小悪魔
あれから他のものには目も暮れず、与えられた部屋に向かった。
ひどく疲れた。
それは緊迫した空間に居たせいだろう。
部屋を出た瞬間にどっと疲労感が押し寄せ、体が重い。
部屋に入ると同時にベットへ倒れ込んだ。
頭の中には彼女のことばかりが渦巻いている。
なぜだ、なぜこんなに彼女のことが気になる…
いくら考えても答えは出てこない。
さらには考えれば考えるほどさっきの顔が浮かんでくる…逃げるように部屋から出る時…
そう、逃げたかった。あの空間には居れなかった。
あんな顔をなぜおれに見せる?
わからないことだらけだ。
ふと机の上を見ると紙が置かれていた。
なんだ?
『明日、中央演習場にて認定試験を行います。9時に第1演習場に集合願います。では、今宵はゆっくりとお休みください。』
…認定試験?
そんなものがあるのか。しかしまぁ…
面倒だ……
はぁ…と音に出して大きくため息を吐く。
「とりあえず…寝よう」
再びベットに体を沈め、ゆっくりと目を閉じる。
おれは直ぐに意識を手放した…
…ポーン
ピンポーン
ピンポーン
(煩いな…)
ガチャ…
(誰か入って来たな…)
っ!?
「ちょっ!えっ!?」
おれは慌てて飛び起きた。
それもそのはず…そう、ドアはオートロックで鍵が掛っていたはずだ。
それをこの人…
「やっほ〜♪朝だよ♪」
…元気一杯の凛さんは普通に入ってきた…
「…どうやって入ったんですか?四大聖天使だからマスターキーでも?」
「まさか〜♪そんな面倒なことしないよ、鍵開けなんてちょちょいのちょい♪」
あ、そうですか…てか、普通は逆だろ。
この人、美沙より面倒なのかもしれないな…
「なに?その目は」
「な、なんぇもあひまふぇん…」
(お願いだから頬を引っ張らないでください…)
「ホントに〜?」
凛さんは止めようとしない。
…本当に冗談抜きで痛い…
「ふぉんとぇすぅ…」
ん〜とか言いながら尚も引っ張り続ける凛さん…
涙目になるおれ…
それに気づいて驚く凛さん…
やっとわかって貰えたと思って頷くおれ…
そして凛さんは…笑っていた…
悪魔だ…
「絶対に遊んでましたよね?」
「違うよ〜♪だからもう一回していい?」
もはや意味がわからない。
「駄目に決まってるじゃないですか!」
「えっ!?そうなの!?」
何故に驚く!?
駄目だ…本当にこの人は美沙より面倒だ…
「とにかく、僕はちゃんと起こしたからね♪遅れるなよ〜」
そう言うと小悪魔…じゃなくて、凛さんは部屋を出た。
さて、今の時間は……
……
…8:30……
……
「うわぁぁぁぁ!あの人どうせならもっと早く起こせよ!」
愚痴をこぼしながら急いで支度をする。
結局は自分がちゃんと目覚ましをセットしなかったのが悪いのだが…
やっぱり凛さんには感謝しよう…
そういえば凛さんに昨日みたいな様子が全くなかったな。
本当に何がしたいのかわからない人だ。
(そういえば中央演習場までどのくらい掛かるのかもわからないな…間に合うか?)
あと10分…
おれは大急ぎで部屋を出た。
ガチャ…
演習場に入ると既にたくさんの人がいた。
その中には四大聖天使の四人や一稀たちの姿もある。
(間に合ったのか?)
「夏屶遅いよ〜!こっちこっち」
美沙が手を振って呼んでいる方へ急いでいき、横に座る。
美沙や一稀はよく寝坊しなかったな…
学校ではいつも美沙と一稀が遅刻しているのに。
おれは走りすぎて肩で息をするほどだった。
懸命に息を整えようていると直ぐに声が聞こえた。
「さて、主役は揃った。認定試験を始めようか」 |