105 学校行事の知らせ
半月ぶりぐらいにアトリエに戻ると、2月はすぐそこだった。
イヴァンはカリエルへの護衛の予定が入っているらしく、ほぼ休憩なしでカリエルに向かった。
いやはや、売れっ子さんは大変だな。
私はと言うと…。
「<お酒のもと><アルコール><酒かす>」
うきうきとポポロとパメラの2人がかりで採取させた素材で調合をしていた。
いやー、酒は寝かさないと美味しくないから、早めに作るに限るよね。
特に<お酒のもと>は多目に作らないと。色々と酒関係の調合に使うからね。
遠心分離器をぐるぐると回してると、珍しくアイゼルがエリーとノルディスを連れてやってきた。
「フレイ、ちょっと相談があるのですけど」
「なに?
あ、調合しつつでいい?」
妖精をすべて採取に出しているので、私自身がお茶を入れる。
ちなみに、アザミミルクティーだ。
「飛翔亭で何度か戴きましたけど、美味しいですわね。今度、茶葉を売っていただけます?」
「高いけどいいの?」
これ、一つ150以上するんだよね。
「構いませんわ。それでも、普通に頼むより安いのでしょう?」
そりゃあ、飛翔亭で買ったら中間マージンが取られるからね。
私から直接買ったほうが安いのは確かだ。
「僕はもう一つのハーブティーが欲しいな。あれを飲むと魔力が回復するように思えるんだ」
「うん、実際回復するし」
「……そうだったんだ」
「食べ物で体力や魔力が回復するのって結構多いわよ。侮っていたら、下手な薬より回復するし」
医食同源とは言っても、ここまですごいと何かが違うよね。
「それで、相談って?」
「春の創立祭の事なんですけど」
「あー」
マリーのアトリエプレイ時では、確か3月8日・9日に半額セールをするぐらいしか記憶になかったのだが、実際は文化祭の様な外部への錬金術の紹介になっていた。
私も入学前は何度か遊びに行った事があるのだけれど…。
「あれって、面白くもなんともないイベントよねー」
「フレイ…」
アイゼルが苦笑する。
だってさ、錬金術士が自分が調合した物を並べて見せるだけなんだもの。
もうちょっとエンターテイメント性がないと、客が来ないわよ。
「でも、投票で上位入賞しますと、賞品がありますし…」
「あー、好きな参考書だっけ?」
「今年は希望する器材でもいいんだって!」
遠心分離器遠心分離器と、念仏のような唱えるエリー。
余程年末の蜂蜜作りが効いたのかなぁ…。懸命に作った蜂蜜の評価もいまいちだったみたいだし。
エリーとそこまで仲が良くないアイゼルが、エリーと共にやってきたのは、やはりノルディスが原因なんだろうなー。
まぁ、必要な器材って事は、アイゼルはアタノール辺りか?
あれは、鉱物の調合には是非とも一押しの器材だし。
「僕達が考えた物も、あまり代わり映えがしなくて…」
ノルディスが紙に纏めたアイディア一覧を見せてくれた。
提出するアイテムが違うだけで、ほぼ似たようなものばかりねー。
「ほら、フレイって人気高いからさ。いいアイディアない?」
「私も一枚噛めってこと?」
コクコクと三人が頷く。
「……それじゃあ、これ全て没」
「えー」
「こんなの今までと何の代わり映えもしないわ。先輩達を出し抜いて1位取ろうと思ったら、これじゃ駄目よ」
事実、先輩達の中には、私達よりレベルの高い調合をこなせる人はいるのだ。
その中で入賞をしようと思ったら。
「食べ物関連の調合ね」
「食べ物、ですの?」
アイゼルの言葉に頷く私。
「確か、先生達や生徒の投票のほかに、市民からの投票もあったでしょ?
それを狙うわ」
大体見るのに時間がかかるのに、食べ物の屋台は一つも置いていないあの理不尽。
「メニューは私が考えるけど、作るのは三人もやるのよ?」
「え゛」
エリーが嫌そうな顔をする。
いや、まぁ最近料理をしだした人間に難しいメニューなんてさせないから。
「錬金術関連って事で、料理に必要な材料は、錬金術を使ったものを出すわ」
「例えば?」
「シャリオ油でベルグラドいもを素揚げして、塩を軽く振ってやる。これだけで、一品できるわ」
エリーがなるほどと納得する。
うん、料理としては簡単な部類だ。
「後は大量に作りたいならば、スープ系かしらね」
ある程度の量を作るのならば、スープ料理に勝るものはないだろう。
カップに入れてやれば、持ち運びも便利だ。
「食器はどうするの?」
「アカデミーの食堂から借りればいいわよ。後で洗って返却しなければいけないけど」
紙コップとかあればいいけどねー。
一から作るのには、ちょっと時間が足りないし。
「でしたら、後は甘味ですわね」
「甘味ねー…。蜂蜜使ったお菓子でも考えてみるか。ほら、材料に全部調合したアイテムが使われるから、調合したものの発表って言う趣旨には沿っているわよ」
「少し話しただけで、そこまで思いつくフレイが変わってると思うよ」
「そう?」
カステラは目新しくない。
簡単に量を作るなら水あめがいいけど、あれは華がない。
なんて言うか素朴すぎるんだよねー。
「許可が出るのならば酒類も出したら面白いかもしれないけど」
「流石に無理だよ」
「だよね?」
4人で相談しながらメニューを煮詰めていった。
結局、三人の希望でハーブティーも出品することになった。
2月の間は、皆で材料の確保に動くことになる。
ちなみに、ベルグラドいもとヘーベル湖の水はエリーが。
シャリオ油とスープの材料はノルディスが。
蜂蜜とそれを使ったお菓子は私とアイゼルが。ちなみに、ハーブティーの葉も、私が担当する。
いや、私以外調合できないしね。
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