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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

05.日ノ本の灯が沈む時篇

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05-04 黒船で来港①

 予定通りアサツユ城の展望台で昼食を取った亮太達は、協力者となる織田家に怪しまれない様にする為に海路を利用して尾張へと向かう事となっているので、現在名古屋湾の中心地にアサツユ城と同じく役場として設置されている名古屋城に転送の杖を使用する事で向かうこととなった。

「よし、名古屋城の人達に確認の連絡が取れたから今から転送するね!」

 その声と共に亮太の手の中に光が集まり、ランクアップを遂げてURとなり複数の対象を同時に転送する事が可能となった、亮太の相杖である転送杖が現れ。
 展望台にいた亮太、マリナ、エリス、秀吉、秀長の5人は眩い光に飲み込まれた次の瞬間、アサツユ城と同じく名古屋城にも備わっている警備令室へとワープする事に成功する。

「ようこそ名古屋城へ。亮太くんに、秀吉さん達」

 そこで出迎えてくれたのは亮太がこの世界に来て初めて出会った(しげる)であり。慣れないリクルートスーツに身を包んだ彼は今回名古屋港を開港するに辺り、亮太達に恩を返すと言う理由で名古屋城での勤務を引き受けてくれたアサツユ村出身の一人であり。
 彼が立候補してくれたお陰で名古屋港には大勢の漁師達と、名古屋の土地に詳しい奴隷とされていた人達が移り住んでくれたと言う背景があり。その大きな協力により、工事の速度と港街の発展が叶ったとも言える。

「お疲れ様ですシゲルさん。こちらの環境はもう慣れましたか?」

「ああ。お陰様で覚えなくちゃならない新しい事が山程出来ちまったから、一日50時間有っても足りない位だよ」

 そう言って微笑み合いながら握手を交わす二人の姿を、最初に出会った時は敵対視されて槍を喉元に突き付けられると言う、とんでもない状態にあった事を知っているマリナは嬉しそうに笑顔を浮かべていた。

「御忙しい所に更に仕事を増やしてしまったとは思いますが、大丈夫でしたか?」

 その亮太の質問に秀は嬉しそうに小さく鼻で笑ってから、気さくに答えてくれた。

「なに、離れちまっても日ノ本は俺達の大切な生まれ故郷だ。その故郷を救いたいと言って貰えているのだから、皆生き生きとした様子で船の出航準備と荷物を積み込んでいたさ。……こちらこそありがとう」

 その言葉を受けた亮太の涙腺は嬉しさで少し緩んでしまうが、何とか堪えて秀に力強く返事を返す。

「私も秀さん達と出会え、少しでも力になれた事を本当に嬉しく思っています。でもこれからは秀さん達はかけがえのない、困難に挑む仲間であり家族です! まだまだ不甲斐ない所が有るとは思いますが、よろしくお願いいたします!!」

 その言葉を聞いていたローラー付きの椅子に座っている警備令室の人達もデスクに置いているパソコンと書類から目を離しはしないが、微笑みながらコーヒーカップを啜ったり、うんうんと頷いてくれたりしていた。

「さあ、あんた達が来ることを心待ちにしている船乗り達が港で待っている。行ってやってください」

「ありがとうございます秀さん。じゃあ、皆行くよ?」

 そんな仲間達の後押しを受けている事を実感できた亮太達は、既に停泊地の一角に用意されているらしい船の元へと転送の杖を用いて向かう事となる。


 ーーーーー◇ーーーーー


「ここに私達を尾張まで運んでくれる船がいる筈何だけど……」

「おい亮太よ!! この目の前にある黒い壁はもしや船ではないのか!?」

 ワープした途端に目の前に現れた黒い壁に戸惑う亮太であったが、足元にある硬いコンクリートの感覚と、波の音ともに耳に聴こえてきた後方に居る秀吉の驚愕する声に驚き。
 慌てて数歩下がって、目の前に写っていた物が只の黒い板では無いことに気がつかされる。

「本当だ、本物の“黒船”だ……」

 それは日本では黒船として知られ、幕末の日米交渉を行う為にアメリカ海軍のペリーが乗船していた事で有名なサスケナハと同型艦である、三本の大きなマストを持つ外輪式蒸気機関推進外輪フリゲート艦であり。

 更に亮太が下がって見てみると、奥にも煙突から黒い煙を吐いている同型の蒸気船が六隻船着き場に停泊して居ることが判明する。

【※『図説黒船の時代』によれば、江戸時代後期の日本で建造された最も大きな船は、千石のお米(一石は大人一人が一年に食べる米の量)を積むことが出来る千石船(せんごくせん)であり。
 千石船は全長29メートルで、凡そ100トンクラスなのだが、黒船のサスケハナ号は何と全長77mの2450トンと言うデータからも、何れだけ黒船が規格外の物であったかが分かる】

「こんな船が突然現れたら、大鑑を持つ外国からの襲撃を殆ど経験していなかった日本は大パニックになるわな……」

「知識としては教えて頂けたが、実物はもっと凄いですね……。最新式の大砲を納めている蓋も見受けられますし……」

「ドウヤラ、おきに召してクダサッタ様デスネ?」

 現代の軍艦とはまた違う魅力を持つ木製の黒船に秀吉と秀長が驚かされている中、船に掛けられていた折り畳み式の大人二人が横にならんで歩ける鉄製の橋を渡って、訛り口調の船長らしき男が降りてきた。

 その容姿は、黒い軍服に金色のボタンが左右対称で幾つも付いていて、両肩には金色のモップがついている旧アメリカ海軍の軍服を着た190㎝近い身長を持つ、歴史の教科書で良く目にする30台後半の男性であった。

「ハジメマシテ、マスター! そして、アサツユ国のミナサン。ワタクシ、ペリーとナノリマス」

「うわぁぁぁ!!? 偽物だけど本物のペリーさんだって?!」

「この男が日本の歴史を力づくで替えた男か……秀吉じゃ! よろしく頼みます!!」

「オウ! ミスターヒデヨシ、コチラソ、ヨロシュウナ?」

 そんなたどたどしい日本語を語る自称ペリーさんに案内された亮太達は、彼が降りてきたスロープを登って甲板に降り立つ。

「ヨウ、ウェルカム!! マスター!!」

「あっ、どもです」

 そこではセーラー服姿の水兵達が船首の両側に計8門配備されている大砲を磨いており、此方に気づくや否や敬礼をして迎えてくれた。

「……あのー、ペリーさん? 何故彼等は大砲を磨いて、足元に砲弾と火薬が入っている台車を確認されているのですか?」

 そう恐る恐る聴いてきた亮太に対して、艦の船尾の方へと先導して歩いているペリーは歩みを止めずに半分顔だけ振り返り。キョトンとした表情で聞き返してくる。

「ウン? ダッテ交渉するのなら、大砲はヒツヨウデショ?」

「いや、いや、いや!! 何でそこは相変わらず英国式交渉術(物理)何ですかペリーさん?! まずいですって!!」

「HAHAHAHA!! マスター、交渉をする場合ブレインがタリナイわからず屋さんもカナラズアラワレマース!! ソウナレバ、アノ22.9cmダルグレン式前装填滑腔砲をプレゼントスルノデース!!」

「ブラックユーモア過ぎるでしょ?!! そんなことしたら、英国に反感を持って戦争を挑んだ薩摩藩見たいな人達が現れますって!!」

「デモ、そのお陰デ、幕末が訪れるノデショーウ? ナラバヨカロウではナイノデスカ?」

「何で中途半端に現代知識を持っているんですか?! とにかく、大砲は自衛以外には使用しないでくださいね!?」

「ウーン……ジャパニーズの言葉はムズカシイデスネ? ワカリマシタ、ホドホドに撃ち込みますね?」

「何でさっきまでペラペラ喋ってたのに、いきなりわからなくなるんですか?!」

 そんな漫才の様な掛け合いをしている二人の背中を秀吉達がにやにやしながら見つめている内に、ペリーが案内したかった場所に到着したらしく。
 艦の後方にある船内に通じる鉄製の扉を開けて、中に案内してくれる。

「ドウゾー、お入りください! すぐ右側に下の階層に降りられる階段が有りますので、そこから降りて右側にある部屋にお入りくださーい!」

 そのノリノリなペリーの案内に促され、亮太達は三階層に別れているサスケナハ船内の三階に当たる、船の後ろの方に配置されている船長室へと案内される。
 そこは人が三人入ればぎゅうぎゅう詰めになってしまう本来の船長室では無く、窓が無い代わりに天井にLED付きのシャンデリアが輝いていて、赤茶色のカーペットが敷かれた校長室の様な広さを持ち、木製のショーケースにお酒やグラスコップが収納されている棚があり。
 客用の互いに向き合うように設置されている四人掛けで、ブラウンカラーのレザーソファーに亮太達は座らせて貰い、ペリーとこれからの予定について話し合う事となる。

「さて。大体のお話は伺ってオリマスガ……。改めてマスターから今回のミッションの説明を聴かせて頂いても宜しいデスか?」

「わかりましたーー」

 そこから改めて亮太の口から説明された内容は以下の通りである。
 
 ①現在、織田信長率いる出迎え部隊が港で待ちわびているらしく。先ず亮太達は織田信長と面会し会談を持つ事と、その中で三週間後に起こるとされている災害対策について話し合う事。

 ②言葉だけでは理解されないであろう事を踏まえて、恵比寿に託されたイメージビデオを見て貰う。
 それで同意が得られなかったとしても災害時に役立つ品を説明書きと共に置いて去り、天皇陛下から書状が送られているであろう他の大名の居る地域に使者として向かう。

 ③同意が得られた場合は大名や家臣達に粗品を渡し、地元の住民達にも工事の前の挨拶と粗品として安価で有りながら役立つ物を渡していき、不信感を出来るだけ下げる。

 ④ある程度の進展を確認出来たならば黒船に作業員達を召喚する事で人員を確保し、津波に耐えれるだけの堤防の建設工事や、周辺の山や家の状態を調査し、改善すべき所を洗い出していく。

 ⑤そのデータを元にして尾張の災害対策と建設工事を行っていき。安全を確認出来次第、各自は会議で話し合われていた通り日ノ本の各地に四散して、同じ様に交渉を行っていく事となる。

「ナルホド……。だとすれば、悪目立ちしない内にスピーディにクリアして行きたいデスね……。了解いたしましたマスター」

「よろしくお願いいたしますねペリーさん。このファーストコンタクトの結果次第で、後の状況は全く異なる事となりますので」

「勿論、心得てオリマスヨ」

 そう答えたペリーは胸ポケットに締まっていた銀色の懐中時計を取り出して時刻を確認し始める。

「そろそろですね……」

「え? 何がですかペリーさん?」

 勝手に納得しているペリーに何か嫌な予感を感じた亮太がひきつった笑顔で確認し、ペリーは朗らかな笑顔でとんでもない事を伝える。

「ええ、オワリのハーバーに到着する時刻デスヨ?」

「はあっ?!!」

 その予想だにしない返答を聴いた亮太は思わずソファーから立ち上がってしまい、そんな亮太のリアクションすら想定の範囲内らしいペリーは落ち着いた様子で戸棚から鉄製のコーヒーカップを亮太達の分を取り出して、同じく中に入っていたレモンティー入りペットボトルの中身を注いでは、唖然としている一人一人に手渡していった。

「ソーリー、マイマスター。交渉をするに辺り最高の機会が現れたそうなので六隻の船ごと同乗しているウィッチ達に頼んで、オワリハーバーの近くに転送して貰いました」

「……その、最高の機会と言うのは一体どういう事ですか……?」

 その質問に対するペリーの返答が行われる前に、突然船体が地鳴りの様な震動と共に頭上から轟音が複数聴こえてきたのである。

「まさか!! ほっ、砲撃を加えているんですか?!」

 流石にそこまで勝手な行動を取るとは思っても見なかった亮太は顔を青ざめさせて、震え上がり。その様子を目の前にいるペリーは優雅に左手で皿を持ちながら、右手でコーヒーカップを持ち上げて啜ってから平然と答えた。

「イエスサー。オワリハーバーの三キロ圏内にワープした我が艦隊は陸地にいる敵対勢力に対して、砲撃による武力排除を行っています」

「な……!! 何て事をしてくれたんですかペリーさん?! これでは協力を結びに来たと言いながら誘き寄せた所を狙う、武力による騙し討ちでは無いですか?!」

 その余りに身勝手で、後先考えないペリーの行動に思わず亮太も怒りを表して抗議するが、ペリーは未だに周囲から聴こえてくる砲撃の轟音と震動する中で、静かにコーヒーカップと皿を膝の上に置いて話を続ける。

「マイマスター。貴方には船内からでも外の様子を伺える筈です」

「今更何を……!! あっ……」

 その言葉に従って亮太が目の前に写し出したモニターには、全く想像していなかった光景が映し出されていた。

◇資金:442,8065,0150SP-990,0000SP=442,7075,0150SP

【ランクアップ費用】
・瓶入り牛乳6本セット《Rank,R+》→《Rank,SR》【-90,0000】
・転送の杖《Rank,SR+》→《Rank,UR》+9【ー900,0000】
+注意+
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