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  宇宙(そら)へ 作者:桜華
大変お待たせいたしました!
第拾弐話 Base〜〜基地〜〜
「地球連合艦隊が壊滅だと!?一時間も持たなかったというのか!?」
地球上空に展開していた地球連合艦隊全23隻は、エルトリア帝国宇宙軍第三艦隊全178隻に対し決戦を挑んだが、結果は数の論理で圧倒され、事実上地球連邦宇宙軍は壊滅した。
地球側は皇国による援軍の到着まで防衛するという徹底抗戦姿勢を明確にし、場合によっては核攻撃による全面戦争方針を決定した。
すでに、地球連邦主要国に対しエルトリア軍は駆逐艦部隊を派遣。加盟国の切り崩しと侵攻を開始していた。各国は混乱し、軍による防衛行動もままならない状態であり、特にアメリカに関しては大型艦の出現が唯一確認され、他地域よりも大規模な侵攻が行われていた。すでにニューヨークの地球連邦中央議会場・地球連邦政府及び連邦大統領官邸を中心に占領されていた。
この事態に際し、連邦政府は地下に潜り各国に指示を出していたが、各国は聞く耳を持たず、人類の悲願であった地球連邦は崩壊に向かって歩み始めた。
「おいおい、常陸。ここ体育館だよな?逃げるって体育館に?」
大上が常陸を疑いながら言った。
「いやいや、違うけど。まぁ、見ててくれ。大尉!」
「了解しました。」
氷室大尉が体育館の照明スイッチに手をかざした。すると、スイッチ部分がスライドし、色んな数字が並んでいる入力画面が出てきた。
「暗証番号確認。声紋認証確認どうぞ。」
「「テンハワレトトモニ」」
「ピーーッ…。声紋認証確認。ゲート開放。」
シュイーーンという音と共に目の前の体育館の壁がドアの形に凹み開いた。体育館から見える通路は、まるでどこかのアニメの秘密基地のような通路であった。
「じゃあ、皆付いて来てくれ!」
当然他の6人は、まだ自分達の置かれている状況を呑み込めない状態で呆然と立っていた。
「みんな、早くして。時間が無いんだ。」
常陸が後ろを向いて言った。
「あぁ、わかってるって。」
大上が常陸の後を恐る恐る付いていった。それに同調するかのように、他の5人も後に続く。
小隊の全員が通路に入り、ドアが自動で閉まった。しばらく歩くとエレベーターがありエレベーター内に案内され、エレベーターに大上達が入った。内部は思った以上に広く大体大人30人は乗れるんじゃないかと思うぐらいの大きさだった。エレベーターに全員乗り終わりドアが閉まった瞬間、体育館が敵の攻撃の流れ弾の直撃を受けたらしく崩壊した。もちろん校舎と共に。
「うわぁ!なんだこの揺れ!地震かよ!」
卓也がエレベーターの壁に片手をつけながら言った。
「いやっ敵の攻撃でしょう。間一髪でした。」
氷室大尉がエレベーターの天井を見ながら言った。
「まさか、我々がここにいると感づかれたのか?」
常陸が氷室大尉に言った。
「いえ、それは無いでしょう。奴等に我々の存在は感づかれたとしても位置までは特定できないはずです。」
「そうか、ならいいが。」
目的地に着いたのか、エレベーターが止まりドアが開いた。
「急げ!!レクルスの整備遅れるなよ!!大気圏内戦闘ということを忘れるなよ!!!」
どうやら、地下基地のドックに着いたらしく人々の忙しなく行きかう音と、ドック長らしき人物の怒号が飛び交っていた。
「コラッーー!!そこの!何突っ立てる!早く持ち場に…」
「貴様!このお方を何方と心得る!神聖扶桑皇国四大公爵がお一人!常陸暁守仁矢公爵閣下で在らせられるぞ!!」
氷室大尉が割って入った。
「なっ公爵様だって!?おいっ!公爵様だぞ!お前ら!!」
作業をしていた整備兵達が疑いながら常陸達を見て、本物と確認すると駆け寄り整列し最敬礼した。
「いや、私に構わなくて良い!みな、持ち場に戻ってくれ!」
整備兵達がお互いの顔を見ながら恐る恐る頭を上げ「了解!」という声と共に敬礼した後、各自の持ち場に戻っていった。
「それじゃあ私も持ち場に戻らせていただきますわ。」
「ああ、よろしく頼む。」
ドック長は常陸に敬礼すると、持ち場に戻りまた指示を出し始めた。
「ったく。各隊員ご苦労!ここで解散とする!以後、新たな指令があるまで各自待機とする!以上!!」
氷室大尉が後ろに整列していた小隊隊員に言った。
「「「了解!!!」」」
そういうと、各自ドックから上の階に上がっていった。
「閣下、指令室へ参りましょう。」
「いや、その必要はない。全指揮系統はシラサギに集めてある。シラサギに上がる。」
「了解しました!」
氷室大尉が敬礼し答えた。
「あのさ、常陸。俺らはどうすればいいの?」
宮崎兄妹の宮崎卓也が言った。
「ああ、ごめん。みんなもこれから自分と一緒にシラサギに上がって欲しい。」
「あのさ常陸君。シラサギって何!?」
雨宮が不思議そうに聞いた。
「話は後で、まずは自分に付いて来てくれ。」
そういうと常陸はドックの向かい側のエレベーターに向かっていった。
大上たちはドック内を整備兵の仕事の邪魔のならないように常陸の後に付いていった。
エレベーターに乗りさらに下に降り、最下層らしき場所に着きドアが開きエレベーターの外に出ると、大上たちは声を失った。
「おいおい、マジかよ…。」
「これって、アニメじゃねえよな?」
「デカっ!!」
「まぁ、これを初めて見る人間は誰でもそういうよw」
常陸が振り向いて大上たちに言った。
「もしかして、これがさっき言ってた…」
「そうだよ。神聖扶桑皇国宇宙軍第弐宇宙艦隊旗艦<白鷺>。僕の自慢の船だよ。」
「綺麗…。」
優香が白鷺を見ながら言った。
「ははっwありがとwそれじゃあ乗ろうか。」
そういうと常陸一行は白鷺に乗艦した。
「氷室大尉、今までご苦労だった。もう下がっていい。」
常陸が大尉に対し言った。
「了解しました!」
そう常陸が言った瞬間、基地内が大きく揺れた。
艦内には警報が流れている。
「どうした!何があった!!」
大尉が通路脇に設置されている通信機で艦橋に連絡した。
「ああ、大尉!敵の攻撃です!!エルトリアが地球に対し大規模侵攻を開始しました!」
「チッ!始まったか!」
「閣下!早く艦橋へ!私は小隊詰め所に向かいますので!」
「ああ、わかった!みんな一緒に艦橋に来てくれ!」
「お待ちください、閣下!民間人を艦橋へ上げるおつもりですか!?」
「時間が無い!!このまま上がる!!」
「了解しました!」
そういうと氷室大尉は走って詰め所に向かっていった。
「それじゃあ、みんな!付いて来てくれ!!」
通路を小走りで走り、エレベーターらしきものに常陸一行は乗り、艦橋へ向かった。
「状況は!!?」
常陸が艦橋に入り言った。
空かさず、艦橋にいる全兵が常陸卿を見て敬礼した。その中から一人の20歳半ばらしき人物が駆け寄ってきた。
「閣下!ご無事で何よりです!!」
「ああ、心配かけたな橘。それより状況は!?」
「はっ!現在、エルトリアは中国、アメリカ、欧州に戦力を傾け侵攻中です!まもなくここ日本にも本格的侵攻が開始されるでしょう。」
「銀河連合は!?何か動きは!?」
「ダメです。銀河連合はアンリエッタ星域惑星国家同盟との戦争にしか関心を持っておらず、議会機能は完全に停止しています。」
「全宇宙の平和を司る銀河連合とは全く名ばかりになってしまったな…。我が皇国第八艦隊の現在地は!?」
「それが、皇国第八宇宙艦隊はエレス星域においてエルトリア宇宙軍艦隊に進路を阻まれ、現在両艦隊とも対峙中とのこと。地球救援にはとても間に合いません。」
「救援は望めぬということか…。どうやら我々だけで対処するしかないようだな。」
「今ならまだ間に合います!閣下、ご決断を!」
「だが、私は天子様より地球防衛の大命を受けてここにいるのだ!ここを退く訳にはいかない!」
「ですが、閣下!陛下は閣下の無事のご帰還を望んでおられます!ここで閣下を失えば、陛下はさぞ悲しまれるでしょう。」
「だが…私は…。」
常陸が俯きながら言った。
「閣下!閣下がここに留まれたらここにいるご学友はどうされるのですか?閣下の後ろ盾が無ければ、本国で保護したとしても外交上の道具として使われるのが目に見えています!」
橘少佐が常陸に必死に諭している。大上達はその光景に見入っていた。その大上達の後ろでドアが開く音がした。
「おやおや、常陸卿。ずいぶんお悩みのようですな?」
常陸を始め、大上達も後ろに振り向いた。
「あなたは…!」
地球の命運を賭けた反撃が始まろうとしていた…。


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