195 カスターニェ(珍)道中10
風呂はさすがに個人の持ち物だからか、こじんまりとした風呂だった。
まぁ、私とエリーの二人ぐらいは十分に入るので問題なしだ。
よくよく考えれば、個人でこの風呂を持っているって言うのは凄いことなのかもしれない。
「ああああ、生き返るー」
びっくりしたのは、エリーが中和剤シャンプーを持っていたことだ。
なんでも、クリスの店で見かけたので買ってみたらしい。
「これ、案外良くてさ。匂いもいいからお気に入りー」
どうやら、順調に売れているらしかった。
近いうちに追加注文が入るかもしれないなー。
パメラ辺りに対応させてみるか。
一応出来上がった商品のサンプルには目を通さないといけないけれど。
それにしても、ウチの妖精たちって、普通の妖精より調合に関しては上かもしれないな。
ふふふふ、妖精の魔育成なんて燃えるわー。
でも、汚れオチはなぜか魔法の草で作ったほうがいいんだよねー。
ランドーで作ったのは匂いは魔法の草のよりはいいのだが、汚れオチはいまいちかな。
まぁ、マイルドと言ったらランドーの方だけど。
まぁ、今回に限っては、何日も風呂に入れなかったら体が汚れていたせいもあるんだけどね。
旅には、魔法の草のシャンプーの方がいいかな。
カスターニェでも、風呂には入れたらいいけど、期待できないっぽいよなぁ…。
湯船に入ってエリーと一緒にまったりしていたら、エリーが険しい顔をした。
そして、キョロキョロと辺りを見だした。
「エリー?」
「いたぁ!」
そう言うと、エリーは風呂桶を手にとって、投げた。
水が入っていた桶は、窓の木枠にぶつかり水を撒き散らす。
「うわっ!」
すると、本来人がいない場所から声がした。
「は?」
エリーは急ぎ湯船から出ると、風呂場の扉を開き何かを取る。
「って、エリーたんまたんまたんま!」
ガラリと窓を開き、エリーがクラフトを投げた。
パパパパパン
クラフトの爆発音がして、宿が騒がしくなる。
「エリー、やりすぎぃ…」
私は布で体を隠して、窓から外を見ると、そこには倒れている少年の姿。
そして、逃げて行く数人の後姿。
どうやら、クラフトの直撃を食らった少年は見捨てられたようだ。
なるほど、村の子供達が覗きに来たのか。
ピクピクと動いている少年の姿に、どうやら命には別状はなさそうだと思い、窓を閉める。
「フレイ姉、何かあったの!?」
イヴァンが風呂場の扉を開けて、入ってきた。
鍵閉めていたんだけど…。
見てみると、鍵がぶっ壊れていた。
どうやら、力尽くでぶっこわしたらしい。
「あ、のぞき」
「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
エリーが胸を隠して、慌てて湯船へと戻る。
あ、エリーちゃんと隠していなかったらなぁ…。
でもこの場合、隠すのは胸ではなくて下半身が正しいと思うのだけれど?
女の子って、こー言うときなぜか上半身を手で隠すよね?
条件反射ってやつか?
「あ、エリー。ご、ごめん!」
私とエリーの居る場所が、風呂場だと思い出し慌てて出て行くイヴァン。
「ついでに、外の覗きも回収しておいてー。共犯者ついでに吐かせててよ。もう、少ししたらあがるからー」
「フレイ、なんで動じないの?」
裸を見られて涙目のエリー。
「あのさ、弟に裸見られたぐらいで動じますか。誰がイヴァンを風呂に入れていたと思っているのよ」
まだ小さい頃は、イヴァンは私が一緒に風呂に入れていたんだ。
アスランじゃあ、まだまだイヴァンの面倒がちゃんと見れなかったし、イヴァンは甘えん坊で手がかかったからね。
「ううう…見られたぁ……」
「まぁ、事故だと思って忘れなさい」
そう言えば、イヴァンの顔が赤かったよなぁ。
もしかして、イヴァン×エリーってカップリングも成立するのか?
けど、エリーとイヴァンか。うん、なんていうか肉弾戦?って感じだね。
※※※
風呂から上がると、アンナさんにそれはもう謝罪された。
「年頃の男の子だから仕方がないとは思うんですけどねぇ…」
「若いのに枯れた事言うお嬢ちゃんだねぇ…」
そりゃあ、精神年齢は違いますからね。
ちなみに、覗き犯はイヴァンにソレはもうこっぴどく締め上げられ中でございます。
共犯者の名前を言うのも時間の問題だろう。
あ、さすがに常備薬で犯人は回復させました。
怪我が云々といちゃもんつけられたくないですから。
「私からの詫びだよ」
そう言って、アンナさんは酒を一瓶くださいました。
「この村で作っている酒さ」
「果実酒ですか?」
「あぁ。葡萄酒だよ」
一口飲んでみると、辛口で美味しかった。
好み的には辛口より甘口の方が好きだけど、これはこれでいいわぁ…。
落ち込み中のエリーにも入れてやり、後はハレッシュとイヴァンにと置いておく。
結局幾分もしないうちに、共犯者の名前が吐かれ、アンナさんによってそれぞれの親へと報告がされたのだった。
次の日の出発前に、それぞれの親から詫びとして色々と貰いました。
なんでも、大草原がそんなに遠くないらしく、大草原の素材が少し混じっていました。
エリーとそれを仲良く半分に分けました。
特筆すべき素材は、四葉の詰め草とワルツ草があったことかな。
飲みすぎたら、明日以降の旅に支障が出るからね。
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