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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

04. 衝突する願望篇

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04-13 巡り会う勇士達

 「こっちに転生者の人が居るのかシャル?」

「うん! マスターと同じ匂いのする素敵なお姉様さ!!」

地上にいるアルバイン達との連絡を終えた亮太達は、拘束されていた地下シェルターを思わせる狭い部屋や通路ではなく。ジャンボジェット機等の航空機を整備する巨大な格納庫の様な場所に辿り着いた。

「こんなにボロボロになってまで、俺達を助ける為に耐えてくれていたんだな……」
「うん……」

 そこには熱により脚部と胴体以外が溶解しながらも亮太とマリナを守りきった灰色のスカイジェットと、高い所から落下したために損傷しているシャルロッテのスカイジェットが銀色の壁に立て掛けられる形で横に並んで立っており。
 奇襲から主人を守った功労者であり、命の恩人である二機を見上げている亮太達の元にその機体達を保管してくれるだけに留まらず、迷い混んだシャルロッテと亮太を巡り合わせてくれた転生者の一人であるイタリア系の美女、ジーナ・フロイスが状況を聴きに来る。

「どう? 話し合いは無事に済んだ?」
「はいジーナさん。話し合いは何とか出来たのですが、地上と海の状況はかなり入り乱れている見たいで」

 その172㎝と言う長身長で、長いブラウンの髪をポニーテールにしているややつり目で赤茶色の目を持ち、深緑のパイロットスーツの上からでも分かる程のモデル体型のプロポーションを持つ彼女は、外で起こっている状況を亮太が出現させたモニターを通して確認する。

「……そうか、遂に海軍の奴等まで来てしまったのか。くっ、私に力が残されていればこんな奴等直ぐに追い返せると言うのに……!!」

 モニター越しに映るヴァルハァムの大型魔石船6隻は現代の強襲揚陸艦に似た艦の船尾ハッチより、ドック内の1隻につき30名の兵士達がぎっちり詰まっている水陸両用型大型ガレー船を続々と発進させて海上に展開しつつあり。
 その様子を見た彼女は、現在毘沙門天からのエネルギー供給が途絶えてしまっていて、能力を使用する上でかなりの制限を受けているために、何の役にもたてない自らの無力感に打ちのめされる。

「遅れて申し訳無いね!!」
「お待たせしました」

 そんな緊迫した空気が流れていた亮太達の元に、何度か連絡をくれていたドイツ人女性の転生者クリスティン・ヒュルケンベルクとその夫であるハインツ・ヒュルケンベルクの声が頭上から聴こえて来た為に、驚いた亮太達の視線が宙をさ迷う。

「な、あんなギミックが隠されていたなんて!」

 二人は格納庫からそのまま外に続いているらしい車が6台ほど乗せられる広さと、積載量を運ぶ事が出来る空母用のエレベーターの様な大型リフトに乗ってゆっくりと降りてきた。
 その二人の衣服はボロボロの繋ぎの様な物で、白色の繋ぎを奥さんのクリスティンが着ていて黒色を夫のハインツさんが着ている状況ではあるがその目には力があった。

「初めまして、私の名は……あれ? 君はもしかしてあの時の青年くん?」
「え? 以前にお会いした事が有りましたっけ?」
「亮太の知り合いの方なの?」

 明らかに初対面であろうハインツに突然和やかに話し掛けられた亮太は、左手にいるマリナに不思議そうに見上げられながら聴かれるのだが、そのモデルの様で穏やかな雰囲気のドイツ人青年にはどう思い出しても見覚えが無くて混乱させられるが。

 彼の隣にいた少し背が低く、白い肌に銀髪のショートヘアーとサファイアの様に澄んだ瞳を持つ清楚なクリスティンが、ハインツの袖を引っ張りながら囁く。

「ハインツ、きっと彼は貴方がお爺さんであった姿しか知らないと思うよ?」
「あ、そう言えばそうだったか。いや、申し訳無い亮太くん! 君と私が出会ったのは、死んで間もない高齢者の姿であったね?」

 その説明を受けて亮太は初めて目の前にいる若い夫妻が、自分が転生者達が待つ待合室で自分が呼ばれている事を背後から教えてくれた二人で有ったことを理解し仰天する。

「なっ?! まさかあの時の親切な御二人だったのですか?!」
「あはははは!! うん、良い反応をありがとう亮太くん!! まさか君もこの世界に着ているとは少しは考えてはいたが……。巡り合わせとは実に面白いものだね!!」

 偶然にも亮太との面識があった二人は、亮太が同じ転生者として助けに来てくれた事に驚きつつも、元気で温厚な彼は握手を交わしつつ暖かく歓迎してくれた。

「では、皆さんが一番気にされているであろう問題から解決したいと思います」

 亮太は先ず現在の状況を御互いに把握するために亮太の上司である恵比寿が亮太とマリナを尋問したリチャードと、レイプ未遂をした男を回収した事を伝え。
 今も現地に残されているであろう転生者達の待遇を聴くために恵比寿との連絡を繋ぐ事とする。

 《皆様改めまして、わては転生者の皆様の指揮と惑星の繁栄を使命として言付かっております【七福神】の一人である恵比寿と申します。今回の騒動で、多くの皆様達に御迷惑を御掛けしました事を代表して御詫び申し上げます……》

 その挨拶を受けた犠牲者であるハインツ達は、意外にも恵比寿の謝罪を誠実に受けとめていた。

「恵比寿様には、今回の騒動の後始末を全て受け持って頂いている事は妻の情報収集能力により存じておりますし。考え無しで行動していた“彼”の様な無能でも無いことも知っております。救援に来てくださった事を我々は感謝しておりますから」

 彼等生還者の代表としてそう述べたハインツの言葉に恵比寿は頭を下げて感謝を現してから、これからの事をより深く話始める。
 その内用は今回の騒動を引き起こした毘沙門天を名乗る男を重罪で処罰する事と、3人を含めた今回の騒動に捲き込まれた転生者達を全員救出する事を恵比寿は約束する物であり。
 それを聴いた3人は今までこの惑星で経験させられた嫌な記憶が脳裏に甦り、思わず表情を曇らせる。

「その救出作戦は誰が受け持つのですか?」

 そう言って不安げに質問するジーナに対して、恵比寿は説明する。

 《現在、この大陸で2名の転生者が単独行動を取っていたんですが、既に連絡を取っていて協力関係にあります。
 しかし、調査している内に3名の転生者がヴァルハァム王国に捕らえられているのではなく、協力関係にある事が分かってまいましてね……》

 その初めて聴く情報に亮太達はざわつくが、逆に覚えがあるらしいハインツ達は険しい表情を浮かべる。

「……やはり、エイブラムス君達が敵に就いているか」
「あいつら私達の仲間を手土産にしてヴァルハァムに降ったのよ、許せない……!!」

 彼等から滲み出る悔しさを感じた亮太達は彼等の姿を目に焼き付けつつ、続く恵比寿の言葉を聴く。

 《……現在皆はんがいるモロッコの様な大陸をワテらで占拠する事で安全地帯を確保し。そこを拠点にしてこの大陸を豊かにして行きつつ、敵の主力とされている魔石を無効化する領域を広げてゆきます。
 そうする事で敵はんの目を引くだけやなく、彼等に支配されとる人々を解放する受け口とし。救出した転生者の皆はんには暫くは休暇を取っていただいて、家の優秀な部下をその地を守る守護者として配置すると言うのが今んとこ考えられている予定ですわ》

 その話を聴き終えた亮太は思わず質問する。

「その優秀な部下は一体誰ですか?」

 《この地の事を我々の中で一番知り尽くしている王女ナバルとその大勢の仲間達。そして、綾瀬はんを向かわせる事を検討しとります》

「ナバル王女と綾瀬さんですか……」

 その人選に亮太は納得出来る物があったが、休暇を取るように言われているジーナは恵比寿に食いつく様に頼み込む。

「待ってください!! 私をこの地に残して奴等と戦わせてください!! 奴等を必ず打開して見せますから!!!」

 その叫びを聴いて、彼女の不運を知る二人は悲しげに彼女を見つめる中で。恵比寿は苦しそうに首を横に振る。

「何故ですか?! 私が落ちぶれ生き残ったからですか?!!」
 《ちゃいます! ちゃいます!! ジーナはんの成績が優秀な事も、良い才能と心を持っている事も知っとります!!》
「Allora perché è?(じゃあ何故ですか!?)」

 その叫びを聴いて、恵比寿はしっかりとした声で答えた。

 《今のジーナはんは復讐に取りつかれとるからです。良い仕事をするために必要である、冷静な判断力が今は欠けているジーナはんをよりにもよって一瞬の判断が求められる激戦区に送ることは、彼が犯した失敗をまた同じ様に繰り返す事になります!!》

 つい感情を込めすぎて、熱く語ってしまった事に気がついた恵比寿は今度は宥める様に語りかける。

 《それだけは避けたいんですわ……だから今回は堪忍したってくださいジーナはん……》

 その説得に正当性を感じた彼女は悔しそうに拳を握り締め、目をぎゅっと瞑りながら頭を垂れる。

「くっ……わかりました……!! 出過ぎた真似をしてすいません……」

 《皆はんのして来た経験からすれば、それは当然浮かぶ怒りです。せやけど、その感情をもっと旨く使えるようになればもっと良い選択肢も見えてくる筈やから……。今は堪えておくれなはれな……。
 その代わりとしてとはなんやけど、今から皆はんにエネルギーの供給を再開させて貰いますんで、改めて内容を確認して頂けると助かります》

 彼等の想いを受けた恵比寿は亮太と同じく彼等3人に対して与えられていた能力を強化しつつ、その能力に必要なエネルギーの供給を開始する。

 彼等に与えられていた能力はと言うとハインツがあらゆる身体能力の底上げ。クリスティンが高度な情報処理能力に加え、惑星全体の状況把握能力。ジーナが航空機の召喚、運用、操作能力が与えられており。
 3人は数日振りに戻ってきた感覚と、バージョンアップされた能力を確認して安徳する。

 特に喜んでいたのはジーナであり。エネルギー供給が開始されたと同時に、彼女の足下にサッカーボール程の赤い光の玉が現れたかと思うと、次の瞬間その光は体の毛並みはクリーム色だが長い手足と、頭部が黒い部分色ポイントが特徴な少しポッチャリとしたオスのシャム猫に姿を変えた。

「御嬢様、御無事でしたか!!」
「トム!? また会えて良かった!!」

 まるで親友と再開したかの様に少年の声で喋る、トムと呼ばれた猫は目を潤ませて自分んの事をしゃがんで待ってくれているジーナの胸元にダイブし、ぎゅっと彼女に抱き締められる。

「まさか喋る猫が出てくるだなんて……いや、この世界いでは野暮なツッコミだな」

 《ほんなら敵さんも張り切っているようやから、パッパッと話をしていきますで》

 その後恵比寿から語られた話を纏めると。残りの単独行動を行っている二人に関しては、彼等がそのまま任務を継続させる事を志願していて、大陸の南側でサポートを受けながら行動して行くと言う話と。
 この地には現在ナバル率いる大部隊が海路を使ってすぐそばまで来ている事と、生還した転生者の3人には亮太達がいる島に滞在する事等が伝えられた後。
 ヴァルハァム軍迎撃の為の作戦行動内容が恵比寿から伝えられていった。


 ーーーーー◇ーーーーー

 話が纏まり一息つく暇もなく、今度は地上に上陸しようと動き出しているヴァルハァム海軍へと話は移る。

「やれやれ、こんな何もない片田舎にこれだけの陸・海合わせた大軍隊を使用して、御偉いさん達は宝探しでもさせようってのかな?」

「油断しないでくださいよ船長? 例の人食いで有名な盗賊団と陸軍の討伐部隊を何度も壊滅させたらしい凶暴な魔物がいるらしいですから……」

 縦一列に並び、80m程の間隔を空けて時速8ノットで航行している6隻からなる魔石機関式大型軍艦の先頭を行く旗艦【ブルス】のブリッジではそんなやり取りがされていて。
 巡視船と替わらないシンプルなブリッジには白く染まったちょび髭をはやし、愛嬌のある熊の様な体型をした青色の繋ぎの様な服を着たベテラン船長と、木製で車輪タイプの昔ながらの舵を握る小柄な黒人の男性が談笑していて。
 その会話をニヤニヤしながら地図と羅針盤を見ている航海士と、味方の船からの連絡を逐一確認している通信士、そして攻撃する際に指揮を取る砲雷長が聴いていた。

「とっとと済ませて帰るとしよう……。今日はうるさい顧客様がおられるしな……」

「ですね船長。今は船酔いのせいで白い顔を真っ青にしていましたがねぇ、くくく……」

「ふふっ、ワシらの船は行儀のいいボートとは違って暴れ馬だからな。もう二度と乗りたがらんだろう」

 どうやら彼等はヴァルハァムを影で操ろうとするイザベラ王女に反発する陸軍隊長とその仲間達を亡き者にする為に動いている事は知らされていないらしく、町の中で絶賛大乱闘を繰り広げている彼等に対しても余り関心を示してはいなかった。

 しかし、そんな呑気な空気は彼等の船に特別顧問として同乗していた親衛隊の男がブリッジの出入口から鼻息荒く入ってきて、次に出されたその命令により自体は一変する。

「喜べお前達!! 本土からの命令を伝える!! 第22遊撃艦隊は盗賊討伐の命令を変更し!! 盗賊どもと内通し、我が神聖なる大ヴァルハァム王国に反旗を翻した愚鈍な者達に対し!! 艦砲射撃により無力化した後、揚陸部隊により制圧せよと言う命令が下った!!!」

 それを聴いた通信士は、「そんな情報は本土からは届いて居ませんが……」と意見を述べ、親衛隊の若い兵士は「うっ……」と少し言葉に詰まり身体も仰け反らせた後、慌てて言い加える。

「こ、これは憎き陸軍が魔石を用いた情報を傍受するであろう事を警戒した、陛下のご英断である!! お前達は軍人としての責務を果たすために、奮闘……うぷっ……」
「“うぶっ”? あっ……カルネロ。騎士様を汚れなき外の世界に解き放ってあげなさい」
「たく、しょうがねーな……。大丈夫か騎士様?」
「馬鹿にするな……! 大丈夫に……決まって……ププルッ!?」
「ゲッ?! “ププルッ”は不味いぞ “ププルッ”は!! 早く、こっちだ!!!」

 そんなドタバタ劇を生暖かく見送った船長は、彼が落としていった怪しげな便箋の様な命令書を手に取り確認する。

「……やれやれ、依りにもよって本物の命令書だとはな……」

「確か今回陸軍として参加していた部隊は………」

「ああ、イザベラに反対し続けていた閣下の軍勢だ……」

 ヴァルハァム軍の中でさえ起き始めている権力争いに皆に嫌気がさす中で、船長は勇敢ちも彼等の野望を阻止する事を前提とした作戦を取る事を決める。

「各艦に通達。これより我々は予定通り盗賊の根城となっているモカロフに対して、先ず主砲による“威嚇射撃”を行う!! 決っして町には当てるなよ!!」

「アイアイサー!!」

その号令は既に揚陸用のガレー船を発艦し終えている後続の5隻にも伝えられ、その号令に従って各艦か船の船首に備えられている40口径30.5センチ連装魔石砲一門を左に旋回させて行く。

「各艦準備整いました!!」
「うむ! 撃ち方始め!!」
「撃ち方始め!!」

その言葉に答える様に、火と風の魔石を火薬代わりとして投石機に用いられていると同じ火の魔石を弾頭とした砲弾は次々とモカロフ周辺に着弾し、ナパームの様に大爆発を起こして砂漠を燃え上がらせた。

斯くして、御互いに置かれた境遇は違えど同じヴァルハァム王国に翻弄されている者達同志の決戦の火蓋が切られるのであった。
読んでくださりありがとうございました!
話の山場を過ぎて中弛みになっていて恐縮ですが、後二話程を持ちまして第4篇が終わる予定となっております。

次の篇の内容としては、ヒデヨシさん達が裸足で逃げ出す日ノ本を舞台にして亮太達が田舎っぺな家康ちゃん(17歳)がいる三河を土地開発したり、馬の代わりにサイドカー付きのバイクやホームセンター等を薦めたりしつつ。

織田家と今川家の間に挟まれていると言う複雑な状況に共に立ち向かう様な、相変わらず常識と言うネジを容赦なくふっ飛ばしていく様なドタバタ話になる予定です!!
+注意+
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