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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

01. 出会い篇

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01-02 村人達との出会い

 時は亮太達が惑星アルタリアに訪れる、数十分前に遡る。

 鳥の囀さえずりや、近海から聴こえて来る波の音が心地よい森の中で親子らしき3人組の人達が昼食を獲るために、森林地帯をボロボロになるまで着込んだ毛皮で出来た服を身に付け、それぞれが異なるお手製の武器を持ちながら探索を行っていた。

 先頭を歩く父親らしき男性は167cmの身長で、白髪の坊主頭に、農作業で鍛えられた筋肉質な身体はこんがりと日焼けした肌、年齢による衰えを感じさせない良い肉体を維持している。
 そして彼の右手には二メートル程の長さの木の棒の先端に鋭利な形に加工した石をくくりつけた、お手製の槍を構えながら歩いている。

 その後ろを164cm程の黒髪のスポーツ刈りに似た髪型で、同年代の男子達と比べて背が少し低く、顔つきも童顔な少年が後に続く。彼の手には木製の弓と矢がぎっしりと詰められた矢筒を背中に背負い、父の後に着き従う。

 そしてその更に後ろを小学生程の小柄な少女がついてきている。赤茶色のぱっちりとした目に、幼さが残る可愛らしい顔立ちで黒髪をポニーテールにしている少女は、山の中で手に入れた物を出来るだけ沢山持ち帰る為に持ってきた頑丈な木の鶴つるで編まれたカゴを背負う荷物持ちとして頑張っていた。

 そんなそれぞれがしっかりと役割分担された三人の親子達は手馴れた様子で、収穫物をのんびりと収拾しつつ。傾斜が余りないなだらかな山道を渡り、依りいっそう取れる収穫物を増やすために森林の奥へ奥へと進んでいく。

「しばらく雨が続いていたけど、今日は晴れて良かったねお父さん!」

「ああ……最近は中々狩りに出れなかったせいで村の皆も皆腹ペコになっているから、沢山食べられるものを持ち帰って皆を喜ばせてやろうな」

 その日は良く晴れた、正しく狩り日よりと言える様な恵まれたコンディションであり。
 3人は森林を縄張りとする狂暴な動物に警戒しつつ、辺りに這えているきのこや、山菜、タンパク源となるクルミ等を収拾し。

 事前に仕掛けておいた獲物が踏んだら起動する吊り上げ式の罠を探していて、罠が設置されたポイントを次々と回っていき。罠に掛かっていた小鹿等を一頭捕獲する事が出来た。

「わあ! お父さん小鹿さん可愛いねー!」
「情は移すなよユリ……この子の命を分けて貰うのだからな……」

 ある程度彼等が狩り場を回り終えた頃には、少女が背負うカゴの中には二家族を2日以上養えるだけの食材が集まっており。やがてその重さに耐えかねた少女が背負ったカゴと共に、地面にドスンと座り込んでしまう。

「ううう、おもたいよー! お父さん!!」
「よしよし、ここまで良く頑張ってくれたねユリ。帰り道はお父さんが持つからユリは休んで良いよ」
「うん! ありがとうお父さん!!」

 何時もと変わらぬそんなやり取りを二人がしているそんな時であった。突然甲高い弦が震える音と共に矢が空を切る音が同時に響き、その数秒後に帰路に着こうとしていた彼等の背後で野太い獣の悲鳴が上がったのは。

「父さん!!! 後ろから大牙猪の群れが来てる!!」
「何だって?! ここら辺の魔物は縄張りからあまり離れないから、村の直ぐ側にいる私達を追い掛けてくる事は無い筈だぞ!!」

 そう言いながらも父親は槍を構え直して悲鳴が聴こえた方へと体事向けるのだが、父親は我が目を疑う光景を目にする。

「ああ……なんてこった!! 早く!! 逃げるんだ二人とも!!」

 それはドドドド!!! と言う大きな地響き音と共に森の奥から迫って来ているであろう、少なくとも20頭以上にも上るビックスクーターサイズの体格を持った巨大な猪達であり。

 その大きな体格にも決して負けていないと主張するかの様に鼻先から生えている、1m半近い長さの槍の様に突き出された2本の角を持った、現代においては見る事が出来ない程の大きさを誇る、大猪の魔物であった。

「父さん! 足じゃ猪に追い付かれてしまうよ!! ここは木に登ってやり過ごそう!!!」
「ようしわかった!! ユリ、しっかり掴まっていなさい!!」
「わかった!」

 かくして3人は近くにあった5階建ての建物程の長さで、太くて頑丈そうな木に急いで登り始めるのだが。丁度真ん中まで登ったところで猪達が彼等がいる木にぶつかり始めた為に、登ってきた木は大きく揺さぶられてしまい。

 3人は恐怖の余りに絶叫してしまう。

「きゃあああ!!!」
「だ、誰か助けてぇぇぇぇ!!!」
「おのれ!! 魔物どもめぇ!!!」

 やがて、何度も繰り返されている大猪達の突進により少しづつ傾き始めている大木は、沈没寸前の船の様に軋む音をたてながら崩壊を始めており。

 3人が自らの最後を悟ったその時であった、キャラメル色の犬耳と尻尾を生やしたメイド少女と、何故か白い死に装束を着た青年と言う異色な二人が激しく討論しあいながらも駆け付けて来たのは。

「よし! 何とか間に合ったみたいだな!! 流石に犬の嗅覚は伊達ではないね、マリナちゃん!!」
「今は私の事よりも目の前の問題を解決する事が先決!! 特に今は亮太の力が頼りなんだから、しっかり頼むわよ!」
「おう! 任せとけ!! ここまで来る途中で色々と便利な機能を説明して貰ったからな!!」

 そう生き生きとした様子で語る亮太の目の前にはタブレットに似た半透明の操作端末が出現していて、亮太は来る途中で教わった手順通りに【召喚可能品目】と言うアイコンをタッチして、現在亮太が召喚する事が可能なもののリストを画面に表示させる。

 ー所持SP:50,0000Pー

【無償で出せるもの】
 ・ミネラルウォーター【500ml~2L】
 ・馬糞・肥料・土・石【1kg~5kg】
 ・パワーバー各種
 ・寝袋

【雑貨店】
 ・皿【100~300SP】
 ・木製食器【300~600SP】
 ・ポット【500SP】
 ・タンス【2000SP】
 ・テーブル【1500SP】
 ・ノート【150SP】
 ・筆記用具各種【150SP~1000SP】
 ・カバン各種【800SP~3000SP】
 ・茶葉【300SP~2500SP】
 ・茶菓子【300SP~1000SP】
 ・タオル【500SP】
 ・服各種【500SP】
 ・瓶各種【500SP~2000SP】

 ズラリと並んだリストの中から亮太は手早く、未だに家族3人が必死にしがみついている大木を交差点として走り回る巨大な猪をターゲットに、召喚を使用した攻撃を開始する。

「そんじゃあ一番威力が有りそうで、尚且つ値段がタダのこいつでどうだ!」

 素早い画面操作によって亮太により召喚され、猪の頭上に突然現れた物は、形は様々だがどれも大きく、重量5キロにもなる大量の石であった。

「そんなに腹が減ってるなら、これでも食らいやがれッ!!!」
「ブモォォォォォ?!!」

 その叫びに巨大な猪達が気づいた頃には大量の石が猪達に雨の如く降り注ぎ始めた後であり、正に【ドゴゴゴゴッ!!!!】と言う擬音が浮かぶような猛烈な打撃を受けた巨大な猪達が無事で済む筈が無く。
 額を打たれ、痙攣しながら倒れるものや。吹き飛ばされてひっくり返り、慌てふためいてもがいている内に2撃目を受けるもの。そして、恐れをなして森の奥へと逃げ帰るものと結果は様々であったが。
 結果的に大木の上に逃げた親子を襲う魔物はいなくなり、辺りには大量の石が地上に落ちたせいで周りの木々がへし折れて倒れていたり。10頭近い猪が倒れていたりしている為に、足場が無い程に埋め尽くされた悲惨な状況ではあるが、何とか安全は確保された。

 その光景を見た亮太は満足げに頷く。

「こいつは凄い! とりあえずは何とかなったな!!」
「何とかなった! ……じゃ無いわよ!! まだテストもしていなかったのにあんなに大量に召喚させて、助ける人達まで巻き込んだらどうするつもりだったのよ!! もう!」
「きちんと彼等が避難していた木には石が落ちないように投下地点を指定していたから大丈夫だってマリナちゃん! さあ、改めて救助に向かおう!」

 あれだけ大量の石を降らせて恐ろしい猪達を撃退したにも関わらず、特に驚きもせずに談笑しながら迫ってくる二人の強者を見て。折れかけた大木にしがみついていた3人の内の父と息子は助かって喜ぶ気持ちよりも先に不信感を強めていた。

「何者なんだ、あの死人の格好をしている青年は……? まさか、生前魔道土だった死者なのか?」
「今度は石に討たれるのは僕達かもしれない。父さん、無駄かも知れないけど弓の準備は出来ているよ……」

 そんな緊張感が漂い始めた所で、先程の亮太の活躍をまじまじと見ていた少女ユリが、自分達が避難していた大木に寄り掛かるように倒れている木々にそろそろと乗り移って行き。
 一本、また一本と乗り移りながら亮太達がいる地面へと降りようとするものだから、大木にしがみついている父と兄は必死になって止める。

「何をしているんだユリ!? 危ないから、早く戻って来なさい!!!」
「彼等が僕達の味方だって保証は、どこにもないんだよユリ!!!」

 そんな二人の叫びを聴いたユリは、真剣な表情で言い返す。

「お父さんはいつも誰かに助けて貰えたら、感謝しなさいって教えてくれたよね? 私はただ、助けてくれたあの人達にありがとうと言いたいだけなの!!」
「確かにそうだ! でも、怪しい人には近付いてはいけないとも教えた筈だよ!! 私達はまだ彼等がどんな人間……いや、人であるかも解ってすらいないんだ!!!」
「でも先ずは感謝すべきーー」

 その時だった。少女が立っていた木がミシリと音を立てて折れたのは。

「きゃああああ!!!」
「ユリ!!!」

 高さ四階建ての高さから、自由落下を始めた少女の姿を見て悲鳴をあげる父と兄。しかもよりにもよって少女が足を滑らせた木は斜めに傾いてしまっていたせいで、本来ならば彼女を受け止めてくれたであろう木の葉っぱは一枚も無く。

 彼女は大量の石が敷き詰められた地上へと、自由落下していく。

「今助けるから!!」

 そんな彼女を助けるためにその様子を見ていたマリナは地上から跳躍して飛び上がり、通常では考えられないような速度で恐怖で震えていたユリに接近し、そのまま抱き寄せる。

「おっ、お姉ちゃん?」
「もう大丈夫だからね? 亮太! 尻拭いぐらいは出来るわよね!?」
「ああ、任せてくれ! 【全召喚物一括回収オールリコール】を使う!!」

 その言葉通り、亮太は現在大地を埋め尽くしている危険な石を回収するために端末を操作して召喚物の一斉リコールをかける。
 すると、そのコマンドは直ぐ様に実行されて大量に地面に敷き詰められていた石は光となって消え去り、石が取り除かれた地上には倒れた木々と猪の死骸が転がっているのみとなるのだが。

(二人が安全に着地するためにはこれではまだ足りない!)

 そう判断した亮太は、直ぐ様に召喚リスト一覧の中にあった【土】と【水】を、袋や容器等の入れ物の中に入れられていない状態で、直接地面へと【土と水6:4】程の割合で召喚する。
 すると、二人が着地する地点には巨大な泥土の山が沸き上がるように出現し始め。落下していた二人はその泥のトランポリン目掛けて落下し、多少の衝撃と身体中が泥だらけになると言う被害はあったものの、何とか無傷に生還を果たした。

 その光景を木の上からまるで伝説の再現を見ているかの様な感覚で見ていた父と息子は、ただただ呆然とさせられ、そんな二人をよそに地上では泥だらけになった二人の元へと亮太が急いで駆け寄って、泥の山に埋もれている二人の無事を確かめる。

「無事か二人とも!? 今から泥土を消すからな!」

 そう言って【石】を消した時と同じ様に【全召喚物一括回収オールリコール】を用いて、召喚物を回収した亮太は震える少女と、その少女を優しく抱き寄せ、母のような優しい表情のマリナを確認して安堵あんどする。

「良かった、二人とも無事だった様だな」
「おかげさまでね……。怖かったよね、もう大丈夫だからね」

 余りの恐怖で、未だに身体の震えが収まらないでいる少女をなんとかして慰めようとするマリナを見て、亮太も何か力になれないものかと召喚リストを探り、【雑貨店】の欄から見つけたある物を召喚して少女にプレゼントする事にする。

「良く頑張ったね。これは頑張った君へのご褒美だよ」
「きれい……お兄さんこれは何?」
「この小型のガラスで出来たビンの中に入っている綺麗な石は飴といってね。こうして、瓶の蓋を開けると……」

 ユリに亮太が手渡した物は色とりどりのキャンディーが詰められた、ステンドグラスの様に輝く小瓶であり。亮太は手渡した小瓶の上についている銀の蓋を回して、少女に開けて見せる。

 すると辺りに様々な果物の甘い香りの様な匂いが漂い、少女も思わず「わぁ……」と小さく喜びと感動の混じった声をあげる。

「舐めると、甘くておいしい飴が取れる様になるのさ。試しに一個食べて見るかい?」

 そう言って少女より渡すより先に紫色のぶどうの飴を自分の口に放り込んで安全性をアピールしてから、亮太は笑顔でビンを手渡して少女に食べてみないかと促す。
 促されたユリもどきどきしながらではあるが、赤いイチゴ味のキャンディーを口に入れて味わってみる。すると、直ぐに口の中を本物のイチゴの味にほんのりと砂糖の甘さが乗った甘味がユリの口の中を駆け巡り、余りの美味しさに暗い表情も晴れてユリに笑顔が戻る。

「とても!! とても美味しいです!! こんな甘くて美味しい物は初めて食べました!!」
「うーん俺もだよ! まさか本物の果物そっくりの味がするキャンディーが入っているだなんて!! やっぱり雑貨店を選んで正解だったな!!」
「え……お兄さん食べたこと無かったんですか?」
「え? あっ……いや……。実はこの商品は、海を越えた大陸で買った貴重なものでね。ついつい開けることすら勿体無くて、お兄さん触れなかったんだよ」
「信じて良いんですよね……?」
「うっ」

 何とか誤魔化そうとした亮太であったが、純粋に自分の事をを信頼出来る人間かを知りたいと思っているユリの熱い視線を受け、亮太は嘘をついてしまったことを反省し、素直に話すことにする。

「ごめん。本当の事を言うと、実は俺は今日から色々な物を召喚する事が出来る召喚士って言う能力を与えられたばかりでさ。その召喚する事が出来る物の中から、君が喜んでくれそうな一度も召喚した事が無い飴を君に渡したんだ……。本当にごめん」

 その話の中に出てきた幾つかの言葉の意味をユリは理解することが出来なかったが。
 亮太が嘘を貫いて切り抜けようとせずに本音を話してくれた事と、自分のために初めて召喚した物を自分で毒味をしてまでプレゼントしてくれた亮太の優しさは本物であったことを幼心に感じとっていた。

「ありがとうございます、私はお兄さんを信じます。そして魔物に襲われていた私達を助けてくださり、お姉ちゃん、お兄さん。本当にありがとうございました!」

 そして、二人へとずっと伝えたかった言葉を少女から聞かされた二人は、照れ臭そうに互いに見つめ合いながら自然と微笑んでいた。
【報酬】
・大牙猪10頭討伐【小型武器屋解放+回収した素材から毛皮・肉を用いた加工品が素材分カタログに追加され。牙猪が召喚が可能となりました】

・村人3名救助【15,0000SP】

・土・水・石の召喚熟練度上昇(N→N+)【より質の良い材料が召喚が可能となりました】

※カンパン→パワーバー各種に変更致します。
+注意+
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