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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

04. 衝突する願望篇

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04-19 激闘の後①

私が考えていた以上に次篇に移る前に必要なものが大量に出てきてしまったので、この話を含めて後2話だけ作品の土台となる話を書かせてください。
 マカロフでの激戦を終えた亮太達は日が沈んで暗くなり、ガス灯の明かりと定食屋等のお店から漏れている明かりに照らされているアサツユ島の広場へと転送の杖を用いて無事に帰還を果たした。

「……よし、アサツユの人達も家やお店に居るようだし今がチャンスだな」

 周囲の安全を確認した亮太はアサツユ島に帰還するので戻した900人に昇る騎士達に御礼を言うために、一応パワーバー1本と牛乳を飲んで回復してから再召喚を行う。
 すると広場の地面一杯に現れた魔方陣は噴水の様に光の粒子を撒き散らせ、幻想的な風景に包まれた広場には再び大勢の騎士達が現れた。
 その誰もが無傷である者は無く。身体の怪我は癒されてはいるが甲冑のあちこちに穴や、ヒビが入っており。半分程が砲撃によるダメージで焼け焦げている者も居た。
 そんな満身創痍な彼等であったが、その表情は勝利から出る充実感に満ちており。彼等と同じ様にボロボロになりながらも前を歩く、主人である亮太を一心に見つめている。

「皆、今日は本当にお疲れ様!! 皆が奮闘してくれたお陰で任務を達成する事が出来ました!! 今回の報酬を出させて貰う事は勿論とし、皆の待遇をより良くさせて貰うから今日はゆっくりと休んで英気を養って欲しい!! 以上、解散!!」

「ハッ!! マスターもごゆっくりとお休みください!!!」 
「お疲れ様でしたマスター!!」
「苦難の時はまた我々をお頼りください!!」

「え……あ、ありがとう皆……」

 何時もなら機械的に胸に手を当てる敬礼をしてさっさと去っていく彼らから、今日はキラキラとした表情で“心”からの挨拶を返して貰えた亮太は一瞬呆けてしまうが、数秒後に頭がその意味を理解し、思わず照れ臭そうに返事を返す。
 その様子を嬉しそうに見ていたのは亮太の隣に立つマリナ、アルバイン、シャルロッテの3名であり。
 激戦で酷く疲れているであろうにも関わらず彼女達は亮太に笑顔で声を掛けてくれる。

「良かったわね亮太。あんなに自分の事を信じて着いてきてくれている戦友が出来て……」

「マスター。この勝利は私達に取ってかけがえの無いものとなりそうですね!」

「えへへ! 僕達が着いているんだから当然だよ!! さあさあマスター早速打ち上げと行こうじゃない!! ねえみんな!!」

「「「おおおおぉぉぉ!!!」」」

 そのシャルロッテの呼び掛けを聴いた騎士達は皆右腕と大声をあげて応える。

「あははは……全く、これだけの数を捌ききれるお店はアサツユ島には無いぞ? 仕方無いな……」

 そう苦笑いしながら呟く亮太の表情はとても嬉しそうであり。彼は900人と言う大勢の騎士達が一度に利用出来、収容出来る場所としてナバル王女が巨大なマンションを建てていた事を思い出し。
 現在ナバル王女率いる新生ヴァルハァム王国の人達が居なくなり、ゴーストタウンと化している名古屋市に当たる土地に騎士達が住まう事も視野に入れた、巨大なグランドホテルを建てる事を検討する。

「ーーと言うのはどうかなみんな?」
「それは良い提案ですね、流石ですマスター!!!」
「私達の為にその様な待遇をしてくださるだなんて……」

 そのスケールのでかい提案を受けた騎士達からは歓声と拍手が送られるのだが、流石に騒ぎが大きく成りすぎていた為にアサツユ国の人達もあちこちから集まってきた。

「何だ、何だ!? 南蛮の騎士様達が偉く盛り上がってるじゃないか?」
「俺達に隠れて何をしてやがるんだ?」

 その反応に対して、まだ人の汚れを知らない彼等は純粋に答えてしまう。

「聴いてください皆さん!! 我等がマスターが悪っしき大ヴァルハァム王国を撃退した功績として、新たに居住地を与えてくださると言うのです!!」

「私達は身体を休める場所すら有りませんでしたからね……。これ程嬉しい事は無い……」

 その話を聴いた農民達は互いに顔を見合わせてから小声で話し合い、今度は食いつく様に騎士達を問い詰め始める。

「てーことはあれか? 俺達が汗水流して家を建てて、畑を耕しているのにあんた達はご主人様に優雅な暮らしをさせて貰えるってのか?! ヒックッ」

「ふざけんな!! そんなの不公平だぞ!!」

「そうだそうだ!! 俺達にも平等にその移住地を与えて貰おうじゃないか?!!」

 集まって来た農夫達がお酒を飲んで気が強くなっていた事も手伝って次第にその騒ぎは大きくなって行き、亮太と騎士達は怒りを覚えたアサツユの住民達に取り囲まれてしまう。

「亮太、どうするの?」
「……ふう。人間一旦こうなっちまうと仕方無いよな……」
「皆、待たれよ!! 待たれよ!!」

 住民達とのにらみ合いとなり、泡や暴動寸前となった為に亮太とマリナが動き出そうとした所でアサツユ城の方からハシバヒデヨシと弟のナガヒデ。そして、ナガヒデの説得に応じて仲間になったフクシママサノリの3名が袴姿で駆け付けてくれた。

「ヒデヨシさんすいません。少し騒ぎすぎてしまった様です……」

「安心せい、亮太!! お前さん達がワシを放り出して何をしていたかはアサツユ城のモニタールームで皆と見守っておったから、訳は分かる!!」

 そう言って頼もしく励ましてくれたヒデヨシの言葉に亮太達が目を丸くしている中で、皆のまとめ役であるナガヒデは亮太に話を振る。

「問題は生活に余裕が出来て、ついつい欲が出てき始めてしまった皆をどう納得させるかですね……。亮太さん、食費以外で皆に何か与えられる物は有りませんか? お城等にこだわる必要が無いほどに夢中になれる“もの”が」

「夢中になれるものですか? ……そうですね、あっそうだ!! 確か金山と銀山がこの島に有るんですよ!! その金銀と便利な物を交換すると言うのはどうですか?」

「ききき金山じゃとぉ?! そそそそそんな話は初耳じゃぞ?!」

「もしそれが本当であるならば、我々は国を維持する資金元を手に入られる事になるが……」

 その初耳な話を聴いた農民達だけでなくヒデヨシも目を丸くして鼻息荒く興奮し、冷静なマサノリも無意識に手を握りしめてしまう程に驚かされる。

 その取って付けた様な情報を聴いて農夫達も思わずたじろぐが、気を逸らす為のデマで有るのでは無いかと言う意見と本当である場合を考えてにやつき出す者も居た。
 その言い掛かりを付けてきた俗物丸出しな農夫達の姿を見て、騎士達が冷ややかな視線を浴びせ始め。亮太に対して“彼等を見捨てた方が良いのでは無いですか?”と小声で言う者もいたが、亮太は「大丈夫、任せて欲しい」と意欲に溢れた顔で返答する。

「では、時間のある時に実際に見に行ってみてください。 場所は地図に記憶しておりますので」

 そう言って亮太は残っていたノートを召喚して、そのページの一枚に簡単な絵図を書いていき。
 アサツユ城の裏側にある山や 愛知県の金久保の様なまだ開拓されていない土地等を含めた十個以上の位置が指し閉められており。
 その地図を希望する男達40人に、亮太はサインをする芸能人の様に手際よく書き映して渡して行くと同時に、彼等に採掘を楽に行える様に特殊な能力を持った様々な道具を配布してからこう締めくくった。

「これ等の地図に書かれている金山や、銀山からは貴方達が死ぬまで使いきれない程の富が眠っています。それを手にする為には当たり前ですが大変な労力と、命の危険も伴う事でしょう……。
 そして貴方達はそれを知ることによって、何故私が誰かの為に命を賭けてまで奮闘してくれた騎士達の労苦を労いたいと思ったのかを知る事でしょう」

 その亮太の言葉には今までの相手の顔色を伺ってヘコヘコする物では無く、罪無き人の味方である弁護士の様な威厳があり。
 それを聴いて宝地図を受け取って浮かれていた農民達は思わずゴクリと喉を鳴らしてしまい、力強く擁護して貰えた騎士達は自分達の為にいちゃもんを付けてきた農夫達に釘を刺してくれた亮太に益々信頼と敬意を抱く。

「改めて、広場で騒ぎを立ててしまい申し訳ありませんでした。ただ、皆さんに伝えたい事があります。我々は敵対していた大ヴァルハァム王国をナバル王女と共に撃退し、暫く国が成り立たない程の大打撃を与えた事を御伝え致します!!」

 その言葉を聴いたアサツユ国の人達はその意味を瞬時に理解する事が出来無かったが、その後ヒデヨシ達により録画されていた戦闘の様子や、大混乱に陥っている大ヴァルハァム王国の様子、そして王女ナバルが纏めあげている新生ヴァルハァム王国の様子を城内の警備本部で見せられ。
 無事に今日一日を終えてまどろんでいたアサツユ国の雰囲気は一気にお祭り騒ぎとなり。
 先程までは行動内容が不透明であった騎士達に対して、長年彼等に虐げられてきた元アサツユ村の人々と亮太に召喚された大勢の仲間達が抱いていた先程までのギスギスした空気は一変して、その大奮闘を祝福される事となる。
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