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19 はじめての調合おまけ
初めての調合の次の日から、私はアトリエに篭って調合を続けていた。

まず、中和剤(緑)を復習も兼ねて5回分調合をして、次に中和剤(青)を調合した。
緑に比べて材料がヘーベル湖の水だけなので、ゆっくりと加熱しながら魔力を注ぎ込むだけで完成した。
これも5回分。確か、記憶で五回分までは一日で出来てたなぁと覚えていたから。

中和剤(赤)は材料がないので、一先ず調合を終了して初等錬金術講座と中等錬金術講座を読むことにして、机に向かう。
何度か読み意味を考え、作り方を頭の中に思い描くまでに一日かかった。

これで三日。次は蒸留水の調合に入るぞと思っていたら、アトリエのドアがノックされた。

「はーい」

まだ夜は明けておらず、誰かと思いドアを開けたら笑っているアスランがいた。
あまりの笑顔の不気味さに、思わず扉を閉めようとしたが足を挟みこんできて、閉めることが出来なかった。

「こんばんわ、フレイ」
「こんな時間にどうしたの?」
「ちょっと話があるんだ」

私はアスランを部屋に招き入れて、居間に通した。
調合ばかりしてたので、かなり汚れている。

アスランは私の様子を見ると深く溜息をつき

「最近、まともにご飯食べたのいつ?」
「え、ご飯?えーと、9月2日の日に魚のムニエルしたかなぁ。それから…あ、パンは食べてた」
「やっぱり。イヴァンがフレイの家のカーテンが開いてないって連絡が来たんだ」

最近、イヴァンがご飯を食べにこないと思ったら仕事でザールブルグに居なかったようだ。
仕事帰りのイヴァンがアスランに連絡して、今回のアスランの深夜訪問になってのだろう。

「フレイは一つのことに熱中したら、周囲が見えなくなるからね。今から軽い食事を作るから、食べたら寝るんだよ」
「うん。じゃあ後片付けしてくるわ…」

錬金術漬けの日々からいきなり日常に戻された反動か、今まで大して眠くなかったのに眠気が襲ってきた。
その眠気を振り切って、アトリエに行き読んだままの本や色々とメモをしたノート、調合器具を片付ける。
どうも、よっぽど先を急いでいたのか調合したものも棚に収納していない。
アトリエの棚に中和剤2種類を並べて置いておく。

床も埃っぽいので明日まとめて掃除をしてしまおう。

「できたよ」

アスランが鍋をテーブルに置き、スープをよそう。
ミスティカをふんだんに使った肉団子のスープは、最近まともに食事をしていなかったおなかを刺激した。
そのスープに薄く切ったパンをつけてくれる。

いただきますとあいさつをして、少しずつスープを飲んでいく。
まともに食べていない胃に久しぶりのまともな食事は、あっという間に収まってしまった。

「後片付けは明日自分でしなよ。錬金術もいいけど、食事ぐらいきちんと取る事。わかった?」

眠気と戦いながら必死に頷く私。
確かに錬金術に力を入れすぎて、まともに生活していなかった。
きっと、アスランたちに心配をかけたのだろう。
それでも、ぎりぎりまで見守ってくれていたのだ。
こんなこと、何回も続けたらそれこそ雷が落とされる。
ジークおじさんは、あぁ見えても結構怖いんだ。

「鍵は閉めていくから……あぁ、おやすみ」

アスランの声が遠くなり、瞼が抗うことなく閉じていく。
ゆらゆらと揺れていたら、暖かい布団の中に落とされて、私の意識は完全に途切れた。


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