235 ザールブルグ、帰還3
帰宅したピピンとも再会を喜び、私たちは妖精を引き連れて飛翔亭へと向かった。
アイゼルは残念ながら途中で別れたけど、明日午後にでも会いに行くと言ったら、時間を作ってくれるとの事。
お土産も渡さないといけないから、ちょうど良かった。
「おかえりなさい、フレイちゃん、エリーちゃん」
飛翔亭では、フレアが迎えてくれた。
ちゃんと席を作ってくれたらしく、片隅にイヴァンやハレッシュが座ってすでに飲んでいた。
「やっと来たし。フレイ姉、遅いよ」
「帰ったらアイゼルが来たのよ。それに、そんなに時間はかかっていなかった筈だけど?」
私はジト目で、テーブルの上に並べられている酒とツマミを見る。
ハレッシュは笑いながら頭をかいている。
多分、フレアに進められたから断れなかったんだろうなぁ…。
「フレイちゃんとエリーちゃんは何にする?」
夜なので、お茶のメニューは引っ込められている。
「えーと、<祝福のワイン>あります?」
とりあえず、私が知っている中でも飲みやすく度数の低いワインを頼む。
「えぇ、あるわよ。ちょっと待っててね」
「フレイがお酒飲むの珍しいね」
「私だってたまに飲んでるわよ。あ、料理はもう頼んだの?」
「うん。フレイ姉が来たら運んでもらうよう頼んでる」
フレアがカップに赤いワインを入れて持ってきてくれた。
ちなみに、妖精たちはジュースにして貰った。
いやぁ、子供の体型と大して変わらない妖精に、飲酒を勧めるのはどうもね。
問題ないとは分かっているんだけど…。
「それじゃあ、カスターニェからの無事の帰還を祝ってかんぱーい!」
カチンと乾杯して、私とエリーはワインに口をつけた。
「おいしー」
「エリーは飲み過ぎないようにね。村から禁酒って言われてるんでしょ」
「ううう…なんか絡むらしくてさー、私。禁酒って言われてるけど、なかなか守れないんだよね」
「まぁ、冬になると手軽な暖だからねー。お酒は」
「そうなんだよね。しかも、美味しいし。アカデミーにお酒を売っているの知ってびっくりしたよ」
「あれも、調合に使うんだよ。エリーもいつか使うから、何本か買っておいたほうが良いよ」
「ううう、調合に使う前に飲んじゃいそうだからやめとくよ」
あはははと笑いあっていると、次々に食べ物が運ばれてきた。
カスターニェと違い、肉がメインだ。
「あー、飛翔亭のこのソテー食べたら、帰ってきたーって気になるわぁ」
私は、ソテーして甘酸っぱいリンゴソースをかけた豚肉を口に入れる。
他にもキノコやベルグラド芋を使った品々が並んでいる。
「あれ、ベルグラド芋にチーズのっけたの?」
「えぇ。前にフレイちゃんが美味しいって言ってたの、お父さんが覚えてたみたいで作ったら、評判がよくって」
チーズはどうやら牛のチーズを使っているようだった。
スープはちょっと唐辛子を利かせたのか、ピリリと辛い。これからの時期にはピッタリのスープかも。
私とエリー、妖精は食べる事に専念していたが、ハレッシュとイヴァンは同業者が押しかけてきている。
どうやら、カスターニェ方面の情報を知りたいみたい。
それぞれ、酒を片手にやってきて、奢ったりしてくれている。
ハレッシュもイヴァンも遠慮なしに酒を貰って飲んでいる。
まぁ、じきに分かる事ばかりだから、隠す必要も無いしね。
やはり、冒険者の話題に上がるのは海竜フラウ・シュトライトだ。
誰もが竜を倒し、英雄となる夢を見るらしい。
私にしてみたら、地に足をつけた考え方をしろよって思うんだけどねー。
男って夢見がちな生き物だから。夢の無い人生と言うのは悲しすぎるか。
私とエリーは、暇を見てやってくるフレアにカスターニェでの食べ物や、海がどんなものかなど事細かに話す。
一番興味が持ってくれたのは、やはり洋服だった。
かなり薄着だからねー、あっちは。
それに、向こうの気候とこちらの気候では色の映え方が違うから、その辺りの話をしたりした。
それと、真珠や島琥珀などの宝石の話は、やはり食いついてくるものらしい。
そんなこんなで、土産話を強請られまくった打ち上げは終了した。
途中で酔っ払って絡みまくったエリーをイヴァンが気絶させてから担いで、我がアトリエに連れて帰ってもらった。
あー、ようやく旅が終わったー。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。