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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

04. 衝突する願望篇

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04-18 闘いの果てに獲られた事

次の篇に早く進みたくて、気づいたら二話目をかいていました……。
・シャルロッテの台詞を変えました。
「驚いたな……数十分前までは何も無い砂漠だったのに」

「ナバルさんはずっと国民を助けたくて頑張っていたから。それが形になったんだと思います!」

 激戦を終え、病院の一室でTシャツに長ズボンと言うラフな格好で休憩させて貰っていた亮太は、風で揺れている白いカーテンの向こうに写る街の景色をサラサラのストレートヘアーと、犬耳と尻尾を振っているマリナと隣り合わせで眺めていた。

 そこには大陸中から集められた人々と大小様々な船がひしめき合う港の様子があり、王女ナバルの召喚能力により海岸から横幅一キロ近いレーンが、元モカロフの町まで陸地をくり貫いた様に設営され。
さながら東京駅のホームの様に5ヵ所作成された船着き場には多くの船と共に、今もなお大勢の人達が雪崩れ込んできている。

「人工が3000ちょいしか居なかったにも関わらず、突然25万近い人達が亡命しに来たのに役所を建てたり兵士の数を増やして捌ききれているのも凄いけど……。
 ナバルさん、それを会議で皆と話し合いをしながら行っているようだからな……。僕にはまだ真似できないな」

「大丈夫です。亮太さんもちゃんと計画をたてて行えば必ず成し遂げられますよ!! 私が保証します!!」

 思わず弱腰になる亮太を元気一杯に尻尾を振り、目を輝かせながらマリナがよいしょしてくれる。そんな彼女に亮太も柔らかな笑顔で彼女の頭を撫でながら御礼を言う。

「ありがとう、マリナ。慌てずに自分に出来る事をやって行くことにするよ……」

「ふわぁ……亮太さんなら必ず出来ますよ……」

 思わず頭を撫でられた気持ちよさで、目をとろけさせてしまうマリナであったが。そんな二人に激しい来客が現れる。

「マスター!! マスターったらー!! 何処にいるの?」

「この声は、シャルかな?」

 どうにも外の廊下を亮太の事を探し回っている様で、あちこちの病室の扉を勢いよく開けて廻っているシャルロッテを慌てて亮太は止めに行く。

「こら、シャル!! 病院何だから静かにしないと駄目じゃないか!」

「あ、ごめんねマスター……。ちょっと急ぎの報告があってさ。良いかな?」

「分かった。取り合えず話は部屋で聴かせて貰っても良いか?」

「うん、勿論だよ!」

 その突然の報告に驚いた亮太は下は黒いスパッツで上は赤いジャージ姿のシャルロッテをマリナもいる部屋に招待する。

「マリナ、すまない。この部屋で少し話し合いをする事になった」

「で、では私は外に出たほうが良いですか?」

 そう言って少し慌てた様子で聴いて来たマリナに対して、シャルロッテは苦笑いを浮かべながら押し止める。

「ううん! 気にしないでマリナちゃん!! 直ぐに終わる話だと思うからさ!!」

「そうですか……。じゃあ、冷たいお飲み物でも用意しますね? シャルロッテさんは何が良いですか?」

「うーん、じゃあ僕はコーラで!!」

「わかりました。亮太さんは牛乳で良かったですか?」

 その微笑みながらの質問に、亮太も思わず照れ笑いを浮かべながら答える。

「……解ってるじゃないのマリナ」

「ふふっ。基本的に亮太さんは牛乳好きですからね。直ぐにお持ちしますねー」

 そう言って、病室のベットの隣に置かれている小型冷蔵庫からマリナは飲み物を取りに行き、その様子をイタズラを思いついた子供のような顔でシャルロッテが目で追い掛ける。

「マスター……もしかして、マリナちゃんと出来ちゃった?」

「ブッ!!? ケホッケホッ!!! 行きなり何を言い出すんだよお前は!?」

 部屋の隅に置いてあったパイプ椅子を三人分用意していた亮太は、突然の不意討ちをくらい蒸せながら反論する。

「だってさー、マリナちゃん何時もよりマスターに優しいし。マスターも嬉しそうだしさ。アルバインが見たら、頭真っ白になって飛んでいって世界十周ぐらいしちゃうかもね?」

「それは……ちゃんと彼女にも報告するよ……」

「アルバインちゃん。もし戦いの無い世界が訪れたら、マスターのお嫁さんになるのが夢だって顔を真っ赤にしながら言ってた位だから……。僕が言うのもおかしいけど、本当に良く考えて話し合ってあげてね?」

「ありがとうシャル……。彼女にどういうべきか、良く考えて見るよ……」

「あの……二人ともそんなに悲しい顔をして大丈夫ですか?」

 パイプ椅子に座って項垂れていると言う、明らかに重大な話をしていたであろう二人に何も知らないマリナは瓶入り牛乳とコーラを片手に持ちながら、心配そうに声をかける。

「マリナ……」
「実はねマリナちゃん。奥手のアルバインちゃんもマスターの事を好きだったんだよ、お嫁さんにして欲しいと10年近く言えなかったんだけどね……」

「シャル、おまえ?!」

 亮太がどう説明するべきかと考えている内に、シャルロッテは間を空けずに話し合っていた事を正直に伝えてしまい。慌てる亮太を余所に困惑するマリナに打ち明け続ける。

「私達はマスターが好きでいてくれたカードの中にいるキャラクターに過ぎないよ。でも、今はマスターやマリナちゃんと同じ意思と肉体を持っている同じ人間で有りたいと皆思っているんだ……。
 だって、僕達はマスターに愛されたからこうして生まれてこれたし……。マスターが心の底で僕達の事を慕ってくれたからこうして召喚して貰えたんだもん……。それが否定されてしまうのは、きっと身を切られる事よりも辛いことだと思うんだ……」

 何時もは元気一杯な少年の様に振る舞っている彼女は、今は両手を膝の上に置いて瞳を潤ませ、声を震わせながら信頼しているからこそつもり積もった想いを伝える。

「マスター……。僕達は貴方を守る盾であり、降りかかる火の粉を払う剣であると同時にこれからも大切な関係でありたいと思っているんだ……。だから、とても大変な事だとは思うけど……僕達を見捨てないでください……お願いだよ……」

「シャル……!! 不安にさせてごめん……。絶対に皆を見捨てたりなんかしないから許してくれ……」
「シャルロッテちゃん……」

 咽び泣くシャルロッテを思わず二人は抱き寄せて慰める。

 突然シャルロッテが感情的になったのは、もしかすれば心の中で亮太が少しずつ騎士達を駒の様に扱い始めていた事が原因か、もしくはマリナに心を奪われていた事が原因かは解らない。

 ただ一つ言えることは、言われた事にただ従うカードゲームの世界の中でだけ存在していた彼等が幼児から子供になったかの様に強い自我を持ち始め、主である亮太の事を見つめ始めた事を知らせるサインである事を亮太は託された新たな力を通して後々になって気づかされるのであった。


 ーーーーー◇ーーーーー


 時は亮太達が話し合いを始めてから数時間後に移る。

 既に夕日は沈み、本来であれば氷点下-10の様な気候となる筈の新生ヴァルハァム王国には春の穏やかな夜風が吹いていて、まだ入国手続きを行う為に街の中心に建てられた10階建ての市役所前に集まっていた難民達を驚かせていた。

「おい……まるで夕方の様な過ごしやすさだぞ。どうなってやがるんだ?」

「理由は知らねーが有難い事だ! この調子だと、夜中まで俺達見たいに脱出して来た奴等が来るだろうしな!!」

 そう言って、話し込んでいる二人の中年男性は慌てて逃げて来たこともあってかなりの薄着であり、通常であれば凍え死んでいた事は言うまでも無いが。
 この穏やかな気候の要因としては、ナバルに与えられている召喚能力がほぼ亮太と代わらない程にレベルアップされているものである事と、国を管理すると言う名目に焦点が絞られている事も関わって来ている。

 現に砂漠が広がっていた西ヴァルハァムには動物達がいる草原や美しい川があり、奥の方には豊かな山々が広がりつつあり。
地上に吹きすさぶ凍える風は亮太が作り出した生命を守る為の結界により遮断されているので、屋外にいる彼等は安心して待つことが出来ていた。

 そして彼等を安心させている物として、26万人と言う膨大な数の人々を住まわせる為に街の周囲に花びらの様に地面から生える様にあちこちに建設され続けている、15階建ての階層につき横に7家族が住むことが出来る巨大マンションと。
 同じく巨大なマンションではあるが、此方は一人暮らしの人達の為のワンルームマンションが建てられており。
 彼等は一家族につきそのマンションの一室を生活が落ち着くまで無償で使用する事が出来る約束がされていて、それは今までの狭苦しい倉庫生活と比べれば雲泥の差である事に加えて。
 希望するならば、この大陸の安全が確保されている場所ならば自由に移り住んでも良いと言うお達しも出ていた。

「正しく大開拓時代の到来と言う奴だな!! 腕がなるぜ!! がはははは!!!」

「俺は再開した家族と一緒にお店でも開くかな。許可を頂ければ、そのうちできる市場で店を出しても良いらしいからな」

 画して、大勢の民達の期待と希望を一新に背負った王女ナバル達は数ヶ月程状況の調査と、改善の為に奔走する事となる見通しが立ち。
 膨大な仕事の波に飲まれていく事が確定したために様々な思いが詰まった声が役所に響く中で、亮太達にアサツユ国への帰還命令が出た。

 ーーーーー◇ーーーーー


 沢山のヴァルハァム製の軍艦が、ピザの耳の様に陸地と繋がれている夜の軍港で。仕事に追われながらも見送りに来てくれた綾瀬とイスカ姫と彼女の親衛隊達に、騎士達を引き連れた亮太は思わず声をかける。

「綾瀬さん達だけで本当に大丈夫ですか?! 私達も残って何か御手伝いした方が……」

「大丈夫やって亮太くん! ウチかて伊達に大阪でOLやっとった訳や無いから、タイタニックの様な大船に乗った気持ちで任しとき!」

「それ、油断して沈没するフラグじゃないですか?!」

 思わず綾瀬のボケに突っ込みを入れてしまう亮太であったが、タイタニックを知らないイスカ姫は亮太達を後押しする為に激を入れてくれた。

「安心してください亮太様!! 今度の御母様には私達も付いていますから!! きっと助けを求めていた私達の様に、亮太様達を待っておられる方達はこの世界にまだまだおられると思います。だから、後は私達にお任せください!!」

 その言葉に最初は亮太達といがみ合っていた彼女の親衛隊達も微笑んで同意し、後を押してくれる。

「姫様の言われる通りです。亮太様達に私達は本当に助けて頂きました、そして今度は我々が自分達の力で立ち上がり、貴方達を支える様になるべきなのです。ですので、お気にしないでくださいな」

「……そこまで言われたら……引き下がるしかないですね。わかりました」

 彼女達の思いを受け入れた亮太は、少しこそばゆい思いと共に達成感を味わっていた。

「では、私達は先に帰還させて頂きますね。今度はヴァルハァム1立派な国を見れることを楽しみにしてますね!!」

「うん! うちらに任しとき!!」
「皆さん御武運を!!」

 その綾瀬とイスカ姫の声を聴き終えた亮太達は互いに顔を見て頷きあってから、召喚された者達は亮太の身体の中に魔力化して戻っていき。残された亮太とマリナは転送の杖を用いて帰還していった。

「……行っちゃったか。私の娘を宜しく頼むよ……亮太くん」

 周囲に漂う魔力の残光を見つめながら綾瀬は不安そうに小さく呟き、再びイスカ姫達と終わりが見えない仕事に戻っていった。


【託された力】
◇純粋な心
・召喚された者達のIQを年相応に引き上げ高める事で自己管理・自己主張・自己判断能力を強化すると同時に、人でありたいと言う彼等の願いを叶えます。

・このスキルは召喚士の自己判断でオンオフを切り替える事が出来ると同時に、自分の好みに変える事も出来ます。
しかし、切り替えた設定から二度と変更する事が出来なくなります。


【次篇予告】

ヴァルハァム王国とのいざこざに一応の句切りがついた亮太達を次に待っていたのは、人間同士のぶつかり合いに加え、本来であれば人間では抗えないものであった。

《その通り……。このままだと日ノ本に“天正地震”と良く似た大地震が起きるんだ!!》

「何ですって?!」

トレノ達により予測された大地震までのタイムリミットは、約三週間。
亮太達はその短期間の間に被害地域の記録が日本海の若狭湾から太平洋の三河湾に及ぶ歴史上例のない大地震から、日ノ本の人達を一人でも多く助ける為に奔走するのだが……。

「けっ、南蛮人の言うことなど信頼できるか!!」

「お前達が物と引き替えにして、子供達や女達を連れ去っている事をワシらは知っておるのじゃぞ!!!」

「貴様らを信頼するくらいなら、マロ達はナマズに従う事を選ぶでおじゃる!!」

ーー誰からも信頼を得られずに途方に暮れる亮太達に、三河を統べる若き姫と戦国時代を塗り替える事となる革命児が手を貸す。

「例え皆が反対しても、私は兄様達を信じます!!」

「であるか……。良かろう、例え予測がはずれたとしてもそれはめでたき事であるからな」

ーー仲間の中で生まれ始める綻び。

「……私はただ、貴方だけに恋しておりましたマスター。ただ、そうしていたかっただけなのです……」

「ごめんね亮太……私もう、亮太とは会わないから……うぅ……」

「責任も取れないくせして散々女を泣かして、そんなに楽しいかいあんたは!! 」

ーー様々な状況に振り回されながらも向かえた運命の日。

「す、水平線に黒い壁が現れたよマスター!!!」

「冗談じゃない、まだ家の下敷きになっている人達が居るんだぞ!?」

「戦艦長門と護衛艦日向に救援物資をありったけ詰み込んでくれ!! 速くしないと間に合わなくなる!!」

ーー亮太達は極限の状況化の中で何を手にし、何を失うことになるのか。

次篇、【日ノ本の灯が沈む時】
+注意+
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