緊急事態
あれから数日が経ち、おれたち四人は四大聖天使の指導の下、戦闘訓練の日々に明け暮れた。
おれはスピードだけならなんとか凛についていけるようになった。凛が鎌を使ってないことが救いだが。
そして今は、いつものようにおれの部屋で凛と一緒にくつろいでいた。
「夏屶ぁ、この後何する〜?」
おい!呑気過ぎるだろ。
「黒と戦闘があってるんじゃないのか?」
「大抵の戦いは第一手までで対応してるんだよ♪僕たち四大聖天使は滅多に出ないよ♪」
なるほど…確かに第一手まででも十分な強さを持っているし、四強と称される人達が毎回毎回出てられないな。
だからといっても呑気過ぎるだろ!
暇〜とか言いながらベットの上を転がり回ってる…
そんな時に館内放送が鳴り響いた。
『緊急事態発生、エリア7に黒の大軍を確認。破壊神の存在可能性大。第5手以上は至急集合せよ』
「なに!?破壊神が!?夏屶、早く行くよ」
破壊神?何やらもの凄くやばいものということは分かる。
凛の焦り方も半端なものじゃない。
凛の後に続いて集合場所に着くと前に國山さん達が揃っていた。
見渡すと一稀達の姿もあった。
「なあ、おれも部隊のところに並ばないといけないんじゃないか?」
「夏屶はいいの♪」
何がいいのか…
またこの人の特権だろうか。
「浅原はまた考え事か?」
たぶんまたぼーっとしていたのだろう。
國山さんから指摘を受けた。
「すいません」
「謝ることではない。浅原のよく考えるということは良いところだ」
誰かさんに比べて…と凛を見ながら付け加えたことに少し吹き出してしまった。
当の凛は膨れていたが、國山さんが全体に話を始めるとすぐに真面目な顔になった。
「今回は大掛かりな総力戦となることが予想される。各部隊の働きが重要になる故、気を引き締めて挑んで欲しい。それから、今回の戦闘には破壊神が来てる可能性が高い。奴らを見かけたら防御、後退に徹底し即刻我らに報告せよ!」
防御か撤退って、つまり第一手でも太刀打ち出来ないってことか。
こっちで言う四大聖天使みたいな人が今回はいるみたいだな。
「これ以降は各部隊隊長の意向に任せる。各人でも状況に応じた行動をするように。最後に…全員生きて戻ってこい!」
おぉ!!と雄叫びが上がるとそれぞれの部隊は聖白園から出て行った。
「さあ、僕達も行こうか♪」
だから何故楽しそうに言う!
呆れながらもおれは凛と一緒に聖白園を出て行った。
凛の部隊は他と違うらしい。
本来、部隊というのは部隊隊長を中心に団体で行動するものだが、凛の部隊は部隊の数だけ分けられ、初めから各部隊に専属として配置される。
戦場での動きはその配属された部隊の隊長の指示に従っているということだ。
そのため凛だけは戦場で一人自由に行動できると自慢気に言っていた。
こんな制度になったのも凛が最速だからだろうけど。
「で、おれは凛と一緒に行動なのか?」
「だって夏屶は治療出来ないでしょ?それに夏屶が一緒にいれば僕は闘わなくて済むから♪」
結局はそういう理由か!
自分で闘えば十分過ぎるほど強いだろ!
「まず何をするんだ?」
「えっとね…出会ったら殺る♪」
楽しそうに言うと恐いって…
「遊撃か…」
「あっ、僕ちょっと一番隊のメンバーに言わないといけないことがあるからまた後でね♪」
「お、おい!」
まったく…本当に自分勝手だな。
おれはおれでしっかりするか。
手に刀を握り、一気に速度を上げた。
しばらく走っていると黒い塊が目に入ってきた。
「さて、一気に決めるか」
黒い団体を直線的に切り込みを入れ、その真ん中で立ち止まる。
前の敵と同じように突然現れた人物に驚いている。
「悪いが、容赦はしないぜ…」
おれにはこの世界で大切なものを再び手にした。
もう失われないと決めた。
だから…おれはアイツの為にも生きる!
遅いかかってくる敵は今のおれには遅すぎた。
ほとんど止まっているも同然。
おれは次々に黒いものを斬り倒していく。
「―――!」
何かが後ろから迫ってくる感じがする。
……速い
やはり強い奴がいたか!
おれは振り向きながら迫りくる刀を受け止め、そのまま弾き飛ばす。
少し後方で着地したものを確認すると……
「伸也!?」
「また会ったな!前の言葉、忘れてなければ覚悟はあるんだろ!」
おれは……
おれの手で伸也を止める!! |