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Another World
作:北斗



明かされる過去


――破壊神

確かに今のを見るだけで格の違いが分かる。
こいつらに攻撃を仕掛けるなんて自殺行為そのものだ。

そう、砂煙から現れた姿は二つあった。
もう一人は刀身が先にいく程太い日本刀とは明らかに違う刀を持っている。

そして、突如現れた黒の二人に何か言われた伸也は素直に退却していった。

追いかけたかったがそんなことが出来る筈もない。この二人が現れてから周りの雰囲気が一気に変わった。
並大抵な殺気と威圧感ではない。

だが、何故かこの威圧感が初めてのものに感じられなかった。
初めて國山さんに会った時も圧倒されたからだろうか。

しばしの沈黙…
だが、それもそう長くは続かず、先に口を開いたのは真っ黒な鉄槌を持った男だった。

「あんな餓鬼に手間をかけるとは随分と弱くなったな」

おれはともかく凛がさっきから口を開こうとしない。
何やらばつの悪そうな顔をしている。

「そんなに弱いと呆れて物が言えないぜ。なぁ、聖天使よ。いや、堕天使か」

「―っ!いや、やめて」

凛は堕天使という言葉に大きく反応し、力無く地面にへたり込みぶるぶると身体を震わせている。

「お、おい、凛」

おれは直ぐに凛の側に近づき、肩を抱きながら相手を睨みつける。
そんなことが相手に通用する筈もないことは分かっていた。

おれのことは眼中に無いと言わんばかりに相手は尚も言葉を続ける。
「お前は己の願望の為に他のものを犠牲にした。そしてなんだ、そんな自己中心的なお姫様は今ものうのうと生きている」

相手の言葉一つ一つに反応し、言葉の恐怖に震えている凛はおれの存在を感じてすらなかった。

近くにいるのに、触れているのに…凛がおれの存在を認めていないことが悔しかった。

無意識の内に唇を強く噛んでいて、口の中に鉄の味が拡がる。
「お前の様な自分勝手な輩が人の上に立つこと自体が間違っているんだよ」

「やめろぉぉぉぉ」



…これ以上凛を苦しめるな





…お前に凛の何が分かる



おれは立ち上がり、刀を握る手に力を入れる。もう握っている感覚が分からなくなる程に。

「弱くなったお前には興味はない」

何の話かは分からない。それ以前に怒りでおれの耳には何も入ってこなかった。
相手も鉄槌を動かしたが、先を地面に置いただけだった。

「目的は既に果たした。弱くなった奴を倒す趣味は無いしな。今回はその命、助けてやるさ」

そう言い残すと二人の姿は無くなった。

それとほぼ同時に國山さん達三人の姿が。

「間に合わなかったか」

おれは殺気を放つ相手が居なくなったのと、國山さん達が来てくれたことで安心し、直ぐに足元で震える少女を自分の胸の中に抱き入れた。

「もう大丈夫だ…」

抱きしめる力を強め、そっと言葉をかけてやると震えが収まってきた。

「か、なた?」

ずっと虚ろだった目におれの姿が映される。

「大丈夫か?」

うん、と弱々しく言う凛にいつもの様な面影はなかった。

そんな少女を励ますためか、宮下さんが声をかける。

「こら、何しょげてんのよ」






――宮下さんとの絡みで凛はしだいに元気を取り戻してきた。
そんな中、國山さんだけは相変わらず険しい表情をしている。
そして重々しく口を開いた。

「凛、話がある」

「な、何かな、惇くん♪」

おかしい…
明らかに凛の様子がおかしかった。
無理矢理笑顔を作っている上に、言葉も変だ。

「凛…いや、貴方も分かっている筈です。もうこれ以上は我々だけでは抑えられません」

なんだ、國山さんが話をしている相手は凛だぞ!?
何故改まって敬語なんだ。

どうやら他の二人も國山さんの態度に驚いている様だ。

「ほ、ほら、皆が驚いてるよ。リーダーが僕に改まるなんて変だよ」

「いえ、敵のあの新手の力も我々に匹敵します。あなた方の復活無しでは無理なのですよ。お願いします――


――先代二大聖天使、谷口凛様。白銀の守護神と言われたあなた方が必要なのです」

せ、先代二大聖天使!?

凛はそんなに凄かったのか。
四人の中で一番強い予感はあったが…まさかここまで…

しかも、この四人以外にもう一人居るということか。

「お、おい。おれらはそんな話聞いてないぞ!?凛があの先代だって!?」

「そ、そうよ。あの時だって凛はまだ戦闘すら出来なかったじゃない」

他の二人はかなり混乱しているようだ。
普段はあんなに落ち着いている四大聖天使が、今は狐に騙されたように慌てている。

「お、おれらはそんな人と平等の位にいてしまってたのかよ」

何かの理由があって凛は國山さん以外には隠してたみたいだ。

そんな凄い人ならすぐに分かったんじゃないのか。
隠し通せる方が凄い。

おれは先に一つの疑問を解決しようとした。

「なあ、もう一人はどこに居るんだ?」

何かいけないことを聞いてしまったのか、凛はうつ向いてただ地面を見つめているだけだった。

「凛様、お願いします。覚悟を決めてください」

國山さんの言葉からしばらく間があって、凛は重い口を開けた。

「わかった…それと、僕のことは今まで通り“凛”でいい。敬語もやめて」

わかった、と一言だけ言うと國山さんはそれ以上何も言わなくなった。

凛は一度大きく息を吐くと、何かを決意したような顔になった。

思わずおれも息を呑む。

まさか死んでいるなんてことは……

先代なのだからそれも有り得ない話ではないだろう。

次の瞬間、おれは凛の話に驚かされる。

「先代二大聖天使、僕ともう一人の片割れはね……





……夏屶、君だよ」


夏「しかし國山さんの変わり方には驚いた」

惇「忘れろ」

麻「いやいや、なに、あの軍人喋り」

亮「まさか惇からあんな言葉が聞けるとはな」

凛「惇って誰にでも威張ってるもんね♪」

惇「くっ……」

麻「録音しておけばよかったな〜」

凛「大丈夫♪僕が覚えてるから♪『先代二大聖天使、谷口凛様…』」

惇「だぁぁぁ、うるさい!」

亮「今度は惇の顔が真っ赤だ」

麻「可愛い〜」

凛「お返しに鼻で笑ってやる〜♪……ふっ」

惇「ぐっ……」

夏「(この人達ある意味恐ろしい)」

凛「ふっ」

惇「ぐぁぁぁ」











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