付き合って1年。
蘭ちゃんも工藤君にもろたって言うてたしなあ。
うちも欲しいなぁ。
ペアリング
卒業を目前に控えたある日、和葉は一大決心をした。
「なぁ、平次!!うちペアリングが欲しいんやけど。」
「はぁ〜いきなり何やねん。」
「だって4月になったら大学別々になるしなかなか会えんから不安やん?だから…」
そう春から平次は東京の大学へ、和葉は神戸の大学へ進学が決まっているのだ。
また、最近より一層探偵業に力を入れている平次は東京でも知名度が上がってきており、平次が女の子たちから告白されるのが心配なのである。
「だからって何でいきなり指輪やねん。…ははーん。俺が他の女に取られへんか心配しとんねんな。和葉ちゃんは俺のことが大好きやな〜。」
和葉の気持ちに気づいている平次はつい和葉をからかってしまう。
「・・・そうやで。うち平次がめっちゃ好きやもん!!だから他の人に取られたないって思うし、あたしの彼氏ってことをみんなにわかってほしいんやもん!!」
思いがけない言葉に平次は言葉を失う。
「かず…」
「どうせ平次はうちのことなんてそんなに好きとちゃうんやろ。だから遠距離になっても不安にならんし、ペアリングなんてくだらんて思うんやろ!もうええわ!」
「おい!ちょお待てっっ」
バン!!!
平次の言葉が和葉に届くわけもなく和葉は部屋から出ていってしまった。
「はぁ〜何やっとるんや俺は…ちょおやりすぎたな。」
"俺もたまには素直にならなあかんってことか"と小さくつぶやき机の奥にしまっていた物を取り部屋をあとにした。
…
…――
その頃和葉は走り疲れて、公園のベンチに座って泣いていた。
なんでこうなるんやろ…。
平次は遠距離になっても寂しくないんやろか?
不安ぢゃないんやろか?
うちは寂しさと不安で押しつぶされそうやのに。
そう思うとまた涙があふれてきた。
「和葉…」
ビクッ!
顔を上げるとそこにはいるはずのない平次が立っていた。
自分を追いかけてきてくれた平次に対して嬉しさがこみ上げるが、さきほどの怒りがあるので、和葉はつい強い口調になってしまう。
「何?何か用?」
「スマン!!和葉が俺に対してヤキモチ焼いてくれることが嬉しゅうて、ついからかってしもたんや」
「なっなんよそれ…ひどいやんかぁ」
「だからスマンって。ほれっ」
和葉の横に座った平次から渡されたものは小さな箱であった。
「何これ?空けてええ?」
「おぅ。」
と少し顔が赤くなった平次がぶっきらぼうに答えた。
「わぁ!!かゎええv」
そぅ。小さな箱の中にあったのはシンプルなシルバーリングであった。
「なんで?なんで指輪があるん?」
と和葉は驚きを隠せない様子である。
「なんでって、お前姉ちゃんにずっと指輪欲しい欲しい言うとったんゃろ。それ聞いた工藤が俺に電話してきよったんや」
…蘭ちゃん。
工藤君に言うたん?
恥ずかしいやん!!
でも嬉しいv
蘭ちゃん、工藤君本間ありがとう。
「あっ!それとその指輪俺とお揃いやから」
「えっ?」
ニカッと笑った平次の左手の薬指には和葉がさっきもらった指輪と同じ形をしたものがはめられていた。
和葉は嬉しさがこみ上げてまた泣き出してしまった。
「おい。泣くなって!」
「だって嬉しいんやもん。ヒック」
そんな和葉を見てふっと笑い、平次は優しく肩を抱き
「毎日指輪しとけよ。浮気なんかしたら許さんからなと」
冗談混じりに言った。
和葉は何度も頷き、平次からもらった指輪をいつまでも嬉しそうに見つめていた。 |