ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
《2》聖櫃の杭
 
 それは、杭。
 この牢獄を固定する為の杭だ。
 
 複雑な術式と呪詛を施された、呪いの杭だ。

「さて、これをちゃちゃっと解式すりゃいいわけか」

 解式とは、術式や呪詛の構造をパズル形式でバラバラにする事。
 
「簡単だな。もう術式の構造は解析済みだ」
「んならさっさとバラそうぜ」
 
 ルシアは剣の柄にそっと触れる。

「――、−−−−−。−−−」

 何か、何かよく解らない、歌のような呪文を呟く。
 すると彼女の指先に淡い銀色の光が灯る。
 白い剣の周りに、銀色の光の粒が現れ、その粒から光の線が延びる。
 剣を囲むように、複雑な直線を描いていく。

「ふむ、順調だ。このまま行けばあと十分くらいだろう」
「へぇー意外と速いな」
「あまり私をなめるなよ」

 そういって、彼女はカツンと踵を鳴らす。
 すると、四方に刻まれていた魔法陣が淡く輝きだす。

「走査終了。ん、案外簡単な構成プログラムだ」
「迎撃術式は?」
「いや、この程度は取るに足らないな。ざる過ぎる」
「ふーん。んじゃ頑張って」
「まかせろ」

 またカツンと踵を鳴らす。
 すると、魔法陣を描いていた線が少しずつ消えていく。
 

 話しかけるのもなんなので、秀兎はこれからの事について考える。
 
 やる事は一つ。
 最終的に、頭の狂った神どもを倒し、世界を呪う《ある物》を壊す。
 《ある物》とは具体的によく解らないのだが、それが世界を呪い崩壊させる事ができる物で、それを神どもが持っているのは確からしい。
 
 まぁそこに至るまでのステップはちょっと多くてめんどくさいのだが、まぁそれをやる。
 
 今、世界は戦乱状態らしい。
 俺を裏切った友が、魔王城の仲間を使って半年前に戦争を仕掛けたのだ。
 結果、大引火。
 あっと言う間に世界は戦乱の世になる。
 魔導国家マジスティア。
 科学崇拝連合グノーシア。
 帝国フリギア。
 この三つは大国で、不気味な沈黙を保っているそうだ。
 そして数々の中小国。
 なかでも、魔王城の兵力を使って中小国を次々と屈服させる、最も勢いの強い国が『日本』。
 
 とまぁ世界はグチャグチャしているようだった。
 
 まずこれをなんとしなければならない。
 ていうか、俺が居なくなれば争いは消えるんじゃないの?あいつ、何考えてんの?
 だからまぁ、俺が一発なんか言ってやる事にした。
 
 めんどくさいけど。
 
 で、それでもアイツが自分の道を進むなら、俺も進もう。
 とりあえず目指すのは、んー、平和な、のほほーんな、まったりな世界だ。
 理想は高ければ高いほど良い。
 あとは、………………。
 まぁ、格好つけたいわけじゃないけど、皆が笑顔になってくれて、自分の好きな事が自由に出来る世界がいいなぁ……。
 

 と言うような事を考えて、頭が痛くなってくる。
 余りにも暇すぎて、眠くなる。
 深く考えるのは性に合わない。
 
「終わったー?」
「ん、今終わった」
「よしゃ、んじゃもうさよならしようぜ」
「そうだな」

 ルシアは指先で剣の柄を叩く。
 
 すると、剣が、剣の形をした杭が、バラバラと崩れ始める。
 ガラスが割れるような音を立てて、崩れる。
 
 そして全てが崩れた。

 ガラスのような破片が、さらに細かくなり、灰のようになる。
 剣が、剣の形をした杭が、壊れた。
ペンネーム変更しましたー。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。