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3 ザールブルグの日常3
家に帰り取ってきた薪は外の薪置き場に置く。取ったばかりの薪はすぐには使えない。乾燥させる必要があるのだ。

一度使って家の中が煙で燻されてとんでもない目にあったから、念入りに干しておく。

魔法の草とズユース草を籠に入れその上に鳥を置く。

「フレイねぇ、はらへった」
「先に処理しちゃうから食べてていいよ」
「やった!」
「アスラン、手だけは洗わせておいてね」

アスランが頷いたのを確認して、私は包丁と籠を片手に井戸へと向かった。

井戸では近所のおばちゃんたちが食器を洗ったり、野菜を洗ったりしている。

「こんにちは」

中世クラスの閉鎖的な環境の中で、近所付き合いは大事だ。

現代みたいに簡単に引越しができればいいが、ザールブルグの外は魔物や危険な動物が闊歩している環境だ。

引越し自体ほぼ不可能な環境だ。

その環境の中で近所から村八分にされたら、ノイローゼになる自信がある。

現代人は繊細なのだ。

「あら、フレイちゃん。夕飯の仕込みかい?」

おばさんたちが円の間隔をあけて、私を招き入れてくれる。

「えぇ。今日は運良く鳥肉が手に入ったんですよ」
「そりゃあ、運がいいね。近くの森で狩ったのかい?」

私と話しながらもおばさんたちの手は、止まることなく動いている。

いや、むしろ話が弾む度に手の速度が上がっていないか?

「巣立ち前の鳥が巣から落ちていたから、運が良かったんですよ」

それは運がいいとおばさんたちが口々に言う。

うん、私も運が良かったと思うよ。

手早く鳥肉の内臓部分を洗い、軽く塩を振る。実は塩はいつも持ち歩いていたりする。

日射病とか起こした時に生理食塩水を作って飲ませたり出来るから。

現代知識ってある意味チートです。それ以上に錬金術師の存在はそれ以上のチートですが。

次に取ってきたズユース草と魔法の草をきれいに洗い種類別に分け、ズユース草を一房取り適当な大きさに切り鳥肉の腹に詰め込む。

出来ればベルグラドいもなんか詰めても美味しいと思うが、今ベルグラドいも切らしているんだよねー。

買いに行くのもお金かかるし、面倒だから今日はイモはなし。

後はこれを竈で焼き上げれば完成だ。

まだ夕食までたっぷり時間はあるし、パンでも食べてちょっと字の練習して昼寝でもしよう。

「じゃあ、おばさんたち。またね」

下拵えの終わった鳥と、きれいに洗った草を持ち私は家へと帰った。

うん、やはり井戸は近いと楽だな。


「ただいま」
「フ、フレイねぇおかえり」

裏庭で草たちを干して、空になった籠を定位置に戻し食卓につく。

イヴァンの顔色が悪い。

「さて、私もパン食べようかしらね」

食卓に目をやると、あるはずのものがない。

パンがない。ジャムもない。

アスランが我関せずと、今日使ったナイフを研いでいる。

「イヴァン、私の分のパンは?」
「フレイねぇ、いや、その」
「私の、分は?」
「えっと、その」

にこにこと笑いながら、イヴァンの米神に握りこぶしを当てる。

「イヴァン?」
「ごめんなさぁぁぁぁい!!」

グリグリグリグリ

我が家にイヴァンの断末魔が響き渡った。




結局あの後、自分の昼食とついでなので買い物に行く羽目になった。

それにしても、夕飯分のパンまで食べてしまうなんてどういう食欲しているんだ?

また、ジャム作らないといけないなぁ…。

適当なフルーツあるかなぁ。


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