五十八話と同時掲載です。
見ていない方はそちらを先に閲覧お願いします。
エピローグ
この世界スフィーリアには、一つ有名な街があった。
『探索者の街』エスティア……七つもの『大迷宮』が近隣に存在する、名の通り探索者のための街。
その街ゆえに、大きな探索者たちのギルドがあり、探索者を目指す子供のための学園が存在している。
そんな街の中に存在している、小さくてどこにでもあるような喫茶店、だけどその喫茶店はどこか違っていた。
独創的な料理がそこに並んでいるという。
そのマスターは学園で教師をやっていたという。
名のある探索者たちが大量に通っているという。
夜には秘密の会が行われているともいう。
獣人も翼人も使徒さえも受け入れるという。
そしてそこのマスターはとても強い人だったという。
店内で暴れた客が軽くひねられたという。
そのマスターと仲良くなれば探索者として大成するという。
マスターの一声でギルドが傾くという。
その気になれば国一つまとめて相手にできる戦力があるという。
そんなたくさんの噂が、まことしやかに騒がれていた。
その噂の中には真実も、あるいはそうじゃないものも当然あるだろう。
「はは……」
「わふぅ……」
そんな話を聞いて、街を歩いていた二人組は小さく笑みをこぼした。
その噂の中には、二人が知っているものも知らないものも並んで存在していたのだ。
彼らは、広く難解な街の中を迷いなく足を進めていく。
通い慣れたといったように、その足取りはとても速かった。
「戻ってきたね」
「戻ってきたな」
二人組の男と男の子は、笑みを浮かべながら歩く……その二人が向かう先は、彼らのよく知る場所。
件の噂の中心地である喫茶店『旅人』。
そこは二人にとってたくさんの思い出があり、大切な人がいる場所。
そこでは、多様な客が訪ねて、たくさんの物語を残してきた場所。
なによりも、二人にとって帰るべきたった一つの場所。
その店の前に、二人は立ち尽くす。
「どっちから入る?」
「一緒に!」
「そうだな、じゃあ」
「「せーの」」
『旅人』の扉が二人によって開かれる。
二人の知っている頃と、何ら変わらないテーブルや椅子の配置。
漂う料理の匂い、店内の雰囲気。
それらは二人の記憶のまま、そこに存在していた。
そしてなにより……喫茶店に来ている客の顔が、そして働いている従業員たちの顔が、二人が最後に見たときとなんら変わりない姿でそこにいた。
従業員たちは、そんな二人組の来訪に驚愕の表情を浮かべ、次いで心底嬉しそうな表情を浮かべる。
そしてそれは二人もまた同じで、笑顔を浮かべたまま……
「「ただいま!」」
大切な人たちに、大切なこの場所に、大切なこの世界にその言葉を告げるのだった。
こうして、異界の詠歌いと呼ばれた青年と、その青年とともに歩み続けた少年の旅は終わりを迎える。
だけど、それは全ての終わりではなくて、ここから始まる新たな物語もまた存在している。
綴られた物語は幸せな終わり、だけど彼らの物語は続いていく。
それは記されることがなくても、彼らの歩みが止まらない限り、永遠に……
『異世界喫茶のマスターさん』・了
というわけで、『異世界喫茶のマスターさん』はこれにてひとまずの終了とさせていただきます。
読んでいただけた皆さん、本当にありがとうございました。
また、活動報告にアンケートを作っています、質問なども受け付けておりますので、答えてもいいという方は是非コメントお願いします。
評価
ポイントを選んで「評価する」ボタンを押してください。
ついったーで読了宣言!
― お薦めレビューを書く ―
※は必須項目です。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。