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歌い手カレシと絵師なカノジョ 作者:藤夜アキ
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第六十三話 やはり避けられない

「たまたまここらに用があってな。午後から虎太郎とカラオケ行くって約束してたんだが、ならここで済ませるって話になってよ。お前はヒトカラ……じゃ、なさそうだな。二人分持ってるってことはよ、コレか?」
 ミシェルが小指を立てて尋ねる。
「そもそも二人連れじゃない」
「ハーレムなん!? ハーレムなん!?」
 状況的に否定出来ず、颯斗は口ごもった。それが虎太郎には衝撃だったらしい。
「何だ、前あんなこと言っといて、やることやってんじゃねえか」
「……色々あって、関わりのある軽音部の奴らと来てるんだ」
「な、何なん……どないしたら女子高生と一緒にカラオケ行ける展開になるんや……」
「成り行き以外にあるかよ……」
「ミシェル、こら乱入したらなあかんわ!」
「んなわけあるかよ。ほら、戻るぞ」
 颯斗はホッとした。ミシェルは虎太郎や蓮哉と違って空気を読めるし、ラインはよく弁えている。
「カルピス一つにどんだけ時間かけてんだよ……」
 が、この場に来て欲しくない奴が来ることまでは想定していなかった。
「あれ、お取り込み中?」
「いや、何でもない。さ、行こう」
 何とか切り抜けて戻ろうとしたが、チャンスを逃すまいと虎太郎が動く。
「何や、そっけないなぁ。折角やし颯斗が歌ってんの聞きたかったんやけどなぁ」
「じゃあお二人もどうぞ!」
(面識の無い男二人を勝手に引き入れんなよ)
 思わずツッコむ颯斗。名前を呼んだだけで仲の良い関係だと判断する考え方には、まるで理解出来なかった。
 湊の決定には颯斗は逆らえない。深いため息をつきながら彼女について行くと、脇をすり抜けた虎太郎がニヤニヤしながら颯斗の方を見て来た。思わずミシェルの方を向くと、諦めろ、といったジェスチャーが返って来た。
「まあ、まだ部屋取ってなかったから良いか。取ってたら倍額取られるから拒否してたとこだが」
 ミシェルたちは良くても、俺は良くない、と颯斗は心から思った。覚悟を決めて部屋に入るはずが、それどころではなくなって、しかも課題を増やして部屋に入ることになった。
 ドアを開けると、重低音がズゥンと響いて来た。聞き覚えの無い曲だが、聞こえて来る歌詞からしても、洋メタルなのは違いない。
 まさかな、と思って歌声の主を探すと、やはり、茉莉亜だった。心からヘヴィな曲が好きらしい。まあ、最近は日本の女性メタルバンドが海外進出までしているらしいから、メタル好きの女子が巷に溢れていたっておかしくはないのかもしれない、と颯斗は無理矢理納得しようとした。茉莉亜の性格や見た目からして、似つかわしくない所は変わらないわけだが。
「良い趣味してんじゃねえか」
 そこに反応してみせたのはミシェルだった。そうそう、ミシェルが好きだっていうなら納得出来るよな、と颯斗は心で頷いた。
 四人が部屋に入ると、当然美園たちはポカンとしていた。見知らぬ男が二人、何の前触れも無しに入って来たのだから、普通そんな反応をして然るべきだ。
「そ、その人たちは?」
「鷺沼の友達だって。面白そうだから来てもらった」
「へえ。どういう友達なんだい? 見たところ、高校生じゃないよね」
 それで納得してくれんなよ、とため息をつく颯斗。人見知りの茉莉亜はゆかり(湊のバンドの本来のボーカルの子の名前だ)の背中に隠れた。
「そうかぁ、高校生には見えへんかぁ」
「当たり前だ。特にお前な」
「はぁ!? そんな老けてへんしぃ!?」
「はいはい。ああ、俺らと颯斗はネット越しの付き合いだ」
「す、凄いね、ボク、そういう知り合いはいないからびっくりだよ」
「そんなゴロゴロいるもんでもねえだろ」
 あっさり打ち解け合う二人。思えば、颯斗と初めて会った時もあっさりだった。
 元々来る予定でもあったのかと思うほど、二人は自然な感じで場に溶け込んだ。
「でも、珍しいな」
 今度はゆかりが歌い始めると、隣に座った湊が話し掛けて来た。いつもより近い距離。意識していたのは、湊一人だったけれど。
「何がだ……?」
「鷺沼ってあんま友達作らないじゃん。年上の友達作るとか、なかなか想像出来ないって言うか」
「ああ……まあ、二人とも、歌繋がりだよ。俺、歌のことなら、多少はやる気出すだろ、そういう感じ」
 歌い手活動のことはやはり話さなかったけれど、これまで一緒に過ごした時間から、歌うことになると颯斗の目の色が変わることは、湊にもよく分かっていたから、ぼかした説明で、湊は納得した。
 そのぶっきらぼうな言い方が、湊には愛しく思えた。
 颯斗を誘う話が浮上した時、誰より喜んだのは、他ならぬ湊だった。あんな性格でいて、一対一で遊びに誘えるほどの勇気は出せずにいたから、この提案があまりにも嬉しく思えてならなかった。
 ただ、普通の乙女心とは違うから、ミシェルたちを呼び込んで一緒に楽しむ、という颯斗からすると忌避して欲しかった事態を平気で招いた。
 女子グループが一通り歌い終えると、いつの間に入力していたのか、ミシェルの選んだ曲が流れ始めた。
 そう言えば、ミシェルの生歌を聞くのは実は初めてだと気付き、颯斗は密かに期待した。
書くの忘れてました。
と言っても、カラオケってほとんど行ったこと無くて、これを書くの大変でした、くらいしか書くこと無かったんですけどね。

一日経つと、書いた時の思いって忘れちゃうんですね。あれまあ。
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