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145 創立祭1日目 1
8日の早朝、アイゼルが家の馬車を私の家に寄越してくれた。
調合した品物や、必要になるものを全部馬車に乗せてしまう。
いや、アイゼルが家の馬車を貸し出してくれなかったら、持って行くだけで何往復した事か。
その辺りに気付いたアイゼルに感謝したいよ。
朝が早いのに文句も言わずに馬車を出してくれた、アイゼルの家の御者さんにも感謝だ。
行く途中にエリーを拾って、アカデミーへと向かう。

朝靄の中、私とエリーはアカデミーに到着した。
竈の具合などは、昨日確認しておいたが不備は無かった。

私は竈の前に来ると、火を入れる。
自分の作品の展示をしている学生達が、チラチラと私達を見ていく。

私はそれを横目に、ベルグラドいもを切っていく。
イメージ的にはファーストフードのポテトだ。
その横で、ノルディスが豆のスープを調合している。

調合時独特の反応を起こしながら、鍋の中身が変化していく。
それを遠目ながらも凝視するアカデミーの生徒達。
彼らの視線を感じながら、私とノルディスは準備を終える。

後は、お客さんが来るのを待つだけだ。
ちなみに、ビッターゲイトなどの飲み物は食堂へと配置した。
こちらは、どちらかと言うと食べ物オンリーだからね。
豆のスープもあるので、飲み物の類は全て室内への配置にしたのだ。

創立祭が始まるのと同時に、ノルディスが鍋の蓋を開け、私は揚げ物を始める。
食べ物のいい匂いが、辺りに漂い始めた。

ポツポツと入っていた客が、興味深そうに私達の方へとやってくる。

「これ、売り物なの?」

子供を連れたおばさんが尋ねてきた。

「はい。一つ銀貨二枚ですね。両方頼んだら銀貨三枚になります」

二つ頼んだら得な値段設定にしておいた。
ファーストフードのセットの感覚を持ち込んだのだ。
こうすれば、どうしても二つ買いたくなるのが人間ってなものだ。
1個頼むより二つ頼んだほうが得な場合、どうしても余計な金額を出して頼みたくなるんだよね。

「じゃあ、2つとも貰うわ」
「毎度ありー」

ノルディスが銀貨を受け取り、用意していたカップに豆スープを入れて手渡す。
私は揚げたポテトを紙に包み、手渡す。
ちなみに、この紙はアカデミーの使用済みの紙を交渉して回してもらった。
ちなみに、その交渉もノルディスがした。
ノルディスってアカデミーでトップの成績を維持しているせいか、先生の受けが凄くいいんだよね。
なので、対アカデミーの交渉にはうってつけだったんだ。

「おかーさん、おかーさん、食べていい?」

子供が母親のスカートの裾を引っ張る。
視線は手に入った食べ物に釘付けだ。

「熱いから火傷しないようにねー」
「うん!」

子供は嬉しそうにポテトを口に入れる。
親は豆のスープ飲む。

「あら、青臭いと思ったけどそうでもないのね」
「えぇ。錬金術でスープを作ったら、あまり青臭くないんですよ。此処で売っている食べ物は、全て錬金術を用いて作っています」

通常、ヒヨコマメでスープを作ったらどうしても青臭くなるんだよね。
それは、錬金術で作ったスープも一緒だ。

なので、この台詞は真実ではない。

「おかーさん、こっちのいもを揚げたやつも美味しいよ!
 これだったら、僕毎日でも食べてもいいよ!」
「こっちは、錬金術で作ったシャリオ油を使いました。臭味があまりないので、気にならないでしょう?」

母親もポテトを摘み、口に入れる。

「ホント、塩味が適度に効いていて美味しいわね」
「食堂の方に菓子類と飲み物も用意しております。よろしかったら、どうぞ行ってみてください」

お菓子の言葉に、ポテトフライを食べていた子供が反応する。
うん、子供は甘いものが大好きだからね。

「母さん母さん、俺菓子食べたい!」
「お菓子は高いものねぇ……」
「少し小さめですが、一つ銀貨三枚で販売していまーす」
「あら、思っていたより安いのね。じゃあ、いってみましょうかね」
「よろしくお願いしますー」

遠目に私達を伺っていた人たちも、親子連れが去ると私達の方へとやってきた。
さて、ここからが本番だ。
アイゼル達の方もこれから忙しくなるだろう。


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