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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

04. 衝突する願望篇

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04-01 悪夢へのプロローグ

・数ヶ所の誤字と文章を修正しました。
時は、亮太がコンビニで襲撃を受けて亡くなる一時間前に巻き戻る。

場所は春に入ったばかりで夜はまだ肌寒い風が吹いている駅前であり、夕方の帰宅ラッシュの時間帯と言う事もある為に老若男女問わず大勢の利用客が羊の群れの様に次々と改札口を慌ただしく潜り抜けていくその群れの中に一人の青年がいた。

「ふぅ。ラッシュの時間帯はほんと勘弁願いたいな」

そう呟きながらロータリーを抜けて、ビルが左右に立ち並んでいる駅前の大通りを歩いていく彼の名は竜崎一成【りゅうざき・いっせい】であり。

彼はキャラメル色のガンフラップピーコートを上に着込み、少し白身かかった青色のジーンズと言う姿である場所を目指して歩いていた。

(早く編集長に許可を貰わないと。何しろ久しぶりの大スクープだ、皆きっと喜ぶぞ!)

そんな淡い思いを持って一成が辿り着いたのは何処にでもある五階建ての小さなテナントビルであり、一成は外開き式の色々とピンクチラシが貼られている扉を開けて中に入って、チカチカと点滅している蛍光灯に見送られ、人が二人ぎりぎり横に並んで通れる程の階段を登っていく。

やがてビルの中の三階にある弱小出版社「唐沢出版(からさわしゅっぱん)」に辿り着いた一成は、軽い足取りで扉を開けて中に入っていく。

「ただいま戻りました!!」
「お、来た来た! 待っておったよ一成くん!!」
「かー!! 何でそんな急いで帰ってくるんだよ馬鹿一成!!」

学校の職員室を思わせる書類が置かれた事務机が7つ程真ん中に並べられ、両端には書類や本が保管されている棚が縦に立ち並ぶ出版社の中で、それぞれ異なった出迎えをあげる二人のおじさんがいた。

「……さてはおやっさん達、私が帰ってくる事でまた賭け事をしていましたね? 一体今回は何を掛けたんですか?」

飽きれた様子で出版社の一番奥に置かれている編集長の机で向き合う様に座っているおじさん達の元へと歩いていく一成に、今年で55才となる編集長である唐沢が笑顔で答えた。

「ふっふっふっ。(たけし)がしつこくワシが賭けに弱い事を言ってくるもんだから、一成が7時までに帰ってくるか、6時までに帰ってくるかと言う賭けになってな!
今日は一成が張り切って出掛けて行きおったから、やらかして直ぐに帰ってくると思って6時に賭けたんじゃよ!!」

「かー!! やらかしちまったぜー!!」

カッカッカッ!! と心から賭けに勝てて嬉しそうに笑う唐沢編集長と、机に拳をおろして悔しがる最近白髪染めを辞めて七三別けの白髪と黒髪がハーフ&ハーフになってきた健が声をあげる中で、一成は呆れつつも今日の成果を報告する。

「勘弁してくださいよおやっさん達……。今日は久しぶりに大きな山を見つけてこれたんですから」

その自信ありげな一成の言葉に唐沢編集長が「お、ツチノコでも偽装してきたのか?」と茶化しを入れる中で、一成は「違います」とキッパリ否定してから記事の文章と写真等のデータが納められたUSBメモリーを手渡し。

そのデータを自分のノートパソコンに移して内容を確認した唐沢は、思わず深い溜め息を吐きながら髪の毛を掻く。

「こいつは何処で仕入れた情報なんだ坊主?」

思わず受かれていた編集長の態度が変わる程の記事の内容はと言うと、「日本で暗躍する海外マフィア達に特別取材」と言うとんでもない内容であり。

データの中には匿名と言う条件と賄賂を通して行われた彼等へのインタビューと彼等の言う様々な《商品》の画像が添付されていた。

「確かに大きなニュースを掴んでこいとは行ったがこれは厳しいぞ……」

「何故ですか編集長? 彼等とはしっかりと許可を取っていますし、借金の肩代わりとして海外に奴隷として売られている方達の写真と証言はかなりの反響を産む筈です!」

身を乗り出して必死に説得する一成の言葉を耳に入れ、モニターに映る様々な画像をチェックしつつ、唐沢はワイシャツのポケットに入れられていたジッポライターを取り出して机の上に置いていたタバコの箱から1本タバコを抜き取り口に入れて火をつけて一服してから唐沢は興奮している一成を嗜める。

「ふぅー……良いか一成? 世界には簡単には触れては行けないタブーと言う奴がある。それがどれだけ残酷で非人道的な許されない事であったとしてもだ」

「だからってこんな非人道的な事を許しておけば、黒人を奴隷として支配していた白人主義者達の様に増長させるだけでは無いですか!!」 

「記者である者、感情的になって行動を急いでは行けない。全ての事全てに相応しい時があるんだよ、一成」

「編集長は今はその時では無いと……?」

「ああ……。例えば日本で起きたジャンボ機墜落事故を知っているか?」

「はい、子供の頃に見たことがあります。確か、十分に調査がされていなかったにも関わらずマスコミが回収されたフライトレコーダーの1部を文章にして公開した結果、皆を励まそうとおどけた様な機長の対応が見る人からすると投げ槍に感じさせてしまい。
乗客を守る責任感と危機意識が無いとして猛烈な批判が日本十で巻き起こりましたね」

「そうだ。それは後先考えず我先にと利益を獲るために暴走し、皆の感情を刺激する様な無責任な記事をマスコミが書き、テレビで連日報道してしまった為であり。
その結果、同じ被害者である筈の機長の遺族の方達に連日各方面からの過激な追求や、怒りの矛先を失った人達にとって都合の良い当て付けの相手にしてしまう結果となってしまったんだ……」

「つまり私が持ってきた記事をこのまま掲載してしまえば、その様な事態の二の舞になってしまうと言う事ですか唐沢さん?」

「そうだ。人の命に関わるニュースは下手をすれば誰かの人生を良くも悪くも左右する物となる事を忘れるな」

「では、この話は無かった事になってしまうのでしょうか?」

「……そうだな、取り合えずこの人に連絡を取ってみろ」

そう言って手早くメモをちぎって、ボールペンで書かれた文字は相談相手の名前と電話番号であり。
そのメモを受け取った一成はその名前をつぶやく。

「川田……俊道さんですか?」
「その人は一成よりも先にこの話題を調べている人だ。きっと、一成が知りたいと思っている事をより知しっていると思うぞ?」

「では、引き続き調査をしても構わないと?」
「ああ。ただし期限までには他の話題でも構わないから、掲載する文章はしっかりと用意しておけよ?」

そう言って吸い終わったタバコを吸い殻に押し付けながら、優しい声をかけてくれた唐沢に一成は目を輝かせて心から感謝し、頭を下げてから勢い良く出版社から再び飛び出していく。

「ありがとうございます唐沢さん!! では、早速調査に行って来ます!!」

「おいおい!! そんなに慌てるなって一成!! もう夜中になるんだから……やれやれもう行っちまったよ……」

「ははは!! 若い奴はああでないとな!!! よし、ワシもそろそろ帰るかの……」

そう言って便乗して苦笑いしながら帰ろうとしている健の肩を唐沢が掴んでとどめる。

「おおっと、健さん何処に行かれるのかな? 賭けに負けたら今日は一杯奢ってくれるんだろ?」
「……今日は手持ちが寂しくてよー、また今度にしないか?」
「何を言ってるんだ健さん。さっき競馬中継の結果を聴いて大はしゃぎしていたじゃないか?」
「うう……叶わねぇな編集長には……」

そんなやり取りを二人がしているうちに一成は既に自宅へと帰って仕事の続きをするために駅前へと足を向けており。
その胸の鼓動は興奮により大きく脈打っていて、朝から調査を続けていたにも関わらず一成から疲れを取り除いて行くようであった。

(必ず、必ずこの誰も手をつけられなかった問題を暴いて解決して見せるんだ!!)

その興奮が最大値まで振りきれそうになった所で、蒸気機関車が溜まりにたまった蒸気を外に吐き出すかの様にぐぅぅぅぅとお腹が鳴ってしまい、一成は我に帰る。

(そういや……今日は朝食のバナナと牛乳ぐらいしか腹に入れてなかったよな……。よし、亮太が働いている駅前のコンビニに寄ってみるか)

その判断が、これからの活躍が期待されていた若き命を釣るための【餌さ】となる事に一成が気がつく筈も無く、運命に引き寄せられる様に歩いていく事となる。


ーーーーー◇ーーーーー


「どうなってんだよこれは……!!」

やがて辿り着いた場所は戦場とかしていた。

丁度一成の視線の先にコンビニが入ったところでトラックが【ドッ、ガシャアァァン】と言う大きな衝撃音をたてながら店内へと突っ込んで行ったのである。

「うわっ……マジすごくない?」
「うん、映画みたいだよね。ネットにあげて友達と見よーっと」

そんな緊急事態が目の前で起こっているにも関わらず、傍観者としてただ見つめているだけの野次馬達の壁へと一成は飛び込んで行く。

「すいません! 道を開けてください!!! 通ります!!」
「ちょっと何なのあいつ?」
「いるよね、こう言う時にでしゃばりたがる奴ってさー。動画にしてあげてやろーっと」

そんな回りの冷ややかな言葉等気にせずに辺りにいた大勢の野次馬達を掻き分けて、爆弾が落とされた様に粉々になってしまった店内へと一成が足を踏み入れようとした所で、二発の銃声が辺りにこだました。

「亮太!!!」

強盗に親友が襲われている。そう直感した一成は護身用に懐にしまっていた電動式で拳銃タイプのモデルガンを取り出して店内へと突入する。

そこには店の入り口で力無く倒れている店長らしき人と、若い女性。

そして、ネズミ色の厚手のコートに身を包み、拳銃を片手に持っているスキンヘッドの謎のロシア系の男が店の中央の血溜まりで重なりあって沈む二人の男女を見下ろしていた。

「В конце концов, если это то степени даже ...... мастерским убийце, если ударил лекарство」

「銃を捨てて手を上げろ!!! 警察だ!!!」

その得たいの知れない男に対して、一成は無謀にも警察を名乗って後ろからモデルガンを突きつけてホールドアップを試みる。

「……」
「何をしている! 早く銃を捨てるんだ!!」

だが目の前にいる大男は一成に背中を向けたまま微動だにしない為に、一成は焦りを覚えて声を更に張り上げながら男性の前へと回り込んで、銃口を男性の胸へと突き立てる。

「日本語が解らないのか? ならーー」
「キコエテイルヨ……オモチャのヘイシクン」

そう言って男は突然後ろに振り返り、その勢いのまま一成の手と胸にそれぞれサプレッサー付きの拳銃で、二発づつ撃ち込んでみせた為に、素人の一成は超至近距離であった事もあり成す術もなく痛みに悶えながら倒れる事となる。

「あぐぅあぁぁぁ……!!!」

そして一成が倒れると同時にポケットから先程事務所で貰った連絡先の紙が木の葉のようにひらりと床に落ちてしまい、それに気がついた襲撃者の男に見られてしまう。

「……ナルホド、オマエモコノオトコニアイニキテイタノカ……ザンネンダッタナ」
「どういう……ゴッホ……意味だ……!!」

感情を出さずにただ淡々と語る男に一成が口に上がってきた血を吐き出しながら訊ねると、男はただ一言答えた。

「ソノオトコハ、イマカラオレガコロスカラダ」

そう言って男は、お店の出入口で倒れている店長へと視線を向けて意思表示を見せてから、慌ただしくコンビニの裏口を目指して走って行ってしまった。

「ま……てよ……。俺の……親友を……返せ……よ……」

一成は薄れていく景色の中で、逃げ去っていく男の背中に手を伸ばして引き止めようとするがそんな努力が実を結ぶ筈が無く。

彼の命はその数分後に爆弾が積まれたトラックの大爆発により巻き込まれてしまい、店事跡形もなく吹き飛ばされる事となってしまう。
「В конце концов, если это то степени даже ...... мастерским убийце, если ударил лекарство」

「薬を打たれれば……腕利きの暗殺者であっても所詮この程度か」
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