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歌い手カレシと絵師なカノジョ 作者:藤夜アキ
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第百十八話 カラオケをやると言ったな、アレは嘘だ

「せやからな、茜は何着せても似合うねん」
「ハン、そんなのは所詮紛い物だな。フリッカの足元にも及ばねえ」
「どっちみち、本物の女子高生には敵わなーい、残念でしたー!」
「詩織は大人っぽさと子供っぽさの両方を兼ね備えてるから、誰にも引けを取らないと思いますよ」
「何や、茜が老けたババアや言うんか!」
「お前のはそれ以前に若干アレだろうが」
「そんなんお前んとこのは乳デカクソニートやんけ!」
「その点海奈は良識があって、まともな子だよ!」
「お前には海奈をそういう目で見る権利はねえよ」
「女子高生と付き合うべきは、やっぱり男子高校生だと。という点で、これは僕の一人勝ちでは?」
(どうしてこうなった……)
 八月最後の日曜日。カラオケの一室で繰り広げられる、男同士の何の利にもならないバトルを前にして、颯斗は一人頭を抱えていた。

 遡ること一時間前。
 薫に誘われ、カラオケに向かう途中だった颯斗は、強烈なデジャヴに苛まれていた。このまま行くと、また同じことになるのでは、と思うものの、前回いなかった薫にそんなことを説明したって仕方ないし、さすがにそんな事態が二度は起きないだろう、と考えて高をくくっていたところ、しっかりフラグを回収してしまった。
「あれ、まさか、颯斗……ホモ?」
「開幕から殴られたいのかお前」
 しかも、前回と違って、ミシェルと虎太郎の隣に、蓮哉の姿がある。最早逃れられぬ波乱の行く末を思うと、上向きになってきた気運が、俄に暗雲の中に突入するような気持ちがした。
「隣にいるのは――」
「ハンニバルさんに、おせんべさん、夕戀さん、ですよね?」
「あれ、僕らのこと、バレちゃってる!?」
 先手を取られた蓮哉は、珍しく警戒してみせた。戯けているように見えるものの、薫がどういう存在か見破ろうとしているのだと、颯斗は思った。
(もしかして、この二人、割と傾向が似てたりするのか……?)
 ちょっとした断片を繋ぎ合わせて真実を導き出したり、相手を上手く乗せたり。そんな二人が対面するとどうなるのか、彼は気になった。
「ああ、安心して下さい。このことを誰かに告げたりしないので。僕は御崎薫って言います。アルデンテPと言った方が分かりますかね」
「ん、なるほどねー! 『キヲク』の作曲者か!」
 蓮哉はその説明でピンと来たようだが、ミシェルと虎太郎はまだ状況を理解しきれていなかった。
「たまたま颯斗君と同じ学校で、色々あって友達になって、それでコラボとかしたりしてます」
「ふーん……でも、颯斗の友達ってだけで、僕らの正体がパッと分かるって……」
「合宿、一緒に行ってましたよね。おせんべさんなんて、その時の格好と全く同じですし、ハンニバルさんみたいな見た目の方は、それほど多くいたりしませんから」
「ぼ、僕でも虎太郎の格好には全く気付かなかったのに、凄いね……。あ、もしかして、颯斗、麗音だってバレたことがきっかけで仲良くなったんじゃないのー?」
 薫がぼかした部分を、あっさり蓮哉に見破られると、完全に油断していた颯斗はポーカーフェイスに失敗し、それが図星だと気付かせた。
「全く、颯斗はもうちょっと警戒しなよー? 後虎太郎は何て言うか……うん……まあ、アホだから仕方ないかぁ」
「そいつは聞き捨てならんで!?」
「世間話すんのも悪くはねえが、カラオケ行かねえなら帰るぞ」
 ミシェルはあくびをして、目をしばたたかせた。
「あれ? カラオケ行くんですか?」
(この流れは――マズすぎる)
 密室で面倒くさいのに絡まれるのは御免被りたいと思い、何とかしてその事態を避けたいと薫に目線を送る颯斗だったが、麗音の歌い手仲間三人と交流するチャンスを得られた薫には、そんなものは全く伝わらない。
「だったら、僕らもカラオケに行くつもりだったので、一緒に行きます?」
「良いねー! それで決まりぃ! 颯斗もすっごく行きたそうな顔してるし! 満場一致だね!」
「お前の目は節穴かよ……」
 抵抗する、という選択肢を最近捨てつつある颯斗は、その流れに逆らうことなく、素直に受け容れた。
 道中、アホ、と言われたことについて虎太郎がしきりに反論していたが、その手の状態の虎太郎はスルーするに限る、という雰囲気が既に醸成されており(きっかけを作ったのは蓮哉のはずだったが)、薫もそれにあっさり順応した。
 カラオケに着くと、ミシェルは無言で部屋に入っていった。
「あいつ、眠そうだったが、何かあったのか?」
 普段からそれほど多弁ではないが、今日のミシェルは輪をかけて口数が少ない。しかも、明らかに機嫌が悪そうに見える。
「さあ、よう知らんけど、会った時からあんなんやったで。体調悪いんか聞いたんやけど、気にすんな言われたわ」
「そうか。蓮哉は何か知らないのか?」
「僕だって情報屋じゃないからねー、何でもかんでも知ってるって思われると困るんだけど、まあでもあれは、楽しいことして夜を明かしたらなる感じの奴だよ」
 何だか嫌味っぽさが含まれているような気がしたが、薫以外は、蓮哉が何を言いたいのか、その真意まで含めて理解することは出来なかった。
 ミシェルの分も含め、飲み物を持って部屋に入ると、ミシェルは横になっているのが目に入った。
「ミシェル……大丈夫かよ……」
 見慣れない姿に、思わず颯斗も心配してしまう。
「今日のカラオケは前々から予定されてた奴だからな、始まったらちゃんとする」
「けどなぁ、アルマーニやっておるんやで。身内だけやったらええけど、もうちょいしゃんとせぇや」
「あの、おせんべさん、それって、アルデンテって言いたい感じです?」
「せやせや、アルデヒドアルデヒド」
「お前はボケ老人か何か」
 さすがに虎太郎にまで指摘されると、ちゃんとしないといけない、という気になったのか、ミシェルは腰を立てた。今度も虎太郎はただのギャグやんか、と主張したが、やはり誰も取り合わなかった。
「それじゃあ、適当に歌っていこうか!」
 蓮哉の音頭で五人は歌い始めたが、二巡ほどして、蓮哉の順番が回ってくると、蓮哉は流れ始めてすぐに曲を止め、唐突にマイクを手に叫んだ。
「ドキッ! 男だらけの恋バナ大会〜!」
 いつものメンバーは、また始まったよ……と半ば呆れ気味だったが、薫だけはこのノリが珍しいのか、純粋に興味を持ったのか、おー、と手を叩いてノリに合わせた。
始まりました!
虎太郎を定期的に登場させたくなることから始まる、本編に要らないよね!? なシリーズです!

フリッカ? と思われた方もいらっしゃるでしょうが、すぐに分かりますので、少しお待ち下さい。

歌絵師男グループの恋模様が描かれる、珍しい? パートなので、楽しんでもらえれば、と思います。

参加者の年齢が16〜24とばらけている、そんな様々な年齢層からなる男子会です。
どうなるのか、私にも分かりません(笑)
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