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265 お嬢様再び?
さすがに特大コロッケは、イヴァン一人で食べきらなかったのでサンドイッチにして持って帰らせた。
千切り森キャベツと一緒に挟んでみたら、中々美味しそうなサンドイッチになった。
惜しむらくはソースがまだ出来ていない事だよね。
確か、薬かなんかを作成していて偶然出来たのがソースだったはず。

「ノルディスあたりに聞いてみるかなぁ…」

実際の作り方は確か色々と野菜を使った筈だ。
今度時間がある時にでも、試行錯誤して作ってみよう。

「さてと、シルケスさっさと作ってしまおう」

コロッケの話は置いておいて、私は織り機に糸を通して布を織り始めた。
今回は二枚いっぺんに織るので、少々長丁場になるだろう。

「大丈夫ですよ、フレイさん。僕も出来るだけ手伝いますから!」

なんでも、私の織り方だと時間がかかって仕方がないらしい。
しょうがないじゃないか、素人なんだよ、私…。

「慣れたらもっと簡単に織れますよー」

うん、ピピンをさっさと育てて、織物妖精にしてやる。

ピピンに手伝って貰いながら調合していたら、アトリエのドアが叩かれた。

「どちらさま~?」

ドアを開けると、一度だけ見たお嬢様の姿。

バタン

「ちょっと、どういう事ですの!?」
「私は何も見てない見てない見てない」

どうして、昨日の今日でわざわざ再び喧嘩を売りに来るんだ!?
おのれ、ギル。女一人きちんと〆られないのか?
あんの、へたれ!

ぎゅっと拳を握って、八つ当たり気味にギルに八つ当たりのまま心の中で悪口を並べ立てる私。

「あの、すいません。前回の事を謝りたいので、出てきて貰いたいのですけど…」
「エルザ・マリア。下出に出る必要はありませんわよ!」
「お嬢様、またお父上に叱られますよ…」
「うっ…」
「しょ、しょうがないわね。さっさと出てきなさい、フレイ・ローゼン!
 この私が謝りに来てあげたわよ!」
「お帰り下さい」
「お嬢様ぁぁぁぁぁぁ」

なんて扉越しの漫才をしていたら、何事かと思ったのかパメラがやってきた。

「フレイさん、どうしたんですか?」
「招かれざる客、なのかなぁ…」
「あ、お客さんなら開けないといけないのでは?」
「招かれざる…まぁ、いいや。さっさと謝罪を受け取ってさっさと帰らせよう」

私は溜息一つついて、渋々扉を開けた。
このまま漫才のような応答していても、近所の目が厳しい。

それに、彼女は一応貴族みたいだから、父親や親戚から難癖つけられたら面倒だ。
貴族って言うのは下手に横の繋がりがあるから面倒なんよなぁ。
アスランの出世にも響いてくるし。

私だけなら、他力本願で悪いがまだギルが動いてくれる可能性があるが、アスランの場合は絶対ギル動かないし。
簡単に想像が出来る辺り、流石の仲の悪さだわ。

私はアトリエに通して、椅子とお茶を勧めた。

お嬢様もメイドも珍しいのか、キョロキョロとアトリエ内を見ている。
一応注意だけでもしておくか。

「珍しいのは分かりますけど、不用意に手で触らないようにして下さいね。毒物とか爆発物とか平気に置いてますから」
「ぶ、物騒ですのね」
「錬金術士ですから」

私の言葉にメイドがうんうんと頷いている。
世間一般の錬金術士の評価って……。

「それで、今回のご訪問の理由は外で叫ばれていた事でよろしいのですか?」
「そうよ。悪かったわね」
「お嬢様!」

頭も下げずに椅子でふんぞり返って謝罪の言葉を口にするお嬢様。
また喧嘩売りに来たのか?

私は冷たい眼差しでお嬢様を見つめる。

「リーゼロッテお嬢様。それじゃあ謝ったうちに入りませんよ」

メイドの言葉に、私はうんうんと頷く。
どうやら、メイドの方はまともな感覚の持ち主のようだ。
まぁ、お嬢様の方も貴族としては案外当たり前なのかもしれないな。
たかだか、平民の錬金術士見習い風情に下げる頭は無いと言う考えの持ち主なのかもしれない。

「………早とちりして悪かったね」

そっぽを向いて、それだけを言うリーゼロッテお嬢様とやら。
まぁ、この辺りが落とし所か。
相手は貴族の令嬢だし。しかも、成り上がり貴族じゃないみたいだし。
それなら、これぐらいの気位の高さは想定内だ。

私にしてみたら、無駄な気位だよなとは思うけど。

「わか…」
「駄目ですよ、お嬢様。錬金術士は祟るんですから!
 ここはちゃんと誠心誠意を込めて土下座しなくては!」
「うおい!」

土下座?と首を傾げるお嬢様に、懇切丁寧に説明するメイド。

それにしても、メイドの錬金術士観って一般的じゃないような…。
いや、ザールブルグ外ではこれが一般的なのか…?
いやいや、まてまて…。

「土下座までする必要はありませんよ。謝罪は受け取りました。お茶を飲まれたらお帰り下さい」

タイミングよくお茶を持ってきてくれたパメラに感謝をする私。
お茶を飲ませてさっさと帰らせようっと。


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