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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

05.日ノ本の灯が沈む時篇

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05-09 オーバー・デモンストレーション①

・九州地方に襲撃を掛けてきている国を朝鮮では無くしました。
・亮太の服装を書き足しました。
 港町の東側を守っていた砦と400人近くの兵士達の犠牲を出しながらも、1000人近くに昇る反対派達の殆どを無力化する事に成功し。今回の作戦に大きく貢献したであろう亮太達アサツユ国軍は、どうやら信長の期待以上の働きをしたらしく。
 今回の共闘で御互いの信頼関係が強まった所で、交渉人であるトレノは祝勝会件、挑発を終えた織田家と松平家との交渉を六隻の黒船が川岸で停泊している港で再開していた。

「何とか危機を乗り越えられて本当に良かったです。殿」

「信長様が御無事で本当に良かったです」

「ああ。お陰様でワシ達事、港を焼き払われると言う最悪の事態を避けることが出来て良かった。元康達も良く難しい立場の中でここまで駆け付けてくれた。二人ともに本当にありがとう」

 そう言って側に立っている少しスーツの破れたトレノと、仲間達に周囲を守ってもらっている元康に信長は礼を述べつつ。大鳳から発艦した爆撃機により鎮火はされたが、魔石により燃え尽きて塵と化してしまった東の砦と村の様子を見回す。

「……随分と派手に荒らされてしまったな。トレノ殿はあの様に燃え盛る武器の正体は知っているか?」

「はい。あれは海外で“魔石”と呼ばれ、兵器としてではなく日常生活にも役立てられている品物でして。今回使われたのは、火を起こす力を持つ魔石を武器に転用した物かと思われます」

 その話を聴いた信長は思考に入り、左隣にいる元康は初めて聴くその話に顔を青ざめさせる。

「と、と言う事は……!! あの“魔石”と言う物は海外では薪と同じ程身近にある物で有るにも関わらず、鉄砲等と比べ物にならないほどの破壊力を持っているのですか……?」

「はい、松平様。そして先程説明させて頂いた様に彼等は魔石を武器だけによらず、船等の乗り物を動かす事にも用いる事で、後ろに有る黒船よりも大型で性能の良い軍艦も持ち合わせておりました」

 その話に、思考に耽っていた信長は顔をあげて落ち着いた声で問う。

「……もし、貴様の言う南蛮の者達が攻め寄せて来た場合、日ノ本はどうなると思う?」

 その回答するに難しい質問に対して、トレノは「そうですね……」と一言挟んでから落ち着いた様子で答える。

「国として団結出来ておらず、海軍を持ち合わせていない現在の日ノ本の国力で戦う場合だと……。九州に度々訪れているらしい外国の軍の様に、彼等が物資を消費する上陸戦を選びなんとか持久戦で一度は追い返す事が出来たとしても。その後何度も襲撃を受けるとなると、やはり持た無いでしょう……」

「で、あるか……。では、何故その様な強国を相手にしながら、我々が住む弱小国である日ノ本を支援する余裕があり、そうしたいと思ったのだ?」

 その鋭い指摘を受けたトレノは内心で信長に対する敬意を高めつつ、穏やかな調子で答える。

「それは信長様達も注目されていた島に、我々が複数の国の人々と共に建国したアサツユ国の軌道がやっと安定し。織田様に以前贈らせて頂いた様な種等を用いた生産力の向上や、皆さんが南蛮人と呼ばれている者達の国の中で内戦が起こっている事等により。
 今までは不可能であった、日ノ本を含めた他国の皆さんとの貿易や支援が可能となったのです」

「なるほど……。通りでここ最近南蛮の商人達が港に来ることが無くなった訳か。それでお前達は天皇陛下に対して日ノ本との正式な貿易国となる権利と、我々と交渉を持つには都合が良い尾張の空き土地を買い取りたいと申して来たのだな」

「その通りで御座います、信長様」

 実は亮太達が知らないうちに天皇陛下だけによらず、織田家との間でも事前に交渉が行われており。その交渉により秀吉の出身地であり、当たり前だが今は秀吉達がいなくなってしまった為に無人と化している、尾張中村(現在の愛知県名古屋市中村区)を食料や様々な技術提供と引き換えに手に入れていた。

 これに関して尾張の人々も難色を示していたのだが、信長が今回やって来るのは南蛮人ではなく、以前村に住んでいた者達が漂流した島で出会った人々ともに帰ってくるだけだと告げて不満の声を封殺している。

「問題となるのは三河の活動拠点だな。元康、天皇陛下からの書状が届いていてもやはり反応は悪いままか?」

 その質問を受けた元康は申し訳なさそうに、当時の人々の勢いを演技で実演しつつ答える。

「はい……前回の桶狭間での戦いで幾つかの村が空き村にはなってはいるのですが、東三河の本願寺の方達が説明は色々としたのですが強く反対されていまして……。【同僚を追い散らした信長と何をしでかすかわからない南蛮人に、三河の土地を渡す事等考えられない事だッ!!!】……っと、申されていまして……」

「またしても一向衆か……相変わらず厄介な奴等だ……」

 その話を事前に調べていたトレノは二人の苦悩の理由を理解していた。

「一向衆……。浄土真宗を教えとし、他の宗派の様に様々な勉学や、寄付金を要求せずにただ信仰し。南無阿弥陀仏を唱えれば死しても極楽浄土に行けると言う宗派ですね」

 浄土真宗。それは毎日を地獄の様な日々を過ごしていた20万近い日ノ本の人々の心を掴み、富や勉学が無かった当時の農民達に厚く信仰され。現在の大阪城がある場所に位置する石山本願寺を拠点とし、銃を製造している堺と幕府の後ろ楯を受けていると言う事を考えれば。
 日ノ本一と呼べる勢力を持つ、一大勢力でもあった。

「そうだ。口では都合の良い理想を語りながらも、自らは美味しい所に根を張って日ノ本に寄生して。日ノ本にある余力を吸い付くしている厄介な坊主どもだ」

 そう言い切った信長の顔は無表情であったが、明らかにその声色には怒りが籠められており。思わず元康は顔をひきつらせ、トレノは真剣な表情で信長を見詰める。

「信長様は過去の文化にすがりつく事で過ちを繰り返す事しか出来ず、それなのに考え方を改め様としない者達にうんざりされているのですね」

「……そう思うか、トレノ?」

 思わず呼び捨てで語りかけてきた信長に対して、トレノは微笑みながら頷く。

「ええ。私達は日ノ本の中では無く、外から日ノ本と世界を見ている者ですから」

「ふっ、そうか」

 そう言って何処か嬉しそうに微笑む信長をトレノと元康達は見詰めつつ。ふと、随分と長話をしていた事に気づかされる。

「さて。そろそろ後片付けをしなくてはな……」

「すいません、信長様。その片付けと復興を我々に任せて頂けないでしょうか?」

「お前達にか?」

 そう言って動き出そうとした信長に対してトレノが一声かけ。周囲で疲れが取れ、立ち上がろうとしていた2000人近い足軽達も動きを止める。

「はい。三週間後に控えている大地震において、我々がどの様な働きをする事が出来るのかを事前に知って頂きたいと思いまして。信長様が宜しいのであればですが」

「……良いだろう。許可する。貴様達の好きな様にするといい。勿論、その手腕に応じて報酬も出す」

 その望んでいた答えを得られたトレノは嬉しそうに頷き、礼を述べつつ脳内で亮太達に通信を送る。

「有り難き幸せ。早速仲間達に準備をさせますので、よろしければ仲間の皆さんと共にこの黒船を見学してみませんか?」

 その願ったり叶ったりな提案を聴いて、ずっと見たこともない技術を目の前にして実は胸を踊らせていた信長は驚きつつも、目を輝かせて聞き返す。

「良いのか?! この巨大な軍艦に乗船しても!?」

「勿論です。皆さんも気になられていると思いますし、復興には時間が掛かると思いますので」

  「であるか!! うむっ、ではその提案に乗るとしよう!! 案内を頼むぞ!!」

「はっ!! では皆さんも一隻に全員は乗船する事は流石に難しいですが、六隻有りますので。船員の誘導にしたがって乗船して見てください!!」

 その言葉を合図にして、川岸に停泊している黒船に乗船する為に甲板上にいる船員達より、大人が横に二人並んでも上がれる鉄製の折り畳み式階段が陸地に卸され。
 それを織田家の者達と松平家の者達が、アトラクションに乗り込む子供の様に次々と乗り込んでいく。

「こいつは……凄い……」

「あんなにでかい大筒がこんなに沢山」

「南蛮の船は船の上に(やぐら)を組んだりはしないのか」

 そこで彼等が見たものは、遥かに進んだ技術がありとあらゆる場所に目に留まるアメリカ海軍の軍艦の姿であり。
 未だにオールを漕いで、船上から弓を浴びせながら敵の船に接近したり、船や陸に乗り込んで戦うと言うスタイルにある日ノ本の侍達の足元をすくうには充分なインパクトがあり。
 しかも先程の話を聞いた限り、この船であっても太刀打ちできない程の船を持っている南蛮人達の事を思い起こして、身と心を震わせる者もいた。

「なるほど。確かにこの船は立派な船だ。しかし、先程砦と村を焼き払った南蛮の力を受ければ只ではすまんな」

 それはある程度落ち着きを取り戻し、船の分析を目を細目ながら始めた信長も行き着いた意見であり。既に彼の脳内では、魔石に抵抗する為の戦略が考えられ始めている。

「ん? 何だこの音は?」

 そんな彼の耳に海の向こうから台風の様な風を吹かせる音と、10個の影が津島村の沿岸に迫って来ていた。

「あれが、貴様の言っていた仲間達かトレノ?」

「はい。私と共にアサツユ島から南蛮人ことヴァルハァム王国の侵略軍を追い出し。秀吉さん達と共に開拓を行った、私の友人達です」

 その何処か誇らしげに語るトレノの表情は信長と、その隣に居た元康の心に残り。
 周囲には足軽達の驚きの声と砂浜に海から上がってくるペンギンの様に、次々と砂浜に乗り上げていくエアクッション揚陸艦から出る騒音が響き渡っていた。


 ーーーーー◇ーーーーー


「本艦及び、2番から10番までの上陸を確認!! 周囲に敵影、及び障害物無しです艦長!!」

 その威勢の良い声はエアクッション揚陸艦の旗艦であり、砂浜の真ん中に位置する船の艦橋で響いており。その情報に対して艦長席でハキハキとした声を放ち、小ぶりな丸眼鏡が似合っている作業着姿の中年艦長が号令をかける。

「了解! ……各艦に通達!! 我々は亮太殿を含めた上陸部隊、重機、資材を降ろした後。予定通り、カモフラージュの為に一度砂浜から離れ、彼等の視界から見えなくなった所で積み荷を補充し。再度揚陸を行う!!」

「はっ!! 各艦に通達!! 予定通り、揚陸を開始せよ!!」

 その威勢の良い号令はエアクッション揚陸艦各艦の艦橋でも行われており。砂浜にうち上げられた揚陸艦の正面にあるハッチが吊り橋の様に地上へと下ろされ、その中からは360名の設営隊であったり、陸上自衛隊で使用されているキャタピラで動きクレーンも付いている資材運搬車しざいうんぱんしゃであったり。
 他にも残骸を押し出す事が出来るブルドーザー、空港や大きな基地等で活躍している戦隊物の車の様な見た目の救難消防車、二つの役割をこなす事が出来る小型ショベルドーザを次々と海岸から陸地へと揚陸していく。

「もう、昼の3時か……。皆!! 力を合わせれば日が沈む前には終えられると思う!! どうか皆の力を貸してほしい!!」

 その中で声をあげて指示を飛ばしているのは、念願叶って自らの意識を自分そっくりなコピー人形に移し変える事に成功し、今は空母大鳳の医務室で眠りについている様な状態で操っている陸上自衛隊の緑色の迷彩服に身を包んだ亮太であり。
 彼の背後には設営隊である【熟練の大工】、【熟練した水回りの匠】、【熟練した電気系統の匠】だけでなく。
 現地の状況に合わせたアイデアを考え出し、分析をしてくれる。黒いスーツと緑色の蝶ネクタイが印象的な【カリスマ的匠】として召喚された日本人らしき、黒髪短髪の青年がいた。

「亮太さん。今回の依頼、どの様な物にしたいかと言う構想は有りますか?」

 そう言ってベルトコンベア形式で次々と後方から来る事となっている揚陸部隊に備えて、前へ前へと現場に移動している亮太達の中であっても、和やかに質問しながら左隣に並んできた青年に対して亮太は答える。

「質問にはお答えしたいのですが。その前に失礼ですが、御名前を聴かせて頂いても良いですか?」

「これは失礼致しました。私の名はイトウ・ヒロフミと申します!」

「伊藤博文だって?!」

 まさか幕末後の日本を変えた、日本初の総理大臣の登場に流石の亮太も驚かされる中で。亮太は何とか落ち着きを取り戻しつつ返事を返す。

「し、失礼致しました。何分、有名な方の名でしたので!! 私は豊口亮太と申します!」

「はははは! 驚かせて申し訳無い!! きっと貴方が私を尊敬してくれていたお陰で、ここに呼ばれたのでしょうからね!!」

 そう言って笑って許してくれたイトウヒロフミを名乗る男の言葉を聴いて、昨夜恵比寿から送られてきた一通のメールの内容を思い出した亮太は思わず言葉に詰まるが、何とか言葉を紡ぐ。

「今回はこれから起こるであろう災害後の対応力や、復興力を実際に試すことが出来る機会です!! なので周囲の人達に見せても良いレベルの復興事業の速度だと、どれ程の速度で瓦礫を撤去出来るか。救出活動や、建築工事を行う事が出来るかを見極めたいのです!!」

 そのオーダーを受けたイトウは真剣な表情で頷き返しつつ、直ぐ様にプランを伝える。

「畏まりました! では今回の作戦はこの港町を演習の場として考え、瓦礫に救助者が居ることを想定しつつ、瓦礫の撤去活動を終わらせてから、町の復興を行っていきますね!!」

「よろしくお願いいたします!……あ、それと。お願いをしても良いですか?」

「はい、どうされましたか?」

 先程までは元気よく話していた亮太が突然申し訳なさそうに聴いてきたので、思わずイトウも心配げに顔色を伺う。

「……最初の襲撃で犠牲になった方達の立派な墓標を築いて欲しいのです」

「なるほど。わかりました、その事でしたらお任せください。未来永劫輝き続ける様な立派な墓標を作戦の後に製作させて頂きます」

「よろしくお願いいたします、イトウさん」

 そのやり取りをしつつ、二人の男は今回の作戦を最善の形で遂行し、この先に待ち構えているであろう悪夢に立ち向かうためにも仲間と共に乗り込んでいった。
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