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155 創立祭結果発表 2
手が上がったのは二年生の席からだった。
立ち上がったのは紺色の錬金服を身に纏った男子生徒。

あれ、どっかで見たような気が……どこだっけ?

「あなたは確か二学年のライナー・ヴァンフリートでしたか。異議とはどう言う事ですか?」

パッと見て、普段と余り変わらない風に見えるイングリド先生だが、そのコブシはギュッと握り締められ、気温が私達の周りだけ下がったように感じる。

事実、壇上にいた他の先生たちの顔は真っ青だ。

「二位や、三位の先輩達の調合は確かに見事でした。あれだけのレベルの調合は、僕達の学年ではとうてい無理です。けれど、今回一位の彼らの調合は、ただの食べ物でした。あんなものが先輩達を抑えて一位に相応しいなどとは到底思えません!」

あぁ、なんかどんどん気温が下がっていくな。
そろそろ、避難したほうが無難かもしれない。
エリーの腰は引けているし、ノルディスもようやくイングリド先生の機嫌急降下に気付いたのか、顔色が少し悪い。

私はチラリとヘルミーナ先生を見てみると、ヘルミーナ先生は興味深そうにしている。
多少ムカついてはいるけれど、イングリド先生が困るのを見れて嬉しいのか?

ヴァンフリート上級生の周囲も、確かに美味しかったけど調合としては難しくなさそうよねなどと言い出した。

あれ、あまり良くない雰囲気だわ。

イングリド先生は、ざわざわとざわめく生徒達を見回して、溜息をついた。

「あなたの言う一位に相応しいと言うのはどんなのを指すのですか?」
「当然、高レベルの調合です!
 二位のエリン先輩の<星のネックレス>や、三位のアルメン先輩の<ミスティカティ>のような高レベルの…!」

なおもクドクドと私達の調合がどれだけ低レベルで、高尚さにかけるかまるで嫁をいじめる姑の如く言い募ってくれた。
いや、絶対女にモテないよ、アイツ。

「確かにアカデミー生は、高レベルの調合品に投票をする傾向がありましたが、一般来客者のほとんどは彼等の調合に投票しています。そこから考えてみても、今回の投票には問題はありません」
「そもそも、錬金術が大衆に迎合するのは歓迎できる事だとは思えません!」
「民衆に受け入れられない学問なんて、廃れていくものだと思うけどね」

ボソリと小声で呟いたつもりの言葉だったが、思ったよりも大きかったようだ。

私をギロリと恨みがましい目つきで見るライナー・ヴァンフリート。
あ、思い出した。
あれだ。グラセン鉱石泥棒!

ようやく、私はライナー・ヴァンフリートがヴィラント山での鉱石泥棒だと思い出したのだった。
でも、思い出した要因が恨みがましい目つきと言うのがなんともはや…。

なるほど。自分を牢屋にブチ込んだ私が、創立祭の一位なんてムカつくから物言いをつけたって事か。
だったら、遠慮はいらないね。

ふと、視線が気になってそちらを見てみると、ケルヒャー先生とヘルミーナ先生が笑顔でサムズアップしていた。

私は、息を大きく吸い込んで、声を張り上げた。

「今回、私達が一位を取れたのは、一般来客者の票を大量に取得できたからと先生は仰いました。それだけで、一位が取れるほど創立祭は甘いものではないと思います。事実、ヴァンフリート先輩が仰ったように、私達の調合レベル以上の調合は多々ありました」

大きい講堂に朗々と響く私の声。

私の言葉にヴァンフリートは、満足したように頷いた。
ちなみに、イングリド先生は最初私を黙らせようとしたが、事の成り行きを見守ることにしたようだ。

エリーやノルディス、アイゼルは心配そうに私を伺っている。
大丈夫。こんなレベルの低い言いがかり如きで私達の努力の結果を無になんかさせないから。


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