66 緊急依頼2
地下からこのアトリエにあるだけの魔法の草と、ズフタフ槍の草を持ってきた。
幸いなことに、中和剤(緑)はこの間ストックを作ったので、十分な数がある。
不幸中な幸いだったなー。
十束分の材料は、結構凄い量だった。
これをある一定の割合で、計らなければいけない。
それだけで、結構な時間がかかるのだ。
「えーと、魔法の草が20、ズフタフ槍と中和剤が10ずつか。魔法の草が15しかないや。先に7束分作るか。だとしたら、ぷにぷに玉は7つでいいか。あるかなぁ…」
がさごそとアトリエにある棚を漁る。
嵩張らないアイテムの一部は、アトリエに置いているのだ。
まだ、調合できるものが少ないから出来る事だ。
調合できるものが増えたら、置く場所を取るので地下室に収納しないといけなくなるだろう。
「あぁ、あったあった。全部で8つか。イヴァンがいくつ持っているかだよねー」
そのうちの7つを取り出し、計った7束分の中和剤に漬け込む。
当然漬け込むときに、ごくごく微量の魔力を注いでおく。
ほどなくして、アスランが帰ってくるのと同時にぷにぷに玉に中和剤の成分の封入が出来た。
それを細かく刻み、計っていた草に混ぜる。
そして、魔力を込めるのだ。
正直成功するかどうか分からないが、多分大丈夫だろう。
ゆっくりとぷにぷに玉と草を混ぜる。これは、しばらく時間がかかりそうだな。
「ちょっと時間がかかりそうだから、ゆっくりしてていいよ。出来たら教える」
魔力を込めることで、少しずつぷにぷに玉が、草から水分を吸い取っていっているのがよく分かる。
結構魔力食うな。
本来ならば自然乾燥で済ませるのを、ぷにぷに玉を使って強制的に乾燥させているものだから、普通に作るより魔力の消費が激しいみたいだ。
「騎士見な…えーとヨハンだっけ?そこの棚にミスティカの葉が入っているから出してよ」
普段だったら、ミスティカ茶にして飲むのだが、今回はのんびり茶を楽しむ時間がない。
「あ、はい。どうぞ」
手渡してくれたミスティカの葉が入った器から、一握りの葉を掴みだし口に入れた。
「それってお茶じゃ…」
むしゃらむしゃら
本来ならばお茶として飲むソレを、私はそのまま口にした。
お茶として飲むより、直接食べたほうが効果が高いのだ。
ただし、調理なんてしてないのであまり美味しくない。
まぁ、普通にミスティカを食べるより、効果は高いのだが。
一番最初に少しだけ魔力が回復して、後は徐々に回復していくだろう。
びしょぬれに濡れて帰ってきたアスランが、奥で着替えてきた。
泊まりになってもいいように、家族の衣服一揃え分だけ用意しているのだ。
「こんな服、いつ買ったんだか」
サイズは分かっていたので、買っておいたんだよとは言えなかった。
集中を乱したら、失敗するからだ。
実は一度にこんなに大量に作るの、初めてなんだもん。
私は魔力が低いので、量がある依頼は受けないことにしているのだ。
夜遅くまで、私が草を混ぜ続けるのは続いた。
途中で、ポポロとパメラが魔法の草を持って帰ってきたので、アスランに夕食を作るように頼んだ。
もう、それだけ頼むだけなのに、集中力の要ること。
そして真夜中過ぎ、妖精2人は夢の中。
騎士見習いの二人は居間のソファーでうたたね中。
ようやく、作業が一段落ついた。
「一段落、ついたか」
アスランが濃いトーン茶を渡してくれた。
「あぁ、起きてたの。寝てて良かったのに」
「無理な依頼を頼んだから、サポートぐらいはするよ。正直、どうにかなりそうなのか?」
視線をぷにぷに玉がついている<草>に向けた。
「まぁ、多分ね。理論的には間違ってないと思う。けど、これ疲れるわー。量が多いから、魔力の必要なこと」
正直、私の少ない魔力ではこの調合は少し荷が重い。
常にドーピングしないと、成功しそうにないし。
「あとは、残りの分の調合をして、定期的に魔力を注いで混ぜるだけよ」
一体その混ぜる時間にどれぐらいの時間がかかるか分からない。
1日かもしれないし、3日以上かかるかもしれない。
正直見当がつかないのだ。
「ぷにぷに玉を大量投入できれば、乾燥だけは出来るけど、品質・効力ががた落ちしそうだし。何より、金がかかる」
あぁ、また報酬の話をせずに突っ走ったなー。
これで報酬が悪かったら、赤字だよ。
何よりぷにぷに玉が高い。
モンスターからしか入手方法がないもんね。
「錬金術って面倒だな」
「私にしてみれば騎士見習いの方が面倒よ。さ、食事して魔力補充のために濃いミスティカ茶を飲んで、仮眠取るか」
正直ぶっ続けで作業をしてもいいのだが、栄養剤というドーピング手段がないのに、そんな事をしようものなら、調合に失敗する確率が上がるだけだ。
栄養剤、常時何本かストックを作っておくべきかもしれない。
アスランが私の分の食事も取ってくれていたので、それを食べて濃いミスティカ茶をがぶ飲みして、ベッドについた。
まだ夜明けまで3時間ほどあるので、それまでの僅かな休息時間だ。
私は、あっと言う間に眠りに落ちた。
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