すいません。
何も言わずに旅行行っておりました。
とっとと次を更新しますので、待ってくださっていた方はご勘弁を(待ってくれてた人なんているんでしょうか?)
第弐拾五話 黒物・くろいヤツ
……朝美は、自分が考えるより先に行動するタイプだと知っている。自分がちまちまと作戦を考えるのを苦手としているということも、ちゃんと理解している。
それでも……
「どーだ、素晴らしい作戦じゃねーか? 名付けて、“奴の目を狙え大作戦”!!」
自分だったら、もう少し考えることができるんじゃないか、と思わずにはいられない。なんせ、あの、策がある、と言った直後の会話が……
…………
「アイツはな、あの目が弱点なんだ。よってあの目に集中攻撃するぜ」
「飛び道具とかは防がれそうねぇ……どうするつもり?」
「んのあたりは……アドリブで」
「……」
…………
……これだ。
「策がある」から数セリフ目で早くも“アドリブ”とかいう単語が飛び出しているあたり、考えの無さがにじみ出ている。貴斗が朝美に対して一抹の不安を感じていたのと同じく、朝美も貴斗に対して頼りなさのようなモノを感じ始めていたのであった。……そこに呆れという感情が多大に混じっているのも共通である。
「……とりあえず、目を狙う。手段はテキトー。これでいいわね?」
「オーケー、それで全部だ」
それで全部なのがマズいのだ。
「……あー、そうだ、ちょっと良いもん作ってやろうか?」
と、唐突に貴斗が何かを言い出した。どうもこの世界にいる人間は、物事を脈絡無く始めるきらいがある。
「良いもの?」
「武器だ。テメェがまたさっきみたいなことする気なら役立つだろうぜ」
「確かに便利そうねぇ……でも……」
朝美と貴斗は、揃ってあっちを見る。黒いヤツが復活を終了して、動き始めていた。
「10秒でできるととっても嬉しいんだけど」
「3秒でいけるぜ、問題ねぇ」
貴斗はさっと横に手を出し、ゴニョゴニョと何か小声で呟く。
そして朝美が一瞬まばたきした時、手と地面の間に、槍のようなモノが出現していた。長さは1メートルちょっとくらい。
「コイツはな、槍に斧が付いた“ハルバート”って武器だ。ただし、少し短め。その方がいいだろ?」
「使ったこと無いけど、それでいいんじゃないの?」
突撃してきた黒い腕をひらりとかわしながら会話する2人。なんだかんだ言って双方器用なのである。
「よっしゃ、行くぜ、こっからは完全アドリブだ!」
掛け声と共に、貴斗はいきなりハルバートを黒いヤツに投げつけた。何をしているんだお前は、という感じである。
……が、
「いいわよ、ナイスパス♪」
一瞬先に前へと突撃していた朝美が、見事それを受け取っていた。
そして、はじき返そうと突き出された太い腕を踏み台にして飛び上がり、
「テイヤァッ!」
縦に開いた大きな眼球に、一閃。そのまま反動を使って、ポン、と戻ってきた。初対面にしては妙に息のあったコンビである。前世では漫才コンビでも組んでいたのかもしれない。
……と、そんな一撃を受けた黒いヤツは、眼球から黒い煙を出してはいるが割と平気なようだ。腕を一本増やして目を押さえ、その隙間からこちらを睨みつけている。
「なんか悶え苦しんでる割には効いてなくない?」
「……もう一発だな。それ突き刺したまま残してきてくれねーか? ちょっと爆発させてみるぜ」
「全く、注文多いわねぇ」
この会話の間になんとか体勢を立て直した黒いヤツは、目を押さえながら、残った腕を突き出してきた。腕は細かく分裂し、数百もの細い腕が降り注ぐ。……なんとも便利な体である。
「舐めんなよ……36連ミサイル・ML-XR!」
貴斗の足下から、大量の小型ミサイルが飛び出す。先のミサイル攻撃の実に6倍にも及ぶ爆撃が、腕の攻撃を完全にシャットアウト。さらにその弾幕は、もう1つ効果を作り出していた。
「はい、隙有り、ねぇ」
舞い上がった粉塵の隙間から突然黒いヤツの目の前に躍り出てきたのは、ミサイルの爆煙を煙幕として利用した朝美である。……数多の爆風の中を全速で駆け抜けるこの技は、多分彼女にしかできないものだろう。黒いヤツはよほど想定外だったのか、もう一本腕を増殖させて防御に入るのが、一瞬遅れた。
その一瞬が、命取り。
見開かれた巨大な目に、ハルバートが突き刺さる。
「よし、爆裂ウェポン・ハルバート!!」
そして、貴斗の掛け声と共に、突き刺さったハルバートが炸裂。黒く巨大な目を吹き飛ばしたのであった。
石コロ防衛本部事務所
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