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7 入学試験1
妖精との出会いから、二年近くの月日が流れアカデミー入学試験前日になった。

あれから、我が家の食生活のレパートリーは大幅に増え、一般市民の食生活とは思えないほどの充実振りだ。

それ以外に二年前から変わったことといえば、アスランが騎士見習いになりイヴァンが冒険者になったことぐらいか。

二人とも着々と自分の夢に向かって進んでいる。私も負けて入られない。

だからと言って二人とも完全に独立したかといえば、そう言う訳ではない。

毎晩食事を食べに帰ってきている。いや、イヴァンはいいんだ。ザールブルグが地元で家もあるのに、わさわざ宿なんて取る事は無いと思うし。

問題はアスランだ。

本来ならば城で集団生活を送るはずなのに、わざわざ食事の為だけ帰ってくるのだ。

夕食を食べ、次の日の朝食に簡単なお弁当を私に作らせて持って行くのだ。

毎月食費は入れてくれるので損はしてないけど、正直そこまでするかと思った。

アスラン曰く、私の食事に慣れてしまった口に騎士団の食事は家畜の餌レベルらしいのだ。確かに軍隊の食事なんて、古今東西美味しくないと決まっているけどね。

「俺以外にも、貴族出身者は当たり前のように外に食べに行ってるから問題は無い」

どうやら騎士団の賄い食は、あまり裕福ではない平民が取る事が当たり前のようだ。平民出身の子も、懐に余裕があれば、安価な屋台でのお持ち帰りを使うらしい。

まぁ、騎士と言っても見習いなので、装備品などは自腹で揃えていかないといけないので、そんなに余裕があるわけでもないらしい。

そこまでして、食事に金を使うとは、やはり人とって食事は重要なファクターなんだなぁと思った。





食事の話はともかく、アカデミーの試験当日になった。

私は一応余所行きの服を着て、簡単な筆記用具(羽ペンとインクとメモ)を携えてアカデミー前に来ていた。

そこには私以外にも百人以上の人がいて、全員がアカデミー入学希望なのかと改めてアカデミーって人気があるんだなと思った。

数年前までは錬金術は怪しい学問と見なされていたのだが、五年前に一人の錬金術師が町にアトリエを開いてから、急激に変わった。

錬金術のアイテムがそのアトリエを通して、日常に多く出回ったのだ。

今までも中和剤や研磨剤等の、一部の商品は出回っていたのだが、それ以外の多くのアイテムが市場に出回り、その便利さからザールブルグの人々に受け入れられた。

そして現在、その便利さに引かれた人々が錬金術を学ぼうと、アカデミーの門戸を叩くようになったのだ。

「入学試験の手続きはこちらですー」

アカデミーの在学生だろうか?まだ若い錬金術師のような服を着た男性が、しきりに大声をあげていた。

他にも手続きを終えた人を纏め上げ、順番に教室へと案内していたりする人もいた。

私もさっさと手続きをすることにした。

「お名前は?」
「ザールブルグに住むフレイ・ローゼンです」
「フレイさんですね。はい、確認しました。こちらが試験証で、これがなければアカデミーに入れませんので、紛失に注意してください。試験は5回目の鐘がなると同時に行われますので、それまでに教室に入り準備をしていてください」

そう言って金属のカードを受け取り、私は始めてアカデミーの内部へと足を踏み入れたのだ。

ゲーム内で毎回見た装飾に、あぁ本当にアトリエ世界なんだなぁと改めて実感した。






教室に入ると、もう八割方席は埋まっていた。適当に席に座り、筆記用具を出し一息ついた。

私の感覚では、後30分もしないうちに試験は始まるだろう。

試験中は周囲を見るなんて事は出来ないだろうから、今のうちに見ておく。

あ、ノルディス発見。ゲームでも思ったけど、おでこが微妙で将来が心配そうな髪だ。

錬金術の本だろうか。何か熱心読んでいる。

あっちにはアイゼルがいた。綺麗な服を着て、横の友達らしき子と何か話している。

エリーは残念ながらいない。別の教室なのだろうか?

一通り辺りを見渡し、満足すると鐘が鳴った。

鐘が五回鳴った。五の鐘だ。

それと同時に紙を抱えた中年の男の人が入ってきて、教壇に立つ。

「私の名はフレッド・ケルヒャー。アカデミーで助手をしている。今から問題用紙を配るので、前から順に後ろに回すように」

一番前に用紙を配ると、それが順番に回りだす。

「制限時間は今から六の鐘がなるまで。気分が悪くなったり試験が終わったものは途中退席を認めるが、その場合教室への再入場は認められない。以上が注意事項だ。配り終わったものから、試験を開始せよ


私の元にまで試験用紙が回り、問題を見る。

まずびっくりしたのは、紙の質が私達が使う物より遥かに高品質だった事だ。

おそらく錬金術で作る魔法の紙が使われているのだろう。

ざっと目を通してみると、前半は計算問題がほとんどで、後半が錬金術の基礎知識だった。

私は筆ペンにインクを付け、問題に取り掛かかる。計算問題は単純な計算問題がほとんどだった。

一問だけ問題レベルが違う問題が混じっていたが、所詮は中学生レベル。難なくクリアをしてしまう。

後半に入っても、私の筆のスピードが衰えることは無い。

(錬金術の属性を4種類書け、か。赤青緑白。金は入らないよね)
(中和剤は何種類あるかだって?赤青緑の三種類と)

正直アトリエをやりこんだ私の前では、何の苦労も無く解ける問題だが、錬金術の知識が全く無い人は解けるのか疑問である。

それを考えると、よくエリーって補欠といってもアカデミー入学できたなぁ。

そして、最後から二番目の問題のときに筆が止まった。


<全ての病気傷などを回復させることが出来る、エリキシル剤で必要となるアイテムを想像して、書け。アイテム名でなくても良い>


いや、アイテム名書けるけどこれは書かないほうがいい。知っていたら不自然だ。

エリキシル剤はアカデミーの秘薬。当然レシピなんて公に出回っていない。

(精神を癒す薬と傷を治す薬、最後に体の異常を回復させる薬をまぜたものだと推察される。)

これぐらいなら、大丈夫だろう。薬品名なんて書いていない。

問題文から読み取ったで対応できる。

そして、最後の問題。


<錬金術のイメージを書け>


錬金術のイメージか。便利な技術ってだけじゃ多分駄目だろうな。

私は少し考え

(アイテムを素材と自分の魔力を使い変化させる事が出来る、新しい技術。技術ゆえに、素質はあまり関係なく、万人が習得可能)

と、書いた。

私が今までプレイしたアトリエシリーズは、錬金術と言うのが一般的な魔法とは違うと言うイメージがある。

魔法みたいに無から有を生み出すのではなく、素材を使いその素材を変化させる、ただの技術だ。

製作過程に僅かに魔力を使うが、その量にしても普通の魔法と比べてごくごく少量だ。

だから、魔力が全く無い人間以外は全員覚えることが出来るのだ。

ある意味コレは凄いことだと思う。剣術や魔術は、どうしても本人の資質が物を言う。

資質が無い人間が、どんなに努力をしても資質がある人間には適わない。

けれど、錬金術にはそれがない。それはとても素晴らしい事だろう。


全ての問題を終えて、改めて見直し間違いが無いかを探す。

その間に何人もの人が試験を終えて、教室から出て行くが私は出て行かない。

最後の一分まで問題を見直し、一問の間違いようにするのだ。


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