挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

05.日ノ本の灯が沈む時篇

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

83/99

05-12 秀吉の野望

今年もよろしくお願いいたします!

・山の地形説明を改訂しました。
 津島全体を機密保持の為に一時間半近く焚かれていた濃い霧が晴れ、信長達の目に飛び込んできた物は現代に近い和風の家屋が連ねる、様変わりした津島村の様子であり。

 それだけでも彼等を仰天させる物であったのだが、津島村と隣接する形で後方1時の方角にそびえ立つ、標高70m程の高さを持つ緑に溢れる山も形を替えており。
 以前まで生い茂っていた木は、大勢の人やトラックが三台横並びで通っても大丈夫な様に取り除かれ、木の代わりとして赤茶色のアスファルトを敷くことで道路整備された、山頂へと続く山道が完成していた。

「我々が船内の食堂で昼食を食べ、船内の見学をしている間に……“村が街”に、“小さな港が軍港”へと形を替えているとは……。ワシは夢を見ているのだろうか……」

 その様子を津島村全体を見渡せる黒船の甲板上から見た、移動を困難にする鎧兜等の重い鎧の一部を脱いで身軽になった若き信長は思わず声を震わせながら呟いた。

「とても信じられません……。我々が津島から目を離してからまだ一刻(二時間)も経っていない筈なのに……こんな……」

 小鳥の様にさえずる美しい声を驚きに震わせ、信長の左隣に並んで状況を観察しているのは何時もは冷静沈着な信長の補佐役である丹羽長秀であり。彼女は頬に一滴の汗を垂らしながら言葉に詰まってしまう。

「トレノ殿。これが南蛮の……いや、アサツユ国の成せる技なのか?」

 手摺から手を離し、信長は真剣な表情で下の階層に続く階段から顔を出して外の様子を確認していたトレノに問い質す。

「は、はい!! 詳しくは御見せする事は出来ませんが、我々が用意した物は建物を建造する際に必要となる資材を出来るだけ簡略化して作成し、その資材を大型船に搭載する事によって港に輸送します。
 そしてその資材を運ぶ力を持つ機械からくりを用いる事で輸送し、簡略化された資材を陸地で組み立てる事で街を短期間で完成させました!! これは魔法や奇跡ではなく!! 誰にでも建造技術さえ分かれば可能な工事です!!」

 予定よりも亮太達が大規模な港街を短期間で建設していたので、説明役であるトレノは周囲から一気に集まってきた疑いの目を晴らすためにも、必死に納得できる様な説明をする。

「ほう……で、あるか!! 瞬時にこれだけの街を建てる技術と経験を持つ大工は日ノ本中を探してもいないと思ったが……。なるほど、確かに建設資材を事前に組み立て安く作り、それを大工達が現地で組み立てるのであれば……確かにな……」

 その説明を聴いていた周囲の織田家と松平家に所属する足軽達も、先程までトレノに対して送っていた恐れすら含んだ視線から一転し、“人が成し得た技術”として目の前に広がっている景色を見る事が出来るようになった。

「おい、見てみろよ!! あの家、上に二つも重なっているのにびくともしてねぇぞ!!」

「それだけじゃない!! けつに黒い箱が付いた様な今まで見たことがない綺麗な小舟が、港に沢山置かれているぞ!!」

「親方様が拠点とされている城並みに立派な瓦屋根の家が出来てやがる……。ちくしょう!! 俺んちもあんな立派な家にしてくれねーかなー!!」

 彼等の注目は亮太達により大改装を遂げたが、他の島よりも高さが10m超える高台と化してしまった港街に注がれており。
 その近代的な街並みや、陸地の面積がナンの様に下に伸びる事で3倍近い大きさに増設された事で完成した軍港や、港の施設を見た人々からは様々な感想が漏れている。

 そして、彼等は山を覆っていた霧が徐々に晴れ、新たにその全貌が見え始めて来た“ある物”に視線を奪われ始める。

「お、お前ら!! 港ばかりじゃねーぞ!! 山を見てみろよ!!」

「……山だって? 今回、親方様が津島で再建の許可を出されたのは村だけだったんじゃ……って、なんじゃありゃあ?!」

「や、山の大地が階段の様にくり貫かれて平らになり、階段の様な開けた土地になってやがる?!」

 そこには彼等が先程まで見ていた大規模な改修を受けた津島村の衝撃を遥かに塗り替える、とんでもない景色が浮かんでいた。

「……奴等はこの短期間で山を整形し、まるで美濃の稲葉山城の様な巨大な曲輪(くるわ)に守られた町を築いておるのか?」

 思わず信長が目を見開いてしまう程の衝撃的な光景は何だったのかを説明するに辺り、信長達がその情景を見る30分前まで遡る事にする。


 ーーーーー◇ーーーーー


「いよーし!! 村の復興は無事に成し遂げたな皆!! 最高の仕事をしてくれてありがとう!!」

村の中心地に村長の住居として設けられた御屋敷《Rank,N》をバックにしてその嬉しそうな声をあげているのは、今回設営隊を任された迷彩服等の歩兵が身に付けるフル装備を身に纏った秀吉であり。

彼は目の前に勢揃いしている大勢の大工達に興奮気味に語っていて。その右隣後方では同じ装備を身に付けている補佐役である秀長も、その後ろ姿を額に落ちてくる汗を手でぬぐいつつも真剣な眼差しで見つめている。

 この時点で秀吉達に任せられた仕事のノルマは終了しており。後は村を片付ける為に用意してきた重機等の機材と共に撤収する予定であったのだが……。

「みんな!! まだ体力は残っておるか?!」

「おおおおおお!!」

「ワシはこのままの勢いで津島の北に位置する山を改造して町の人達だけでなく、堺を超え!! 日ノ本を支える新たな商業地を作りたいと思っておる!!」

「待ってください兄上?! そんな予定は無かった筈では!!」

 突然予定に無かった山の工事を追加するという、明らかな暴走を始めた秀吉に思わず秀長も声をあげて抗議するのだが、秀吉は考えを改めるつもりは無く秀長を一喝する。

「弟よ!! ここでワシ等が信長様に個人的な恩を売ることが出来なければ、日ノ本におけるワシ等の影響力はあくまで【トレノ殿のお手伝い】として終わってしまうのだぞ!?
 そうなればワシ等が日ノ本に帰ってこれたとしても【南蛮で奴隷となって帰ってきた農民】として後ろ指差されて生きていくことになるだろう!! そんな事にワシはしとうないのだ!!!」

「それは……トレノ殿や亮太くんとの信頼よりも、自分達の日ノ本における面子を取ると言う事なのか兄上?」

 その切羽詰まった秀吉の迫力ある説得に秀長も押しきられそうになるが、冷静に切り返す。

「そうじゃない!! 今回の作戦を円滑に進める上での戦略なんだ!! これが成功すれば、ワシ等は周りから下に見られ無くなるお陰で発言力を強める事が出来!! 以前まで通りの只の農民や、下僕としてではなくトレノ殿の大切な重臣として見られる様になる筈なんだよ!!」

 それに対して何とかしてチャンスを物にしたい秀吉は熱く秀長を説得し続ける。

「……兄上の言いたい事は分かったし、その重要性も理解した。だからこそ兄上の右腕として述べさせて貰うよ」

「ああ、聴かせてくれ!!」

 一呼吸終えてから、秀長から出されたのは意外な物であった。

「私は兄上が“何時の日か、“日ノ本を平定する様な権力者になりたい”と言う夢を亮太くん達との出会いを通じて持ち始めているのを薄々感じていたんだ。特に力を与えられ、祖国を取り返そうと奮闘している王女ナバルの姿と報告を見てからの兄上はより一層その思いを大きくしていた事も……」

「…………」

 黙って秀長の話を聴いている秀吉はかなり緊張している様子で、細い目をより細め、額には汗が滲み出始めている。

「だからこそ言わせて貰うよ。兄上が抱いている大きな夢は、誰かの協力無くしては達成できない夢である事を」

「それは……」

 思わず行き詰まってしまった秀吉の様子を見て、彼の弟だかこそ秀長は内心で(やっぱりか……)と呟いてから、頑張り屋だが無鉄砲な兄に言葉を続ける。

「兄上。事を焦れば本来なら手に入れる事が出来た物も手放さなくてはならなくなるだけでなく、今持っている大切なものも手放す羽目になる可能性が高い事も理解しているよね」
 
「も、勿論承知している!」

「じゃあこの事をトレノ殿に連絡して許可を取ってから作業を開始しても、何の問題も無いよね?」

「う、ぐぐぅ……」

「秀吉さん、秀長さんお疲れ様ですー。二人揃って渋い顔してどうしたんですか?」

 そんなややこしい状況にある二人の元に、大陸の巨大化と港の建設を終えた亮太がアドバイザーであるイトウさんを連れて、秀吉達の前にずらりと並んでいる大工達の真ん中に道を開けて貰いながら歩いてきた。

「おっ、亮太か!! 良いところに来てくれた!!」

「……えらく秀長さんが難しい顔をしながら、モニター越しにメッセージを打っている見たいですけど……。何をやらかしたんですか秀吉さん?」

 そう言いつつも秀吉達の側に到着した亮太は詳しく話を聴くことにする。

「あ……ははは……。実はサプライズで津島村の背後にどーんとそびえている山を改造して、山城件、お店等を設置した自然公園を造ろうと思っておったんじゃが……秀長に怒られてしもうてのう……。やっぱりこのアイデアだけだと辛いかのう?」

「あー……そりゃあ辛いでしょう……。今回は現地の方達との間で揉め会いを起こさない為に、極力干渉し過ぎない程度に活動する様にと行動を制限されてますからね」

 既に黒船や大量の爆撃機を使用するだけでなく、大陸を拡張して村の近代化までしといて何を言っているんだと言う話ではあるが。今回の介入の目的はあくまで迫り来る大災害から日ノ本の人を守り、援助する事が目的であり。
 作戦を終えた後は建て直した民家等はまだしも、軍港等の軍事施設は撤収される事となっており。

 日ノ本の文化や、国の有方を変えてしまう様な侵略行為はしないと言う名目の元に恵比寿が天皇陛下と契約を交わしている様なので、勝手にあれもこれもと好き放題する訳には行かない事が亮太達には事前に説明されていた。

 だが亮太はその穴を無理矢理につく。

「でも秀吉さんのやろうとした事はこの地域を発展させる為ですよね? 疲弊してしまっている日ノ本を活性化させる一つの手段として」

 それを尋ねられた秀吉は一瞬呆けてしまうが、直ぐ事前に頭の中で思い描いていた考え方を纏め直した様で、生き生きとした調子で声をあげた。

「はははは!! そうじゃ、その手があったか!! 名をあげる手段は幾つも有ることを失念しておった!! 日ノ本を彩る花咲か爺さんになるのも悪くはないな!! どうじゃ秀長? これなら文句はあるまい?」

「いや、兄上……。考え方が優しくなったたげでやることが変わっていないじゃないですか……」

 まるで兄が二人に増えたような感覚に襲われた秀長は軽い目眩を覚えつつも、何とかして二人が無茶しないように説得し続ける。

「亮太くん。今回の作戦が失敗すれば、尾張の人達から協力を得られなくなるどころか、日ノ本中の人々を敵に回すかも知れないんだよ?」

 その秀長の言葉に対して亮太は強気に答える。

「わかっています。ただ、私達がいるのは統治された平和な国では無く、それぞれの地主が幅を効かせてやりたい放題している、戦国時代の日ノ本の中にいると言う事も含めてこれからの対応を考えないといけないんです!」

「それは……。では亮太くんは日ノ本と我々の関係をどの様にしたいんだい?」

「勿論、互いに肩を並べて信頼し会える国家関係です!! 勿論これは理想論であり、実際はお互いの国に益を生む関係性が有ることが前提となるとは分かっています……。
 でもだからこそ今回の作戦において日ノ本につくよりも、少し恐れられるぐらいに私達アサツユ国に頼る方が良いと思わせる事が大事なんです!!」

 現代日本で生活していた亮太は、実際に世界に強い影響力を持つ世界強国として機能していたアメリカと言う国を知っている。

 その力は良くも悪くも、【勝者が歴史を作る】と言う言葉を体現しており。
 第二次世界大戦から続く英米の存在は常に20世紀の歴史に深く関係してきた。

 その強国の存在は現代の歴史知識を共有出来ている秀吉と秀長も知っており、亮太が言おうとしている日ノ本に圧倒的な影響力を持つ国として、アサツユ国を現代のアメリカ合衆国と似た立場にしようとしているのを理解したのである。

「亮太……おまえさん何時からこのアイデアを考えていたんだ?」

 真剣な表情と鋭い視線で見詰めて来た秀吉に、亮太は落ち着いた口調で答える。

「……ヴァルハァム王国を再建するために奮闘している、ナバル王女の姿を見てからです」

「ふっ、くくく! そうかお前さんもか!! ワシも同じだ!! 誰にも成し得ない事を可能とする力を持つ者は、その力を必要としている者を助ける者として闘うのが世の通りであるからな!!!」

 そう嬉しそうに腕を組んで頷いている秀吉を尻目に、秀長は自分が描いていた最悪のシナリオに状況が猛烈な勢いで進んでいる事を理解して、胃がバーナーで焼かれている様な痛みを味あわされる。

「兄上も、そして亮太くんも頼むから思い付きで行動するのではく、時間をかけて物事を吟味してから冷静に行動して欲しい。
私達がどれだけ優れた能力と知識を持っていたとしても、それを生かすのは所詮数々の成功と共に失敗も産んでき私達人類の知恵なのだから……」

 その悲痛な思いを含んだ秀長の説得を受けて、先程まで勢い付いていた二人は冷静を取り戻し、このまま計画は御開きになるのかと思われていたのだが……。

「あー……すまん弟よ! 実はもう手遅れなんじゃ!!」

「え? 手遅れとはどういう意味だ兄上?」

 頭を下げて謝罪してきた秀吉の様子を見て、何と無く嫌な予感が脳裏に走った秀長は衝撃の言葉を受ける。

「実は……皆を驚かせようと思って……。既に山を丸々改造する為のお店等の召喚を村の復興と合わせて行っておってのう……」

「ッ?! まさか!?」

 そこまでの発言を聴いた秀長が慌てて顔を上げ、情報漏洩防止の為津島全域に張られていた霧が晴れ始め、その姿を再び表した津島村を見下ろす様に聳え立っていた山を見て皆が絶句させられた。

「あっ……ああああ……!! 何て事を……!!」

「実はもう工事が完了してしまっておったんじゃよ……」


 秀吉の言うとうり、村の居住区を再建している一方で、秀吉は津島村から見て一時の方角に聳え立つ山を利用する事で防衛拠点となる山城と、津島の人々が利用出来る様に自然公園を合わせて建築する事を思い付いてしまった様で。

 秀吉は先ず山頂に城を築く前に、津島村と山との間を繋がる道として船が通れる様に下が車が2台通れる程の横幅を持つトンネル状になっていて、その姿から日本橋を連想させる赤い橋を最初に設置し。
 山の入口として分かりやすくする為に丸太を素材とし繋ぎ会わせ作った、某恐竜が目玉のテーマパークの様な【津島山自然公園】と言う表札が書かれた巨大な門がある登山口を完成させる。

 そこから山頂に続く一本道を作成する為に、障害となる大木や岩を片っ端から秀吉に与えられた素材を召喚する能力と大工達の活躍により、大勢の人達が通っても大丈夫な三車線程の広さを持つ茶色のコンクリートを上書きする形で敷いて行き。
 道の両端には水路として人の頭程の横幅がある溝が掘られ、その外側には一メートル程の高さを持つ木の柵がガードレールのように設置されていた。

 そして何より亮太達だけでなくその光景を黒船から目撃したトレノですら驚かされたのは、【凸】と言う漢字の様に山の両側の地形を豪快に階段状に切り取り、高速道路のサービスエリアの様に平らにする事で産まれた土地に設置された様々な施設や、お店、そして山頂に聳え立つ山城からなる全4階層に別れたセクションであった。

 その内容を土下座させられている秀吉の案内の元に一階層事に紹介していくと、この様になっている。

 ◇一階層【食品エリア】
 ・駄菓子屋・お惣菜屋・和菓子屋・八百屋・肉屋・酒屋・小料理屋・焼き肉店・居酒屋・バーベキュー場

 この【食品エリア】は、アサツユ国に最初に建てられた食品関連のお店を見本としていて、秀吉達にとっても身近で親しみやすかった食品店を一番利用されやすい一階層に設けており。

 まるで清水寺の舞台の様に設置されたウッドデッキでは、そこに置かれているテーブルセットでお客さんが食事を取れるだけでなく、テーブルの真ん中に置かれた七輪でバーベキューも楽しめる様になっている。

 ◇二階層【生活品エリア】
 ・おもちゃ屋・文房具屋・花屋・煙草屋・床屋・釣具屋・酒屋・家具屋・診療所・薬局

 続く二階層目は多くの人の生活に役立つ物が売られているエリアとなっていて、訪れた人々は商店街の様に並んでいる店で買い物したり。診療所で身体の調子を見てもらい、薬局で薬を貰える様にもなっている。

 因みに身体の不自由な人の事も考え、診療所には救急車代わりとして機動隊の輸送などに使われる警備装甲車両2台と警備ヘリコプター2機が配備される予定となっているらしい。

 ◇三階層【娯楽エリア】
 ・ミニ牧場・サバイバルゲーム用フィールド・アスレチック・釣り堀・ボート乗り場

 三階層目は今までとは売って変わって牧場や遊戯があるアスレチックに、小さな湖すらある自然広がるエリアとなっており。

 このエリアでは只自然を楽しむだけでなく、牧場にいる鶏や牛達から産まれる玉子や乳製品が望めるだけでなく。アスレチックによる訓練や、自衛隊や他国の軍隊でも行われているモデルガンを用いたサバイバルゲームを楽しむ事が出来る。

 ◇4階層【津島山城:建設途中】

 最後に紹介するのは流石に無許可では不味いと秀吉も考えたらしく、今は土台となる石垣だけが完成している津島山城の建設予定地であり。

 城が完成した場合の予定として高さ26メートル、縦幅90メートル、横幅50メートルと言う10階建てのマンションと同じ高さと、サッカー場程の大きさの本丸が完成する予定となっているのですが。
 この津島山城(仮)は今まで亮太により建てられたアサツユ城や、名古屋城と同じ様に大陸全体の状況を把握する指令室や、人々の相談役と案内役を果たす役所として機能を持つだけにのみならず、今回挑む事となる大災害後を見据えて設計されており。

 緊急時に避難所としても活躍出来るよう、カプセルホテルの様な簡易的な宿泊施設も設計に組み込まれていて。
 地下三階に及ぶ貯蔵庫や、石垣の上に設置された建物の半分が宿泊施設となっていると言う、当時の戦国大名達が聴くと顔を真っ赤にさせながら「恥を知れッ!!」と叫びながら刀で斬りかかってきそうな城の設計となっています。

 ただ、居住性を優先して設計されているこの津島山城には城本体に防衛能力が有りません。

 なので普通であれば城の土台となる高さ12mのデコボコの無い巨大な石レンガ状の石垣を城の下に設置するだけでなく、城の周囲にも丸く囲う様に設置する事で、海水浴上から陸地に海水が来ない様にする開け閉めが出来る頑丈なゲートの様な機能を持つ城壁を備え。

 更に敵が侵入してくるであろう公園の入口から城まで伸びる一本道は、城に近付くにつれて狭まって行く様に設計されており。
一番狭い所だと人が横に四人並んで通れるだけのスペースしか無く、左右両側には高さ3.5m程の鉄製の壁がそびえ立つ塹壕の様な通路となっていて。

 その滑り台のような通路を通ろうとすると、その姿は山の上に聳え立つ本丸からは丸見えであり、防衛戦となった場合はその一本道に湖の水を流し込んで災害訓練所の如く敵兵を押し流したり。
 石垣の上から大砲や、機関銃による銃撃を浴びせる事も出来る様に考えられている。

 因みに陸地から城まで続く山道をわざと作り、通れる道を制限する様にすると言う設計は信長の城としてあまりにも有名な安土城のプロトタイプともいうべき、小牧山城をモデルとした物であり。
 秀吉の最終的な設計プランには小牧山城に似た要素を持つ物が他にもある。

その一つとして、まるで城が白の分厚いジャケットを羽織った様な見た目に見える、各階層事に設置された頑丈な石垣である。

それはどういった物なのかと言うと、各階層の地盤と足場を良く固めてピザ生地の様に外へと広げていく事で、木に重なって生えているシイタケの様に外へと面積を増やし。
 その延長された外側の土台にピザの耳の様に2階建てのマンション程の高さ縦5メートル、横幅5メートルの石垣を設置していく。

 その上には長距離攻撃を可能とする大砲陣地を置き。折角の石垣が防衛隊の邪魔に成らない様にするために石垣の中をダンボール箱の様に中身をくり貫いてスペースを確保し、石垣の外側に鉄製の閉会式の小さな穴だけを空けて安全な石垣の中から銃を撃てるように改造する。

 そこに毎分最大1000発の弾丸をばら蒔く事が出来る、ミニミ軽機関銃の様な機関銃を各石垣内に配備し、大量の敵が攻めてきても守りきれると言うとんでも拠点の設計を秀吉は考えていたらしく。

「まあ、実現するにはトレノ殿と信長様が許可してくれるかじゃがなー……」

 余りの内容にいろんな意味で驚いている亮太と秀長に見つめられる中で、秀吉は何処か照れ臭そうに苦笑いを浮かべていた。

 そんな時だった。唖然としていた秀長の肩がびくんと震え、誰かと話している様な仕草をしたのは。

「あ……兄上……。トレノ殿から連絡が着たみたいですよ?」

「そ、そうか。何と言っていた……?」

 恐る恐る聴いてきた秀吉に、秀長は疲労感漂う表情で伝えられたメッセージの前に説明を挟む。

「……実は先程から私達の話していた内容の一部はトレノ殿だけでなく、トレノ殿を通じて船上に居る信長様達にも中継して貰っていてさ。それを前提に話をさせて貰うよ?」

 そのとんでも発言を聴いて、思わず亮太と秀吉が顔を青くさせて何かを秀長に訴える前に秀長はメッセージを伝えた。

「トレノ殿からは《三人とも、今日は寝かせないからね……》と言う、怨念が籠った様な声のメッセージ……」

 それを聴いた二人は「あ、それ駄目な奴だ……」と声と身体を震わせ、

「そして信長様からは《猿よ、お前の最善を尽くせ》だそうです……」

 信長から伝えられた二つ目の意外なメッセージを聴き、無名だった自分の事を何だかんだ見込んでくれていた元上司の後押しを受け、秀吉の胸に何か熱い物が込み上げて来る感覚と共に、

「うっ……くっ……親方様……!!」

 自然と涙も込み上げていた。

「生き残るために親方様を……故郷捨てたワシに親方様はチャンスをくたざった……。ワシは……ワシはやるぞ……!! 津島山城を完成させて、尾張を……いや、日ノ本を救う城をワシは必ず建てて見せる!!!」

その様子を見た亮太は微笑みながら、秀吉が建てようとしている津島山城の設計図と必要な物のリストを纏めていく。

「じゃあ折角信長様に許可を頂いた訳ですから、恥かきついでに完成させちゃいましょうか秀吉さん? 秀吉さんの夢の一歩を!!」

「亮太……おまえ」

「こうなる事は何と無く分かってはいたけど……。まったく、本当にしょうがない兄上なんだから……。皆、休憩は済んだね? 後半戦を始めるよ!!」

「おおおおおッ!! 力仕事なら俺達に任せな大将!!」

「秀長……おまえ達……。……みんな、これはワシの為だけじゃなく日ノ本の未来を変える事になるであろう大仕事だ!!! ワシ等のきたねぇ足跡を歴史に刻みに行くぞ!!!」


この日。津島と言う小さな港町で、戦国時代と言う混迷を極めた時代のターニングポイントとなる出来事が起こった。

後の歴史書にはその出来事をこう記した。

【日ノ本に、朝露と文明が落ちた日】と。
投稿が遅れてしまいすいません! 話を纏めるのに手間取っていました!

この話を持って、亮太達が日ノ本に上陸するまでと言う第1章が終わり。
次回からやっと亮太達が現地の人達と交流を深めていく第2章が始まります。

毎回の如く文章がめちゃくちゃだったり、様々な資料探しや、自分自身で広げすぎた風呂敷を畳めずに戸惑いまくっていますが。
引き続き努力していきますので、よろしくお願いいたします!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ