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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

04. 衝突する願望篇

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04-20 激闘の後②

・温泉内でのマリナの口調が変化していなかったので、書き換えました。
「よしみんな!! 砂漠での戦闘で汗だくになって、ベタベタして気持ち悪いと思うから先に温泉に入ってくれ!! それから宴会にしよう!!!」

「「「おおおおおぉ!!」」」

 何とか農民達からのヘイトを下げて、大ヴァルハァム王国の弱体化と言う話題で切り返す事に成功した亮太はアサツユ城から出て功労者である騎士達を労う為に、増築した温泉に行くことを促し。
 騎士達もそれを聴いてウキウキとした様子で温泉に向かっていった。

「亮太はこのあとどうするの?」

 そんな彼等の後ろ姿を見送る亮太に、左隣に連れ添うマリナが聴いてきたので亮太は少ししゃがんでマリナと目線を合わせながら少しやつれた微笑みを浮かべて答える。

「そうだね。僕も皆と一緒に温泉に入りたい所何だけど、これからの事でヒデヨシさん達と話し合っておきたい事があるんだ……。だから僕の事は気にせず、皆と一緒に先に温泉に行ってくれないか?」

 その言葉を受けたマリナは、数十分前シャルロッテにアルバインとのいざこざを聴かされていたので出来れば一人にはなりたくなかったのだが。覚悟を決めてその提案を受け入れる。

「分かったわ。でも亮太もちゃんと休憩をとって、シャワーぐらい浴びてくるのよ?」

「ああ、言い出しっぺの癖に不潔のままのせいで皆から嫌われるのは勘弁だからな。約束するよ」

 そう言って亮太は優しくマリナの頭を撫でてから、その様子をモヤモヤした様子で右隣で見ていた普段着姿のアルバインにも声をかける。

「アルバイン。今日も本当にありがとう。アルバイン達がガトラスさん達をしっかりと護衛してくれた御掛けで、ナバル王女が沢山の陸軍兵士を味方につける事が出来たと喜んでいたよ」

「わ、私はマスターの望まれる事をしただけで……。大変な目に会われていたマスターを助ける事は一切出来ませんでした……はうっ?」

 召喚された者として命令以外の事が出来無い制約に縛られ、歯痒い想いをしていたアルバインが落ち込みそうに成ったところで。亮太は彼女の頭を優しく撫でつつ、微笑みながら褒め称える。

「……難しい条件の中でエリスは最善を尽くしてくれた、その事に僕は本当に感謝しているんだ……。だからそんなに自分を責めないで欲しい。心を獲たエリスならきっと、今日以上の活躍が必ず出来ると思うから」

「ああ、マスター……」

 突然自分の姓では無く、初めて自分の名前で呼ばれたアルバイン事エリスは顔を真っ赤にさせて湯気を出しながら硬直してしまう。

「そしてエリスの想いを汲めず、しっかりと向き合えていなくてごめん……。また明日、ゆっくりと話をさせて貰っても良いかな?」

 あくまで子供の頃からの相棒として意識していた亮太は、同じ人間として再会出来たエリスの想いに気がつけずにマリナと添い遂げる事を選んだ為に、その言葉には色々な後ろめたさと罪悪感が含まれていたのだが。
 興奮状態にあるエリスは頭がショート状態に有るらしく、何も考えられずに返事をしてしまう。

「は、はい! マッ、マスターが共に居てくださるなら、何処へでも!!」

「あ、ありがとうエリス。それじゃあゆっくり休んでくれな。シャルも今日は危険な状況の中で助けに来てくれてありがとうな」

 そう言ってアルバインの隣に居るシャルロッテにも御礼を言う亮太であったが、裏事情を知っている彼女の表情は余りよろしく無く。先行きが不安である気持ちが声になったような、弱々しい声で応える。

「……僕はマスターを探しに行っただけで、本当に頑張っていたのはラムセス兄さんだから気にしないで」

「あ、ああ。勿論ラムセスさんにも伝えておくよ。それじゃあまた後でな」

 そう言って亮太はアサツユ城で待っているであろうヒデヨシ達の元に行くために、彼女達と挨拶を交わしてから離れて行った。

「じゃあ私達も温泉に行こっか? 着替えや、身体を拭き取るタオルは無料で貸し出して貰えるみたいだし」

「はうぅ……マスター……」

「マリナちゃん、アルバインが夢の世界に行ってしまっているみたいだから、温泉に向かう道中の何処で正気に戻るかアイスを賭けて勝負しない?」

「……いいけど、このままの状態で良いの?」

「良いの良いの、私達がギスギスしている姿を見られずに済みそうだしね~。因みに私は温泉に入っても惚けたままだと予想するよ!」

「えっ!? 流石にそれは無いでしょう?! 温泉に向かう途中で正気に戻る筈よ!!」

 その慌てたマリナの様子をと発言を確認したシャルロッテは、アルバインを良く知っているのでニヤリと八重歯を見せながら笑い、惚けているアルバインを颯爽とお姫様抱っこして見せる。

「それでマリナちゃんの予想は良いんだね? じゃあ行ってみよう!!」
「マスター……えへへ……」

 その状況でもにやけるアルバインを見て、思わずマリナもシャルロッテの発言があながち間違い出はないかもしれないと思い始める。そして彼女が亮太の事をどれだけ好いていたかを目撃させられた為に、ショックと罪悪感を覚えて行く。

(でも、私だって亮太と離れたくない……。好きだから仕方無いじゃない……)

 そう言って自分の気持ちを奮い立たせようとしているマリナを尻目に、シャルロッテも複雑な表情でアルバインを抱き抱えながら、アサツユ城の隣に建設され地元の人達の憩いの場となっているアサツユ温泉に歩みを進めていく。

 彼女達が目指している温泉は1階建てのお城を横に2個分広げた様な外見を持ち、建物の後ろには城よりも高いお湯を沸かすボイラー室と温泉内の湯気を出しながらそびえ立つ灰色の煙突が目に写るアサツユ温泉を訪れる。

 そこにはかつて亮太とマリナが初めてこの地に降り立った時に遭遇したイズルハ家の四人が、浴衣姿で楽しそうに横並びに手を繋いで歩いていた。

「お父さん速く、速く!!」

「こらこら、そんなに引っ張ったら折角貰った浴衣とちゃんちゃんこが伸びてしまうだろ?」

「ふふふ、ユリったら風呂上がりに貰えるアイスクリームが楽しみで仕方無いのよね?」

「ちっ、違うよお母さん!! もう少しで人が混む時間だからーー」

「……早くしないと好きなアイスが取られてしまう……だろ? へへ」

「もーう! お兄ちゃんまでそんな事を行って……あれ? マリナお姉ちゃんにアルバインお姉ちゃんを抱いているお姉さん?」

「今晩はユリちゃん、元気そうで何よりね!」

 そう言ってマリナは慌てるユリにウインクして挨拶し、

「こんばんは、僕とは初めましてだよねユリちゃん? 僕は亮太さんの騎士の一人シャルロッテだよ、よろしくね?」

 そう言って明るい笑顔でアルバインを抱えながら自己紹介をしたシャルロッテに、イズルハの家族の皆さんは突っ込み処が多すぎて困るのだが。温泉と言う同じ目的が有るので、そこを突いてシャルロッテはイズルハ家の皆さんを巻き込んで行く。

「じゃあ立ち話も何ですし、折角だから温泉に入りましょう!! 僕、温泉に入るのは初めてだから楽しみにしてたんだ!!」

 その純粋無垢な少年の様なシャルロッテの笑顔を見て、ユリのお兄さんであるショウタが何故かぶっきらぼうに声をかける。

「……じゃあ案内してやるから一緒に行こうぜ? 今日は人が多くて混んでいるみたいだしな」

「お、ありがとう! えーと……名前は?」

「俺の名前はショウタだ……」

「じゃあお願いするねショウタくん!! 僕、今日は汗だくて自分でも匂って来る程だったから焦ってたんだ~あはは」
 
 その何気無いシャルロッテの発言を聴いたショウタが無意識に、「匂い……か……」と意味深く小声で呟いたのをマリナは聴き逃したくても聴いてしまったので思わず苦笑いを浮かべる。

「……なっ何だよ、そんな複雑な顔をして?」
「いや、何でも無いわよ! 何でもね……ははは……」

 そんな不機嫌そうな彼の案内を受けつつマリナ達は温泉に入る事となる。

 温泉の構造は先ず富士山の絵が書かれたのれんが掛けられている体育館の入口程の出入口を潜ると、地面と一段離れている段差がある漢字の【凹】を上下逆転させた様な玄関と、その左右にスリッパが入れられた下駄箱が100個づつ設置されており。
 マリナ達はそこで靴を脱いで下駄箱に仕舞い、代わりに緑色のスリッパに履き替えつつふと視線を前にある玄関に戻すと、壁の左側に青いのれんに墨で【男】と書かれている男風呂と、右側に赤いのれんと共に墨で【女】と書かれている入口が目にとまる。

「へー!! 入口はこんな風になっているんだ!! うーん……ワビサビダネー」

「シャルロッテ絶対言葉の意味わからずに使ってるでしょ……」

「あはは! ばれちゃったか? でもこれでアイスは僕が貰える事で確定だねぇん?」

「え? あ……」

 突然可愛らしく舌を出しながらウィンクして来たシャルロッテの言葉の意味が解らず、呆けてしまったマリナは未だにお姫様抱っこされながら夢心地にいるアルバインを見て驚かされる。

「ふふふ……マスター……」

「なっ、まさか本当にここまで来ても夢の世界に居るだなんて!?」

「そりゃあ、お姫様の目を覚ますのは王子様の仕事だって決まっているからねー。本当ならあのままラブロマンス突入する所だったんだけど、マスターは仕事に行っちゃたからねー。ほら、アルバイン。もう朝ですよー」

 そう言いながらアルバインの頬を右手でお餅の様に揉み始めた所で、アルバインがやっと正気に戻って来た。

「あうう、な……ひゃに? ひゃにをひているのヒャルホッヘ?」

「おおお……お目覚めになられましたか姫様? 貴方の友であるヒャルホッヘはずっと病に倒れた姫様と共におりましたよ……」

「も、もう……意地悪しないでよシャル。ここはいったい……ひゃあ?!」

 やっと意識を取り戻したアルバインが見たものは、彼女達の事を不思議そうに眺めているお風呂帰りの御客さん達であり。
 アルバインは自分が亮太に名前を呼んで貰えた事の余りに浮かれてしまい、意識が朦朧としていた事と。その状況を理解した上でイタズラをシャルロッテに仕掛けられた事を理解した為に、恥ずかしさで真っ赤になった顔を両手で隠して悶える。

「ううぅ……シャルの意地悪……!」

 その様子を見た男性達はその乙女の姿を頬を染めながら目に焼き付ける様に見詰め、女性達も思わずにこにこしてしまう。

 そんなやり取りを終えた後、改めてマリナ達は男女別々の更衣室に向かう。

「ここで男女に別れて入るんだよ……。じゃ、じゃあゆっくりな……」

「うん! ありがとうねショウタくん!! また会いましょう!!」

「お、おう」

 そんなぎこちないショウタとのやり取りを終え、昨日利用させて貰ったマリナを除いて日本の温泉は初体験なアルバインとシャルロッテは初めて見る光景に思わず目を引かれつつ、足元に敷かれている緑色のカーペットを歩きながら女風呂の更衣室へと入っていく。

 更衣室の中は学校の教室程の広さがあり、床には小麦色の竹で造られたタイルが敷かれていて。
 アサツユ島で暮らしている子供から、お婆ちゃんまで幅広い年齢層の女性客達が田んぼ囲いの様な形で設置されている籠が置かれた棚の前で着替えていたり、天井に設置されて回っている扇風機の風を受けて涼んでいたり。
 温泉の案内人権、売店を任されている旅館の女将さんの様な格好をした女性定員から購入した風呂上がりの牛乳をお母さんと娘さんが共に笑顔で味わっていたりする光景が目に入る。

「亮太がラムセスさんとの激戦を終えた後、急いでこの温泉を造ったのは皆を笑顔にする為だったのよね」

「これが、マスターが夢見ておられた光景なのですね……」

「幸せって、日常の中にこそあるべきものだもんね……うんうん……」

 その様子を目にしたアルバイン達はこの施設が亮太により設置された事をマリナから誇らしげに伝えられたので、思わず感心させられた。

 中にいる女性達が皆それぞれ雑談をしていたり、温泉に入った後はどうするか等を話している中でシャルロッテは手に見えないマイクを持って周囲に居た女性陣のプロポーションを実況していく。

「じゃあ着替えている時間が勿体無いし、折角だから温泉にいる皆の情報を読者のみんなにお伝えさせて貰うね?」

「シャルロッテちゃん、誰に向かって言っているの?」
「じゃあ、今服を脱ぎ終えたマリナちゃんから行くよ!」
「ふえっ?」

 ◇マリナ:小学生高学年程の成長途中のプロポーションであるが、髪を降ろした途端に素直で純粋な可愛らしい性格が顔を出し。その幼いボディも肉付きが少しぷにぷにしてそうではあるが引き締まっていて、将来が期待できそうだ。

 ◇アルバイン:マリナちゃんとは年齢差は余り無いが、その汚れを知らないあどけなさとは裏腹に甲冑のせいで着痩せしているらしき見事なナイスバディであり。透き通った肌に負け無い程綺麗なブロンドロングヘアーも合わさって、まるで輝きを放つ天使の様であった……ああ……。

「はわわ!? 【ああ……】じゃないですよシャルロッテちゃん! その恥ずかしい実況を今すぐ辞めてくださいぃ!」

「うぐぐぐ……!! 例え僕の首を背後から絞めても……!! 僕は、伝えなきゃ行けない事があるんだ……!!」

「かっこつけて言うほどの事じゃ無いですよ! アルバインちゃんも止めてー!」

「マリナちゃん、シャルは気が済むまでやらないと気がすまない人間だから無理に停めたら駄目だよ? ふふふっ」

「既に全てを悟った様な笑顔をしてる……!!」

そんなやり取りをしている間に、浴場に続く横にスライドするタイプの自動扉を抜けて、バスタオルを身体に巻いたルルとジーナが歩いてきた。

「ここまで来てプロレスするなんて、よっぽどタフなのね貴方達は?」

「楽しそう」

「ふっ、二人とも逃げてください!! 今シャルロッテちゃんが変なスイッチが入っていーー」

 ◇ルル:高校生程の年齢に見える大人と子供の間の様な大人し目なプロポーションと透き通った白い肌を持ち。銀色のセミロングと猫を思わせる様な赤色のつり目が特徴的な彼女なのだが、先程からお風呂あがりであるのに一切の隙を見せないロシア美少女……。そしてかわいい。

 ◇ジーナ:隣を通れば同姓の人だって思わず振り返っちゃうモデル美女! 普段は茶色の腰まであるストレートロングヘヤーを白いタオルでターバンの様に纏めていて、身体をバスタオルで隠している事もあって物凄くセクシー!! げふっ?!

「いいいいいきなり何を言い出すのよ、このピンク髪のクレイジーガールは!!?」

「がはっ、ぐはっ?! 顔は辞めてよ?! ボディーにして!!」

「ん。素晴らしい観察力だと思うよ……?」

そんなどたばた劇を繰り広げるシャルロッテ達を見かねたユリのお母さんであるサクラから声が掛けられる。

「皆さん、ここは大勢の皆さんが利用される場所なのですから、お静かに御願いしますね?」

その表情は笑顔ではあったが、まるで背後に鬼がいる様な威圧感があり。
先程まではしゃいでいたシャルロッテも顔を青ざめさせて慌てて謝った。

「ごごごめんなさい!! 直ぐに辞めますから御許しを……」
「いえ、それだけでは駄目です。ちゃんとケジメを付けて貰いませんとね?」
「えっ……それはもしかして、指を差し出すとかですか……?」
「あら。じゃあそうしましょうか? 私は構いませんけど?」
「あ、あああ……!! ごめんなさいそれだけは許してください!!」

 結局大乱闘をし終えた女性陣達は、シャルロッテが一番辛いであろうアイスを奢って貰うと言う事でこのあと和解する事となる。

次回の話でアサツユ島を守る為に三重の防衛門を造ると言う話を作成していまして、その話をもって今度こそこの篇を締めさせて頂きます。グダグダになってしまいすいません!
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