城、すなわち魔王城は、




 魔王城技術開発師団団長紅葉の手により大型の戦艦、いや飛行空母と化していた。




「なんでゴリ〇テなんだぁぁぁぁあああああああああああ!」

 いやこっちの方がもっとでかいけどねぇぇぇぇ!

「強襲用飛行空母『ヘルヘイム・アーリマン』!!超×3高度魔力生成結晶を動力源にした史上最強の戦闘用空母で設計建設は約一週間で技術開発師団全員で手がけた私の科学技術の結晶体ッ!!天使どもになんて絶対負けないんだから!」

 いやそんなに言い切られても。
 いきなり地震が起きたと思ったら、なんか魔王城浮くし、飛行空母になっちゃうし、もうほんとわけわかんねー。

「…………………………はぁ」

 ……いーや、どうにでもなれ。
 目の前を見遣ると、飛行空母の全システムを制御するであろうコンソールがいくつも設置されており、ぴっちりとした黒軍服を身に纏う技術師団員たちがそれらを操作している。
 魔王城の謁見の間は、完全に巨大飛行空母のブリッジと化していた。

 漆黒の巨大戦艦。

 それが今の魔王城の姿。
 城が浮き、まるで幻覚魔術が解けるようにバラバラと、城が、いや空中浮遊する城一帯の光景が崩れ、そして現れた飛行空母。
 魔王城随一の科学崇拝者、柊紅葉の最高傑作。

「高度魔力生成結晶『原罪の実』搭載型魔力エンジンは正常に稼動」
「艦内全魔力伝達回路区画Ⅰ~Ⅹオールグリーン」
「浮遊力場形成。フロートシステム正常」
「全攻撃システム、及び迎撃システムの起動を確認」
「防御システムは起動、待機を維持」
「推進エンジン暖気運転開始」
「待機情報等は管制ブリッジから思考通信にて五秒後に一斉伝達します。カウント5、4、3、2、1、リンク開始、……完了」
「使用、騎士、魔術師団員は待機情報に従い、指定の区画にて待機してください」
「全艦内システム及び兵装起動を再確認。……オールグリーン」

 ……いやぁ、見事に何言ってんのかわかんねぇ。
 と、魔王は思うが、一方紅葉はそれを冷静に聞き取り、冷戦に判断を下していた。
 彼女は腐っても魔王城技術師団団長。体は小さいが、頭脳は天才顔負けなのだ。

「発進準備整いました」
「了解」

 と、そこで紅葉は魔王を見る。そして嬉しそうに笑って。

「いつでもいけるよ魔王様ッ♪」

 と言うので、秀兎はそれに一瞬だけどうしようか迷う。
 戦争。
 殺し合い。
 それが始まるのだ。
 もしかしたら、目の前にいる仲間が死ぬかもしれないのだ。
 それは、嫌だ。

 けれど。

「…………」

 紅葉の目は、完全にこちらを見据えている。
 戦う覚悟。従う決意。そんな感じの物が、その目からは溢れている。
 きっと彼女たちを置いていったら、怒られるだろう。
 何故頼ってくれないんだ、と。
 
 だから。

「…………えと、発進?」
「はっしぃぃぃぃぃいいいん!」

 かくして。
 魔王を乗せた地獄の箱舟は、神のおわす世界へと旅立つ。 



 ◇◆◇ 



 パラダイス。
 天使たちはそれをパラダイスと呼んでいる。
 
 天空移動要塞艦【パラダイス・スレイプニール】
 
 神の大神殿『ルナ・ヘルヘイム』を守護する、白銀の超巨大空中要塞だ。
 その甲板上で、教祖は薄く照らされた東の空を見ていた。

「…………ふぁあ」

 欠伸。
 昨日からずっと、彼は寝ていなかった。
 まぁ彼は寝なくても生きていける生き物なのだけれど、それでも睡眠というのは精神的にも身体的にも療養になるのでとって置いて損は無いというのが教祖の心得だった。
 
「……もう五周目かよ…………」

 呻くように言う。
 空中戦艦パラダイスは、先刻からずっとルナヘルヘイムを周回していた。
 もちろん警備の為である。
 いつ、どこから魔王たちが攻めてくるか判らない現状、警備を厳重にと神からのお達し。
 まったく、だるい事この上ない。

「そうやってだるいだるい言ってると、どこぞの悪魔みたいになりますよ」

 と教祖の隣にいた水色の髪の少女が言った。
 どこぞの悪魔。いやまぁそれはこれからくるめんどくさがりで泣き虫の魔王なんだけど。
 
「悪魔、ねぇ……」

 悪魔。アクマ。
 いやここは正確に天魔と呼ぶべきか。
 まぁどちらでもいいか。
 
「悪魔。天界と魔界の中心、歪みで生まれた化物。全てを統べる事の出来る存在」
「勝てますかね?」
「……さぁ?ま、戦うのは俺らじゃないけどな」

 悪魔と戦うのは、神なのだ。
 彼らは、使われるだけ。

「…………」

 教祖は、自分の本当の目的を思い出す。
 その為に、莫大な時間をかけて準備してきた事を思い出す。
 
「私はまた引き分けると思いますけどね」
「…………」

 教祖は、少しだけ思案するように顔を伏せて。

「……俺は、悪魔が勝つと思うけどね」

 と同時に。
 パラダイスの反対側。
 神のおわす城、ルナヘルヘイムを挟んで、反対側に。

 巨大な光の柱が現れた。

「……な!」
「…………マジかよ」

 稲妻のような、けたたましい轟音。
 真っ直ぐに、真横に伸びるその光の柱が、上から下へ。
 まるで何かを斬る様に。

 そして光が消える。

 すると、その光のあった場所が、裂けていた。
 その裂け目から。
 その裂け目から、それは現れた。

 まるで、白い世界に、墨汁をたらした様に。
 まるで、白い世界を侵すかのように。

 真っ黒なそれは、現れた。

「黒い、方舟……」
「……悪魔たちの、お出ましだ」

 黒い『地獄』と、白い『天国』が相対す。
ファンタジーなのに、SFちっく。
すいません。すいません。
紅葉を創った時から、こいつにデッケェことやらせてぇとは思ってたんですけど、どこかで何かを間違えたかもしれない。


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