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17 はじめての調合1
入学式が終わり、私は買った機材と教科書を持ってアトリエへと帰った。

簡単な昼食を取り、アトリエに置いた勉強用の机に向かいアカデミーで配布された教科書を開く。
教科書の名は『絵で見る錬金術』と言う。

『絵で見る錬金術』は、その名の通り錬金術の手順を判りやすくイラストを多めに入れて説明してある、初めて錬金術を学ぶ人向けに作られた、入門書である。
前半のページにザールブルグ近郊で入手が可能なアイテムの名前が載っており、後半は説明されたアイテムを使って、錬金術の基本となる中和剤のレシピと調合方法が書かれてある。

知識としては色々と知ってはいたが、実際錬金術をするのは色々と勝手が違うと思うので、誰かに教えてもらいながら調合を試してみたいと思う。

「確か一週間の講座の時間割があったと思うけど…」

貰ってきた教科書に挿んでたはずと、教科書を逆さにして振ると一枚の紙が落ちた。

「あったあった。明日の一時間目に中和剤(緑)の調合があるわ」

渡りに船であった。担当の先生はイングリド先生。

イングリド先生は、有名な錬金術士らしいが、アカデミーの経営に携わることが増え、授業を受け持つ時間が少なくなっているらしく、今回中和剤なんて言う最低レベルなアイテムの為に教壇に立つなんて滅多にないことらしい。

「多分、エリーの為なんだろうなぁ…」

自分が教えて大きな成果を挙げたマリーと似た資質を持つであろうエリー。そのエリーの為に今回の授業なのだろう。

「あの成績で入学って、馬鹿にしてるとしか思えないし」

入学式後に図書館の横で確かめたエリーの入学試験のときの点数。平均230点で、130点って何の冗談ですかと言いたくなった。
補欠といえどよく入学できものだ。

「あれだ、一芸入学か」

現代でも似たような制度はあったな。あれって真面目に勉強した人間にとって、なんか腹立たしいものがある。

ちなみに私の点数は210点。ペーパーが200の実技が10点と言う実技の勉強を全然してないのが丸わかりな成績でした。
ちなみにエリーは実技100点、ペーパーが30点と私とは真逆でした。






次の日の朝、私は筆記用具と教科書を持ってアカデミーへと向かった。
目的は中和剤の講座だ。

「うわ、いっぱいいる」

中和剤なんて習うのは初心者の一学年だけかと思っていたら、先輩たちの姿も見られた。
アカデミー側も講座を受ける人がこんなに多いとは思ってはいなかった様で、急遽講座を分けることにしたみたいだ。

「イングリド先生の講座を希望の人はこちらに並んでください。それ以外の人でもよろしい場合はこちらですー!」

アカデミーの職員らしき人が大声を張り上げて、言って回っている。

イングリド先生が目当ての人が口々に文句を言いながらも、並びだす。

私がどちらに並ぶかと言うと

「こっちの方が少なそうだし」

イングリド先生以外の方に並びました。上手くいけばマンツーマンで教えてもらえる。

イングリド先生以外の方は私以外に二人しか居ない。ノルディスとアイゼルだ。

「あら、こちらは少ないのね」
「本当だ」

まさかこの二人がこちらに来るとは…。完全に想定外。
じゃあ、エリーはと言うと……両方の列に居ません。

うん、さすが主人公。斜め上の行動を取るとは、あなどりがたし。
多分、本を読んで今頃調合の実践でもしてるんだろう。

「こちらは、三人だけですか」

ケルヒャー先生がやってきて、私たちの姿を確認すると

「三人だけなら一番小さい教室でいいですね。こちらです」
「ケルヒャー先生が教えてくれるのですか?」

ノルディスが聞いてきたので、先生は頷く。

「イングリド先生の方の人が流れてはきませんの?」
「あぁ。新入生以外は、イングリド先生が目当てですから、選に漏れたらそのまま帰りますよ。心配は要りません」

新入生が選に漏れたらどーするんだろう…。

「まぁ、中和剤の講座は今週に後一回ありますから、問題ありません。イングリド先生が担当ではありませんが」

そっちにしても良かったかもなぁ。

「さ、行きますよ」

私たちはケルヒャー先生の後を追い、いろんな意味で騒がしいこの場を後にしたのだった。





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