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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

04. 衝突する願望篇

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04-15 海岸線に走る狂気

後少しだけ続きそうです
 大ヴァルハァム海軍・第22遊撃艦隊旗艦【ブルス】のブリッジにはけたたましいサイレンと船員達の叫び声が響き渡っていた。 

「艦長!! 後続のステロトが炎を纏った巨人達の襲撃を受けています!!」

「くっ、奴等はいったい何なんだ!? 機関長、離脱の準備を急いでくれ!! ここにいるのは危険だ!!!」

「アイサー!! 直ぐに離脱の準備をさせます!!」

 突然モカロフの町に現れた炎を纏った150体に登る巨人達に対して、艦列の中央にいる一隻が艦砲射撃を行った所。その攻撃を受けながらも生き残った142体の巨人達が反応してしまい。
 彼等は驚くべき事に、町から海岸までの2キロ近い距離を猛烈な速度で駆け寄る事でバッファローの群れの如く迫り。そこからジャンプする事で直接船の甲板上に乗り移ると言う、予想外な反撃を受けた大ヴァルハァム遊撃艦隊は大混乱に陥っていた。

「ウオォォォォォ!!!」

「ば、化け物め!! 前方にいるステロトを援護するんだ!! 主砲を放て!!」

「ラ、ラジャー!! 主砲発射用意!! てっー!!」

 最早生存者がいるとは思えないながらも、巨人達の襲撃を受けて甲板上部を燃え上がらせている前方の艦ステロトに対して、後方にいたモルゲンが船首の主砲を撃つことで叩き落とそうとするのだが……。

「や、奴等炎に呑まれても平気なのか?!」

 まだ魔石が魔力を吸収する等の詳しい効果が当時は知られてなかった事と熟練者の指揮者が居らず、新米の親衛隊が艦隊を取り仕切っていた事もあり。彼等は身体を構成する物が燃え尽きた黒い肉と火の魔石と化してしまっている巨人達に、更なる力と闘争心を与える事となってしまう。

「ウオォォォォォォ!!!」

「こ、こっちに乗り移ってくるぞぉ!!! 避けろ!!!」

「駄目です艦長!! 前方に大破したステロトがいるために身動きがーーうあぁぁぁぁ!!!」


 火に油をかける様に打つ手を間違えてしまった彼等には最早逃げ場は無く、次々と前方で炎上しているステロトに乗っていた巨人達と地上から迫ってきた巨人達に乗り移られ。
 船体に炎が回るまでも無く、その衝撃と重量に耐えられずに大型魔石艦モルゲンは巨人達に踏み台とされた事によりブリッジを潰され、木製の甲板は飛び乗ってきた26体の巨人達により貫通させられた事が致命傷となり、船体の真ん中からへし折れて沈没する事となってしまう。

 それは前回の場面から僅か3分足らずの出来事であり。これ以上巨人達による被害を出さない為に残された4隻は慌てて陣形を崩して散開し、巨人達の迫る海岸から慌てて遠ざかり始める。

「急げ!! 死にたくなければ陸地から遠ざかるんだ!!!」

 彼等の判断は正しく、目の前にいる敵にしか目がない巨人達は逃げていく4隻を追うことはせずに最初に攻撃を行った2隻の艦目掛けて次々と集まりつつあり。
 彼等は海上に浮かんでいる瓦礫にしがみつきながらも何とか生き延びている兵士達が見ている中で、沈み行く艦目掛けて炎を纏った巨人達は次々と乗り込んで行く。

「おい……まさか……」

「は……はは……冗談だろ?」

 やがて彼等を引き寄せていた強い魔力を発している弾薬庫や機関部に彼等が接触する事で大爆発が起きてしまい。爆発四散した艦の破片や、炎を撒き散らしながら生存者を捲き込んで沈んで行くと言う壮絶な最後を迎えてしまう。

 その状況を三キロ先から確認していた4隻の巡視船に四隅を守って貰っている、魔石機関式大型軍艦30隻からなる王女ナバル率いる大艦隊は、解決策が出るまでは二次被害を防ぐために距離を空けて観察する事しか出来ずにいた。

「せめて我等に魔石を封じる力があれば……」

 どうやら巨人達は本能のままに行動している為に知能が低く、おまけにヴァルハァム王国に関係する者と危害を加えてきた相手にしか襲い掛かる事は無いらしく。
 先程まで艦の上に飛び乗って大暴れしていた彼等は沈み行く船の中で身動き一つせず、炎に呑まれて沈んでいく船と共にヴァルハァム海の底へと運命を共にする様子であり。
 やがて身体を燃やし続けている彼等が海面と接触する事により周囲には壮大な水蒸気があがり、鯨の様な雄叫びをあげつつ沈んで行く姿が確認された。
 
 それはまるで戦うことに疲れて死を選んだ自殺者の様であり。その一部始終を双眼鏡を手にブリッジから確認していたナバル達は静かに黙祷を捧げてから、何とか生還を果たしている前方の4隻だけでも救出する事が出来ないかと思考するのだが。

 彼等は炎の巨人達から手痛い反撃を受けたにも関わらず、少し距離を取った場所から艦の主砲を用いて再び陸地へと向けて砲撃を再開してしまい。
 流石にそれだけでは危険である事は理解しているらしく、本来であれば陸地への攻撃や敵の牽制に使われる艦の甲板上の左右に4機づつ設置された、戦艦大和の対空機銃に似た3連装大型バリスタと共に巨人達の襲撃から艦を守るために魔石を矢尻とした大魔矢を放ち始める。

「そのまま放っておけば良いものを、何故奴等は巨人達を刺激するのだ!!」

「また巨人達の餌食になるぞ!!」

 その命知らずな彼等の愚行を見たナバルの部下達から非難の言葉が飛び交う中で、先頭にいた艦は海岸線にいた50体程の巨人達を主砲により葬る事に成功し。
 飛び掛かってくる巨人達に関してはバリスタを操る砲兵達の奮闘もあり、陸地から飛び掛かれる前に何体かをバリスタで海にはたき落とす事により、返り討ちにすると言う戦果を産み出し始め調子に乗ってしまう。

「我々も旗艦に続け!! これは沈められた仲間達の敵討ちである!!! 撃ち方、始めぇい!!!」

 その光景を見ていた後続の艦達も海岸線からそのまま艦を離脱すれば済む話なのにそれに習ってしまい、砲撃とバリスタによる海岸線で巨人を始末する事を目的とした迎撃戦が開始され。
 その行動は亮太達に準備する時間を与える物となる。


 ーーーーー◇ーーーーー


「なるほど。地上の状況は僕達がいなくなった事で、こう言っちゃ何だけど敵同士が争い会うありがたい展開になっている訳だねルル?」

 《うん。でも地上は炎の魔石を砲弾に用いた砲撃を受けているから、マスターさん達は外に出る事は難しいと思う……》

 地下基地に身を隠している亮太は味方の中で立ち回りに関しては右に出るものがいないであろう今は託されたパワードアーマーを手足のように操り、町から3キロ程離れた砂の山場で偵察活動を行っているルルに、現場を見て感じた事を無線を通じて教えて貰っていた。

「それでも囮になってくれていたラムセスを無事に回収する事が出来たのと、混乱に乗じてガトラスさん達を逃がすことが出来たのはとても大きな成果だよ」

 《はらしょー。その事に関しては私も同意してるよ。でも、何故騎士の人達をわざわざ地上に残しているの? もしかしてそういう趣味が……》

 その音声だけでもジト目で見ている事が分かるルルの言葉を聴いて、亮太は苦笑いしつつ説明する。

「この地下基地を造った男が居なくなっていて、何時基地が崩壊してもおかしく無いからいざと言う時の脱出口の確保と敵を近寄らせない為に警備を頼んでいるんだ。他は、敵兵の無力化とかね」

 《うん、そう言う事なら了解だよマスター。……処で、何か良いことがあったの? 声が弾んでるみたいだけど》

 その不意打ちを受けた亮太は思わずむせかえり。慌てて釈明する。

「いや、このややこしい町から離れられると思うとつい嬉しくてさ!! 他意はないよ、うん!」

 《……うん、マスターはとてもわかりやすいね。手品師や、俳優には向かないタイプだよ。でも、だからこそ良かったのかもね……》

「え? 今なんて言ったんだルル?」

 《ううん、こんな私を見直してくれてありがとう……。これからもマスターのために頑張るから……期待していてほしい……》

 何時もは子供っぽくて、感情を表に出さない彼女が珍しく少し恥ずかしそうにそう言ったので、亮太も少し言葉を考えてから励ます。

「ルルの誠実な働きぶりと誠意は皆が知っているし。とても素敵な御手本になっていると思う。ルルに何が会ったのかは僕にはまだ話しづらいのだと思うけど、何時か話してくれる時を待っているよ」

 《マスター……感謝するね》

 その通信を終えた亮太は落ち着く為にたばこを口元にくわえて、一息つこうとする。

「まだすべき事は山積みだな……ふぅ」

「ちょっと、ちょっと亮太さん?! ここは火気厳禁よ!! 爆発に呑まれて吹き飛びたいなら、外に出て吹き飛ばされて頂戴!!!」

「あ、すっすいませんジーナさん!!」

 思わず自然に体がたばこに手を出してしまうほどになりつつある亮太は、様々な航空機用の燃料や爆弾がある格納庫の隅っこで火をつけかけていた口元のたばこをズボンのポケットに戻しつつ、目の前にある光景に改めて息を飲む。

「まるでアメリカ空軍基地だな……」

 国際運動場程の広いスペースを持つ格納庫の中で航空機を召喚し運用する能力を持つジーナが、愛機である紅く塗装されたアメリカ製のジェット戦闘機・F14のキャノピーが開けられているコックピット内から、慌ただしく作業を行っている軽装備の作業着姿のクルー達に指示を飛ばしていた。

「相手は人間とほぼ変わらない耐久力の相手みたいだから、扱い安い多目的誘導ミサイルを8本積んでください!! 後は、RQ-1プレデター(無人航空機:以下UAV)10機に対地攻撃ミサイルを二本ずつお願いします!!」

「任せなお嬢様!」
「イエスマム!!」
「UAVの遠隔操作パイロットは今の内に攻撃目標と地形を頭に叩き込んでおけ!!」
「了解!!」

 彼女の指示通り、格納庫内にはミサイルに翼を着けた様なRQ-1プレデターが10機光に包まれながら出現し。直ぐ様クルー達が機体に駆け寄り、指示通りに対地攻撃用のミサイルをキャリアーに載せて持ってきて手際よく機体に装着していく。

 その職人技に亮太が関心しながら眺めつつ、アルバイン達の状況を確認していく。

「こちら亮太。アルバイン、聞こえるかい?」

 《こちらアルバイン、感度良好しっかりと聴こえています》

「慌ただしい処ですまないが、状況を報告して欲しい」

 《畏まりましたマスター。現在我々はマスター達が避難された地下基地へと続く出入口を指示通り部隊を4箇所に分けて防衛しています。幸いなことに、町の中にいた巨人達が皆海岸線に向かった為に海上からの攻撃が町にはおこなれていないので、現在町は静かなものですよ》

「ありがとうアルバイン。ありがとう皆。お陰で時間と安全を確保する事が出来たよ、後は任せて欲しい」

 その報告は直ぐに仲間達にも行き渡り。亮太達は今起こっている危機的状況を打開する為に、戦闘準備を整えていく。

 まず亮太が行ったのは奮闘してくれたラムセスを称えつつ、初陣で見事に全機損傷してしまった3機のスカイジェットを一旦ストレージに戻し、彼等のランクを資金を使う事で+2引き上げることで修理費を浮かして全回復と改造までしてしまうと言う物で。

 ラムセスとスカイジェットのランクが最高位の【UR】だった為に、資金4600,1250SPの内、80,0000SPを使用する事となるが亮太はそれでも割りに合うと判断する。

「ラムセスさんのステータスが1.5倍近くになっちまったな……。勝てる気がしない……」

 以前直接戦ったラムセスもかなりの手練れであったにも関わらず、転生者としてかなりの強化を受ける前の彼が徒歩であるとするならば現在はF1レベルになっており。
 亮太は彼が味方として居てくれて良かったと安堵する。

「これからもよろしくお願いいたしますラムセスさん……。さて次だな……」

 ラムセスの強化を終えた亮太は次にスカイジェットの強化に乗り出す。

「殆どスクラップに近い状態だが、どうなるかな?」

 機体を強化して変化させる事は修理や、新にカードを開封するよりも断然お得で、ランクが+2された事によりステータスと装備は想像していたよりもかなりより良い物になった。

 中でも亮太を喜ばせたのは、自分とマリナを守ってくれた機体が再びより強い輝きを取り戻した事と、その追加された機能と装備であった。

 前回、その装甲の薄さ故に一撃を食らってしまうと零式戦闘機の様に大破してしまうと言う未亡人製造機と化していた機体は、以前の三倍近くの防御力を誇りながら重さが同じと言うとんでも装甲が使われる様になった為に生存率が格段に上がった。

 そして背中に装着されていたアルバインと同じ形だったバックパックには、追加装備として戦闘機の横向きの主翼とその下に2基のターボジェットエンジンをジャンボジェット機のように搭載していて。
 更に機体の安定性と操作性を増すためF-15戦闘機の様な双尾翼がセットになった【リフター】と呼ばれる装備も新に追加されており。
 これにより、前回は飛び上がりはするが空中での方向転換や、姿勢制御が出来なかったスカイジェットはやっと飛行能力を得られた事となり。その性能はロケットがミサイルになった様な最早別の機体になったと言っても過言では無いものとなった。

 何故この忙しい時に悠長にこんなことをしているかと言うと、ジーナとの共同戦線を張るためであった。

 その内容はと言うと、ジーナが率いる航空機が空から海にいる敵を一掃した後に亮太達率いるスカイジェット隊が大ヴァルハァム海軍を制圧すると言う物であり。
 そうこうしている内に出撃準備を整えたジーナ達は格納庫内に用意されていた、地上まで続いていて高速道路のトンネルを思わせる滑走路に向けて動き出す。

 《亮太君、先に行くから後はよろしく頼むわね?》

「了解しましたジーナさん! グットラック!!」

 彼女からの通信を受けた亮太は一応安全のために格納庫に続く通路にまで避難しつつ、格納庫内にある物を慌ただしく片付けて行くスタッフ達の奮闘を数分間見守った後。
 空母から戦闘機が発進する時と同じく、ブラストディフレクターと呼ばれるジェット排気を上方に逃がす為の板が後ろから起き上がって来て、それを確認したスタッフ達がジーナに通信を送る。

「お嬢様、外は熱風と砂嵐が巻き起こっているそうです。本来であれば発進を中止させたい所ですが……」

 《大丈夫。私とトムならばやれるから安心して》

「了解しました。出来るだけ環境が良い状況を見計らって指示しますね」

 かくしてその数分後、砂嵐と強風が収まった時を見計らいスタッフ達がジーナ率いる11機の航空隊に出撃許可を出した。

 それを聴いたジーナは大型の分類に入る戦闘機であるF14のエンジンパワーに物を言わせ、甲高いエンジン音と共に出力を上げて行く。

 《お嬢様。地上へは第2射出口を用いますので、周辺のマップデータとターゲットデータを御確認ください》

 《ありがとう。それじゃあ行ってくるわね!! 発進!!》

 その言葉と共にブレーキが外されたF14は数日振りとなる空へと帰る事を喜ぶ様に、斜め上に真っ直ぐに伸びている通路を猛烈な加速をしながら駆け抜けて行き。
 その後にラジコンの様に遠隔操作で基地から操作を受けて戦うプレデター10機が続々と出撃し、彼等は空へと駆け上がっていった。

「僕達も後に続くぞ!! マリナ、ラムセスさん、シャル頼むよ!!」
《任せて亮太!!》《……小娘、張り切り過ぎて海に落ちるなよ?》《落ちないよぉ!! 今度こそ役立って見せるからね!!》

その様子を亮太達はただ見上げていた訳では無く、亮太とマリナは同乗する形で本日二度目となる出撃命令を既に新しくなったスカイジェットに搭乗している仲間に下す。

《亮太君。第一エレベーターを使って出撃をお願いします!! 丁度騎士の方達が、敵を一掃した場所ですので!》

「了解しました! ……マリナ、大丈夫か?」

そう言って、攻撃ヘリコプターの様に搭乗席が後ろに増設されたスカイジェットの後部座席にいる同じくパイロットスーツを着たマリナに、亮太は優しく声をかける。
そんな亮太に対して、マリナは微笑みながら強く返す。

「心配しないで亮太!! 私はもう沢山元気を貰ったんだから大丈夫よ!!」
「ようし、その意気だ!! 亮太隊、出撃するぞ!!」

士気も高く、連帯感が生まれた亮太達を乗せた大型エレベーターは地上に向かっていった。現地で行われている全ての戦闘にけりをつける為に。
+注意+
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