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Another World
作:北斗



守護神の復活



「夏屶!?」

「……ああ、凛か」

いつの間にか倒れていたらしく、おれの身体は地面に寝ていた。

目を開けて一番最初に飛び込んできたのは不安の表情を浮かべる少女の顔だった。

「大丈夫?」

声も泣きそうだ。

少し身体を動かしてみる。
大丈夫だ、どこも痛くない。
頭の痛みももう無い。

「大丈夫だ。心配かけた」

「本当だよぅ…心配掛けるなバカ夏屶」

「痛っ、倒れてた人をいきなり蹴るやつが居るか!?」

「ここに居るよ♪」

駄目だ…めちゃくちゃ笑顔だし。

こいつに介護なんてしてもらったら余計に悪化しそうだ。

「てかお前、また人のことをバカ言ったな」

「だって夏屶はバカでドジでマヌ………じゃないです」

ついさっきまで見ていた映像と重なる。

「お前の頭は単細胞か」

「なにそれ、どういう意味だよ」

顔を膨らませて怒った表情を見せる少女が、少し面白く思えた。

「お前は同じことしか言わないってことだよ」

「うぅ〜、同じことって…あっ!………思い出したの?」

少女は喜びで笑顔を見せるが、すぐにその顔は暗くなった。

「じゃあ…もう分かっちゃったんだよね?」

凛の言うことは予想がつく。
おそらくはおれが現世に戻れた方法と、この場所の崩壊までの経緯のことだろう。

「ああ、わかった」

そっか、と呟く顔はとても悲しい顔で、ずっと下を見つめている。

おれはそんな彼女の肩に手を置いた。
手を置かれた少女はビクッと一瞬身体を跳ね上げた。

置いた手から、その身体が震えているのが分かる。

おれは凛を引き寄せ強く抱きしめた。

やはり震えている。

おれの無くした過去は、凛にとっては思い出して欲しくなかった、思い出したくなかったものだと思う。

「か…なた…ごめん…ね」

おれの胸に顔を埋めたまま、震えた声を絞り出している。

「大丈夫だ」

「僕…の…じ…自分勝手な…」

「もういい。もういいんだ。何も言うな」

凛の言葉を遮って抱いている腕の力を強める。

「凛は一人で頑張ったんだ。今までおれが側に居てやれなくてすまなかった。凛に苦しみを押し付けてしまったな…」

「ううん…」

「こうなったのもおれの責任だ。これからは凛に辛い思いはさせない」

おれは白銀の守護神の名を汚した。
この取り戻した記憶と共におれにまとわりつく汚名を必ず返上してやる。

そして…今度こそ凛を守る。



「ね、ねぇ…」

「なんだ」

「ちょっと…苦しいかも」

「わ、悪い」

おれは手に力が入り、無意識の内に凛の背中の服を握りしめていた。
急いで腕の力を抜いて凛を解放する。


「夏屶のバカ力…」

おれはそんなにバカか?

冗談でもバカばかり言われると、もしかしたら本当にバカなんじゃないか不安になる…

そんなことを思うのはおれだけか?

「またボケーってしてる」

「だはらっへつはふは(だからって摘むな)」

この小悪魔は力の加減を知らないのか。
本当に痛いんだぞ。

「やっぱり夏屶のほっぺた摘むの楽しい♪」

楽しみを感じるな!

笑うな!


そして、感情の切り替え早すぎるだろ…

「じゃあ、夏屶の記憶と力が戻ったからさっさと帰ろっか♪」

こいつの涙は本物なんだろうか…

もしかしておれは騙されてる?

「夏屶〜♪早く来ないと置いて行くよ〜♪」

と言う本人の姿はもう見えないわけで…

「てめぇ、置いて行ってから言うな!そして全力で逃げるな!」

こうしておれらは旧聖白園を後にした。

そりゃあもう、凛が全力で走るのを全力で追いかけるという奇妙な絵で。

かつての守護神がこんなんで良いのだろうか…


凛「鬼ごっこなんて何年ぶりだろうね♪」

夏「鬼ごっこにしてはレベル高すぎるだろ」

凛「そう?全力で逃げる!これは鬼ごっこの鉄則でしょ♪」

夏「じゃあ鬼ごっこに斬りかかって良いなんてルールあるのか?」

凛「エヘッ♪」

夏「……」

凛「ご、ごへんはひゃい」

夏「わかればいい」

凛「うぅ〜、無言で摘むのは無しだよぅ」

夏「だからって笑顔で摘むのもおかしいだろ!」

凛「エヘッ♪」

夏「………」

凛「ちょ、夏屶…目がヤバいよ?…4日寝てない人の目よりヤバいよ?…ぎゃぁぁぁぁ」











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