異世界迷い込み編 プロローグ
この世は金よ。
だって、金さえあれば生きていけるわ。
だって、金さえあれば食うものにも、住むところにも困らないし、病にだってよほどのことじゃなければ苦しむことはないじゃない。
よく人は「そんな生き方は寂しい」って。
「愛はお金じゃ買えない」って、言うけど。
そんなの嘘。
そんなのお金に一度も困ったことが無い人が言うただの綺麗ごとよ。
だって考えても見て?
もし人がお金を求めず、愛を求め、それだけの為に生きるようになったとしたら?
この世は間違ったって発展しないし、この社会は成り立たないわ。
それに考えても見なさいよ。
私たちはいったい何のために働いてるの?
慈善?それとも、自国愛?
違うでしょ。
金よ。
私たちは金を得たいが為に誰もが行きたくないキツイ仕事場に行き、嫌いな上司の命令に嫌々ながら従って、理不尽な文句を受けながらも、やりたく無い仕事を身体が壊れるまで、歳をとって働けなくなるまで、ずっとずっと頑張り続けるのよ。
だってそうじゃないと生きていけないもの。
だから愛が金より勝るなんて嘘。
この世は金が全てよ。
愛や情けだけでもし人が生きていけたとしたら、それは停滞しているのと同じ。
その先に進化はないわ。
だって進化は、金が出回るこの競争社会があるからこそ生まれるものなのだもの。
格差があるからこそ人は、上へ上へと行きたがる。
差別があるからこそ人は、別の角度から物を見、考えることが出来る。
不満があるからこそ人は、さらなる先へと進むことが出来る。
金があるからこそ人は、己の立ち位置を酷く気にし、より努力するようになる。
本当、お金って面白いわよね。
その社会の中にお金というシステムが存在しているというだけで私たちはこうして新しい未来へと進むことが出来るのだもの。
だから私は金が好きだわ。
金だけは私を絶対裏切ら無い。
金だけは私を守ってくれるもの。
この欲望の社会の中から。
だから私は金が好き。
親よりも、兄弟よりも、友達よりも−…、
そして、あなたよりも。
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